映画「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」感想。30年の歴史が完結。予想以上におもしろくていい意味で驚いた。クレアは何であんなにおもしろいの?
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映画「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」を観た。
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「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」(2022年)
メイジー・ロックウッドの手で恐竜たちが解き放たれてから4年。今では世界中のいたるところに恐竜が住み着き、地球は文字通りの「ジュラシック・ワールド」と化している。
そんな中、オーウェンとクレアはメイジーを引き取り山小屋でひっそりと暮らしながら恐竜の保護活動に精を出していた。
そして、出自が特殊なメイジーを極力他の人間と会わせないように努めているのであった。
ところが思春期に差し掛かったメイジーは彼らの拘束を疎ましく感じている。
言いつけを破ってこっそり家を抜け出しては、外出して人里に降りる行為を繰り返す。
ある日、オーウェンとクレアの小言に反発して自転車で家を飛び出したメイジー。
だが、橋を渡ろうとした彼女の前に1人の女が立ちふさがる。ただならぬ空気を感じ取ったメイジーが振り返ると、背後からも追っ手が……。
メイジーがさらわれたことを知ったオーウェンはクレアとともに密猟者を追いかけるのだが……。
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- 1. 「ジュラシック」シリーズ完結編。ラストならそりゃ映画館でしょ
- 2. 5点満点中4.5点。大きな期待をしていなかった分、予想外のおもしろさにテンションが上がった笑
- 3. 2つの物語が同時進行、中盤で合流してチームとなる流れは初代「ジュラシック・パーク」と同じ
- 4. バイオシン社のCEOが明らかにApple社の代表な件。視聴者側のツボを適度に理解したやり方はさすがだよね
- 5. ミステリー要素のかさ上げ。恐竜が当たり前に存在する世界でどこを“パーク”にするかが最大の課題
- 6. 闇市場を取り入れることで恐竜の立ち位置を“あっち側”に。市街地でのカーチェイス? はナイスアイディアだった
- 7. クレアはなぜあんなにおもしろいのか。緊迫感満載のシーンなのに表情、口調で笑いがこみ上げる
- 8. 147分はちょっと長すぎたよね。ラストの恐竜三つ巴バトルをもう少し前倒ししてスッキリさせたかった
- 9. 主人公チームが全員いいヤツ。混乱を引き起こすウザキャラがパニックムービーの基本なのに笑
「ジュラシック」シリーズ完結編。ラストならそりゃ映画館でしょ
「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」。
1990年の「ジュラシック・パーク」から始まり「ジュラシック・ワールド」シリーズとなって以降は3作目となる今作。
「ジュラシック・ワールド」(2015年)、「ジュラシック・ワールド/炎の王国」(2019年)に続く三部作の第3作目、シリーズの完結編として2022年7月29日に公開された作品である。
僕も今シリーズは「パーク」時代からすべて観ており、今作がラストとのことでぜひとも映画館で観たいと思っていた。で、先日時間ができたので足を運んできた次第である。
「ジュラシック・パーク」は壮大な人間観察を記した資料映像だった? 主要人物が全員イラつくってすごくないっすか?
5点満点中4.5点。大きな期待をしていなかった分、予想外のおもしろさにテンションが上がった笑
率直な感想としては、かなりおもしろかった。
個人的評価は5点満点中4.5点。上映時間が147分と長いことがマイナスポイントだが、内容には概ね満足している。
ちなみに僕の中では「ジュラシック・ワールド」(2015年)は5点満点中2.5点、「ジュラシック・ワールド/炎の王国」(2019年)は実はそここそ気に入っていて5点満点中3.5点くらい。
ぶっ飛んでおもしろくはないが、潤沢な資金と「ジュラシック」ブランドによってとりあえずの及第点は超えてくる。
安定感と安心感のあるシリーズという印象である。
なので、今作に関してもそこまで大きな期待はしていなかったのが正直なところ。
それをいい意味で裏切られたというか、割と早い段階から「参ったな、おもしれえじゃん笑」と思いながら観ていたことを報告させていただく。
なお一応言っておくと、今回は吹き替え版ではなく字幕版を選択している。
オーウェン役の玉木宏の吹き替えはそこそこお気に入りだったのだが、そのことをすっかり忘れていたので笑
ジュラシック・ワールド。玉木宏が元カノ(ちょっと歳のいった)とヨリを戻すお話。遺伝子操作の狂科学が生み出した殺戮マシーン
2つの物語が同時進行、中盤で合流してチームとなる流れは初代「ジュラシック・パーク」と同じ
今作はさらわれたメイジーとベータ(ブルーの子)を取り戻すために密猟者を追うオーウェンとクレア、マルタ島で出会ったケイラの3人の物語、巨大イナゴの発生原因を突き止めるためにバイオシン社を訪れるエリーとアラン、社内で合流するイアン・マルコムの3人の物語がパラレルで進む。
そして、逃げ出したメイジーをエリーとアランが保護、不時着したオーウェン、クレア、ケイラ隊と出会う。
2つの物語が同時進行し、中盤に合体して一個小隊を形成する。で、クライマックスへGO!!
