ジェフ・ホーン圧勝!! パッキャオ議員に力技で勝利し人生の厳しさを教える!! 作戦勝ちかな。フィジカル面も差があったよな【結果・感想】

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オーストラリア街並み
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2017年7月2日、オーストラリア・ブリスベンで行われたWBO世界ウェルター級タイトルマッチ。
同級王者で6階級制覇のマニー・パッキャオが、ランキング1位の挑戦者ジェフ・ホーンと対戦。3-0(117-111、115-113、115-113)の判定で敗れる波乱が起きた。
 
序盤から積極的に前に出るホーンに対し、パッキャオは的確にパンチを当てて反撃。
再三両者の頭がぶつかり、パッキャオが出血する荒れ模様の試合となったが、体格差を活かして前に出続けるホーンはペースを渡さない。
 
パンチの正確性とヒット数で上回ったパッキャオが辛くも逃げ切ったかと思われたが、判定はまさかのホーン勝利。5万5000人の大観衆の前でジャイアント・キリングを果たした。
 
「ジャーマル・チャーロさんミドル級初戦キター!! セバスチャン・ヘイランド戦予想。ミドル級でもパワフルな剛腕は健在か」
 
試合後、敗れたパッキャオはホーンとの再戦について言及。まだまだ闘志が衰えていないことをアピールした。
 
「絶望の帝里木下。アンカハスに手も足も出ずにKO負け。完敗でしたね。ぐうの音も出ないほどの一方的な試合」
 

ジェフ・ホーン脅威のアップセット!! 英雄パッキャオに大金星を挙げる!! いや、おもしろい試合だった

ホーン勝利!!
パッキャオまさかの陥落!!

 
かねてより「興味が沸かない」と申し上げ、事前に挑戦者の映像すらチェックしなかった今回。十中八九パッキャオの勝利だと思っていたこともあり、この結果にはかなり驚いている。
 
また、試合自体がかなりおもしろかったのも、僕の中では嬉しい誤算だった。
アンダーに出場したジェルウィン・アンカハスが、期待通りの内容で帝里木下をボコってくれたのもよかった。いろいろと雑音はあるようだが、何だかんだで僕自身は満足している。
 
「打倒井上尚弥筆頭アンカハスが帝里木下を迎えての防衛戦!! マックジョーに勝利した長身王者が今回もサウスポー対決に挑む」
 

ジェフ・ホーンのパッキャオ封じが目いっぱい機能した試合。体格差を活かしたホーンの作戦勝ちかな

今回の試合、僕の率直な感想としては「ジェフ・ホーンがよかった」
 
「石田匠がヤファイに勝利する方法を考える。って、7万人?! ゴメン、意味わからんww ボクシングやる規模じゃねえわww」
 
さすがに圧勝は言い過ぎかもしれないが、それでも試合のペースを終始握っていたのはホーン。パンチのヒット数などのスタッツ云々はともかく、ホーンは事前の作戦通りに戦い、そして見事に勝利した試合だった。
 
 
とりあえず、今回ホーン陣営が用意した作戦は「とにかく左右に動くこと」だったと思う。
 
「ヒット率、ヒット数以外のスタッツのお話。リングの広さとか温度とかの表記。見えなかった自分が見えるはず【後編】」
 
左右へのステップを止めず、パッキャオに的を絞らせない。
上半身を振るだけでなく、身体全体を移動してパッキャオに踏み込みを躊躇させる。
 
「最強クロフォードがホーンに圧勝で3階級制覇。ん? 最強? いやいや、クロフォードに勝てそうなヤツが1人いるんだが」
 
開始直後は左回りを意識してパッキャオの右サイドに回り込んでいたが、2Rにリターンを返されたことであっさりと方向転換してみせた。
 
左右にステップして的を散らしながら、踏み込みのタイミングを測る。
そして左足を大きく斜めに出し、パッキャオの右足の外側に踏み込む。
パッキャオが得意の左を打てない位置から、反対側に大きく右足を踏み出す。と、同時に右ストレートを顔面に打ち込む。
そのまま身体を預けるようにロープに押し込み、自分に有利な体勢でのもみ合いに持ち込む。
 
「ウォードが再戦に完勝!! コバレフがキャリア初のKO負けでリベンジ失敗。仕方ないね。ちょっと差があり過ぎた」
 
リーチ差があるので、ジグザグに踏み込んでもホーンのパンチは届く。
パワー差があるので、強引にロープ際まで押し込める。
耐久力に差があるので、踏み込みの際にもらうカウンターも脅威ではない。
大股でジグザグに間合いを詰めるので、パッキャオは退路を断たれ、まっすぐ後退するしかなくなる。
 
リーチ差、歩幅の差、耐久力の差。
体格差、フィジカル差を最大限活かしたパッキャオ封じである。
 
「ラフファイトとか体重超過とか、別にアリだよな? というお話」
 

スタッツ的にはともかく、ペースを支配していたのはホーンかな。あの体躯で最後まで動き続けたホーンはお見事だった

そして、僕が何よりいいなと思ったのが、ホーンが終始徹底した左右へのステップ
 
あれだけの体格差があればガードを上げてグリグリいきたいところだが、それがパッキャオに通じないのはオスカー・デラホーヤやアントニオ・マルガリートの惨劇で証明されている。
激しい出入りとアングルチェンジでガードの間から細かいパンチを山ほど通され、ひるんだところに槍のような左ストレート。
 
