ロマゴンvsイスラエル・ゴンサレス感想。連打とスタミナでフィジカル不足を克服。次はエストラーダ戦? ロマゴン最終章に突入ですね【結果・感想】

ロマゴンvsイスラエル・ゴンサレス感想。連打とスタミナでフィジカル不足を克服。次はエストラーダ戦? ロマゴン最終章に突入ですね【結果・感想】

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2020年10月23日(日本時間24日)、メキシコシティで行われたWBA世界S・フライ級タイトルマッチ。同級スーパー王者ローマン・ゴンサレスとランキング3位イスラエル・ゴンサレスの一戦は3-0(118-110、117-111、116-112)の判定でローマン・ゴンサレスが勝利。2020年2月に戴冠した王座の初防衛を果たすとともに、キャリア通算50勝を達成した試合である。
 
 
今年2月にカリド・ヤファイに勝利し約3年ぶりの王座に返り咲いたロマゴン。
初防衛戦の相手となったイスラエル・ゴンサレスはジェルウィン・アンカハスやカリド・ヤファイ、日本の石田匠とも対戦経験のある強豪。
 
試合は前半から王者ロマゴンが得意のコンビネーションで主導権を握ると、イスラエル・ゴンサレスも大きな身体と強烈な連打で対抗。強振でロマゴンの前進を止め、時おり見せるアッパーでペースを引き戻す。
 
だが、連打の精度と上下の打ち分けで勝るロマゴンが各局面で上回り、徐々にイスラエル・ゴンサレスを疲弊させていく。
 
イスラエル・ゴンサレスもたびたび強打を打ち返すものの、なかなかロマゴンの前進を抑えきれず。ラスト2Rは疲労も色濃く、ロープを背負って防戦一方になるシーンも。
 
結局、最後までペースを落とさず連打を出し続けたロマゴンが文句なしの判定で初防衛に成功した。
 
 
なお、この日のメインではWBC王者のファン・フランシスコ・エストラーダがカルロス・クアドラスとの再戦を制して初防衛を果たしており、2021年にWBA王者ロマゴンとの約8年ぶりの再戦の機運が高まっているとのこと。
 
久しぶりのエロール・スペンスJr.がダニー・ガルシア相手の防衛戦。ダニガルさんも結構がんばると思うけど、スペンスのコンディション次第ですかね
 

ロマゴン勝利!! これでエストラーダとの8年ぶりの再戦? 報酬次第らしいけど、実現してほしいね

メキシコシティのアステカTVスタジオという標高2240mの高地で行われたDAZN興行。
軽量級のトップクラスが集結した「DAZN版SuperFly」とも言える豪華なイベントだったわけだが、メインのファン・フランシスコ・エストラーダvsカルロス・クアドラス戦を筆頭にすべての試合がおもしろかった。
 
出来がいまいちなエストラーダが足の動かないクアドラスを持て余しながらも11RTKO。メキシコシティはボクシングをやる場所じゃないんだろうな
 
セミファイナルのロマゴンvsイスラエル・ゴンサレス戦については、正直あまり興味をそそられるカードではなく。メインへのつなぎとして惰性で観始めたところ、「あれ? ちょっと待て。おもしれえぞコレ」と。
S・フライ級では小柄なロマゴンが身長168cmのイスラエル・ゴンサレスを終始追い詰める一戦はかなりの見ごたえだった。
 
 
しかもこの勝利を受けて、ロマゴンとエストラーダの約8年ぶりの再戦が2021年にも実現か? とのこと。
 
うん、両者ともに乗り気なのがいいよね。
「あとは金次第!!」らしいけどww


 

ロマゴンがよかった。1発の威力や迫力は目減りしたが、ハイレベルな連打を12R維持できるのは本当にすごい

試合の感想だが、今回もロマゴンがなかなかよかったなと。
 
前回のカリド・ヤファイ戦でのTKO勝利もそうだが、何だかんだでロマゴンはこの階級にうまく適応した気がする。
2015年あたりまでの鬼神のような強さは失われたものの、連打の精度やプレスは依然として凄まじい。圧倒的なスペシャル感はないが、トップ中のトップ以外に負けることはなさそうに思える。
 
