下町俊貴vs大湾硫斗。下町の試合運びが思ったよりヒヤヒヤした。見切りと上体のみのディフェンスと危険地帯に留まる時間が長いのが…。vs武居由樹は実現なしかなぁ【結果・感想】
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2023年6月28日に東京・後楽園ホールで行われた日本S・バンタム級王座決定戦。同級2位下町俊貴と同5位大湾硫斗が対戦し、3-0(97-93、97-93、98-93)の判定で下町が勝利。初戴冠に成功した試合である。
2016年7月の平沼勇介戦での黒星から無敗を継続中の下町が迎えた初のタイトルマッチ。
当初はランキング1位の石井渡士也との決定戦が予定されていたが石井側の事情で中止に。後日、大湾硫斗との対戦が発表されている。
僕もこの試合はずっと楽しみにしており、当日は大急ぎで帰宅し配信を視聴した。
で、相変わらずの下町俊貴ワールドを堪能させていただいた笑
なお勝利した下町は次戦でランキング1位との指名戦が義務付けられているため、一度流れた石井渡士也戦が濃厚と言われている。
ジェイド・ボルネアがフェルナンド・マルティネスに肉薄。ジャブと先手先手の作戦が機能。減量苦のアンカハスよりもずっとよかったね
下町俊貴vs大湾硫斗は注目。勝敗予想は下町の判定勝利でした
僕が下町俊貴を初めて観たのは2020年8月の英洸貴戦。たまたま配信で目にして「お、何だコイツすげえぞ」となった覚えがある。
それからこの選手の動向を追いかけているのだが、ジョー・サンティシマを完封した前回の試合もまた素晴らしかった。
下町俊貴がジョー・サンティシマを危なげなく完封。危なかったのは接近戦に巻き込まれた5Rだけかな。もしかしたら下町はホームで力を発揮するタイプ?
そして満を持して迎えた初のタイトルマッチ。
一度は相手の都合で中止になったものの、すぐにランキング5位との対戦が組まれることに。おかげでコンディションを落とさず調整できた印象である。
対する大湾硫斗は2022年大晦日の井岡一翔vsジョシュア・フランコ戦のアンダーに出ていた選手。
たまたま現地観戦できたのだが、その際はあまりピンとこなかったことを告白する。
スピード&パワーには秀でているが動き出しの溜めが大きく攻防のつなぎがはっきりしている。
また攻撃パターンも「思い切り踏み込む→近場で腕を振る」の繰り返しでやや単調。ポテンシャルの高さや階級屈指のパンチ力の割に少々物足りなさを感じた次第である。
先日サム・グッドマンに判定負けを喫したレイセ・アリーム同様、動きを読まれやすいタイプなのかなぁと。
そんな感じで、僕の予想は下町の判定勝利。
下町が自分の間合いをキープしつつ10Rさばき切るというのが漠然とした展望である。
思ったよりも下町が危なっかしかった。近場でカウンターをもらっていたのが…
実際の試合だが、今回は意外と下町が危なっかしかった。
下町の判定勝利、大湾の突進を10Rさばき切ったのはお見事だが、同時にヒヤっとするシーンも散見された。
中でも近場の打ち合いで何発かカウンターを食っていたのが……。
前回のサンティシマ戦でも5Rにモタモタさせられたが、中盤に一度流れを手放しかけるのはこの選手の特徴なのだろうか。
相手の動きを把握するよりも先に相手が自分の動きに慣れるというか。
その直後にしっかり対応するので大怪我にはならないものの、相手の馬力がさらに上がると一気に持っていかれる危険もありそう。
もう少し圧倒すると思っていた分、「おや?」というシーンが多かったなぁと。
アリームさんホントにコケたよ。サム・グッドマンに対策されて終始糞詰まり状態に。序盤は苦戦すると思ったけど1Rから自信たっぷりでしたね
この先、相手の馬力が上がっても同じスタイルでいけるかには興味がある
下町俊貴の持ち味は長身サウスポーの特徴を活かしたアウトボクシングだが、大湾のような踏み込みスピードのあるタイプには往々にして懐に侵入される。
しかもディフェンスは上体の動きと見切り中心なので被弾するケースも多々ある。
またカウンターの精度は高いが、同時打ちのタイミングで先にパンチを食うことも。
今回も大湾の右カウンターをもらって膝をガクッと落とすなど、危険地帯に長く留まる癖が目に付いた。
メインでKO負けを喫した中嶋一輝とは違い、柔軟性が高く芯に響く感じはしないが、一定以上の馬力を持つ選手と遭遇した場合にどうなるか。
国内トップレベルとの対戦が続く(と思われる)この先、同じスタイルでどこまでいけるかには興味がある。
踏み込みスピードと近場でのガチャガチャを両立できる選手が苦手っぽい。石井渡士也は大湾より可能性がある?
