ベストバウトは井上直樹vsアーチュレッタ。一番刺さったのはブアカーオ。朝倉海はアーチュレッタに勝ち筋ありますかね?【RIZIN42現地観戦感想 後半】

ベストバウトは井上直樹vsアーチュレッタ。一番刺さったのはブアカーオ。朝倉海はアーチュレッタに勝ち筋ありますかね?【RIZIN42現地観戦感想 後半】

2023年5月6日のRIZIN42、現地観戦の感想第二弾である。
今回はメインの4試合についてだが、もしよければお付き合いください。
 
前置きが長くなってもアレなのでさっそくいきたいと思う。
 
 
なお前半の感想は下記より↓
ラマザン・テミロフとジョン・ドットソンとフライ級2強になれる? 扇久保博正はコイツらに勝てるのか? アーセンはごめん。まったくテンションが上がらなかった
 

△ブアカーオ・バンチャメークvs安保瑠輝也△(判定0-0 ※30-30、30-30、29-29)

まずはメイン4試合の初っぱな、旧K-1で活躍したブアカーオとRIZIN初参戦の安保瑠輝也の一戦。両者譲らぬ攻防の末にドローとなった試合である。
 
 
正直なことを申し上げると、僕はこの試合にはあまり期待しておらず。
はっきり言って40歳のブアカーオが今が全盛期の安保瑠輝也に歯が立つとは思えない。観るのがしんどい試合になると予想していた。
 
ところが……。
申し上げたように結果は3Rドロー。むしろ3Rはブアカーオが押していたくらいで、仮に延長があれば安保が負けていたのでは? というほど。
 
言い訳の余地なしの未来vsケラモフ、大番狂わせの鈴木千裕vsパトリシオ、納得の扇久保vsアーチュレッタ。クレベル、ケラモフに対抗できるのって結局金原だけじゃ?
 
開始直後はスピード差、体格差で圧倒する安保を観て「ああ、アカンわ」「安保が強い」と思ったのだが、ブアカーオはまったく怯むことなくプレッシャーをかけ続ける。
 
そして1R中盤あたりからミドルを起点に自分の距離に入り、ボディ、顔面へとパンチを浴びせていく。
 
安保もジャブを駆使しつつカウンターを返すが、ブアカーオが動じる気配はない。
逆にボディを効かせて押し込むシーンが目立ち始める。
 
3Rの後半はさすがに疲れが見えたブアカーオだが、安保はその2倍くらい疲れていたという笑
結果、ブアカーオの凄まじいコンディションと安保の微妙さが相まってめちゃくちゃ刺さる試合となった。
 
 
いや、すげえわブアカーオ。
会場で観ている分には旧K-1の頃とそこまで変わっていないように思えた。
 
ブアカーオが木村ミノルを粉砕。性格の悪さ、いじめっ子ファイトが強さの秘訣。エキシビジョンを2連続でぶっ壊すヤツの性格がいいわけないだろw
 
3Rに疲れていたことを考えるとさすがにスタミナは落ちているのだと思うが、それ以外は……。
駆け引きに関しては経験を重ねて逆にうまくなっているのでは? というくらい。
 
期待していなかった分、この選手のパフォーマンスに感動してしまった。



 
なお安保瑠輝也に対しては何とも言えない。
ガチで何とも言えない。
 
 
案の定、ドローという結果を受けて辛辣な言葉が浴びせられているわけだが。
 
この人の場合はいまいち擁護する要素が見当たらないのが……。
試合前の「MMAはつまらない」旨のコメントや唐突なBreakingDown参戦等、「何でそうなるの?」があまりに多すぎる笑
 
期待通りの安保瑠輝也vs宇佐美正パトリック、激闘のラマザン・テミロフvs征矢貴、意外なアーセン、盤石の摩嶋。突然の席変更に絶望したけどおもしろかった笑
 
それこそ「MMAはつまらない」「男がゴロゴロしてるだけ」発言などトラッシュトークでも何でもない、単なる悪口なわけで。
部外者の僕は「また安保が安保しとるな」としか思わないが、真剣にやっている人はそらキレるでしょと。
 
キックの才能自体は文句なし(だと思う)なのに、とにかくメンタルが残念すぎて笑
 

○ホベルト・サトシ・ソウザvsスパイク・カーライル×(判定3-0)

