下町俊貴vs水野拓哉、前田稔輝vsジュンリエル・ラモナル。居合い抜きのような前田稔輝の左と老獪な下町俊貴。改めて下町俊貴vs武居由樹やらねえかな。年末にでも【結果・感想】
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2022年8月7日に大阪・枚方市立総合体育館で開催された「CRASH BOXING」。
2019年全日本フェザー級新人王の前田稔輝が58kg契約8回戦でフィリピンのジュンリエル・ラモナルと対戦し2R35秒KOで勝利。戦績を10戦全勝5KOとしている。
またメインイベントでは日本S・バンタム級9位の下町俊貴が元日本同級ユース王者水野拓哉とフェザー級8回戦で対戦。激しい打ち合いの末に7R1分38秒TKOで勝利した試合である。
グリーンツダジムのホープ2人、前田稔輝と下町俊貴が揃って登場した同興行。
僕もこの両者にはかなり期待していて、今回も試合を楽しみにしていた。
だがどこで試合を視聴できるのかが当日までわからず、残念ながらリアルタイム視聴はできず。
よくよく調べてみたところ、今回は生中継はなく後日の「BOXING RAISE」のアーカイブのみとのこと。
🥊【更新情報】🥊
8月7日開催『CRASH BOXING vol.26』メインイベントをアップしました‼️映像はこちら📽️
▶https://t.co/Pdky1y6WfX⬇️フェザー級8R
下町 俊貴(グリーンツダ)🆚水野 拓哉(松田) pic.twitter.com/6Fd5HclYyq— BOXING RAISE公式アカウント (@BoxingRaise) August 7, 2022
というわけで久しぶりに「BOXING RAISE」に登録して視聴してみた次第である。
藤田炎村vs湯場海樹戦現地観戦。100%試合がおもしろい藤田選手。こりゃあ人気出るわ。リングネームが炎村(ほむら)はカッコよすぎる
◯前田稔輝vsジュンリエル・ラモナル×(2R35秒KO)
まずは前田稔輝vsジュンリエル・ラモナル戦について。
前田稔輝は2019年12月の全日本新人王決勝戦、亀田京之介戦を観て「おお、これはいいな」となった選手。
前回の木村蓮太朗との全勝対決を現地観戦してますますテンションが上がっている。
前田稔輝vs木村蓮太朗現地観戦感想。初めて生で観たけどやっぱり前田稔輝カッコいいな。木村蓮太朗の粘りもすごくていい試合だった
対するジュンリエル・ラモナルは戦績こそ16勝10敗6分と平凡だが、和氣慎吾や久我勇作といった日本のトップ選手をKOした実績を持つ。
試合の感想だが、前田稔輝がすごかった。
相変わらずの軽快なステップに極小のモーションから最大出力で打ち出す左。
大げさでも何でもなく気づいたらラモナルが仰向けに寝ていた。
一瞬何が起きたか理解できず、「え?」と声を出しながら巻き戻したという笑
2R早々のKOという結果を知った上での視聴だったにも関わらず、である。
一応言っておくと、ジュンリエル・ラモナルの動きも普通によかったと思う。
前田のスピーディなフットワークに惑わされずにジリジリと距離を詰めて踏み込みのタイミングを測る。
スピード、パワーともに前田の方が上だが、ラモナルの1発はめちゃくちゃ怖い。
左カウンターに対する警戒心も伝わってきたし、どこかで右が当たるのでは? という雰囲気は常に漂っていた。
お互いに譲らない展開、緊張感のある立ち上がりだった。
前田稔輝の居合い抜きのようなカウンターがさく裂。この選手はやっぱりカッコいいよな笑
ただ、前田稔輝の居合い抜きのようなカウンターが……。
恐らく1Rからラモナルの踏み込みに左を合わせようとしていたのだと思うが、マジで毎回鮮やかに決まりますよね……。
前回も序盤にあの左で木村蓮太朗からダウンを奪っていたが、初見でアレに対応するのは至難の業なのだろうと。
前田稔輝が思った以上にすごい。飯見嵐を2RKOでキャリア5連勝。亀田京之介戦のパフォーマンスはガチだったんだな
基本はカウンター使いの前田だが、動きながらタイミングを覚えるタイプなので対戦側は非常にやりにくい。かといって、遠間で待ち構えているだけでは日本拳法仕込みの踏み込みで一気に距離を詰められてしまう。
この選手を攻略するには亀田京之介や木村蓮太朗がやったように左右に動きながらカウンターを狙う作戦がいいのかな? とは思うが、それでも……。
注意深く積み重ねたものを1発でチャラにしてしまう踏み込みスピードとパンチ力は理不尽極まりない笑
てか、前田稔輝はやっぱりカッコいいんですよね。
25歳とは思えない落ち着きっぷりと一瞬で試合を終わらせる緊張感。
