井岡一翔「自分にとってメリットを感じる戦いではありません」。田中恒成「ノンタイトル戦は何度挟んでもいい」。テンション違い過ぎてゾッとするわw
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下記の2冊を購入した。
「ボクシングマガジン8月号」
「BOXING BEAT 5月号」
理由は井岡一翔のインタビューを読むため。
田中恒成との年内防衛戦が期待される井岡一翔の心境を少しでも知れればと思い、購入してみた次第である。
あとはまあ、内山高志との対談もあったしね。
実はボクシング専門誌の月刊通常号を購入するのはめちゃくちゃ久しぶりで、恐らく5、6年ぶり以上くらい。はっきり言って95%以上興味のない記事ばかりなのだが、井岡一翔の生の声はどうしても聞いてみたかったので。
井岡一翔vs田中恒成戦にあまり乗れない。理由は井岡側にリスクが大き過ぎるから
以前から何度か申し上げているが、僕は井岡一翔vs田中恒成戦の実現にあまり乗っていない。
理由は戦力の拮抗具合に比べて井岡側の背負うリスクがあまりに大き過ぎるから。
→田中恒成が王座返上&階級アップ。井岡一翔とのビッグマッチ実現か。まあ井岡にリスクがデカすぎるよな
→井岡一翔vs田中恒成合意!? やっぱりやっちゃうのか…。予想は田中だけど応援は井岡。経緯があんまり好きじゃないから
現在31歳の井岡に対し、田中恒成は先日25歳になったばかり。
ここからどんどん身体も大きくなるし、たとえこの試合で負けてもやり直す時間は十分残されている。
一方、井岡は身内のゴタゴタもあって一度引退し、フィジカルトレーニングによるビルドアップを経て復帰。決して適正階級とは言えないS・フライ級で苦労しながらようやく2019年6月に戴冠を果たした経緯がある。
復帰以降は常に「あと何試合できるか分からない」「海外の強い選手とのビッグマッチを実現したい」とコメントするなど、1戦1戦に悲壮な決意を持って臨んでいることがわかる。
25歳で現在無冠、上り調子の田中に対し、苦労の末にようやく4階級制覇を果たし、キャリアの集大成に差し掛かっている31歳の井岡。
どちらにとっておいしい試合かは考えるまでもない。
また、井岡のビッグマッチ路線が簡単にはいかないことは明らかで、田中陣営がそれを見越した上で外堀を埋めていっている感じもビンビン伝わってくる。交渉ごとなので悪いとは言わないが、あまり好きじゃないというのが本音である。
もちろん田中側にリスクがないなどとはひと言も言っていない。
先日、井上尚弥の従兄弟・井上浩樹が日本タイトル防衛戦で敗北した翌日に引退を表明したが、ボクシングにおける1敗がただの1敗にならないのもその通りなのだと思う。
【ご報告】
本日、会長に自分の意思を伝え引退する事になりました。
応援してくださった方々、本当にありがとうございました。
二度と後悔をしないよう、第2の人生歩んでいきます。— 井上浩樹 koki inoue (@krmr_511) July 17, 2020
外野が「田中はまだ若い。いくらでもやり直せる」といくら言っても、本人や周りの人間にとっては簡単に言うなという話である。
ただ、それでも田中恒成が背負うリスクが井岡一翔と同等とはとてもじゃないが思えない。
そして、そこに至るまでの経緯(まだ決定じゃないけど)がどうにもこうにも好きになれないと申し上げている。
ちなみに井上浩樹に関してはあまり興味がなく、引退すると聞いても「そうなんだ、お疲れさまでした」の感想しかない。
強いて言うなら、地上波放送のO.A.を終えてから発表した方がよかったんじゃないの? くらいか。
放送前に答え合わせが全部終わっちゃっとるやんけ。みたいな。
井岡一翔vs田中恒成。井岡の重ねてきたものの重さが桁違い。ホントに勝ってよかった。黙して語らぬ視聴率大正義時代の最後の生き残り
井岡の田中戦に向けたテンションのあまりの低さにゾッとした。無理やり意味を見出そうとしてるんだろうな
そして、上記の2冊で井岡のインタビューを読んだところ、田中戦へのあまりのテンションの低さにゾッとしてしまった。
以下は「ボクシングマガジン8月号」からの引用になる。
「ほんとうのところ、スーパーフライ級がベストなのかどうかはわかりません。フライ級でとくに減量が厳しかったわけでもありませんし」
「自分にとってメリットを感じる戦いではありません」
「興味はなくても、次に行くために必要ならやるしかないでしょう」
「世界のファンは、もうベルトをめぐって戦うことが最大の興味ではないと感じています。ベルトは関係ない」
