アイク・クォーティのバズーカが朴政吾を粉砕。寒気がするほどの一方的なタコ殴りに絶望した話

アイク・クォーティのバズーカが朴政吾を粉砕。寒気がするほどの一方的なタコ殴りに絶望した話

バズーカイメージ
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新型コロナウイルス感染拡大により世界中でスポーツイベントが中止・延期を強いられる中、ボクシング興行も各地で見送られている。
 
日本、アメリカ、英国その他。比較的ボクシングが盛んな国でのイベントが軒並み中止・延期となり、世界戦を含む勢力争い? は完全にストップ状態となっている。
 
仕方ないので僕も先日から暇つぶしにレジェンドの試合を漁って楽しんでいる次第である。
 
ここまで「マイク・タイソン」「ジュリアン・ジャクソン」と、いわゆる“リアルタイムでは観てないけど、試合がおもしろいと思う選手”を取り上げてきたが、今回はその第3弾「アイク・クォーティ」である。
 
「マイク・タイソンおすすめ4試合。ボクシングを観ない人に魅力を伝えるにはタイソンの試合を見せておけばいい」
 
高速のジャブと破壊力抜群の右を持ち味とし、異名は“バズーカ”。もっとも有名なのが1999年2月に米・ネバダ州で行われたWBC世界ウェルター級タイトルマッチ、オスカー・デラホーヤとの一戦となっている。
 
だが今回はその試合ではなく、1995年3月に米・ニュージャージー州で行われたWBA同級タイトルマッチ、vs朴政吾戦について。
これも個人的にかなり印象に残っている試合なので、適当に感想を言っていこうと思う。
 

クォーティvs朴政吾。クォーティの勝ち方が凄まじい。“バズーカ”は相手のメンタルを破壊する

1995年3月に米・ニュージャージー州で行われたWBA世界ウェルター級タイトルマッチ。
結果は王者クォーティが4RTKOで勝利し2度目の防衛を果たしたわけだが、その勝ち方がとにかくとんでもない。
 
東洋太平洋ウェルター級王座を9度防衛し、アジアを代表する強打者として満を辞して世界戦に挑んだ朴政吾。だが、クォーティの豪腕の前にほぼ何もできずに4RTKO負け。
前に出続けて再三ラッシュを浴びせる朴だが、何度アタックしてもクォーティのガードを崩せず。度重なるジャブの被弾で顔がパンパンに腫れ上がり、見かねたレフェリーが試合をストップするという。
 
 
相手を豪快に吹っ飛ばすマイク・タイソンや、パンチを受けた相手が空中で気絶するジュリアン・ジャクソン。
彼らのKOは観ている側も「うぉ〜!!」と盛り上がる派手さがあるのだが、アイク・クォーティのそれはちょっと質が違う。
 
「ジュリアン・ジャクソン←アホみたいなパンチ力で対戦相手を全員アミール・カーンにする男。攻撃にパラメータを振り切ったグラスジョー」
 
あまりの威力に相手は戦意を喪失し、息も絶え絶えの状態でギブアップを宣言する。WBA王座戴冠から5度目の防衛戦まで、ノンタイトル戦を含めて7連続TKOで終わらせていることからも、クォーティの“バズーカ”がメンタルを崩壊させるものであることは明白である。
 
 
また、完膚なきまでに叩きのめされた朴の姿に、当時多くの方が「アジアとの差はここまで大きいのか」と愕然としたと聞く。
 
ただ、改めて振り返るとこれは“アジアとの差”というより“クォーティとの差”と呼んだ方がいい。
申し上げたようにクォーティは初防衛戦で5RTKO、3度目の防衛戦で4RTKO、4度目の防衛戦で3RTKOと、朴戦を含めていずれも似たようなラウンドでの防衛に成功している。
 
日本人をはじめとするアジア系の人間は人種間の差を理由にする傾向が強い(当時は特に?)が、このクォーティvs朴戦に関してはまったく別。単純にアイク・クォーティが別次元だったという話だと思う。
 