同じ日本拳法出身の尾川堅一とはまたひと味違う佇まいに自然と目を奪われてしまう笑
あとはアレだ。
もしかしたら前回の木村蓮太朗戦で調子が上向いたかもしれませんね。
現状、日本の上位は清水聡、阿部麗也、佐川遼、森武蔵、丸田陽七太と強豪の名前が並ぶが、どこかで王座挑戦のチャンスがくれば。
8月14日に試合が決まっている大沢宏晋とのサバイバルマッチとかもおもしろそう。
阿部麗也vs前田稔輝、松村虎太朗vs廣瀬悠斗戦現地観戦。試合はよかったけど、イベントも長いしアングラ過ぎてウンザリした
◯下町俊貴vs水野拓哉×(7R1分38秒TKO)
メインイベントに登場したのがもう1人のホープ、下町俊貴。
対する水野拓哉は元日本ユース王者とこちらも将来を期待された選手だが、現在2連敗中とやや伸び悩んでいる。
以前にもちょろっと申し上げたように僕は前田稔輝と同じくらい下町俊貴に期待していて、できればK-1から転向した武居由樹との対戦が観たいと思っている。
武居由樹はこれで4勝のうち3人がサウスポー。
このままサウスポー専用機としてやっていくんだろうか。
目ぼしいところではOPBF14位に井上拓真と対戦経験のあるアンソニー・ジェラルドがいるけど。
なお僕はこの試合で一気に気に入った下町俊貴とかどうかな? と思ってる。https://t.co/ahegFOY3o0
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) April 25, 2022
武居は8月26日にOPBF S・バンタム級の王座戦を控えているので、その次期挑戦者として年末にでも(気が早いけど)。
武居由樹がペテ・アポリナルを“片付ける”。もはや国内を飛び越えてPBC系のクネクネサウスポー相手にどうなるか? のレベルかもな。井上バトラーのアンダーで防衛戦やろう
対戦相手の水野拓哉は初めて観る選手なのだが、こちらもちゃんと強かった(と思う)。
前に出る馬力と連打、どれだけ打たれても折れない気の強さ。17勝14KOの戦績からもわかるように1発の威力は恐らく相当なもの。いわゆる純粋なスピード&パワーだけなら下町を上回っていた。
ところが実際に当たるのは下町のパンチばかり。
ガツガツ前に出て打ち合う水野だが、前手のジャブで動き出しを狙われ強引に近づいて腕を振ればスパスパとカウンターを合わせられる。
身体の強さと根性で前進を続けたが後半になるとさすがにダメージが隠し切れない。
そして7Rに見かねたレフェリーがついに試合をストップ。
インテリジェンスに相当な差があったというか、フットワークとパンチの精度で終始圧倒された試合だった。
いや、水野もがんばったんですけどね。
序盤のスリップダウンの直後などは「お、これはいけるか?」と思わせたし。
ただ、横の動きについていけなかったことと単純にvsサウスポーが苦手だったのもあるかもしれない。
ノニト・ドネアが115ポンド進出で井岡一翔、ロマゴンがターゲット? やべえよコイツ最高かよw また日本でドネアを観られる? でも井岡にとっては何のメリットもない…
下町俊貴vs武居由樹やらねえかな。下町にとっても井上拓真よりもタイプ的に勝機はありそうだけど
勝利した下町俊貴だが、こちらは改めていい選手だなと。
アングルの調整、距離の支配能力が高くナチュラルに打ち出すカウンターも的確。
前田稔輝のような爽快さ、スペックの高さは感じないが、とにかくうまい。
タイプは違うが、どことなく元L・フライ級日本王者の堀川謙一とイメージが被る。
その一方であまりエンジンがデカそうではないので馬力のある相手と対峙した際にどうなるか。仮に武居由樹と対戦するならあの理不尽な踏み込みに対応できるかが見どころになる? のかな?
距離は武居由樹の方が遠い&踏み込みスピードも間違いなく武居が上。
1、2Rをしのげば下町がペースを掴みそうな気もするが、武居の動きに慣れる前に捕まった場合はそのまま終わるパティーンも?
武居由樹vs河村真吾、佐々木尽vsマーカス・スミス感想。メインの谷口将隆vs石澤開戦が想像以上の地獄だった。計量失敗が起きるのは仕方ないから代替案を用意せいよ笑
いや、マジでやってくれませんかね武居由樹vs下町俊貴。
年末に井上尚弥vsポール・バトラー戦が実現するならそのアンダーで。
下町にとってもタイプ的にWBO-AP/日本王者の井上拓真より武居の方が勝機がありそうに思える。
カイチョー大橋が武居由樹をプロテクトしながら世界挑戦を模索する方針ならちょっと難しそうだけど。
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