第11試合のホベルト・サトシ・ソウザvsスパイク・カーライル戦はサトシが終始攻めながらも粘るカーライルを仕留めきれず。
3-0の判定で勝利したものの、試合後にカーライルが判定に不服を示すなど思わぬ苦戦を強いられている。
 
 
この試合はサトシの絶対有利予想が多かったが、実を言うと僕は案外苦労するのでは? とも思っていた。
 
カーライルはサトシが大晦日で敗れたAJ・マッキー相手に判定まで粘っている上に身体全体に妙な柔軟性がある。
決して筋骨隆々ではない&格闘家としての理想の体型にはほど遠い(気がする)が、その反面謎の粘り強さ、軟体動物のような防御を発揮する。
 
今回も終始攻められながらもフィニッシュまでは許さず。
サトシに何度も決定機を作られるものの、ギリギリのところでスルッとかわす。
グランドで逆転する雰囲気こそなかったが、それでも十分健闘したと言っていいのではないか。
 
 
なお判定に不服とのことだが、残念ながら勝ちまでは行っていない気がする。
どこかで1発効かせていれば別の結果になったとは思うが。
 
RIZIN35現地観戦感想。久々のケラモフに期待の上田幹雄、圧倒的陽キャのスパイク・カーライルその他。ついでにグスタボvs矢地の感想も
 
こんな感じでずーーっとフィニッシュさせない時間が続く。


 
クネクネしすぎてもはやどちらが有利なのかがわからん笑

 
まあ、サトシはサトシで相手のレベルが上がったことで相対的に決定力が落ちた感じはする。
間違いなく北米でも通用する実力者だが、さすがに今までのように無双しまくるまではいかないのだろうと。
 
金原正徳vsクレベル・コイケが楽しみすぎる件。RIZINでこれだけワクワクするのは久しぶり。予想もクソもない、金原がんばれ。「僕には強さしか残っていない」にはしびれたよね笑
 

○井上直樹vsフアン・アーチュレッタ×(判定3-0)

井上直樹vsフアン・アーチュレッタ戦はこの日のベストバウト(僕の中で)。
 
もともとアーチュレッタに唯一勝ち筋があるのが井上直樹だと思っていたこともあり期待していたのだが、それを超える内容と緊張が3R続いた。同じグランド中心でも伊藤vsアーセン戦とは別格のおもしろさだった。
 
もっとも僕の心に刺さったのはブアカーオだが、ベストの試合は文句なしに井上vsアーチュレッタ戦。
井上直樹の実力が証明されるとともに千載一遇のチャンスを逃した惜しい試合でもあった。
 
 
まず瞬間最大風速だけなら井上はアーチュレッタを上回っていたと思う。
スタンドではリーチ差と左右へのフットワークを駆使してアーチュレッタに正面を取らせず。打撃の交錯でも井上の方が有効打を当てていた印象。
 
井上がアーチュレッタとまともに勝負するにはまずアーチュレッタの左右への動きについていくことが大前提だと思っていたが、機動力では井上が上だということは開始早々に判明した。
 
「あ、全然負けてない」
「むしろ置いてきぼりにしてるじゃねえか」
みたいな。
 
昨年大晦日の扇久保博正戦もそうだったが、1R限定なら井上に勝てる選手はまずいないのではないか。
 
RIZIN33現地観戦感想。朝倉海、井上直樹を下して扇久保が優勝。元谷vs金太郎のリザーブファイト。予想外が山盛りの2021年大晦日
 
ただ、あれだけ飛ばしていると失速しそうな気も……。
扇久保戦同様、あっという間に動きが落ちてジリ貧にならなければいいのだが。
 
と思っていると……。
 
案の定、フットワークの合間にパンチをもらった井上が吹っ飛ばされるように尻餅をつく。
それ以降、アーチュレッタのプレスを回避できずにグランドの展開を強いられる流れに。
 
アカン。
これはアカン。
このままだと扇久保戦の焼き増しになる。
 
正直、僕はこの時点で井上のアップセットを諦めたことをお伝えしておく。
 
 
ところがこの日の井上はここから粘りを見せる。
 
上でコントロールを図るアーチュレッタのバックを取り、たびたび局面をひっくり返す井上。
一度などは首を極めてそのままタップまでいきそうだったほど。
 
 
本人が試合前に「疲れる試合になる」とコメントしていたが、要するにそういうことなのだろうと。
さっさと勝負を決めてやろうと飛ばしまくった扇久保戦と違い、今回は苦戦を前提に準備を重ねた。そのおかげでグランドでも反撃する余力を残すことができた。
 