この流れは第1作目の「ジュラシック・パーク」と同様のもので、過去キャラクターの再登板、散りばめられた名シーンのオマージュを含めて新旧ファンを盛大に喜ばせてやろうという制作側の意図? 下心? がうかがえる。
バイオシン社のCEOが明らかにApple社の代表な件。視聴者側のツボを適度に理解したやり方はさすがだよね
また敵役として登場したバイオシン社のCEOルイス・ドジスンのモデルは明らかにApple社代表のあの人。
過去にも「絶対スティーブ・ジョブズにインスパイアされただろ」というキャラはちょくちょく出てきたが、今作のルイス・ドジスンも一目でそれとわかる。
やはり先鋭的で狂信的な理想を掲げる人間を描く際には使いやすい人たちなのだろうと。
もちろんゴミクズのような最期を遂げるのもこれまで通り。
ムカつく奴ほど無残かつクソな殺され方をするのは「ジュラシック」シリーズの定番だが、今作でもそれは変わらず。
わかりやすく神経を逆なでするキャラのラスボスを登場させ、過去作のオマージュとともに退場してもらう。
視聴者のツボを適度に理解したやり口はさすがである笑
映画「ジュラシック・ワールド/炎の王国」が予想外におもしろかった件。スケールが小さいだって? それがいいんじゃねえかww
ミステリー要素のかさ上げ。恐竜が当たり前に存在する世界でどこを“パーク”にするかが最大の課題
また今作はミステリー要素というか、“暗躍する悪”の要素が過去作に比べてかさ上げされていた。
申し上げたように「ジュラシック・ワールド」はその名の通り恐竜と人間が同時代を生きる世界線。
恐竜の存在が日常化し、当然視聴者もそれに慣れっこになっている。
なので、初期作のように恐竜が目の前を闊歩するだけでインパクトを残すなどはまずあり得ない。
それを前提に恐竜が人間を襲うお決まりの展開に持ち込むわけだが、「ワールド」以降はそこのさじ加減が結構難しい。
特に前作「炎の王国」では後半以降、完全に密室事件に終始した。「これはジュラシックシリーズではない」と散々な言われようだったことを覚えているが、確かにあのスケールの小ささではそう評価されても仕方ない(僕は割と好きだけど)。
要するにどこを“パーク”にするか、どうやってパニック展開に持ち込むかが「ワールド」以降の最大の課題。
日常の中に恐竜が存在する世界線でいかに恐竜を“あっち側”に立たせるか。2015年の「ジュラシック・ワールド」で動物園ネタを使ってしまった中でどれだけ新鮮さを出せるか。
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闇市場を取り入れることで恐竜の立ち位置を“あっち側”に。市街地でのカーチェイス? はナイスアイディアだった
そして、それに対する答えがミステリー要素のかさ上げだったのだと思う。
現在、地球上では人間と恐竜がともに生きているが、うまく共存しているとは言い難い。
野生化した恐竜は動物よりも危険度が高く人間社会での被害は後を絶たない。どう共存すべきかの結論は出ていない状況が続く。
また依然として恐竜が貴重な存在であることに変わりなく、闇市場での密売も横行している。
オーウェン、クレアは道中で闇市場での運び屋稼業で生計を立てるケイラと出会うわけだが、ここの部分での恐竜の扱いは本当に上手かった。
申し上げたように恐竜の存在には賛否両論あり、決して人間社会に受け入れられているとは言えない。
その一方で愛玩動物? や研究対象としての価値は高く、今では暇な金持ちだけではなく裏組織の資金源にもなっている。
この微妙な立ち位置によって恐竜の存在を“あっち側”に追いやり、街中に解き放つことでパニックのきっかけを作る。
オーウェンとクレアが街中で恐竜とカーチェイス? するシーンなんて、まるで「トランスポーター」(2002年)とか「ボーン・アイデンティティー」(2002年)みたいでしたからね。
トランスポーターは本当にステイサムの映画なのか? スー・チーさんを売り出すための壮大な計画の一つだったんじゃないの?
