井上直樹に穴が見当たらない。朝倉海は穴が目立つ。扇久保、瀧澤、ヤマニハ、金太郎、元谷、大塚。RIZIN30バンタム級GP2回戦答え合わせ【感想】
2021年9月19日にさいたまスーパーアリーナでRIZIN30が開催され、バンタム級GP2回戦4試合が行われた。
先日「観戦ど素人の僕が勝敗予想をする」とわからないなりに勝敗予想をしてみたわけだが、今回はその答え合わせである。
RIZIN30勝敗予想。朝倉vsヤマニハ、井上vs金太郎、扇久保vs大塚、元谷vs瀧澤。バンタム級GP2回戦。でも会場には行かないっす
具体的な対戦カードは以下。
・朝倉海vsアラン・“ヒロ”・ヤマニハ
・井上直樹vs金太郎
・扇久保博正vs大塚隆史
・元谷友貴vs瀧澤謙太
この4試合についての答え合わせと感想を適当に言っていくことにする。
なお試合前にRIZINの榊原CEOが愛知県で行われた音楽イベントを引き合いに出して観戦マナーを訴えていたとのこと。
RIZIN・榊原CEOマナー徹底訴え「どこかの音楽イベントみたいになっちゃうと」/ファイト/デイリースポーツ online https://t.co/lysG4daelj #DailySports
— デイリースポーツ (@Daily_Online) September 19, 2021
いや、すごいなコイツ。
近年稀に見るレベルの巨大ブーメランが頭にぶっ刺さっとる。
2020年末のイベントで発生したクラスターを隠蔽して開き直ってたヤツがどの面下げて言ってんだよという話でww
酷すぎて笑えてきますね(笑)
会場にいたし自分。このおっさんと選手の濃厚接触どうこうよりも、物販スタッフが複数人感染してて日付もピッタリ合致するのに放置したってのは素晴らしい。
RIZIN榊原代表に聞く「コロナ陽性をなぜ公表しなかったのか」 | FRIDAYデジタル https://t.co/Z7o6wGM2eH
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) July 21, 2021
そもそも格闘技ファンの民度なんてHIPHOPの音楽イベントで大騒ぎしとるヤツらと大して変わらんだろ。
HIPHOP、ラッパー=ダサいを凝縮した出来事。愛知県「NAMIMONOGATARI2021」会場が無法地帯。リアルって言葉を都合よく書き換えるんだよなコイツら
コロナ禍になって以降、特に思うのだが、有観客イベントの主催者は自分たちの業界のファンがどんな人間なのかをしっかりと考えたほうがいい。
小学校高学年程度の人生経験があれば十分理解できることだと思うのだが。
×元谷友貴vs瀧澤謙太○(1R2分27秒TKO)
予想:元谷友貴
結果:瀧澤謙太
まずはこの試合。
大方の予想を裏切り、瀧澤謙太が元谷友貴を1RTKOで下した一戦である。
僕も多くの方と同様、元谷友貴の勝利を予想していたのだが、それでもこの結果にそこまで驚きはない。
予想記事でも申し上げたように、4試合の中で番狂わせがあるとすればこの試合だと思っていたので。
瀧澤が勝機を見出すには遠い位置で勝負できるか、2020年9月の金太郎戦のように射程の半歩外をキープして試合をコントロールできるかだと申し上げたが、実際その通りだったと思う。
開始直後の回し蹴りを含め、瀧澤は最初から遠間での勝負、正面に立たないことを徹底していた。
で、元谷が強引に出てきたところでもみ合いの中でカウンターのフックをヒット。
そのままロープ際でラッシュを浴びせてレフェリーストップを呼び込む流れ。
逆に元谷としては、打撃戦を拒否して組み勝負に出たのがマズかった。
これは何度も言っているのだが、元谷友貴の基本はストライカー。組み技が得意なグラップラーの印象が強いが、実はスタンドの打撃で優位性を確保するところから試合を組み立てる選手である。
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なので、今回も強引に距離を詰めての打ち合いからスタートすると思っていたのだが……。
瀧澤の打撃をかいくぐって組みつこうとしたタイミングで顎にパコーンともらってしまった。
陣営の指示か瀧澤を過小評価していたかは不明だが、とにかく元谷の戦略ミスという印象の試合である。
○扇久保博正vs大塚隆史×(判定3-0)
予想:扇久保博正
結果:扇久保博正
お次はこの試合。
個人的に4試合の中でもっとも予想が難しかった&タイプが似ていて激渋な展開になると思っていた一戦である。
結果としてはガチでその通り。
どちらも射程が短くテイクダウン能力が高い。一方でスタンドでの打撃も得意とする。
中央での勝負が中心の選手同士なので、リングorケージの影響をほとんど受けない展開となった。
そしてスタンドでの攻防、パンチの精度、ダメージの蓄積度合い、ヒット数の多さでわずかずつ上回った扇久保が文句なしの判定勝利をたぐり寄せた。
大塚としては、1Rの序盤に1発効かせた場面でペースアップできなかったのが痛かったなと。
確かに扇久保の誤魔化し方もうまかったが、被弾直後にはっきりと腰が落ちていたのでね。
前傾姿勢でグイグイ前に来る扇久保に終始押されてしまったのが残念だった。
あと、扇久保って意外とカーフキック蹴れるんすね。
今回もインローとの組み合わせで下半身を痛めつけた結果、3Rの大塚はほとんど蹴りが出せなくなっていた。
パンチと蹴り、上と下でバリエーションをつけられる扇久保と、パンチ勝負しかない大塚。
この部分での差が決定打になった試合と言えそうである。
○井上直樹vs金太郎×(判定3-0)
予想:井上直樹
結果:井上直樹