現在のS・フライ級が適正階級とは言えないが、ベルトは関係なく強い相手と戦うためにここにいる。
はっきり言って田中恒成との試合は興味がない。メリットも感じない。ただ、次に行くために必要ならやらざるを得ない。
思った通りというか、各コメントからこの試合に乗り気でないのがクソほど伝わってくる。
メリットはまったくない。だが、指名戦としての義務ならやります。あくまで次への繋ぎとして。
本人的に“リスク”という言葉を使いたくないのは十分理解できるし、キツい割に実入りの少ない仕事をしたくないのは誰でも同じ。ここまで積み上げてきたものをすべて失う危険性を考えれば、田中との対戦に前向きになれないのは当然である。
「BOXING BEAT 5月号」からは下記。
「チャンスがあることがやりがいです。それはもう一戦一戦、どこで終わるか分からんまま行く感じです」
今の自分にはあまり時間が残されていない。ここから先はすべての試合が勝負。意味のある試合“のみ”をやっていきたい。
つまり、田中との一戦を“次へのステップ”と捉えることにより、無理やり意味を見出そうとしているのだろうと。
田中恒成のやる気満々っぷりww そりゃあホントにおいしい試合だもんな
井岡のテンションの低さに「おいおいマジか」と思い、大急ぎで田中恒成のインタビューを漁ってみたところ、あまりのやる気満々っぷりと余裕な感じにさらに唖然とさせられている。
「今これを聞いておきたい1 田中恒成インタビュー 井岡一翔戦見据え「全然違う自分が出せそう」」
上記記事の引用が以下。
「(S・フライ級でのノンタイトル戦は)俺の希望だったし、できることなら何度挟んでもいいと思っています。そもそもS・フライ級に関しては先を急ぐ焦りがないので」
さらに田中の地元「中日スポーツ」のインタビューでは、
井岡は「高3で鼻血出てやられた」相手…4階級制覇に挑む田中恒成「まず戦いたい。5年くらいはSフライで」
「自分自身にとっても適正階級。5年くらいはスーパーフライでやるかもしれない」
「決め付けたくない部分もあるけど、ひとつ間違いなく言えるのは今がピークじゃない。階級の壁を感じるとは到底、思えない」
「井岡選手も30歳。ボクシング人生、最後の勝負をかけてる印象。このチャンスを逃したら次があるか分からない」
「機は熟したというか、統一王者になるのが一番難しい階級だと思うので、一番やりがいがある」
・ノンタイトル戦は何度挟んでもいい
・先を急ぐ焦りはない
・自分自身にとっても適正階級
・5年くらいはやるかもしれない
・今がピークじゃない
・階級の壁を感じるとは思えない
この違いである。
あくまで今の自分は発展途上で、ピークはまだまだ先にある。
「S・フライ級が適正階級ではない」「ここからの1戦1戦すべてが勝負」と確固たる決意を語る井岡に対し、田中のコメントは端々から余裕を感じさせる。
さらに「統一王者になるのが一番難しい階級」と、この階級での目標を4団体統一と公言する姿勢もあまりに正反対。
「ベルトをめぐって戦うことは関係ない。強い相手とやることが最大の目標」と語る井岡との立ち位置の違い、メンタルの違いは明白過ぎるくらい明白である。
「このチャンスを逃したら次はないかも?」と言っているように、本人的にも井岡が身動きがとれない状態なのをわかってやっているのだろうと。
一応言っておくと、この試合が成功しないなどと言うつもりはまったくない。
井岡一翔vs八重樫東戦や田中恒成vs木村翔戦のようにのちのち語り草になるほどの大試合になる可能性は十分あるし、中長期的に見れば両者にメリットが生まれるかもしれない。
言っているのはあくまで半年後、1年後を考えた際の話。
S・フライ級で5年やってもいいとのことだが、今から5年経っても田中が井岡の現在の年齢に追いつかないことがすべての答えな気がするが……。
不調の井上浩樹が負けたんじゃなくて絶好調の永田大士が王者を攻略したんだろ。覚悟を決めて試合に臨んだ永田大士に感動
実績が下の相手とやる方がしんどい。井岡は田中がS・フライ級に慣れる前に試合をしたい。無観客でもいいから少しでも早く
いや、そうなんだよな。
RIZINファイターの朝倉未来も
「格闘家からしたら強いやつとやる方が楽」
「実績で勝ってる相手とやるのが一番緊張する」
と言っていたが、マジでそんな感じ。
実績も年齢も立場も上の井岡一翔が今の田中恒成と対戦するメリットは少ない。
しかも、実績だけでなく実力的にもかなり拮抗しているので、負けてすべてを失うリスクはそれだけ大きくなる。
なので、井岡にとってはやるならなるべく早く実現した方がいい。