あのスピード感を出すにはティラノサウルスでは不可能。
そこはやはりシリーズ屈指のレギュラー、ラプトルさんの出番である笑
ミステリー要素を増やすことで市街地を「パーク」化させるアイディアはなかなかよかったのではないか。
クレアはなぜあんなにおもしろいのか。緊迫感満載のシーンなのに表情、口調で笑いがこみ上げる
表題の通りなのだが、クレアはなぜあんなにおもしろいのか。
最初はジュラシック・ワールドの元管理責任者として登場した彼女だが、野心家でウザい性格のせいでパークを混乱に陥れる原因を作ってしまう。
要するに「ワールド」以降での火付け役担当なのだが、その一方で元恋人(当時)のオーウェンを褒められると「ふふん」と得意げな表情を見せたりと要所でコメディリリーフ的な役割もこなす。
今作では火付け役でもなければコメディ要素もないのだが、なぜかおもしろい笑
墜落寸前の飛行機で一台しかない脱出ポッドを誰が使うか? となった際、オーウェンに「クレア、君が行くんだ」と言われて「ホワッツ!!」と驚いたり、ほふく前進でピロラプトルから逃れたり。
迫真の演技には違いないのに、意味不明におもしろいのがたまらない笑
緊迫感満載なシーンなはずが、水に沈んでいくクレアの姿に笑いがこみ上げてくる笑
まったく詳しくないのだが、クレア役のブライス・ダラス・ハワードはそっち方面が得意なのだろうか。
ナチュラルにあのおもしろさが出せるなら絶対にコメディにも手を出した方がいい(と思う)し、狙ってやっているとしたらすごい才能である。
絶対根アカでしょコイツ。
びっくりするくらい太ってることも含めてすべてがおもしろい笑
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147分はちょっと長すぎたよね。ラストの恐竜三つ巴バトルをもう少し前倒ししてスッキリさせたかった
不満な部分を挙げるとすれば、やはり長すぎたことだろうか。
全編147分、前半の市街地パートと中盤のバイオシン社内のパート、後半の脱出パートとざっくり3つに分かれている今作だが、正直最後は間延びしていた。
ヘリで脱出する直前の恐竜三つ巴合戦は確かに迫力満点なのだが、できればもう少し早い段階でやっていれば。
それこそルイス・ドジスンがゴミのようにポイ捨てされる直前、ティラノサウルスvsギガノトサウルスVol.1の部分に持ってくればよかったのではないか。
尺的にもあそこで終わるのが一番スッキリしたし、そこから先はやや蛇足感があった。
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主人公チームが全員いいヤツ。混乱を引き起こすウザキャラがパニックムービーの基本なのに笑
あとは主人公チームが全員いいヤツだったのも……。
パニックムービーはパーティの中に混乱を引き起こすウザキャラがいるのが基本。
申し上げたように2015年の「ジュラシック・ワールド」ではクレアがその役割を担い、初代「ジュラシック・パーク」では好奇心旺盛なガキ2人が混乱の原因を作っていた。
だが、今作における主人公チームは全員聞き分けがよく最初からめちゃくちゃ協力的という。
安心感と安定感はずば抜けていたが、バラバラだったパーティが徐々に団結していく爽快感、強い結びつきによる達成感については少々物足りなかった。
まあ、レジェンド(と呼ばれる)メンバーにそんな役回りを押し付けるわけにはいかなかったのだとは思うが。
いまいち立ち位置がはっきりしなかったラムジーにでもそれをやらせればよかったんじゃないの? という気もするけどね。
それでも完結編としてあの終わり方は申し分ないし、「ジュラシック」シリーズの持ち味である壮大さも取り戻した。
上述の通り大きな期待をしていなかった分、想像以上の出来のよさにいい意味で驚かされている。
あ、そういえばオーウェンちょっと老けたよね。
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