映画「アイアムアヒーロー」の進撃の巨人感w 説明不足が却ってミステリアスな恐怖を生む。不条理のゾンビ大量破裂に身悶えやがれ【感想】

映画「アイアムアヒーロー」の進撃の巨人感w 説明不足が却ってミステリアスな恐怖を生む。不条理のゾンビ大量破裂に身悶えやがれ【感想】

ゾンビイメージ
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映画「アイアムアヒーロー」を観た。
 
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「アイアムアヒーロー」(2016年)
 
有名漫画家のアシスタントとして働く鈴木英雄は、35歳になっても漫画で生計を立てる夢をあきらめきれずにいる。
作品を持ち込んでは相手にされず、門前払いされるうだつの上がらない毎日。
 
同棲する恋人黒川徹子は、そんな将来の見えない英雄との生活にウンザリしていた。
 
 
ある夜、英雄が鑑の前で趣味の散弾銃を構えていると、目を覚ました徹子がひと言。
「銃、売れば?」
 
そして、
「英雄君のは夢じゃなくて妄想。もう無理!!」と、英雄を銃ごとアパートから追い出してしまう。
 
 
公園で一晩を明かした英雄は、翌日徹子からの電話を受ける。
「私、やっぱり英雄君といたい」
 
とつとつと謝罪の言葉を述べる徹子。
ところが、どこか様子がおかしい。
 
心配になった英雄は大急ぎで自宅に戻り、ドアを開けてくれるように徹子に電話をかける。
だが、部屋からの返事はない。
 
郵便受けから中をのぞくと、そこにはベッドで横たわる徹子の姿が。
 
英雄の呼びかけに、のっそりと徹子が起き上がる。
 
次の瞬間、徹子の身体が激しく痙攣を始め……。
 
 
「ビッグコミックスピリッツ」で2009~2017年まで連載された漫画「アイアムアヒーロー」を実写化したパニック・ホラー映画である。
 
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ずっと観たいと思っていた「アイアムアヒーロー」。期待通りのおもしろさ、期待通りの恐怖。評判通りの映画でした!!

大泉洋、有村架純、長澤まさみが出演し、2016年の公開当初からすこぶる評判のよかった映画「アイアムアヒーロー」。
僕自身も噂は耳にしていて、いつか観たいと思っていた次第である。
 
 
そして先日、ようやく視聴を完了したので、その感想を。
 
実を言うと、僕はこの作品の原作を読んだことはない。
ただ、映画のレビューをざっと読む限り、うまい具合に原作を踏襲したのだろうという印象を受けた。
 
「日本のゾンビ映画でもここまでできる」
「グロテスクな演出が最高」
「主演の大泉洋がよかった」
など、概ね好意的な意見ばかりが目についた。
 
多少の改変や省略はあっても、原作の雰囲気を壊さず実写化に成功したということか。
 
で、僕個人の感想だが、はっきり言って「めちゃくちゃよかった」
いや、たまらんですねこれは。
 
かなり評判がよかったせいで自分の中でのハードルも上がっていたのだが、それをさらに飛び越える出来のよさ。
ラスボスの陸上選手ゾンビではないが、まさしく予想の上をいくおもしろさだった。
 
「「ルサンチマン」を知っているか? 花沢健吾のデビュー作にして最高傑作。陰キャラぼっちの居場所は仮想現実世界(アンリアル)のみ」
 

「ZQN」(ゾキュン)の描写がすげえ。適度にグロテスクでちょっと切ない「進撃の巨人」。片瀬那奈のアレはマジでトラウマ

この映画の見どころは、何と言っても「ZQN」(ゾキュン)と呼ばれるゾンビたちの描写。
 
謎のウィルスに犯されたZQN(ゾンビ)は無差別に他の人間を襲い、噛み付くことでウィルスを感染させる。
ZQNに噛みつかれた人間はしだいに目が充血し、理性を失いやがて完全なゾンビとなる。
 
