ロマゴン、アローヨを大差判定で退ける!! 半病人のゴンサレスにアローヨは歯が立たず。すごいね。負ける要素が見あたらない【結果】
2016年4月23日(日本時間24日)に米カリフォルニア州にあるザ・フォーラムで行われたWBC世界フライ級タイトルマッチ。
王者ローマン・ゴンサレスが挑戦者のマックウィリアムス・アローヨを3-0(119-109、119-109、120-108)の判定で下し、4度目の防衛に成功した。
アローヨを終始寄せ付けなかったロマゴンが戦績を45戦全勝としたものの、KO防衛は10連続でストップしている。
アローヨがんばった。思った以上にいい選手だった
まず僕はこの試合、中盤から後半にかけてロマゴンがKO勝ちを収めると思っていた。
ロマゴンの手数と圧力に耐え切れなくなったアローヨがロープに詰められ、棒立ちのまま一方的に打ち込まれたところでストップ。そんな結末を予想していた。
「ロマゴンvsアローヨ予想!! 荷が重いかなぁ……。PFP最強ローマン・ゴンサレスにアローヨ兄が挑戦!!」
だが、思った以上にアローヨのディフェンスがよかったこと。上半身に柔軟性があり、打ち終わりのガードの戻りが速いこと。さらにロマゴンの圧力に対抗できるだけのフィジカルと耐久性を兼ね備えていたこと。
そして何より、ロマゴンの体調が過去最悪レベルで悪かったこと。
それらの要素が相まって、思った以上に見ごたえのある試合になったと思う。
恐らくこの試合のロマゴンはキャリアの中でも三指に入るほど絶不調だったのではないだろうか。
「怪物ロマゴンも人間だった? クアドラスを判定で下して4階級制覇達成!! キャリア最大の苦戦」
ただ、それを差し引いてもロマゴン相手に12R下がらずに打ち合ったアローヨはすばらしかった。
間違いなく最強の挑戦者といえるし、相手がロマゴンでなければタイトルを獲得する力は十分にあったといえるだろう。
「だけど、それがどうした?」
半病人相手に何もできずに「よくやった」のか?
アローヨはすばらしかった。
あのロマゴンを相手によく心折れずに12R戦い抜いた。
間違いなく最強の挑戦者だった。
ただ、だからどうした?
いくら健闘したといっても、公式ジャッジの2人がフルマークをつけるワンサイドゲーム。結局はロマゴンの圧勝である。
しかも半病人状態のロマゴン相手にほとんど何もさせてもらえない完敗である。強かったといっても勝利の可能性は微塵も感じなかったし、試合としてはロマゴンの盤石な試合運び以外に見るべきものはなかった。
確かにロマゴンにいつもの連打と圧力は見られなかった。それをさせなかったことがアローヨの強さと言えばそうなのかもしれないが、逆に言うと「タイトルマッチがそんなんでいいのか?」という気もしないでもない。
ジャッジ2人がフルマークをつけるほどのワンサイドゲームで負けておいて、強かった? よくやった? タイトルマッチで? しかも半病人状態の王者を相手に?
