村中優惜しい!! ヤファイを追い詰めるが、最後の最後で失速。敵地で絶好のパフォーマンスは次につながるんでねえか?【結果・感想】

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バーミンガムイメージ
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2017年5月13日(日本時間14日)に英・バーミンガムで、WBA世界S・フライ級タイトルマッチが行われ、同級王者カリド・ヤファイがランキング10位村中優を12R判定で敗り、初防衛に成功した。
 
敵地英国に乗り込み、人気者王者ヤファイに挑んだ日本の村中。
だが、スピードと手数で勝る王者に及ばず3-0(118-108、118-108、119-107)の判定負けを喫した。
 
「こっそり名試合ウォーリントンvsキコ・マルチネス!! 村中vsヤファイの裏で2017年最高試合出たか?」
 
懸命に前に出て打ち合い、試合後半には王者のローブローを誘うなど健闘を見せたが、王者のスピードについていけず。2Rのダウンをはじめ劣勢を強いられ、結果は3-0の大差判定負け。終始試合を支配され続け、敵地の王者を前に散った試合である。
 
なお、初防衛に成功したヤファイは今後、2度目の防衛戦をクリアしたあとに他団体王者との統一戦に進む意向とのこと。
 
「海外挑戦にはインパクトのあるきっかけが必要なのかね? NHK BS1「あの負けで私は強くなった「ボクシング・長谷川穂積」」」
 

ヤファイvs村中優いい試合だった!! ミーハーな僕はスルーする予定でしたが、完全にやられました

ヤファイ完勝。
日本からの刺客、村中優に大差判定勝利で初防衛に成功。
 
日本の村中が敵地英国で初の世界戦に挑戦するということで話題になったこの試合。
そして、僕が本来スルーしようと思っていた試合でもある。
 
理由は単純に「地味だから」。
5月20、21日に行われる世界戦ラッシュに比べると話題性が乏しかったため、ミーハーな僕としては「別にいいかな」と思っていた。
 
「リカルド・ロドリゲスっていい選手だと思う。井上尚弥の苦手なタイプかも? 米国からのオファーがあるってホントかね」
 
だがちょろっと眺めてみたところ、予想以上にいい試合だった。おかげで、結局最後まで釘付けになってしまった次第である。
 
いや、村中惜しかった。
すげえおもしろい試合だった。
 
「ジョシュアがクリチコを粉砕!! 圧倒されながらも逆転勝利。怪物元王者を沈めたジョシュア」
 

村中はめちゃくちゃいい選手。そして、ヤファイはどうってことない。ナジーム・ハメド? またまたご冗談をw

まず僕はこの村中優を観たのが初めてだったのだが、めちゃくちゃいい選手ですね
前評判では「村中ではヤファイには歯が立たないだろ」と言われていたので、あまり期待していなかったのだが。
 
「村田vsエンダム感想。疑惑の判定負け? 素人がプロに口出すな。やったことがないヤツが語るな」
 
2014年にスコット・クイッグに挑んだ大竹秀典もよかったが、今回の村中はそれ以上だったのではないだろうか。
 
聞くところによると、この選手は計量失敗での資格停止処分の経験があるとか。
そのせいで悪い方にバイアスがかかっているのでは? と思うほど、この日のパフォーマンスはすばらしかった。
 
「ゲイリー・ラッセルvsエスカンドンが楽しみすぐる。両方めちゃくちゃいい選手ですよねこれ?」
 
そして王者のヤファイ。
以前も申し上げたが、僕はこの選手がそこまでいいとは思わない
スピードもあり、パンチも速い。手数も出る。リング上を縦横無尽に動き回る姿を見ると、身体能力はかなり高いのだと思う。
 
だが、実際の試合を観てもいまいちテンションが上がらず。
「ナジーム・ハメドの系譜を継ぐ元オリンピアン」という触れ込みにもあまりピンときていない。
 
そして、今回の試合でもそのイメージは特に変わっていない。
 
「石田匠がヤファイに勝利する方法を考える。って、7万人?! ゴメン、意味わからんww ボクシングやる規模じゃねえわww」
 
挑戦者村中優が思った以上にすばらしかったこと。
王者ヤファイが実はどうってことないこと。
この2つの要素がうまく相まって、今回のおもしろい試合が生まれた。僕の中での結論はそんな感じである。
 
「見どころ満載の拳四朗vsガニガン・ロペス。思った以上におもしろかった試合」
 

最初はヤファイのスピードに面食らったが、3R以降は自分の形で相手を追い詰めた村中。この選手が今まで国内専門だったのが不思議です

試合の流れとしては、ガードを上げて前に出る村中と、足を使ってスピードで勝負するヤファイという構図。ほぼ戦前の予想通り(?)の展開である。
 
そして「ヤファイが試合を支配した」と言うが、実際に支配していたのは村中の方ではないかと思う(いや、支配は言い過ぎか?)。
 
「ヤファイが無難に石田匠に勝利。うん、石田全然間違ってない。アレで正解だしアレしかない。やっぱりヤファイに勝てるのはアイツだろ」
 
とりあえず村中の「ガードを上げて距離を詰め、至近距離での打ち合いに巻き込む」という作戦は完璧だった。
 
序盤2Rまではヤファイのスピードに面食らった感があるが、3R以降はしっかりと相手を見据え、うまくコーナーに誘い出していた。
 
「さっそくトラメイン・ウィリアムズがウィリアム・ゴンサレスと10回戦だって。あと、ドウェイン・ビーモンってのがいいかもね」
 
相手の攻撃をガードで受けつつ前進し、左右に動くヤファイの進行方向に先回りする。
小さく前後にステップしながら微妙にアングルを変え、正面を外さないように意識しながら間合いを詰める。
徐々に半径を小さくしてコーナーに追い詰め、至近距離でのボディ攻撃につなげる。
 
