武居由樹vs河村真吾、佐々木尽vsマーカス・スミス感想。メインの谷口将隆vs石澤開戦が想像以上の地獄だった。計量失敗が起きるのは仕方ないから代替案を用意せいよ笑

武居由樹vs河村真吾、佐々木尽vsマーカス・スミス感想。メインの谷口将隆vs石澤開戦が想像以上の地獄だった。計量失敗が起きるのは仕方ないから代替案を用意せいよ笑

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2022年4月22日に東京・後楽園ホールで開催された「PXB PHOENIX BATTLE 87」。WBO世界ミニマム級タイトルマッチ、同級王者谷口将隆vs挑戦者石澤開戦をメインに計6試合が行われている。
 
ただこの日は予定があったためにリアルタイム視聴はできず。
数日遅れでPPV観戦したのでその感想を。
 
なお僕はメインの谷口将隆vs石澤開戦にはあまり興味がなく、楽しみにしていたのはセミとセミセミの方。武居由樹vs河村真吾戦、佐々木尽vsマーカス・スミス戦である。
 
というわけで、今回はこの2試合を中心に感想を言っていくことにする。
 

○佐々木尽vsマーカス・スミス×(5R2分49秒TKO)

まずは第5試合のウェルター級8回戦。2021年10月の日本S・ライト級王座決定戦で体重超過を犯した佐々木尽の復帰戦。ベテランサウスポーのマーカス・スミスとの一戦である。
 
過去2戦でいずれもサウスポーに苦戦させられた佐々木尽だが、同じサウスポーのマーカス・スミス相手にどんなパフォーマンスを見せるかに注目していたところ……。


正直、僕にはよくわからなかった。
 
マーカス・スミスは平岡アンディほどサイズもスピードもなく、湯場海樹のような鋭いカウンターもない。右リードの威力、多彩さも彼らに比べれば一段劣る。
 
佐々木尽vs湯場海樹、一道宏vs谷口彪賀感想。ゾンビのような一道宏。佐々木尽のロマンは続く
 
そのマーカス・スミスを5R2分49秒TKOで下したのだが、いや~、よーわからんっすねぇ。
 
ガードを上げてにじり寄る→フルスイングをブンっ!! の流れは同じだが、これまでよりも左リードやボディでの崩しを意識していたようにも思う。
ただ、マーカス・スミスが平岡アンディや湯場海樹よりも攻略しやすかったことも確かで、果たしてその辺どうなのよ? と。
 
特にサイズ差のあった平岡アンディと違い、今回は最初からパンチが届く位置でスタートできたのは大きかった。
 
 
さらに下記によると、佐々木尽は今後もウェルター級でやっていくとのこと。自慢のパワーがこれまで通り機能するかにも注目である。
 
「【ボクシング】前戦計量失格の佐々木尽、再起戦を猛打でTKO勝利「みんなが味方になってくれた」」
 
ウェルター級の日本ランキングを見ると、王者小原佳太のほかには1位永野祐樹、2位小畑武尊といずれもサウスポーが名を連ねる。
パッと見の印象だが、永野祐樹や小原佳太とはまだまだ差がありそうな気も……。
 
とは言え、あまり防御や崩しを意識し過ぎると一番の長所である思い切りのよさが消えてしまうのかもしれない。
まだまだイケイケでOKな年齢だし、それこそ「攻撃7割、勢い3割、防御0割」みたいな感じで自分の幻想に全乗っかりしたまま世界戦にたどり着いた赤井英和を踏襲するのもアリなのかな? と思ったり。
 
赤井の現役時代を知らない上に佐々木尽が世界戦にたどり着くかどうかも不明ですが。
 
 
今後も大橋興行に出場するのであれば、現役復帰した井上浩樹は絶対に超えなきゃいけない壁でしょうね。
 
佐々木尽が星大翔に11RTKO勝利。コレジャナイ感、期待はずれのモタモタ。小原戦で見せたジャブがいっさい出ない、意味不明なスイッチその他
 

○武居由樹vs河村真吾×(2R1分22秒TKO)

続いてセミファイナルの武居由樹vs河村真吾戦について。
 
武居由樹に関してはもともとキックでの那須川天心戦を待望していたこともあり、ボクシング転向と聞いてもあまりテンションが上がらなかった経緯がある。
 
ところがプロ2戦目での倒しっぷりを観て「おお、これはいいぞ」と。
次の2021年12月の今村和寛戦を現地観戦してさらに気に入った選手である。
 
井上尚弥はタイ人が苦手←案外ガチだと思う。アラン・ディパエンに8Rまで粘られる。武居由樹の超絶バランス感覚。今村和寛に1RKO勝利
 
そして今回、日本ランカーである河村真吾との対戦となったわけだが。
 
うん、素晴らしい。
さすがは武居由樹。
 
得意の右フック一閃で見事なTKO勝利。
 
これまでよりもやや前傾姿勢で対峙し右リードを多用。ときおり遠間からの踏み込みも織り交ぜつつ、右の軌道を相手に意識させる。
1R3分と2Rの半分をかけてたっぷりと右を見せたところで今度はいきなり横からのフックをズドン。
これが河村にとっては完全に死角からのパンチとなり、なおかつ動き出しを狙われたせいで防ぎようがない。
 
過去3試合はポテンシャルの高さで圧倒していた武居だが、今回はどちらかと言えばフィニッシュまでの筋道を立ててその通りに遂行した印象。
試合前に大橋会長が言っていた「フルラウンドでの判定勝利を」に近い勝ち方だったのではないか。
 
 
この勝利で武居の戦績は4戦4勝4KO。しかもそのうち3人がサウスポー。左対左であれだけスムーズに右リードが出るのは素晴らしいし、角度的に右フックがサウスポーの顔面にドンピシャリで当たるのは明白過ぎるくらい明白である。
 