優勝候補の一角と言われる井上直樹と人気者金太郎の一戦。
多くの方が井上直樹を推す中、僕も当然のように井上勝利を予想していた次第である。
というか、この試合は完全に「そりゃそうなりますよね」でしたね。
予想記事で申し上げた通り、僕の思う井上の持ち味は射程の長さ。
各局面でのハイレベルさはもちろんだが、とにかく手足が長く遠い間合いで勝負できることが大きい。試合を通して自分のターンを相手に押し付けることがこの選手の強みだと思っている。
対する金太郎は距離の合う相手とはめちゃくちゃ噛み合うが、距離を潰す術はあまり持っていない印象。
この試合も井上に間合いを支配されて塩漬けにされる可能性が高いのではないかと。
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そして、井上のパフォーマンスは僕の想像以上だった。
遠い間合いから左のロー、カーフをバシバシ当てまくり、外側のポジションをキープして金太郎に力の乗った攻撃を出させない。
前手の差し合いで圧倒しつつ、タイミングよく踏み込み左を顔面に。
さらにスルスルっと正面に入って右ストレートをズドン。ときには右ハイキックをガードの外側から打ち込むなど、すべての面で金太郎を圧倒していく。
一方の金太郎は案の定距離の遠さ、リーチの違いをなかなか埋められず。
前手の差し合いで歯が立たないせいで試合の組み立てができず、やれることは同時打ちの左のカウンターのみ。
左ローを中心にジャブ、右ストレート、左ミドル、右ハイとさまざまなバリエーションを使える井上に対し、金太郎は左のカウンター1発にかける以外の方法がない。
その結果、1、2Rはほぼレッスンと言っても過言ではないほど一方的な展開に。
3Rに入るとようやく金太郎もローをもらいながら強引に踏み込んでの打ち合いに出たが、残念ながら時すでに遅し。
まあ、1Rからアレをやれというのはちょっと難しいし、金太郎が勝機を見出すには2Rに肚を決めて打ち合う必要があったのかなと。
てか、井上直樹はガチですごいっすね。
グランドが得意な渡部修斗、元谷友貴にはグランドでの一本勝ち。
打撃寄りのオールラウンダータイプの石渡伸太郎、金太郎を打撃で圧倒。
相手の土俵で力の差を見せつけつつ、自分のやるべきことを淡々と遂行する“マシーン感”は今回のトーナメントでは間違いなく頭一つ抜けている。
懸念材料があるとすれば前回申し上げた「連戦による身体の弱さ(まだ不確定)」と、打ち終わりにバランスを崩すシーンが何度かあったことくらいか。
自分の長い手足に振り回される瞬間が目につくというか。
○朝倉海vsアラン・“ヒロ”・ヤマニハ×(判定3-0)
予想:朝倉海
結果:朝倉海
ラストはこの試合。
井上直樹と並んで優勝候補に挙げられる朝倉海と、RIZINで快進撃を続けるボンサイ柔術勢の1人、アラン・“ヒロ”・ヤマニハの一戦である。
僕の予想は朝倉海の圧勝。
スタンドでの打撃で手も足も出させず朝倉が押し切るのではないかと思っていたのだが……。
実際にはそうはならず。
開始直後に側頭部に強烈な右をヒットしてグラつかせるなど、圧倒的スケールでヤマニハをねじ伏せにかかる朝倉。
ところが1R後半から徐々にカウンターを顔面にもらうシーンが目立ち始め、雲行きが怪しくなる。
2、3Rに入ると足の運びも鈍り、ロープ際でテイクダウンを許すシーンすらも。
トータルで見れば朝倉海の勝利は動かないが、内容的には明らかに期待はずれ。終了直後の朝倉の憮然とした表情がすべてを物語っていた。
試合後に朝倉が拳の負傷を明かしていたが、恐らく1Rの中盤あたりでおかしくしたのだろうと。
フルスイングで打ち下ろしていた右があっという間に出なくなったし、そこからヤマニハの左を被弾する場面が増えた印象。
もちろん早々に腹をくくって被弾覚悟の打ち合いに出たヤマニハが素晴らしかったことは言うまでもない。
ダラダラと時間を浪費して逆転の芽を潰した金太郎とは覚悟の量が違った。
予想記事で「倉本一真の前進を寸断した前手のリードがカウンターで当たれば、もしかしたら?」と申し上げたが、無理やりその状況を引っ張り出した精神力は文句なしにすごかった。
勝利した朝倉海については、1回戦の渡部修斗戦で「グランドへの対応力に疑問符がついた」と申し上げたが、今回の一戦で得意なはずのスタンドにもほころびが見られた気がする。
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まず1R後半以降の失速っぷりから、この選手が完全な前半型であることがはっきりした。
さらに2019年末のマネル・ケイプ戦と今回の試合を踏まえると、打撃系の選手に強引に攻められるとタジタジになるというのもありそう。
恐らく強フィジカルのフルスイング野郎と対峙するとペースを作れないのだと思うが、自分の間合い、自分のタイミングを崩された際の引き出しが乏しい印象である。
あとはアレか。
パンチ重視の前傾姿勢な分、右の蹴りがなかなか出ないというのも……。
この試合でも右ハイはほとんど出していないし、3Rに出した1発もめちゃくちゃ遅かった。いったん体勢を立ててから力を込めるせいで、蹴りが発動するまでにどうしても時間を食ってしまう。
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期待される井上直樹戦を考えると、この引き出しの少なさ、パンチ偏重な前半型っぷりはかなり厳しいのではないか。
オールラウンダーの井上直樹をどうやって攻略するのか……。
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