ロマゴン復活! ヤファイを右一閃でTKOに下して3年ぶり王座返り咲き。デカなっとったな。パワフルな前進が戻った
 
そして、この選手が特にすごいと思うのが12Rを通してペースが落ちないこと。
もともとロマゴンはスロースタータータイプで、前半2Rまでは様子見をする傾向が強い。
 
だが、相手の力量を把握して以降は一定の出力をキープし続けることが可能。
 
最小限のシフトウェイトとパリングで芯を外し、攻防兼備のコンビネーションを駆使してゴンゴン前に出る。
階級アップ後は相手の反撃を受けて足が止まることもあるが、それでもすぐに自分の流れを取り戻す。
 
相手がどれだけ動いても延々と追い掛け回し、ロープを背負わせたところで根負けするまで連打を浴びせるスタイル。
1発の威力、相対的な支配力は目減りしたものの、試合を通してハイレベルな連打とプレスを継続するスタミナはマジですごい(こんな標高の高い場所にもかかわらず)。
正直、ポイント勝負でロマゴンを上回ることはほぼ不可能なのではないかと思えるほど。
 
 
言ってもシーサケット戦での連敗以降、4勝3KOですからね。元王者のモイセス・フローレスに格の違いを見せつけ、ディオネル・ディオコスにはスカ勝ち。満を持して迎えたカリド・ヤファイ戦ではこれまでにない馬力を発揮しての9RTKO勝利。
大柄なイスラエル・ゴンサレスをKOすることはできなかったが、3-0の判定勝利には文句のつけようがない。
 
適応期間をすっ飛ばして階級の壁にぶつかった借りをこの2年でしっかり清算しているのが素晴らしい。
 
デービスの一点突破の野獣性。サンタ・クルスをアッパーで失神KO。左のブローナーは穴も多いけど、負ける姿が想像つかんよね
 

イスラエル・ゴンサレスも悪くなかった。作戦は機能していたけど、いろいろなものが少しずつ不足していた

一方、敗れたイスラエル・ゴンサレスだが、打倒ロマゴンに向けた対策自体は間違っていなかったと思う。
 
極力リング中央から下がらず、ロマゴンの連打に強打で対抗。
基本は高いガードと上体の動きで芯を外し、連打の合間を探して腕を強振する。リーチ差を活かして打ち終わりを狙い、上下のコンビネーションでロマゴンを後退させる流れ。
 
耐えるときは耐えて、攻めるときは一気にペースを上げる。
時おり見せるアッパーを含め、S・フライ級ではややパワー不足のロマゴンを攻略するにはいい方法だったのではないか。
 
 
ただ、それでもロマゴンの前進を寸断するにはいろいろなものが不足していた印象。
 
恐らくだが、イスラエル・ゴンサレスはトップレベルからは一段落ちる。2019年6月に井岡一翔と対戦したアストン・パリクテの少し下とか、だいたいそんな感じ。
 
これが井岡一翔じゃゴルァ! って試合だったな。パリクテを10RTKOに下して4階級制覇。今回は厳しいかも? とか言ってスマソ
 
身体は大きく1発の威力もありそうだが、ほんの少し精度が足りない。
腕が長く上背もあるが、猫背気味に構えるせいでそこまで圧力を感じない。
 
その上ジャブを多用するタイプでもなく、射程自体はあまり長くない。フットワークがある方でもないので、強いパンチを打つにはどうしてもロマゴンの射程に留まらなくてはならない。
 
ガードを固めて耐える時間とラッシュで応戦する時間のメリハリをつけていたのは伝わったが、中盤以降はなかなか出力が上がらず。ロマゴンの連打を抑えるのでいっぱいいっぱいになり、攻撃まで手が回らないまま12Rが経過してしまった。
 
 
マジな話、イスラエル・ゴンサレスの出来は普通によかったと思うのだが。
 
この階級のロマゴンはフィジカル不足が否めず、ダメージを与えるには1発1発に力を込める必要がある。そのせいで全盛期の流れるような動きに比べてカクカクが目立ち、動き出しと打ち終わりにわずかに間ができる。
イスラエル・ゴンサレスもそこを狙って連打を打ち込んでいたし、序盤はロマゴンが動きを止めて顔をしかめるシーンも散見された。
 
仮にあの出力を後半まで維持できていれば、2017年9月のシーサケット・ソー・ルンビサイのような豪快なカウンターが火を噴いた可能性も……?
 