インファイトに差があり過ぎた。クォーティは要所でしか手を出していないのに、朴の顔だけが崩壊していく

実際の試合を観た感想だが、両者のインファイトに差があり過ぎたなと。
 
朴政吾は基本ファイタータイプで、近場での打ち合いを得意とする。
ガードはやや甘いが、持ち前の身体の強さと馬力を活かして前進を続け、被弾を気にせず自分の間合いまで近づく。そして相手にロープを背負わせた状態から、ローブローも気にせずラフな連打を浴びせるスタイル。
イメージ的には2階級制覇王者畑山隆則と少し似ている気がする。
 
当然、この試合でも開始直後からグイグイ圧力をかけていくわけだが……。
 
序盤から積極的に前に出る朴だが、クォーティの鉄球のようなジャブを浴びて出足が鈍る。
それでも肘を使いつつ強引に前進を続けるものの、ロープ際での連打はまったく機能せず。クォーティの鉄壁のガードに阻まれ逆にカウンターを被弾して押し返されてしまう。
 
アイク・クォーティという選手は高速のジャブ、強烈な右、鉄壁のガードが最大の持ち味だが、実はカウンターのタイミングも抜群のものがある。上述のデラホーヤ戦でも、6Rに素晴らしいタイミングでダウンを奪っている。
 
この試合も「左ジャブだけで朴を半殺しにした」と評されている(僕もそう思っていた)が、よくよく観直すと決してそれだけではない。
 
むしろ、はっきりとダメージを与えていたのはインファイトでのカウンター。
グイグイ前進して腕を振る朴に対し、わずかなスペースでも威力を失わないクォーティのカウンターは冗談抜きで次元が違った。
 
前に出る馬力、躊躇なくフルスイングする思い切りのよさなど。
ディフェンス面の甘さはあるが、朴政吾は文句なしの実力者である。日本で行われた佐藤仁徳との一戦でも、1発の破壊力と効かせた瞬間に畳み掛けるラッシュには目を見張るものがあった。
 
だが、朴の甘いガードを的確に突き抜けるジャブに加え、近場でのカウンターはマジで異次元。前に出て手を出し続ける朴の顔が一方的に腫れ上がっていく光景は寒気がするほどである。
 
鷹村守vsデビッド・イーグルって要するにデラホーヤvsチャベスだよな。デラホーヤの初戦の最強っぷりと再戦での主人公感
 

4Rのストップは仕方ない。むしろ朴はダウンを拒否し続けただけがんばったと言っていい

結果的には4Rの途中でレフェリーがストップを宣告したわけだが、これはまあ仕方ない。
あれだけ打たれっぱなしではどうにもならないし、この先何が起きるとも思えない。他の挑戦者があっさりと倒れる中、最後までダウンを拒否し続けた朴政吾のがんばりがすごかったまで言っていいと思う。
 
アイク・クォーティvs朴政吾。
改めて戦慄が走るような絶望感漂う一戦だった。
 
繰り返しになるが、この試合で見せつけられたのは“アジアと世界の差”ではなく“アイク・クォーティとの差”。アジア人の身体能力がボクシングをやる上で劣っているのではなく、単純にクォーティがすご過ぎた。
 
「オスカー・デラホーヤvsアイク・クォーティ。観ないと人生損する名試合。スーパースターのベストバウト」
 
ちなみにだが、1999年のオスカー・デラホーヤ戦以降、クォーティは次戦でフェルナンド・バルガスの持つS・ウェルター級王座に挑戦するものの、12R判定で敗れている。
その後もS・ウェルター級、ミドル級と階級を上げ、最終的にはバーノン・フォレスト、ロナルド・ライトという強豪選手に連敗したところでキャリアを終えた。
 
特に2000年4月のフェルナンド・バルガス戦では、バルガスのパワーに自慢のガードが耐えきれずに片目が塞がるなど、階級の壁にモロにぶつかっていた印象。
クォーティはガードとジャブが生命線の選手なので、フィジカル差がそのまま戦力差に直結した典型的な例なのかなと。
 
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