クローラvsバーンズ感想。もの足りない人同士の壮絶サバイバル。両者が足りない部分を攻め合う駆け引きがおもしろかったよ【結果・感想】

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スコットランドグラスゴーイメージ
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2017年10月7日(日本時間8日)、英・マンチェスターで行われたライト級12回戦。
元WBA同級王者アンソニー・クローラvs元3階級制覇王者リッキー・バーンズの一戦は、3-0(116-113、117-112、116-114)の判定でクローラが勝利。サバイバルマッチを制し、トップ戦線に踏みとどまった。
 
今年4月にジュリアス・インドンゴに敗れ王座を失ったバーンズと、ホルヘ・リナレスに連敗して後がないアンソニー・クローラによる敗者復活戦。ベテラン元王者バーンズがライト級に階級を戻しての一戦である。
 
 
試合はいつも通り積極的にプレスをかけるクローラに対し、サイドに回りながら距離をとって、ガードの間からパンチを通すバーンズという展開。
 
だが、クローラのプレッシャーにバーンズはフットワークが間に合わず、序盤からペースを渡してしまう。
 
「リー・セルビーvsジョシュ・ウォーリントン! 名勝負の予感がしますよコレは。フランプトンvsドネアなんか比じゃないほど」
 
そこでバーンズは中盤以降、自ら前に出て打ち合う作戦に切り替える。
これにより、両者頭をつけてのショートレンジで一進一退の攻防が続く。
 
体格的優位を活かしてクローラを押し込むバーンズ。
だが、要所での被弾でペースを掴みきれない。
 
両者決め手を欠いたまま12R終了のゴングが鳴り、結果は3-0でクローラの勝利。
前半の貯金を守りきり、何とか今後に望みをつないだ。
 
 
なお、アンダーカードのウェルター級6回戦には、ナイジェル・ベンの息子コナー・ベンが出場。ネイサン・クラークに1RKO勝利を挙げ、無敗対決を制している。
 
「日本一恵まれた男、河野公平がレックス・ツォーに敗れる。中国の英雄に打撃戦の末に負傷敗戦。惜しい! 勝てる試合だったな」
 

アツいぜ英国ボクシング!! だいたい予想のつく両者による予想通りの展開なのにww

ライト級で再起を目指すリッキー・バーンズとの生き残りマッチを3-0の判定で制し、連敗を脱したアンソニー・クローラ。
 
ともに元王者で英国人同士、それもイングランドvsスコットランド対決。
当然ながら会場の盛り上がりは最高潮で、画面越しでもボクシング熱の高さはひしひしと感じられた。
 
視聴環境は例によってDAZN。
先日のポール・バトラーvsスチュアート・ホール戦やウィリー・モンローJr.vsビリー・ジョー・サンダース戦など。
この「かゆいところに手が届かない感じ」のラインナップ、マジで嫌いじゃないww
 
「サンダースvsウィリー・モンローJr.とかいうアラサー大男2人のお見合いが36分間続く地獄。俺がリゴンドーを嫌いな理由がコレですよww」
 
まあ、DAZNの運営がイギリスの会社だからね。どうしても英国の興行が増えるよね。
 
 
そして、展開もだいたい予想通り。
先日のポール・バトラーvsスチュアート・ホール戦の感想記事でもちらっと申し上げたが、この両者ならこうなるでしょ? という試合だった。
 
「ポール・バトラーがスチュアート・ホールを当て逃げで下す。そうそう、井上尚弥相手にこれをできるヤツを探してんのよ」
 
重心を落とし、ガードを固めて前に出るクローラ。
伸び上がるようなフォームで左を出し、ガードの真ん中を打ち抜く。
すかさず右のボディにつなぎ、さらに追撃の左。
前後左右のフットワークを駆使しつつ、徐々に距離を詰めていく。
クローラの得意パターンである。
 
対するバーンズもいつも通り。
クローラの踏み込みに合わせて左ジャブ。
バックステップでさっと距離をとり、クローラが右を出す前にサイドへ回る。
リング中央ではコンビネーションをガードで防ぎ、攻防分離のクローラの打ち終わりを狙う。
 