せめてもう少しジャブが出れば、もしくは左右への動きがあればなどと思うが、それらをひっくるめてすべてが少しずつ足りなかったなぁと。
 
2Rの動きとか、それなりに期待感もあったんですけどね。
とにかく慌て過ぎというか、終始余裕がなかったですよね。
 
比嘉大吾vs堤聖也感想。比嘉は強打と連打の両立を模索中? 堤聖也の動きがめちゃくちゃよかったですね。でも判定結果には文句ないかな
 

ロマゴン最終章に突入。でも、僕はエストラーダにがんばってもらいたい。で、どこかで日本人選手との絡みを…

今回の勝利によってローマン・ゴンサレスvsファン・フランシスコ・エストラーダの再戦の機運が高まっているとのことだが、これは純粋に楽しみである。
 
前回はお互いが持ち味を目いっぱい発揮した上でのロマゴン勝利。全盛期のロマゴンのすごさを山ほど見せつけられ、ロマゴンに打ち負けなかったエストラーダにも感服させられた。
その両者が8年以上の時を経てぶつかるわけで、いわゆる“ロマゴンの最終章”と呼べる試合なのだろうと。
 
2008年9月の新井田豊戦で日本のファンに衝撃を与え、軽量級としては異例のPFP No.1、NYのマジソンスクエア・ガーデンでメインを張るまでに上り詰めたロマゴンもすでに33歳。
適性を超えた階級でリングに上がり続けるのも負担が大きいだろうし、エストラーダ戦を最後に引退したとしても不思議はない。
 
新井田豊とかいう全盛期ロマゴンと真正面から打ち合った男。新井田豊vs高山勝成は歴代日本人対決のベストバウトで文句ないよな?
 
ただ実を言うと、僕はロマゴンよりもエストラーダにがんばってもらいたいと思っている。
 
2008年のデビューからメキシコで試合を重ねたエストラーダが初めて海外のリングに上がったのが、米国開催となった上述のロマゴン戦。キャリア初期からたびたび来日しているロマゴンに比べ、日本のファンにはややなじみが薄い。
 
だが、近年の軽量級をけん引してきたのはどう考えてもこの選手である。
2017年からスタートした計3回のSuperFlyで皆勤を果たし、今回のDAZN版SuperFlyにも出場。都合4回のうち3度の大会でメインイベンターを務めている。2019年4月には一度敗れたシーサケットにもリベンジに成功するなど、実績面も申し分ない。
 
さらに第3回のSuperFly後(だったよね?)に軽量級のファイトマネーの低さに苦言を呈すといった、相撲で言うところの横綱的なリーダーシップを発揮することも。
 
 
軽量級の地位を高めたのは間違いなくロマゴンだし、拳のケガが多いのも気になる。それでもこの選手の立ち位置やファイトスタイルにはそれなりに思い入れがある。
完全に僕の好みでしかないのだが、仮に統一戦が実現すれば全力でエストラーダを応援させていただこうと思っている。
 
あまり言われてないけど、実はめちゃくちゃ顔面偏差値高いですからねこの人。


そして、できればどこかの時点で日本人選手との絡みが観たい。
それこそ井岡一翔vs田中恒成戦の勝者でもいいし、指名挑戦者として日本人ランカーが挑戦するのでもいい。
 
まあ、一番いいのは比嘉大吾が減量をがんばってこの階級でトップを狙うシナリオなんですけどね……。
 
 
ちなみに僕はIBF王者のジェルウィン・アンカハスにいまだにS・フライ級最強幻想を持っておりますww
 
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