RIZINがとうとう未払い!? と思ったらムサエフ本人が否定。今回はある程度同情の余地があるかな。日本格闘技界の収益構造の歪さとは別問題

RIZINがとうとう未払い!? と思ったらムサエフ本人が否定。今回はある程度同情の余地があるかな。日本格闘技界の収益構造の歪さとは別問題

格闘技イベント「RIZIN」界隈がざわついた。
きっかけはアゼルバイジャンのニュースサイトが、RIZINライト級GPで優勝したトフィック・ムサエフへの優勝賞金1500万円が未払いであると報じたこと。
 
記事によると、2019年末に行われたライト級GPでの優勝賞金1500万円が半年経った今でも支払われず、ムサエフ本人はRIZINとの契約を破棄してUFC、Bellator、ONEへの参戦を検討している旨のもの。


RIZINの前身であるPRIDEやキックボクシングイベント旧K-1など。2000年代前半の日本の格闘技イベントではファイトマネーの未払いが頻発し、それが原因で業界全体が衰退した経緯がある。
 
また、数日前に榊原CEOが自身のTwitterでRIZINの窮状を訴えたことも手伝い、今回の記事はファンの間にさまざまな憶測を生んだ。


結局ムサエフ本人がTwitterで上記の報道を否定し収束したものの、ONE関係者がこの話題にいち早く食いつくなど、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける格闘技界の苦しい状況が浮き彫りとなった。


 

RIZINがついに未払いやっちまったか…。でも、出どころがあまりに怪しくて反応する気にはならず

ライト級GP優勝者トフィック・ムサエフへの優勝賞金未払いを報じる記事。
降って湧いたような驚きのネタに多くの格闘技ファンがざわついた。
 
正直、僕も「おいおいマジかよ」「RIZINお前もか」と思ったのだが、さすがに脊髄反射であれこれ言う気にはならず。
 
記事の出所が怪し過ぎたこと、RIZIN本営からのコメントがまったくないことなど、不確定要素が多過ぎるので現段階でごちゃごちゃ言うのはよろしくない。
 
というより、そもそもこの日は忙しかったせいでRIZINの動向に気を回す余裕もなく。
夜になってひと段落したところで、ムサエフ本人が報道を否定しつつ今後も日本での活動を希望していることを知った次第である。
 
 
その間、何があったかはいまいち把握していないのだが、どうやらONEの関係者が光の速さでRIZINをdisり始めたとか。
もともとあの方々は2015年のRIZIN立ち上げ当初からやたらと批判的な言葉を並べていたので、そこに関しての驚きはない。
 
 
一応言っておくと、同じ業界の人間がなぜ足を引っ張ろうとしているのかについては僕はまったく理解できていない。
 
10年にも及ぶ冬の時代を経て、ようやく地上波に国産の格闘技イベントが戻ってくるというのに。
 
マッチメークや記者会見、進行その他。言いたいことはいろいろあるのだろうが、とりあえずは“地上波の格闘技イベント復活”を応援するのが当たり前だと思っていた分、「最高にダサいなコイツら」と感じたことをよく覚えている。
 
なので、今回の報道にウッキウキで反応していたと聞いても「ああ、そうでしょうね」「相変わらずっすね」という感想しかない。
 
でもまあ、ファン同士のいざこざが起きるのは1兆歩譲って仕方ないとして、久しぶりに復活する地上波の一大イベントを業界関係者が後押しできないのはどう考えてもダサいよね。
 
RIZIN20の視聴率がヤバい? 平均5.2%で打ち切りかも? 現地の熱量との乖離がすごいよね。そらメイウェザーも勘違いするわ
 

仮に未払いがあったとしてもある程度は仕方ないかな。支払い期日の後ろ倒しは十二分に考えられるし

そして、上記の報道を聞いて僕が思ったのが、
「新型コロナウイルスの影響で当てにしてた売り上げがすっ飛んだんだろうな」
ということ。
 
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、日本でも3月頃から大小問わずエンタメ系のライブイベントは軒並み中止/延期を強いられている。
当然RIZINも例外ではなく、榊原CEOが言うには3大会分の売り上げ計7億円がすっ飛んだとのこと。


その直後のタイミングで「ムサエフへの未払い疑惑」が報じられたので、ファンの間にもより大きな動揺が走ったのだと思う。
 
 
ただ、これが仮に事実だったとして(事実ではなかった)も、ある程度は仕方ない気もしている。
 
選手へのファイトマネーの未払いはイベント主催者として最悪であること、先立つものもなく賞金1500万円のトーナメントを開催したことはあまりにしょーもないというのは大前提として、ここまでの事態を想定するのは不可能だろうという思いもある。
 
ムサエフの出場したさいたまスーパーアリーナ大会が2019年12月31日。
その次の浜松大会が2020年2月22日。
そして、中止となった横浜アリーナ大会(僕も行こうと思ってたヤツ)の開催予定日が2020年4月19日。
 
たとえばGPの賞金を2月の浜松大会の収益で賄おうと考えれば、賞金の支払い日は単純計算で3月上旬~中旬くらい。また4月の横浜アリーナ大会の収益でと考えると、だいたい5月上旬~中旬くらいになるのではないか。
 
もしくは4月開催の収益を担保に金融機関から前借りができれば、支払いサイトをもう少し早めることも可能になる。
 
那須川天心が笠原友希を1RKO! って、もうK-1いくのが一番いいんちゃう? で、1年後に久保優太コースでボクシングに転向すれば…
 
「年末の賞金をいまだに支払っていないのはおかしい」
「さすがにコロナは関係ない」
との意見も多数見かけたが、コロナの影響はあるに決まっているし、一概に支払いが遅すぎるとも言い切れない(未払いだったと仮定した場合)と思っている。
 