田中が「ノンタイトル戦を何度挟んでもいい」と言っていたのなら、1試合も挟ませずに。S・フライ級に少しでも慣れないうちに、無観客でも何でもいいから大急ぎで叩きたい。
田中の調整試合が飛んだのは井岡にとっては多少有利になるかもな。
前回のスケールアップした田中のパフォーマンスを見せられると、無観客でもいいからなるべく早めに試合を決めて成長する余裕を与えないようにしたい。 https://t.co/1t2Atabn8D
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) May 27, 2020
正直、この話をするのはもうやめようと思っていたのだが、最初に申し上げたように両者のあまりのテンションの違いにゾッとしてしまったので。
それこそ井岡のテンションの低さは2015年時点の内山高志にも匹敵する。
「次戦はニコラス・ウォータースか? ハビエル・フォルトゥナか? 海外進出か?」と言われていたのが「大田区総合体育館でジェスレル・コラレス!!」と発表され、「何でやねん!!」となったときのアレ。
会見で「モチベーションが下がった」とコメントした際の内山の表情は本当に何とも言えないものがあった。
内山高志は僕が心底カッチョいいと思った選手。中間距離でかなうヤツは誰もいないんじゃない? ウォータース戦は実現してほしかったよね
まあでも、実際に正式決定すれば井岡もしっかり仕上げてくるとは思うが。
内山高志vsジェスレル・コラレス戦、堀口恭司vs朝倉海戦の際にも言われていたが、アップセットが起きると必ず「モチベーションの低さによって負けた」といった説が流れるが、それはないと断言できる。
あのレベルの選手がモチベーションやメンタルどうこうでコンディショニングを崩すわけがないし、試合が決まればそれに向けてしっかり調整するに決まっている。
仮に田中が井岡を圧倒したとしても、それは井岡側のモチベーションの問題ではなく田中の戦略、実力が勝っていただけの話。
モチベーションやらメンタルやらに勝因、敗因を求めるのは、年間数試合しかできないうちの1試合に向けて膨大な準備と研究を重ねた選手に対してあまりに失礼である。
武尊「メリットがあって決めたんなら人の名前を出すな」。1つのコミッションが統括しているボクシング界はまだ健全なのかな
メリット、デメリットの話で言えば、団体を抜ける、抜けない、どこの大会に出る、出ないが議論になるのはやっぱり違うと思う。
元K-1ファイターの皇治がRIZIN参戦発表会見の席で「武尊vs那須川天心戦」に言及した際、K-1に残る選択をした武尊が「自分がメリットがあって決めたんなら人の名前を出すな」と物申していたが、個人的にああいう大人の事情的なものを見せられると毎回ウンザリする。
自分がメリットあるから決めた道なんだから都合よく人の名前使うなよ。
本当にその為に頑張ってきた人達からしたからお前は全く関係ない。
周りからの見え方とか考えてないで
自分がやりたいことがあるなら
自分の名前でやれよ。— 武尊 takeru (@takerusegawa) July 18, 2020
いや、そういうことじゃねえんだよな。
「どっちが悪い」「誰が本当の黒幕」とか、外野での争いを毎回見せられるけど、いいかげん何とかならんかね。
「武尊は那須川戦実現のために努力しているが、那須川側が何かをやっているとは思えない」
これ、いつも聞こえてくるんですが、前にも言ったけど実現のために動くのって選手の仕事か?
こういうくだらない内情が見え隠れするたびに僕のテンションはダダ下がりである。
と同時に、曲がりなりにも1つのコミッションが統括しているボクシング界はまだ健全なのかなぁという気もする。
ボクシングジムのプロ加盟金が必要だと思う理由と、参入障壁をさらに高くしてもいいと思う理由
フリーランスの選手の試合を協会が邪魔したり、選手の移籍をジム側が妨害したりとクソしょーもない話も聞こえてくるが、少なくとも「田中恒成との試合は井岡一翔にメリットがあるか」というレベルで会話ができるのは全然マシ。
「ボクシングマガジン8月号」のインタビューでもわかるように、業界の危機に有力選手が一つの媒体に集結するのはそれだけ足並みが揃っていることの証左でもある。
そういう意味でも、安易に「不満があるなら自分でコミッションを立ち上げればいい」「プロ加盟金はなくすべき」などと言うのはあまりに暴論だよなと思うわけで。
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