マービン・エクスエルドって5Rトーナメントで優勝したマービンか! 尾川堅一とここまでやれるのはさすが。やっぱり短いラウンドの選手だよな【結果・感想】

マービン・エクスエルドって5Rトーナメントで優勝したマービンか! 尾川堅一とここまでやれるのはさすが。やっぱり短いラウンドの選手だよな【結果・感想】

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2023年9月2日に東京・後楽園ホールで行われたS・フェザー級10回戦。元IBF同級世界王者尾川堅一がフィリピン同級9位マービン・エクスエルドと対戦、3-0(99-91、99-91、98-92)の判定で勝利した試合である。
 
 
今年4月にタイのクライ・セッタポンに5RTKO勝利を挙げて再起を果たした尾川堅一。
 
世界再挑戦へのアピール第二弾として迎えた今回。フィリピンのマービン・エクスエルドを相手に序盤から左リード、得意の右ストレートをヒットするも、ディフェンシブなマービンをなかなか捉えられない。
 
頭から突っ込んでくるマービンのバッティングで出血するなど、決定打を奪えず試合は膠着気味に。
 
さらに終盤2Rは完全に守勢に回ったマービンを追いきれず。明確なポイント勝ちを収めたものの、世界戦へのアピールにはやや物足りない内容となった。


 
与那覇勇気vs辻永遠、尾川堅一vsアラン・アルベルカ。与那覇勇気お疲れさまです。「俺は甘くないよ」には心底痺れた。尾川堅一は早くチャンスがくるといいね
 

マービンって5Rトーナメントで優勝したマービンじゃねえか!! あれから1試合しかしてないんだな

尾川堅一vsマービン・エクスエルド。
 
例によってリアルタイム視聴はしておらず、ようやく見逃し配信での視聴を終えたところである。
 
 
まず対戦相手のマービン・エクスエルドだが、この選手が2019~2020年にかけて開催された「DANGAN232 内山高志presents KNOCKOUT DYNAMITE賞金マッチトーナメント」の優勝者だったことに気づいた。


あの大会は「5R制、KOラウンドごとに賞金が変わる」という珍しい試みがなされていた。
 
中でも引き分けになりにくい&適度に短い奇数ラウンドというのはかなり新鮮。これが浸透すれば結構おもしろくなるのでは? と思った記憶がある。
 
そして、その大会を制したマービン・エクスエルドは文句なしにいい選手。
もしかしたら5Rのラスボス的存在になるかも? とすら思ったのだが……。
 
ところが5R制は思ったほど浸透せず。
さらに新型コロナウイルスの影響でボクシング興行そのものがストップし、マービンの音沙汰もなくなってしまった。
 
で、今回久しぶりに日本のリングに登場したわけだが、あれから約3年半でマービンがこなしたのはわずか1試合のみ。5R制大会の時点で24歳だったことを考えると、この選手もコロナにキャリアを振り回されたと言えそうである。
 