「ジャレット・ハードvsトラウトが名試合の予感? 勝敗予想がクソ難しいタイトルマッチ。無敗の新鋭にベテランが挑む」
 
近づいて連打につなぎたいクローラと、距離をキープしてサイドからパンチを当てたいバーンズ。
左を出しながらじっくりプレスをかけるクローラに対し、小さくサイドステップしてアングルを変えた位置からガードの間を狙うバーンズ。
 
お互い高くガードを上げた構えながら、スタイルの違いがよくわかっておもしろい。
 
「尾川堅一がテビン・ファーマーに勝つには? どうすりゃいいのかサッパリわかりませんが、一応考えてみる」
 

得意なスタイル同士がぶつかり、局面局面でクローラがバーンズを上回る

両者が自分の持ち味を存分に発揮した序盤。
ポイントもそうだが、主導権を支配していたのはやはりクローラだろうか。
 
バーンズはクローラのプレスを左で止めたいのだが、固いガードと踏み込みのタイミングで相殺されてしまう。
サイドへのステップも、クローラの追撃の右にわずかずつ遅れが生じる。
結果的に懐へ入られ、至近距離での交錯で常に上をいかれる。
 
「石田匠がヤファイに勝利する方法を考える。って、7万人?! ゴメン、意味わからんww ボクシングやる規模じゃねえわww」
 
S・ライト級のリッキー・バーンズは若干階級の壁にぶつかっていた感があるが、この階級でもちょっとキツイか。それとも、クローラのプレスが巧いと言うべきか。
何とも言えないところだが、選手としての精度はクローラの方が一枚上のようである。
 
「バルデス完勝!! セルバニアを寄せつけず。思ったよりいい選手。ダウンを奪われながらも攻撃の手を休めず打ち続ける」
 

劣勢のバーンズがフィジカル勝負で流れを変える。引き出しが1つしかないクローラと、3階級制覇王者の経験の差か。勝ったのはクローラだけどww

クローラのペースで進んだ前半4R。
バーンズはこのままズルズル押し切られてしまうのでは? と思っていたところ、5Rから少し雰囲気が変わる。
 
「村田V1戦はブランダムラさんと横浜アリーナで。ええやん、東京ドーム開催に向けて前進してる。しかも勝てば次戦はアメリカだって」
 
ラウンド序盤はこれまで通り左を出しながらサイドへ回っていたバーンズだが、中盤以降、自ら前に出てクローラに体力勝負を挑む。
 
「ベテルビエフvsコーリン感想。攻略法が見えたような見えないような…。ベテルビエフの剛腕フィジカルにコーリンが撃沈」
 
ガードを上げたままクローラの前進を正面から受け止め、頭が当たる位置でショートの打ち合いに応じる。そして、左肩でクローラの頭をねじ上げ、懐に潜り込むようにロープに押し込んでいく。
クローラにロープを背負わせ、ボディから顔面へのコンビネーション。相手の得意パターンをそのまま踏襲した感じである。
 
「バルデスvsクイッグ!? またおもしろそうな試合を組みやがって…。今回ばかりはバルデス大ピンチじゃない?」
 
なるほど。
重厚なプレスで前進するクローラを逆に体力で押し返す作戦か。
何だかんだでS・ライト級で王座を獲得したバーンズなら、フィジカル勝負でねじ伏せるというのは確かにわかる。
 
リナレスは手数と正確性でクローラのプレスを跳ね返したが、バーンズにそこまでの精度はない。
今回の試合、フットワークが通用しなかった場合にバーンズがどうするかに注目していたのだが、純粋な物量で対抗したのはちょっと意外だった。
 
「今年一番興味の薄い再戦リナレスvsクローラ。無理ゲー? リナレスのとびっきりの才能がクローラの努力をまたしても凌駕」
 
高いガードとパリングでプレスをかけ、至近距離での連打につなげるクローラ。
だが、そのパターンが通用しなかった場合に次の手がないことは、リナレスとの2戦で露呈してしまった。
 