普段の村中のスタイルをよく知らないが、フットワークの安定感のなさというヤファイの弱点をうまく突いた作戦だったと思う。
前回のコンセプション戦も大いに参考にしたのだろう。
 
「フランプトンvsサンタクルス再戦感想。ハイレベル? なの? よくわからなかったな。2-1でフランプトンがキャリア初黒星」
 
正直、あそこまでできる選手がなぜ今まで出てこなかったのか。
戦績を見ると、31歳の現在まで国内王者の域を出ない選手だったようで、ちょっと意外である。もう少し早く世界戦の舞台が用意されてもよかった気がするが。適切なサポートがあれば、すでに国内での世界戦が組まれてもおかしくはなかったように思える。
 
「井岡一翔の倒し方? ノクノイ戦の感想を含め井岡に勝てそうな選手を考える」
 

まあ、勝ったのはヤファイですよ。あれだけ序盤からもらえばダメージも溜まるしね

申し上げたように、今回の試合の村中はがんばった。敵地であれほどのパフォーマンスを見せたのはすごいのひと言である。
 
だが、それでも勝利したのは文句なしにヤファイである。
村中は確かにすばらしかったが、世界戦で勝つには一歩足りなかった感が強い。
 
まず「作戦は完璧だった」「ヤファイの弱点をうまく突いていた」と申し上げたが、それでも最後の一押しが足りなかったことも確かである。
 
「木村翔はワシが育てたww ゾウ・シミンにアウェーでジャイアント・キリング!! 大観衆の前で中国の英雄にTKO勝利」
 
8R以降、動きの落ちたヤファイが身体を密着させての打ち合いに切り替えたシーン。
あそこでもう一段ギアが上がらなかったのは痛かった。
 
階級アップの影響か、もともとのパンチ力のせいか、あそこでもう少し馬力を見せられれば展開が大きく動いた可能性は高い。ヤファイと一緒に失速してしまったのは本当に残念だった。
 
「ベルチェルト勝っちゃったw バルガスを流血ストップで王座奪還!! バルガスはプロ初黒星」
 
序盤から無防備にボディをもらったことも影響していたか。ここぞの場面でサイドに回り込まれ、体力を使って前に出た分をチャラにされてしまった。
もう少しジャブが使えればとも思ったが、その辺は過去の試合を観ていないのでよくわからない。
 
「日本一恵まれた男、河野公平がレックス・ツォーに敗れる。中国の英雄に打撃戦の末に負傷敗戦。惜しい! 勝てる試合だったな」
 

勝負どころで力を残していたヤファイと、その過程で使い切っていた村中の差か。惜しかったけど、これが世界王者の底力でしょうか

むしろ、あの局面で接近戦に活路を見出したヤファイが一枚上手だったと言うべきか。
 
恐らくだが、あそこでヤファイが接近戦に切り替えたのは、自身の足が動かなくなったからだけではない。村中の失速も強く感じていたのだと思う。
 
基本的にヤファイという選手は、動き回りながら細かい連打で前進を止めるスタイルを得意としている。
ところが、その割には足運びに安定感がない。そのため、今回のようにあっさりとコーナーを背負わされるシーンが目立つ。フェザー級王者のオスカル・バルデスとも共通する部分である。
 
「大沢ラスベガスに散る。オスカル・バルデスに7RTKO負け。実力差を承知で海外のリングに上がるのは本当に「すばらしい」のか?」
 
ただ、両腕のフルスイングで相手に脅威を感じさせるバルデスに対し、ヤファイの連打にはそこまでの怖さがない。パンチの強弱もなく、ある程度もらっても問題ないと判断されてグイグイ前に出てこられてしまう。
 
おかげで村中にも前回のコンセプションにもさっさと距離を詰められ、コーナーでのもみ合いに持ち込まれる。この選手の試合がやたらとクリンチが多いのはそのせいでもある。
 
 
とはいえ、今回に関してはさすがに食い過ぎだ。
序盤からガードの間を山ほど通され、ポイントをごっそり持っていかれた。
 
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村中としてはポイントは関係ない、後半勝負を考えていたとは思うが、あれだけ食えばダメージは溜まる。勝負どころで力が残っていなかったのもやむなしである。
 
そして、それを見破り逆に勝負を賭けたヤファイの巧さ。
 
前傾姿勢で村中に体重を預け、無理やりスペースを作ってパンチを打ち込む。
ヤファイの体重を正面から支える村中はそのつど身体を起こされ、強引に後退させられてしまう。強制的に奥足体重に持ち込まれ、のけぞったまま打つパンチにはまったく威力がない。
そして、打ち終わりにバランスを崩し、アゴが上がった瞬間をカウンターで狙われる。
 
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お互いに勝負どころはわかっていたが、そこに至る過程に大きな差があった。
健闘はしたが、勝利は遠かった。
単純な個体能力差はもちろん、これが世界王者の底力というヤツかもしれない。
 
一つだけ言えるのは、断じて村中のメンタルが弱かったなどということはない。勝利への気持ちは十分見せたが、世界王者には及ばなかった。今回は純粋にヤファイの方が一枚上だっただけで、気持ち云々に敗因を求めるのは安易過ぎるし、ちょっとズレている。
 
 
まあ、でもアレですわ。
マジでいい試合でしたわ。
 
先日の久保隼vsセルメニョ戦もそうだが、あまり期待せずに観た試合がいい試合だとテンション上がりますね。久保隼同様、村中優選手にもがんばってもらいたいと思っております。
 
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