寺地拳四朗vsヘッキー・ブドラー。ブドラーは結構キツいんじゃないの? 拳四朗にとってはKO勝利がノルマ。相当な何かがない限り勝利は固いと思うけど
 

22:00過ぎ終わりのグダグダイベント。ボクシング興行の悪いところが全部詰まった日

また、この日のイベント終了時間は22:00過ぎとのこと。
当日はメイン前に観客がだいぶ減り、尾川vsマービン戦の終盤にさらにゴソっと帰ったとか。
 
・ラウンド数が多くグダりやすい
・終了時間が読みにくい
・興味のない選手同士の試合は苦行
 
いわゆるボクシング興行の悪いところが全部詰まった日というヤツ。
 
ボクシング興行の欠点を解消するべくスタートした5R制大会の優勝者が、その数年後にボクシングのよくない部分をモロに体現したイベントのメインを務める。
 
クソほど皮肉な話である笑
 
ゲッソリで低調な中谷潤人、打たれ過ぎのオラスクアガ、メインの拳四朗は…。実は微妙な試合が多かった。マグラモ、コルテスはがんばった
 

マービンはやっぱりいい選手。開始直後に「お、こいついいぞ!!」ってなったよね

試合についてだが、マービンは相変わらずいい選手だった。
 
上述の通り開始のゴングが鳴ってすぐに尾川の前にいるのがあのマービン・エクスエルドだと気づいたのだが、それがなくてもパッと見で「お、こいつはいいな」と。
 
腕を低く下げた構えに柔軟な上半身、鋭いジャブとタイミングのいいストレートを持ち合わせる。
 
打ったら動くを繰り返しつつ尾川堅一の右ストレートを上体反らしで避ける。
 
時おり被弾もするが、あの右にどうにかカウンターを合わせようとしているのは伝わってきた。
5、6Rまでは普通に期待が持てる内容だったと思う。
 
ラスト2Rは消極的な姿勢が目立ったものの、尾川堅一相手にあそこまでできれば十分強豪の部類。改めてコロナによるブランクが悔やまれる。
 
まあ、ここ最近のフィリピン勢の雑な扱いを考えると、たとえブランクがなくてもカラッカラになるまで使い倒されていたかもしれないが。
 
大沢宏晋→下町俊貴→堤駿斗→藤田健児の順でぶつけられるジョー・サンティシマなんてその典型ですからね。
 
下町俊貴がジョー・サンティシマを危なげなく完封。危なかったのは接近戦に巻き込まれた5Rだけかな
 

やっぱり5Rの選手だったマービン。集中力が続くのは7Rまで笑

と同時に、やはりマービンは5R向けの選手だった笑
 
終盤のあのグダグダ感を踏まえると、この選手の集中力が続くのは概ね6、7Rまで。短いラウンドを全力で駆け抜ける方が向いているように思える。
 
キャリアを振り返っても全11KOのうち5RまでのKOが10。
この選手のメインイベント(長いラウンド)抜擢は一番やってはダメと言っていい笑
 
そのマービンを22:00オーバーのイベントのメインに持ってきたのだから、これはもはや興行主の責任でしかない(違)。
 
つまり、マービンは何も悪くないのである。
元世界王者相手にあれだけがんばったことを考えるとこの日のMVPとすら言えるかもしれない。
 
現地観戦は全力で拒否するけどww
 
ダニエル・デュボアはいい選手だった。打倒ウシクのネタは持ってた気がする。ウシクは早い段階でのローブローアピールでレフェリーを味方につけたな
 

尾川堅一もよかったよね。前回のセッタポン、今回のマービンに連勝は文句なしにすごい。現地観戦はご勘弁だけど笑

勝利した尾川堅一だが、こちらもなかなかよかった(と思う)。
 
申し上げたようにマービン・エクスエルドは文句なしにいい選手。日本の上位ランカーでも苦戦させられる実力者なのではないか。
 
その相手に明確な判定勝利を挙げたのはさすがである。
 
現地観戦はご勘弁だけど笑
 
 
ちなみに前回のクライ・セッタポンもかなり手強い相手だった(と思う)。
 
那須川天心公開スパーリングと尾川堅一の復帰戦。どちらもよかったんじゃない? 尾川は僕の知る限り過去一の出来かな
 
セッタポンもマービンも一部ではカマセ呼ばわりされていたが、とんでもない。楽をしようと思えばできるところをあえて強い相手を連れてきた陣営、それに答えた尾川堅一、双方ともに素晴らしい(と思う)。
 
現地観戦はご勘弁だけど笑
 
 
なお尾川堅一本人は「追い方がよくなかった」「もう少し打ち合ってくれれば」とコメントしていたが、実際マービンが100%守りに回ったのはラスト2Rのみ。その前まではちゃんと勝つ意思を見せていた(と思う)。
 
踏み込みスピードとストレート系で勝負する尾川にとって、あれだけウネウネ動く相手を捉えるのは難しかった(と思う)。
 
 
そんな感じで、久しぶりのマービン・エクスエルドを含めてなかなか楽しめた次第である。
 
現地観戦はご勘弁だけど笑
 
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