僕は相変わらず井上直樹のことをバンタム級日本一だと思っているのだが、今回の善戦によって改めてそれを証明したのではないか。
 


 


 
まあでも、勝てなかったのは本当に残念でしたよね。
 
試合後に本人が言っていたようにアーチュレッタは家庭の事情もあってコンディションはいまいちだったらしい。
前日計量でもやたらと軽い体重だったとかで、マジで「アーチュレッタに勝つにはこの日しかない!!」くらいの大チャンスだったのかもしれない。
 
金原正徳が全局面でクレベル・コイケを圧倒。アカン、感動が止まらん。でも石渡パイセンと川口春奈の彼氏の予想を聞いて「勝つかも」とオモタ笑
 

○朝倉海vs元谷友貴×(3R2分25秒KO)

ラストはこの試合。
約1年半ぶりの復帰戦となった朝倉海が5連勝中の元谷友貴と対戦し、3Rにカウンターの膝でKO勝利を挙げた一戦である。
 
 
朝倉海に関しては昨年大晦日の扇久保博正戦でかなりの頭打ち感があったことをお伝えしておく。
 
で、今回絶好調の元谷友貴相手にどうなるか? と思っていたところ……。
 
ぼちぼちよかったんじゃないですかね。
 
攻撃パターンは打撃のみ、相手のテイクダウンに対しては耐えるのみ、スタンドで勝負してナンボと基本ベースは変わっていないものの、細かい部分での工夫は随所に見られた。
 
特に長い距離でのキック多用はよかった(と思う)。
これまで(恐らく堀口恭司に勝ってから)は近づいてパンチを当てることばかりに集中していたのが、この試合では遠い間合いでも一定の引き出しを見せた。
堀口戦Vol.2や扇久保戦のように過剰な前体重でカーフキックを狙われるシーンが少なかったのは大きい。
 
この選手はとにかく手だけで何とかしようとしすぎ、パンチに傾倒しすぎだったが、負傷離脱している期間でそこを重点的に修正してきたのだと想像する。
 


 
一方の元谷友貴だが、以前から言っているようにこの選手はスタンドでの打撃が基本。グランドの展開が得意な印象だが、起点となっているのは常に打撃である。
 
つまり、
スタンドである程度やれないことには何も始まらない。
スタンドで4対6くらいやれれば誰が相手でも最低限の勝負はできる。
 
そんな感じで、今回も朝倉海の打撃にどこまで対応できるかが一番の見どころだと思っていた。
 
RIZIN45遅めの感想。「そりゃそうでしょ」案件続出の中、扇久保がドットソンに勝ったのはビビった。明確に落ちた堀口恭司、ペナルティで選択肢がなかったアーチュレッタ
 
で、結果としてそこそこやれたわけだが、最後の最後で膝のカウンターで沈むという。
 
ただ、そこに至るまでに何発か効かされていたし、逆にクリーンなテイクダウンは一度もなかった。
対戦相手のスケールが一定以上になると手に負えなくなるのが元谷友貴の特徴だが、今回もその壁に阻まれた印象である。
 


 
要するにここが“超人と平民の壁”というヤツなのかもしれない。
 
元谷友貴は間違いなくハイレベルな実力者だが、スーパーな超人には一歩及ばない。どれだけがんばっても超えられない壁をこの試合でも見せつけられた。
みたいな。
 
 
 
ちなみに朝倉海はアーチュレッタに勝てますかね。
正直、僕はかなり難しいと思っているのだが。
 

 
恐らくアーチュレッタは打撃もテイクダウンも元谷以上。元谷相手に3Rかかったことを考えると相当厳しい試合になりそうな……。
 
あの打撃オンリーのスタイルでは対処しきれないというか、北米基準では限界がくるというか。
 
RIZIN vs Bellator全面対抗戦でRIZIN勢が全敗。クレベルと武田の試合でRIZINの現在地がわかった気がしたよ。スーチョルもサトシも惜しかった。扇久保は…
 
てか、タイトルマッチは7月予定っすか。
相変わらずめちゃくちゃ酷使するっすね笑
 

Advertisement

 


 

 
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!