「「ボーイズ・オン・ザ・ラン」を映画化してはダメだった理由。ドラマ版は最高だったのに、なんでこうなった?」
 
ショッピングモールの屋上を「地上7mのセイフティゾーン」と呼び、身を寄せる非感染者たち。
彼らの眼下では、広場を自由に徘徊する大量のZQNの姿が。
 
買い物カゴを下げて歩くZQN。
バス停でバスを待つZQN。
走り高跳びのジャンプを繰り返すZQN。
 
人間だった頃の習慣に従い、慣れ親しんだ行動を無限にループし続ける。
この光景に背筋が寒くなるとともに、一種の哀愁すらをも感じる不思議。
 
そして、ZQN第1号の片瀬那奈の恐ろしさと言ったら……。
 
初見で「ああ、コイツは捨て駒やな」というのはわかったのだが、それにしても……。
 
マジな話、痙攣しながらエビ反りで迫ってくる姿はトラウマレベルでヤヴァイww
片瀬那奈さん、アンタの関節どうなってんのよと。
 
表題の通りなのだが、どことなく「進撃の巨人」を連想してしまった。
 
「映画「キングダム」感想。山崎賢人が超カッコいいw 長澤まさみの背筋ピーンと大沢たかおのキャラが気になってめっちゃ原作を読みたくなる」
 
まあ、実写映画「進撃の巨人」はあまりの評判の悪さにちっとも観る気が起きないのだが。

 

設定に関する説明はほとんどなし。なぜ襲われているのか、ウィルスがどこからやってきたのかは最後までわからず

また、設定に対する説明がほとんどなかったことが、逆に恐怖を増幅する効果を生んでいた気がする。
 
高評価の多いレビューの中で、
「なぜゾンビになるのかわからない」
「説明不足過ぎる」
といった意見もポツポツと見られた。
 
・謎のウィルスとはなんぞや?
・ZQNになった人間が元に戻る方法はあるの?
・てか、何で有村架純はハーフのゾンビみたいになってんの?
 
「「コンフィデンスマンJP ロマンス編」感想。長澤まさみがキッツい。上手いか下手かは知らんが、とにかくキッツい」
 
うん、確かにおっしゃる通り。
 
ZQN周りに関する説明はほぼ皆無で、どうして大泉洋たちが襲われているか、なぜ世界はウィルスにやられているかについてはまったくわからない。
 
もしかしたら原作を読めばわかるのかもしれないが、少なくとも予備知識なしに映画を観た僕にとっては完全に意味不明だった。
 

肝心要の部分の説明を省くことで想像を掻き立て、観る者の恐怖を増幅させる。意味不明な唐突感がクセになるよね


ただ、そこがいい
 
これまた表題の通りなのだが、作中の説明の少なさが却ってミステリアスさを生み、こちらの恐怖を煽る効果をもたらしていた気がする。
 
「キングコング:髑髏島の巨神が最高におもしろかった3つの理由。出し惜しみなく、アグレッシブにヘリを打ち落とせ」
 
・恋人が突然珍獣化し、
・職場が血みどろの殺戮現場と化し、
・街は人を襲うゾンビで溢れかえり、
・行きずりの女子高生もゾンビ化する
・でも、なぜか半分だけ正気を保ち、
・何度も主人公のピンチを救ってくれる
・しかも、頭に矢が刺さってもピンピンしている
 
こういった現象が、何の説明もなく次々に起きる不条理、唐突感。
2時間枠に収めるために削った部分が逆に想像を掻き立て、恐怖となってまとわりつく。
 
原作を映像化する際にはどうしても設定の取捨選択を強いられるわけだが、必要な部分をあえて削ることでパニック・ホラー映画としてのクオリティを高めた感じ。
 
計算づくなのか、たまたまなのかは不明だが、僕の中では本当に印象的だった。
 
「アニメ「どろろ」がクッソ暗くてしんどいんだがw よくこんなのをアニメ化したよな。中二病丸出しの主題歌と絶望ともの悲しさと」
 
あとはまあ、大泉洋と有村架純が「標高の高い場所では感染しない」という怪情報をもとに富士山を目指すヤツ。
何となくだが、父のいるアラスカを目指した「パーフェクト・ワールド」のブッチを思わせてくれた。
 
「ないとわかっているものを追いかける」切ないロードムービー。
そんな感じも悪くない。
 
ちなみにだが、ZQNとのラストバトルを無傷で切り抜けた長澤まさみの都合のよさだけは、ちょっとだけ違和感が残ったかなww
 
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