ヘビー級のビッグマン無双を打破するには? ワイルダー、ジョシュアの2強を打倒するてっとり早い方法を考える。新階級設立? いや、どうなの? それは
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「NumberWeb」に下記の記事が掲載された。
力士の体重は50年で30kg増えた。土俵を広くする、という選択肢は?#numberweb #相撲; #大相撲 #sumo https://t.co/E1iY8jKVw7
— Number編集部 (@numberweb) 2018年1月17日
進む力士の大型化。
この50年で、幕内力士の平均体重は約33kgも増加している(平均身長は約3.3cm増)。
それに伴い、寄り切りや押し出しなどパワー重視の決まり手が50%を超え、小兵力士を持ち上げる吊り出し、上手を掴んでの投げ技、外掛けや内掛けなどの足技は激減。
身体の大きな力士が力でねじ伏せる技が主流となり、相撲の単純化、単調化が顕著とのこと。
久しぶりに登場した業師タイプの宇良も負傷がちで、いわゆる「小が大を制する」相撲の魅力が薄れてきているという。
「まんまだったなウシクvsガシエフ。無策のガシエフが12R空転させられ大差判定負け。WBSS優勝のウシクはヘビー級?」
それを解消する方法として、土俵を一回り広くするのはどうか? 土俵が広くなれば自由に動けるスペースができ、業師の活躍する余裕も生まれるのではないか?
といった内容の記事である。
盛り上がるヘビー級戦線。でも、個人的にあまりテンションが上がっていない
上述の方は野球関係のコラムを多く書かれている方で、僕も野球ファンなのでたまに目にすることもある。
今回は相撲についてのコラムだが、「なるほど」と思わせてくれる内容だった。
そして、実を言うと僕も似たようなことを考えていて、選手の大型化に伴って試合会場を広くするというのは絶対的にアリだと思っている。
と言っても、競技は相撲ではなくボクシング。それもヘビー級に限っての話。
ヘビー級のリングを一回り広くすれば、今よりも混沌としておもしろくなるのではないか? という超個人的な意見である。
「ルイスがジョシュアに勝利! 動けるデブが動ける2mに勝利! 19年ぶりの何してくれてんねん案件やな」
数日前に発表されたデオンテイ・ワイルダーvsルイス・オルティスのWBC世界ヘビー級タイトルマッチ(3月3日)。
そして、アンソニー・ジョシュアvsジョセフ・パーカーの世界ヘビー級3団体王座統一戦(3月31日)。
現在、ヘビー級は群雄割拠の様相を呈しており、この4強が雌雄を決することが強く望まれている。
3月に行われるタイトルマッチ2試合はその準決勝。それぞれの勝者がヘビー級最強を賭けて、決勝戦を戦うことが既定路線と言われている。
期待した試合が時期を逃さずに決まる。
これこそがファンの望むマッチメークで、そういう意味でも今回のヘビー級戦線の活発さは概ね歓迎されている(禁止薬物の陽性反応が出たオルティスがしれっと復帰していることを除けば)。
ただ僕個人としては、現在のヘビー級の動向にはあまりテンションが上がっていない。
理由はまあ、お察しの通り。
ボクシングのヘビー級が「デカい方が勝つ」競技になっているから。
技術やスピード面で上回っても、2m級の選手には歯が立たない。
リーチと上背こそ大正義。その他の部分が多少稚拙でも、身体の大きさですべて帳消しにされてしまう。
これが、僕がいまいちテンションが上がってこない一番の理由である。
「ヘビー級王座に届きそうな位置につける京太郎を応援しない意味がわからない」
「日本人が重量級で通用しないと誰が決めた?」
などと喚いておいてアレなのだが。
「京太郎を応援する理由? そんなもん「ヘビー級だから」でいいだろw 2018年の世界戦実現なるか」
体重制限の中で自分の最適解を見つけるのもボクシングの醍醐味。でも、ヘビー級はそれを超越した階級
筋肉をつければパワーは増すが、同時に体重も増加する。
上背やリーチがある選手はそれを活かしたいが、身体が大きい分減量の幅も大きくなる。
「魔境タイソン・フューリーの帰還。強豪セファー・セフェリとの2年半ぶりの復帰戦。最強ヘビー級のクソ野郎がここにいるぞw」
体重制限のある中、もっとも動きやすく自分の特徴を発揮できる場所を探す。
これがボクシングを含む、階級制の競技における醍醐味の一つである。
だが、その枠組みの中から唯一外れているのがヘビー級。