 
会社同士の取引でも「翌々月の○日払い」というのは普通にあるし、クライアント→下請け→孫請けと仕事が枝分かれすればそれだけ支払いが先延ばしにされることも多い。
 

 
特にたくさんのグループ会社を抱える大企業の場合、本社(クライアント)から仕事を依頼された下請業者A(依頼1)がその仕事を下請業者Bに丸投げ(依頼B)することがよくある。
そして、依頼を受けた下請業者Bが作業を完了しても、下請業者Aと本社(クライアント)との間ではまだ仕事が継続中というケースが往々にして発生する。
 
この場合、下請業者Aが本社(クライアント)に請求書を送る(請求2)まで、下請業者Aは下請業者Bからの請求(請求1)を受け付けないパターンがしょっちゅう起こる。
 
つまり、下請業者Bが作業を終了してから支払いを受け取るまでにかなりのタイムラグが発生するという流れ。
 
 
普通の会社同士の取引とエンタメ系のイベントを単純比較するのはナンセンスかもしれないが、だいたいそんな感じ。約4か月~4か月半の支払いサイトというのは僕の中ではギリギリ許容範囲である。
 
盛りだくさんの大みそかRIZIN20感想。美憂、ハム・ソヒ、未来、天心、ケイプ。今までで一番の見ごたえ
 
もちろんすぐに支払うに越したことはないし、最初から契約書の中に支払期日を盛り込んでおくべきなのも当然の話。細かい契約がどうなっているかは不明なので、その辺は何とも言えない。
 

日本格闘技界の収益構造の歪さに結びつけるのは飛躍し過ぎな気が…。突然7億円の売り上げがすっ飛べば誰でもピンチに陥るでしょ

そして、一連の騒動を受けて
「日本の格闘技界の収益構造はおかしい」
「かつての旧K-1やPRIDEの時代から何も変わっていない」
「RIZINはこのままでは長持ちしないことがこれではっきりしたでしょ」
という意見が一部から聞かれた。
 
現在のRIZINはスポンサーとチケット収入に依存する収益構造で、PPV文化が根付いた北米の団体に比べて地盤が不安定。
イベントも大箱の開催ばかりで小規模な興行で裾野を広げる努力もない。このままでは近い将来、旧K-1やPRIDEの二の舞になることは目に見えているとのこと。
 
で、今回のムサエフの件でそのことがはっきりと証明されたらしい。
 
 
う~ん……。
どうなんですかねこれは。
 
さすがにいろいろと飛躍し過ぎな気がするのだが……。
 
まず収益構造が歪であるという点についてはめちゃくちゃ理解できる。よくも悪くも、日本格闘技界の本質が2000年代前半の頃と変わっていないのも確かなのかもしれない。
 
市場を成熟させ、ファンを根付かせるには足りない部分が多いのもその通りなのだと思う。
 
ただ、それを踏まえた上で。
今回の件と日本の格闘技界どうこうを結びつけるのはあまりに強引過ぎる。
 
RIZIN22、23のクラウドファンディングが成功した件。僕もRIZINは好きだけど、あの舐め腐ったリターンじゃそりゃ苦戦するだろなというお話
 
申し上げたように今回の未払い(未払いじゃなかったけど)に関しては、コロナの影響で見込んでいた売り上げがすっ飛んだことが原因であることは明白。
 
榊原氏が言うには、3つのイベント中止によって7億円の売り上げが消えたとのこと。3、4ヶ月後の売り上げを目処に計画していた支払いスケジュールが全部崩れたとしてもまったくおかしな話ではない。
 
なので、「これではっきりしたでしょ」と千里眼的なノリで言及されても「いや、今はそこじゃないから」としか言いようがない。
 
 
日本格闘技界の収益構造が歪だからと言って、この2、3ヶ月でいきなりどうなるものではなかったはず。1年後、2年後はともかく、現段階のRIZINが旧K-1末期並みのヤバさだったわけではない(と思う)。
 
ところが、それがいきなり7億円(榊原氏談)が消えたのだから、厳しくならないはずがない。
 
日本格闘技界の収益構造上こうなることは目に見えていたと言うのであれば、むしろコロナの影響で世界中の経済がストップする未来の方を予想してもらいたかった。
 
自粛疲れ、コロナうつに無縁の毎日を送る僕のストレス解消法2つ。我慢? 普通の生活? ナニソレおいしいの?
 
繰り返しになるが、日本格闘技界の収益構造は欠陥だらけで不安定、早急に別の軸を考えなければならないことは十分理解できる。
 
だが、それと今回の賞金未払い報道(偽)とは別の問題である。
 
契約通りの金額を払えなかったこと(払ってたけど)、先立つものがない状態でトーナメント開催に踏み切ったことがクソしょーもないというのは大前提で、それはそれ、これはこれとして分けて考えましょうねという話。
 
つまり、RIZINがピンチに陥った経緯にはある程度同情の余地がある(と思っている)。
 
 
まあでも、未払いが誤報で本当によかったよね。
今後どうなるかはわからないが、とりあえずはRIZINの健全さも証明されたわけで。


ついでに我が阪神タイガース(ファンではない)のボーアにも来日初ヒットが出たし。


日本一の格闘技イベントの存続がかかったツイートのシェア数がRTが約800、いいねが約1500なのに対し、阪神の助っ人外国人の初ヒット動画のシェア数がRTが約2200、いいねが約7300。
 
つまり、すべての日本人には阪神を応援する義務があるのです(違
 

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