パッキャオ相手に「じっくりプレッシャーをかけて押し潰す」作戦が愚作であることは、ホーン陣営はよくわかっていたのだろう。
ガードはあまり意識せず、フットワーク重視のリラックスした構えが見事にハマった感じである。
 
もちろん、ここ数戦のパッキャオのディフェンシブなスタイルを見て、左ストレートへの警戒を緩めてもいいという判断が働いたのだとは思うが。
 
「三浦隆司vsベルチェルト予想。やることは一つ。ボンバーレフトを叩き込む。以上。ベルチェルトは相当厳しいけどガンガレ」
 
見ようによっては持久走だが、それでも試合を決したのはフィジカルの差。パッキャオの膨大な経験値と知性あふれるディフェンスが、ホーンのフィジカルに押し潰された。それがこの試合の結末だったのではないだろうか。
 
てか、ホーンさんマジでデカかったからね。
背中の分厚さとかヤバかったし、あの大きい身体でパッキャオ相手に12R動ききったのは普通にナイスファイトでしょ。
 

パッキャオの衰えが顕著な試合だった。これが今のパッキャオのフルパワーか……。ディフェンス重視のスタイルチェンジは致し方なしだね

ただ、言われているようにパッキャオの衰えというのは間違いなくあったと思う。
9Rに渾身のラッシュでホーンをダウン寸前まで追い詰めてみせたが、正直あのパッキャオは観るに耐えなかった
 
「サダム・アリがコットに勝利!! よっしゃあぁぁボケェエ…! 終わる気満々のヤツに負けんなって思ったけど、ホントにヨカタw」
 
積極的に前に出て腕を振るのだが、ちっとも足がついてこない。
自分の拳に身体が振り回され、打ち終わりに大きく身体が流れる。
顔面を意識するあまり、ボディへの攻撃がほとんど出ない。
 
ホーンの突進に体力を削られたとはいえ、あそこまで足が動かないパッキャオは前代未聞だったのではないだろうか。
 
「パッキャオ圧勝w ブローナーをまったく問題にせず。おかしいだろコイツ。議員との二刀流のルーティーンを掴んだっぽい」
 
なるほど。
あれが攻撃に舵を切った際のMAXパワーか。
これは厳しいな。
 
「ロマゴンの手詰まり感ぱねえっす…。シーサケットのカウンターで大の字KO負け。PFP No.1の伝説に終止符?」
 
あのラウンド、恐らく相手がファン・マヌエル・マルケスであればほぼ間違いなくカウンターでKOされているはず。あのシーンだけを切り取れば、今のパッキャオは全盛期の2/3くらいのパワーしか残っていないのかもしれない(衰えというより調整不足か)。
 
また、これまでのパッキャオであれば、ホーンがサイドに回り込んだ瞬間にすばやく方向転換して反撃の体勢に入れていた。
つまり、下半身のバネが衰えたおかげでストップ&ゴーが効かない。そのため、あまり自分から動き過ぎるとモロに隙を作ってしまう。
 
「感動しちゃったよシーサケットvsエストラーダ。引き出しの多いエストラーダをシーサケットがテーブルごとひっくり返した」
 
確かにディフェンス重視にシフトチェンジせざるを得ないのもわかる気がする。まあ、もちろんその分、駆け引きや踏み込みのタイミングの巧さは増しているのだが。
 
「マクレガーvsメイウェザー戦を推す3つの理由。真剣勝負じゃない? 茶番? 税金対策? まあ、ええやんそんな話は」
 

やっぱりパッキャオの試合はおもしろい。再戦? いいじゃん、大歓迎ですよ

微妙な判定で敗北を喫したパッキャオだが、試合後のインタビューを聞く限り、まだ引退する気はないようである。
 
次戦はジェフ・ホーンとの再戦になるのか、それともテレンス・クロフォードvsジュリアス・インドンゴ戦後のクロフォードやキース・サーマン、エロール・スペンスなどのビッグマッチに進むのか。
 
できればビッグマッチ路線を歩んでもらいたいが、実はジェフ・ホーン戦でも構わないと思っている。
今回も「興味ない」と言いながらも、実際に観たらおもしろかった。なので、たとえどんな相手でも、僕はパッキャオの試合を観るんだろうなという気がしている。
 
何より、あの会場の熱気のヤバさね。
英国もそうだが、ああいいうノリはラグビーが盛んな国に共通するのだろうか。上空からの映像はどん引きするくらい壮観だった。
 
「パッキャオがマティセを寄せ付けずに9年ぶりKO勝利。僕たちの英雄は世界一強い大統領(予定)。最高にカッチョいいだろ?」
 
恐らく再戦となればあの熱気も再現されるだろうし、期待のアンカハス戦もねじ込まれる気がする。ファン的にジェフ・ホーンVol.2は最悪の流れかもしれないが、個人的には全然アリである。
 
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