下町のキャリアを振り返ると、2018年12月に渡部大介と引き分けていることがわかる。
要するに踏み込みスピードと近場でのガチャガチャを両立できるタイプを苦手としているのだろうと。
大湾も距離を詰めるまではよかったが、近場の連打でややバリエーションが足りず。
踏み込みのタイミングを探しているうちにペースを手放してしまったことを含め、下町を攻略するにはどれだけ躊躇なく前進できるか、懐で暴れられるかが重要になりそうである。
なお次戦で対戦すると言われる石井渡士也は……。
踏み込みスピード、1発の威力、右の精度は大湾より上だと思うが、バンタム級から上げた選手なのでサイズは劣る。しかも動き出しの溜めが大きい&顔面丸出しで飛び込むせいでカウンターをもらいやすい。
・右の精度、威力
・踏み込みスピード
・ディフェンスのヌルさ
・リーチ、サイズ
諸々を加味すると、大湾と比べてプラマイゼロ、もしくは石井の方が少し健闘するかな? という印象。
今回同様、中盤で苦労させられつつ何だかんだで下町がポイントアウトしそうな気がしている。
と言いつつ、大湾よりは勝ち筋がある? ない?
わからん。
下町俊貴vs石井渡士也戦すごい試合だった。全体の流れは石井。でも下町はよく踏みとどまった。よし、次は武居由樹と(しつこい)
武居由樹の右フックなら届くんじゃない? 下町がさばきそうな気もするけど。実現性は低いだろうな…
そして僕が以前から連呼している下町敏貴vs武居由樹戦について。
武居由樹は井上尚弥の王座返上に伴いバンタム級に下げると言われているが、今のところOPBF王座は保持したまま。7月の試合も54kg契約とバンタム級よりもちょい上のキャッチウェイトで予定されている。
さらに大橋会長(泥酔)によると、武居は同じキック出身の那須川天心との対戦を熱望しているとか。
大橋会長(泥酔)が「天心が武居に勝てば井上尚弥vs那須川天心戦を実現させたい」と豪語していたので、もしかしたらしばらくS・バンタム級に留まるかも?
などと淡い期待をしているのだが、どうだろうか笑
仮に武居がS・バンタム級に留まるならなおのこと下町敏貴vs武居由樹戦をやらない理由はない。
同僚の前田稔輝と違って下町はキャリアのほとんどが地元開催。極端にアウェイを嫌っているのか? とも思ったが、今回後楽園ホールに出張したことでそれが間違いだとわかった。
阿部麗也vs前田稔輝、松村虎太朗vs廣瀬悠斗戦現地観戦。試合はよかったけど、イベントも長いしアングラ過ぎてウンザリした
アウェイは問題なし、PXB PHOENIXに参戦したという実績も作った。
つまり、武居由樹に下町をぶつけない選択肢はどこにも存在しない。7月の試合で武居が勝利&下町が石井渡士也を退けたところで、OPBF王座&日本王座戦として大至急対戦を組みやがれ。
実際、武居由樹なら勝機がありそうなんですよね。
・右をカウンターでもらいやすい
・踏み込みスピード上位の相手には懐に侵入される
下町の特徴を踏まえると、武居の遠間からの右が当たる、もしくは近場で右フックがヒットして下町が尻餅をつかされそうな……。
これが下町敏貴。
完全にコイツの強さが(インタビューの声の小ささを含めて)全国的にバレたろ笑でも、武居由樹の右フックなら届くんじゃねえか?
ず〜っと絶叫してるけど、下町vs武居早くやろうぜ。
世界戦線は井上優先、下町はアウェイでもOKなんだから、やらない理由を見つける方が難しい。
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) June 29, 2023
もちろん下町が翻弄するパティーンもある(その可能性が高い?)わけで。すべてにおいて興味をひかれる組み合わせである。
まあ現実的には難しい、武居は次戦が終わったらバンタム級、下町は数回防衛後にフェザー級転向かなぁと思っているが。
だからアレなんだよ。
この両者は2022年12月の井上尚弥vsポール・バトラー戦のアンダーでやっておくべきだったんだよ。
武居由樹vsブルーノ・タリモも下町敏貴vsジョー・サンティシマも悪くないけど、日本人対決ならさらに注目度が上がっただろと。
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