デビン・ヘイニーが体重超過のライアン・ガルシアに判定負け。ヘイニーの苦手意識もあったかも? 正直、ガルシアの奇行で興味をひかれたよ【結果・感想】

デビン・ヘイニーが体重超過のライアン・ガルシアに判定負け。ヘイニーの苦手意識もあったかも? 正直、ガルシアの奇行で興味をひかれたよ【結果・感想】

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2024年4月20日(日本時間21日)に米・ニューヨーク州で行われたWBC世界S・ライト級タイトルマッチ。同級王者デビン・ヘイニーに元WBCライト級暫定王者ライアン・ガルシアが挑んだ一戦は、3度のダウンを奪ったガルシアが2-0(112-112、114-110、115-109)の判定で勝利している。
 
だがガルシアは前日の計量失敗(1.5kg超過)により王座獲得はならず。試合はヘイニーが勝利したときのみ防衛となる変則ルールで挙行された。
 
ところが試合後にWBCのマウリシオ・スレイマン会長が「引き続きヘイニーが王座を保持する」とコメントするなど、王座の行方は不透明な状況となっている。
 
アルツール・ベテルビエフvsディミトリー・ビボル。金の力は偉大やでw コバレフ、グヴォジク、ベテルビエフ、ビボルのL・ヘビー級4強時代のラストファイト
 

発表時から楽しみにしていたヘイニーvsガルシア。先日の堤駿斗の件もあって不穏な空気が流れたけど…

デビン・ヘイニーvsライアン・ガルシア。
 
公式ポスターのカッコよさもあり発表時から楽しみにしていた一戦である。


ところが前日計量でライアン・ガルシアがまさかの1.5kgオーバー。しかも直後にアルコール? 炭酸? をガブ飲みするパフォーマンスで開き直るという。
 
先日、日本の堤駿斗が計量失敗を起こしたこともあって不穏な空気が流れたわけだが……。
 
トロくなったアンセルモ・モレノに体重超過の堤駿斗。堤を批判する関係者さん多数。え? でも君ら、相手によって態度変えるじゃんw
 

ガルシアが勝つなら後半勝負。リナレスvsヘイニーの強化バージョンを目指せ

まず僕の展望は下記。
 
デビン・ヘイニーvsライアン・ガルシア。アマチュア時代3勝3敗だって。ガルシアが勝つなら後半勝負かな。ホルヘ・リナレスのパターンで
 
・打ち合いたくないヘイニーと打ち合いたいガルシア
・ガルシアが追いかける展開になるのでは?
・相手が出てきたところに左カウンターを合わせるのがガルシアの勝ちパターン
・ただ、ヘイニーのジャブをしのげるかは不明
・一方、ヘイニーはダッシュ力とハンドスピードのある相手が苦手
・低いガードと見切り中心なので回避が間に合わない
・後半に失速する傾向がある
・ガルシアが勝つなら後半勝負
・中間距離で速射砲のような連打を打ち込む時間を多く作れれば
・リナレスvsヘイニーの強化版を目指せ
・勝敗予想はヘイニーの判定勝ち
 
 
ライアン・ガルシアは一足飛びで懐に入るダッシュ力と速射砲のような連打を持ち味とする。
また下がりながらの左カウンターが得意で、連打で相手を怯ませる→強引に出てきたところに左を合わせるパターンでダウンを量産している。
 
対するデビン・ヘイニーはジャブを駆使した空間支配? の選手。
いわゆる“負けにくい”タイプで、一定の距離をキープしつつ自分のパンチだけを当てて判定勝利を狙う。
 
その反面、ガードが低くディフェンスは見切り中心なため連打型の相手には脆さを見せる。
 
さらに後半失速する傾向があり、2021年5月のホルヘ・リナレス戦ではラスト3Rで猛烈な追い上げを許した。
リナレスのダッシュ力、近場での連打に回避が間に合わずに10R終盤にはダウン寸前まで追い詰められている。
 
なので、ガルシアが勝つならコレ。
 
ヘイニーの動きが落ちる後半にリナレス以上のダッシュ力と連打、パンチ力を発揮できれば逆転の芽が生まれる。
 
 
ヘイニー有利だとは思うがガルシアにもチャンスはある。
むしろヘイニーにとってライアン・ガルシアは決して得意なタイプではない。それこそ対抗王者のテオフィモ・ロペスよりもやっかいな相手ではないか。
 
 
まあでも、勝敗予想はヘイニーの判定勝利かな。
 

3度のダウンを奪ったライアン・ガルシアが勝利。7R開始直前に汗びっしょりだったヘイニーを観て…

そして、結果としてライアン・ガルシアはリナレス戦の強化バージョンをやり遂げてしまった。
 
1Rに左フックでいきなりヘイニーをグラつかせ、7Rに鋭い踏み込みからの左でダウンを奪う。
さらに10Rにはヘイニーをコーナーに追い詰め一瞬の踏み込みからの連打で2度目のダウン。11Rにもカウンター気味の左をぶち当て勝負ありの3度目のダウンをもぎ取った。
 
 
・ヘイニーは後半失速する
・ダッシュ力と連打を両立できるタイプが苦手
という特徴そのまんま。
 
7R開始直前、コーナーに立つヘイニーが汗をびっしょりかいているのを観て「相当プレッシャーがかかってるな」「そろそろ疲れが出るんじゃねえか?」と漠然と思っていたのだが、マジでそんな感じ。
 
このラウンドからペースアップしたライアン・ガルシアの左をモロに食ってしまった。
 

ジャブが出ない、フットワークが鈍いのは苦手意識によるもの?