陣営も武居がvsサウスポーが得意なことを把握しているのだと思うが、じゃあ次戦はどうするの? と。
 
この試合に勝てば次はチャンスを~とのことだったが、現在のS・バンタム級はOPBF王者がピート・アポリナル、WBOアジア・パシフィック王者がジュンリエル・ラモナル。
サウスポーなら井上拓真と対戦経験もあるマーク・アンソニー・ジェラルドがOPBF14位、2位には戦績19戦全勝16KOのカール・ジェームズ・マーティンなる選手がいる。
 
ちょろっと調べたところ、カール・ジェームズ・マーティンはなかなかよさそう。
2018年3月に日本の田中恒成と対戦したロニー・バルドナドを11RTKOで下している(当時はフライ級だったけどそこは気にするな)。

日本に呼べそうな選手はだいたいこんなところか。
 
 
もしくは元日本ユース王者の下町俊貴とかね。
僕はこの試合を観て「おお、いい選手だな」と思ったのだが、“チャンス”と呼べる試合を組むならもっともしっくりくる相手に思える。

(武居の得意な)サウスポーだし、ちょうど4月3日に試合をしたばかりだし。


 
武居由樹がペテ・アポリナルを“片付ける”。もはや国内を飛び越えてPBC系のクネクネサウスポー相手にどうなるか? のレベルかもな。井上バトラーのアンダーで防衛戦やろう
 

○谷口将隆vs石澤開×(11R2分29秒TKO)

そしてメインイベントのWBO世界ミニマム級タイトルマッチ、谷口将隆vs石澤開戦について。
 
まず申し上げておくと、僕はこの試合を1秒も観ていない。
もともと王者谷口将隆に興味がなかったのもあるが、挑戦者の石澤開が前日計量に失敗したと聞いて完全に視聴意欲を失った次第である。
 
いやだって。
調べれば調べるほど「こりゃアカン」試合だったでしょ。
 
 
正直、SNS等のざわつきを見て最初は「え? 何でそんなに大騒ぎしてんの?」と思っていたことをお伝えしておく。
「だって体重超過なんて別に珍しくもないでしょ(それも大概だけど笑)」。
 
で、よくよく考えると「ああ、そうか。“世界タイトルマッチ”と名のつく試合での日本人選手の体重超過が史上2人目だったわけね」と。
しかも比嘉大吾と違って今回は同情の余地もなさそう。
 
なるほど。だからあんなに殺伐としてたわけね。
 
 
そして王者谷口は再計量で石澤が最初の計量から1kg落とせない場合は試合はやらないと宣言するも、実際に落とせたのはわずか200g。ところが所属するワタナベジムが1時間かけて谷口を説得し、当日計量で50.6kg以内なら試合は決行されることに。
 
一方の石澤開は取材の場で前日突然体調を崩したために計量に失敗してしまったと釈明。体調を考慮した陣営が取材を打ち切り早々に引き上げたとのこと。
 
 
ほほう、なるほど。
率直に申し上げて地獄ですね
「フェニックスバトル」などとどの口が言うんだよ? レベルの笑
 
王者谷口将隆はやりたくないと申し出たところを強引に説得され、2階級上の選手とやらされる。しかも負ければ王座を失う。
挑戦者石澤開は前日に体調を崩し、取材対応もできないほど消耗、憔悴しきった状態。当然勝っても王座戴冠はならない。
 
さらに試合後の情報によると、石澤の計量失敗は負傷による調整不足が原因だったと。
 
「体重超過の石澤開が引退示唆「計量前に引退しようと…」 怪我による調整不足が超過理由」
 
もはや意味がわからない。
こんなものは早めに上司に報告して対策を考える案件だし、競技としてもエンターテインメントとしても破綻している。
 
 
マジな話、会場に行った人たちはこれで納得しているんでしょうか。画面越しだとまあまあ席が埋まっていたように見えたけど。
 
もっとも高額なリングサイドのチケット代が2~3万円だったと想像するが、え? 大丈夫なの? そこは飲み込んでOKなの?
数日遅れでPPVを購入しただけの僕ですら「ん?」と思っているのに。
 
危険性だの誰の責任だの今後の対策だのといったギロンはお好きにどうぞなのだが、そんなことよりも不良品を満額で売りつけるアコギな商売が当たり前にまかり通っていることに毎回ビックリさせられる。
 
 
ちなみに僕が2022年にボクシングを現地観戦したのは2回。
そのどちらも試合中止が発生している上に補償はいっさいなし。先日などはメインが中止になったにもかかわらず何ごともなかったようにイベントは行われ、何ごともなかったように終了している。
 
久保隼vs佐川遼。佐川の凶悪な右が久保をKO。相変わらずとんでもない右。パーフェクトな勝利でしたね。でも久保隼の試合を初めて現地観戦できてよかった
 
面倒なのでいちいち言わなかったが、僕は1mmも納得してませんからねOK?
一部から「セミがメインにも劣らぬ好カードだったせいで助かった」という声が聞こえてきたが、いや、助かってねえよ笑
 
結構前に「ボクシングのチケット代は高い」と言った際に「いや、高くない。この値段でこれだけ試合数があるのだからむしろお得」だと突っかかってきたヤツがいたが、アイツ元気してんのか?
 
 
ここまでくると計量失敗や負傷、体調不良によって試合が中止になるのはある程度仕方ない。
誰が悪いとか原因がどうとかはどうでもいいから、中止が発生した際の代替案を用意せえよと。
 
以前にもちょろっと言ったけど、試合成立までのギャンブル性が高過ぎるんだよ笑


 
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