体重の上限がなく、200ポンド(約90.72kg)以上であれば誰でもリングに立てる。
極端な話、182cm、92kgの選手と206cm、120kgの選手でも試合が成立する。
身長差24cm、体重差28kgの組み合わせなど、普通に考えればあり得ない。
軽量級では2kg違えば階級が2階級変わるというのに、ヘビー級では20kgの体重差があっても「問題なし」と判断されてしまう。
身体が大きく、そこそこ動ける選手が打ち下ろしているだけで無双できてしまうのが今のヘビー級
そして、これがまさに今のヘビー級(正確には2000年代前半から)で起きている現象そのものでもある。
デオンテイ・ワイルダー:身長201cm、リーチ211cm、体重103kg
アンソニー・ジョシュア:身長198cm、リーチ208cm、体重113kg
「野獣ワイルダーがオルティスを豪快KO!! やべえ、おもしろかったww オルティスは勝たなきゃダメな試合だったな」
これに対し、
ジョセフ・パーカー:身長193cm、リーチ193cm、体重112kg
ルイス・オルティス:身長193cm、リーチ213cm、体重109kg
「巌流島楽しすぎワロタw 舞浜アンフィシアター最高だった。チェ・ホンマンブチ切れご帰宅。ビッグマンには合わないルールだよな」
また、先日ジョシュアに敗れたカルロス・タカムは身長187cm、リーチ204cm、体重107kg。ワイルダーに敗れたバーメイン・スティバーンは身長188cm、体重112kg、リーチ203cm。
ワイルダーとジョシュアの体格が際立って大きいことがわかる。
加えて2017年4月にジョシュアに敗れて引退したウラジミール・クリチコも身長198cm、リーチ206cm、体重109kg。
ワイルダー、ジョシュアと同等の体格で、誇張でも何でもなく奥足重心の後傾姿勢からの打ち下ろしのみで10年間ヘビー級王者を守り続けた選手である。
つまり、クリチコは身体が大きくそこそこ動ける選手が上から鉄槌を落としていれば、10年間無双できてしまうことを身をもって証明してしまった。
さらに、そのクリチコを負かしたのが身長206cm、リーチ216cm、体重117kgのタイソン・フューリー。
身体が大きく動けるクリチコに勝ったのは、さらに身体が大きくより動けるフューリーという事実。
いろいろな意味で答えが出てしまっていると言わざるを得ない。
もちろん「そこそこ動ける」というのが一番のミソで、デカいだけでは話にならない。
ドミニク・ブリージールのようなでくの坊やヒューイ・フューリーのようなパワー不足では勝ちきることはできず、頂点はそれなりに高いことも付け加えておく。
リングを広くすれば、身体の小さな選手にもチャンスが生まれる。動けるスペースが増えて、スピードとスタミナで逃げ切れるのでは?
この「動けるビッグマンの天下」という状況を打破する方法が、最初に申し上げた「リングを広くする」ことだと思っている。
聞くところによると、ヘビー級の上にS・ヘビー級を新設する動きがあるとか。
アマチュアボクシングに合わせての措置とのことだが、個人的にはちょっと微妙な気がしている。
全17階級で、王座を認定する主要団体が4つ。世界王者と呼ばれる選手が最低でも68人も存在する中、さらに階級を増やすのはどうなの? という思いが強い。
また、仮にS・ヘビー級を新設したとしても、そこに適応できる選手がどれだけいるのか。
それこそジョシュアとワイルダー、復帰すればタイソン・フューリーあたりでグルグル回すだけ。今の一部のビッグマンが無双する状況に線引きをするだけになる気がするのだが。
それより、冒頭のコラムのようにリングを一回り広くすれば、多くの選手にチャンスが生まれるのではないか。
動くスペースが増えれば身体が小さくてもスピードでカバーできるし、上背のある選手よりもスタミナ面で有利になるかもしれない。
今の広さではビッグマンの圧力から逃げ切れなかった選手も、自身の特徴を活かして当て逃げ判定を狙いやすくなる。
「待ってましたのデボン・アレクサンダー! オルティスとのサバイバル戦が2月にあるってよ。元王者対決が地味~に楽しみ」
2017年10月にジョシュアに敗れたカルロス・タカムのように、自分のスタイルを崩して無理矢理インファイトをしなくてもよくなるのではないか。
まあ、一つの興行がすべてヘビー級ということはまずあり得ないので、階級を新設するよりも現実味は薄いのだが。
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