予想外だった部分はヘイニーが追いかける展開になったことか。
 
上述の通り僕は足を使うヘイニーをガルシアが追いかける流れになると思っていた。
 
ところが実際には真逆。
ヘイニーがガードを上げて前進、ガルシアが左右に動きながら左のカウンターを狙う時間が続く。
 
試合後にヘイニーのジャブの少なさ、フットワークの鈍さを指摘する声が多く聞かれたが、これについては苦手意識が大きかったと想像する。
 
両者はアマチュア時代に6度対戦して3勝3敗。
またヘイニーにとってガルシアは相性がいいとは言えない。
 
1Rにいきなり左を効かされたのはもちろん、この試合のガルシアはことごとくジャブに左フックを合わせにきていた。
 
もともとの相性の悪さに加えて攻撃の起点となる左ジャブを狙われまくった。
これで思いっきり混乱したのだろうと。
 
前日計量での奇行の影響もあったと思うが、それ以上に出鼻を挫かれたことが大きかったのではないか。
 
ジャーメイン・オルティスはやれることを全部やった。テオフィモ・ロペスの追い足のなさを突いて塩試合に。これはもう仕方ないっすね
 

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自分からは手を出さずにジャブに左フックを合わせる。ヘイニーの疲れを確認してペースアップ

また、これに関してはライアン・ガルシアもうまかったと思う。
 
1Rに盛大に効かせてからは極力自分からは手を出さず、ひらすらヘイニーのジャブに左フックを合わせる。
このやり方ではポイントを取るのは難しいが、ヘイニーの体力を削る方法としては十分機能した。
 
前半〜中盤のポイントを捨てて体力を温存、後半以降の爆発力で勝負。
で、7Rにヘイニーの疲労を確認してからペースアップ、ダッシュ力と連打で一気に引き離してみせた。
 
前半のポイントと引き換えに自分の長所で勝負できる状況を作り出す。
ガルシア陣営のクレバーさが際立つ試合運びである。
 
 
あとはディフェンス時に腰を折る+背中を向けるアレね。
 
前回も同じ方法で回避を繰り返していたが、アレをやると相手の右を完全に“スカ”すことができる。
当のデビン・ヘイニーもワンツーの“ツー”がまったく機能せずに初弾の左のみで勝負させられていた。
 
ライアン・ガルシアvsオスカー・ドゥアルテ。接近戦でモタつく以前のガルシアに戻った? 背中を向け過ぎてドゥアルテが右をまったく使えない笑
 
正直、あのやり方はどうなのよ? と思うものの、今のところ注意も入らないので作戦として成立していると言わざるを得ない笑
 

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相変らずの体重超過。ガルシアは諦めも早かった? 前日計量での奇行で興味をひかれたよ

なお体重超過については「相変わらずやっとんな」と。
 
しかも先日の堤駿斗と違い、ライアン・ガルシアはかなり体調がよさそうだった。

どの時点で諦めたのかは不明&本当に精神面がヤバいのかも知らないが、とにかくこれを観て「ヘイニー負けるかもしれん」と思った次第である。
 
 
また普段なら「不完全なものを提供しやがって」と憤るところ、今回はガルシアの奇行によって逆に興味がわいてしまった
 
コイツ、とんでもないことになってんな。
本当に試合する気かよ。
こんな状態でリングに上がったらどうなるの?
 
実際、僕と同じことを思った人はいるのではないか。
 
 
以前から申し上げているように僕は「ボクシングはそういうもん」だと思っている。
 
息をするように体重超過が発生→条件付きマッチが頻発。
当たり前のように禁止薬物陽性者が出る。
いちいちイライラしていたらキリがないので“それありき”で観ることに決めた。


だが、上記を踏まえた上で。
今回のライアン・ガルシアには単純に興味をひかれてしまった。
 
スポーツとしてどうとか、権威が〜云々はどうでもいい。
とにかく何が起こるかを早く知りたい笑
 
 
もちろん同意してくれと言うつもりはない。
 
 
と同時に、ライアン・ガルシアの猛ラッシュで湧き上がる会場を観て「お前ら、井上尚弥によくこんな場所で試合しろなどと言えるなw」と思ったことをお伝えする。
 
「北米のリングに上がってこそスーパースター」とか、どの口がほざいてんだよw
 
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