「大竹秀典vs丸田陽七太感想。丸田はちょっと期待はずれだったなぁ。フィジカルに巻き込まれて完敗。てか、大竹vs臼井なんて試合があったんかい!」
 
カネロ戦におけるリアム・スミスやシーサケット戦におけるロマゴンなど。これ系の選手がフィジカルで上回られた際に手詰まりになるのは、ある意味宿命か。
 
そういう意味で、ゴロフキンも階級を上げると苦しくなるのでは? という思いは強い。
 
「ゴロフキンvsカネロ・アルバレス感想。カネロは初めてゴロフキンの突進を真正面から受け止めて負けなかった選手」
 
逆に、劣勢の中で引き出しを見せたバーンズはさすがの経験値と言うべきか。
だてに3階級制覇はしていないというか、あれだけ体格の違うインドンゴ相手にも攻略の糸口を掴みかけた実力は間違いなしである。
 
まあ、クローラにもインドンゴにも負けてるんですけどねww
 
「ジャレット・ハードの理不尽フィジカルがトラウトを粉砕する。ダメだトラウト…。パンチがまったく効かない地獄」
 

もの足りない2人の高度な駆け引きが詰まった山も谷もない接戦。凡人の星の限界と、超人たちのすごさが際立つ12Rだった

今回の試合を観て僕が思ったのが、両者ともちょっともの足りないということ。
 
スタイルの違いや駆け引き、引き出しの多さなど、内容的にはおもしろかったのだが、残念ながら両者のスペックは「凡人の星」の域を出ていない。
 
「バドゥ・ジャックはすげえだろ? クレバリーを問題にせず圧勝。どうだ? 驚いたかオイ? 俺は驚いたぞww」
 
いや、元王者を凡人呼ばわりするのもアレなのだが、リナレスやマイキー・ガルシア、カネロやゴロフキンなどの超人を観ると、やはりモノの違いを感じてしまう。
 
「クロフォードww インドンゴをボディ一閃!! 4団体統一戦に3RKO勝利。ナミビアのシンデレラストーリーを破壊する」
 
直近でいえば、バーンズを完封したインドンゴがテレンス・クロフォードに枯れ枝のように倒されたり、クローラを2度も圧倒したリナレスがさらにやりにくいルーク・キャンベルを才能でねじ伏せたり。
 
「リナレスはキャンベルに二度と関わるなww 2-1の判定でスレスレ勝利。危ない試合だった。再戦したら負けるんでない?」
 
フィジカルの足りないクローラはバーンズにパワーで押し込まれてしまったし、キレの足りないバーンズはクローラのプレスをいなしきれない。
 
「近藤明広がリピネッツを圧倒しながら惜敗。試合は支配してたけど、手数とヒット数がまったく足りず。やってしまいましたなぁ」
 
恐らくクローラにもう少しフィジカルがあれば村田諒太になれるし、バーンズにキレと体力があればポール・バトラーやリー・セルビーになれる。
いや、むしろリッキー・バーンズが元祖で、そこから派生したのがバトラーやセルビーか。
なお、言うまでもなく最上位互換はオレクサンデル・グヴォジク。
 
「盛り上がらなかった」「山も谷もない接戦」という感想をいくつか見かけたが、まあ確かに。「これが凡人の限界ですよね」としか言いようがない。
 
「エリクソン・ルビンvsジャーメル・チャーロ予想。覚醒したチャーロ弟か、新星ルビンか。チャーロ弟がドネアとか井上尚弥っぽい」
 
ちなみにだが、村田諒太にクローラの半分ほどでもリスクを負うメンタルがあれば、再戦でエンダムをKOできるのではないか。
その分返り討ちに合う可能性も高くなるが、ここまでおぜん立てしてもらっているのだから、はっきりとした勝利を見せていただきたい。
 
「村田ズルいww このタイミングでエンダムと再戦決定って、こんなの村田が勝つに決まってるじゃんか。全部計算づくってかオイww」
 
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