「井上尚弥の強さ、すごさを考える。カルモナ戦の予想? KO勝ちでいいんじゃないの?」
さすがにこの試合のロマゴンを観て「本調子だった」と言う人はいないと思う。
円形脱毛症のままリングに上がり、ほとんど打たれてもいないのにドクターチェックを受ける。それだけでもこの日の状態が普通ではなかったことは明白だ。100人が100人、今日のロマゴンはおかしいと感じたはずである。
そして、その状態の王者からほとんど1ポイントもとれないほどのワンサイドゲームで負けているのだから、両者に力の差があり過ぎたと言っても過言ではないだろう。
もちろんアローヨがふがいないというより、ロマゴンがさすがだったと言うべきなのは重々わかっているが。
「井上がカルモナに大差判定で勝利!! 意外と苦戦? 拳を痛めて攻撃力が半減」
ロマゴンやっぱりすげえな。どうやっても負けないようにできている
キャリア最悪の状態ともいえるロマゴンだったが、それでも内容的には盤石の試合運びを見せてくれた。
この選手の動きを見ていていつも思うのだが、どう考えても負ける要素が見当たらない。
力みのないコンビネーションをいつまでも打ち続けられるというのは常々言われているが、とにかくどの局面からでもそのコンビネーションに入れることがすごい。
相手の攻撃の間、相手と同時、相手が打つ前。どのシチュエーションからでも、どの角度からでも自分の態勢でパンチを打ちこむことができるのである。
「ロマゴン強し!! ビロリアに何もさせずに9回TKO勝ち!!」
そして、何よりすごいのがディフェンス力である。
相手の攻撃を必要最小限の動きで防ぐため、ほとんど態勢を崩すことがない。
よく見るとわかるのだが、この選手の防御は高く上げたガードと前後左右の小さなシフトウェイトのみである。身体能力系の選手のように派手に飛び回ったり上半身を大げさにくねらせることもない。のぞき見ガードとほんのわずかなポジションチェンジのみで相手のパンチの芯を外す。そのため、打ち終わりに身体が流れて無防備な姿を晒すといったことがまずないのである。
小さなシフトウェイトで相手のパンチを防ぐので、当然攻撃への移行もスムーズに行える。前後左右の動きが最小限に抑えられているため、常に重心を身体の中心近くにキープしておくことができ、そのため、いつでも腰の入ったパンチを打ちこむことができるのである。
「チャーロ兄ジャーマルがトラウトを撃破!! フィジカルモンスターがテクニシャンをねじ伏せる」
この体重移動を最大限に発動した攻防兼備のスタイルはゴロフキンにも共通するのだが、ロマゴンのそれはゴロフキンよりもはるかに上である。
WOWOWの解説者が「アローヨとロマゴンの最大の違いはパンチの正確性」と言っていたが、むしろ両者の決定的な違いはディフェンス力だろう。
どんなパンチが飛んできても芯でまともに食わないロマゴンと、いくらガードを固めても何発かは直撃を受けてしまうアローヨ。ラウンドが進むにつれて両者の疲弊度合いに差がついていくことからもそれは明らかである。
「ロマゴンvsクアドラス? クアドラスに勝ち目あるか? 判定までいけば上出来でしょ」
しかも、ロマゴンには同じ動きを12R通じて継続するだけの馬力もある。
正直これだけ突出した実力を持っていると、少しくらい体調を崩してもピンチに陥ることはない。
最大出力は落ちるかもしれないが、これまでのスタイルを踏襲すればポイントで負けることはない。何をどうやっても負けないようにできている。
「キービン・ララってそんなにダメか? 井岡が勝つと思うけど、普通にいい選手じゃないの?」
メイウェザーの49連勝? もちろん超えるでしょ
この日のメインで行われたゴロフキンvsウェイド戦で、圧倒的な勝利を収めたゴロフキンに驚愕した方は多いと思う。
だが、先日も申し上げたが現在のミドル級は明らかにタレント不足である。ゴロフキン1人が飛びぬけ過ぎていて、他に際立った選手がまったく見当たらない。
「ゴロフキンがウェイドを子ども扱い!! もう相手おらんなこりゃ」
それに対し、ロマゴンの主戦場とする軽量級は有力選手が多い。
今回のアローヨ、前回のビロリアもそうだし、エドガル・ソーサに加え、対抗王者のエストラーダやアムナットもいる。
日本の井岡や一騎打ちが期待される井上尚弥、日本のジムに所属するクアドラス、下の階級であればドニー・ニエテスなど。
パッと思いつくだけでもそうそうたる顔触れが並ぶ。
その選手の中で頭1つ以上抜けた実力を持っているロマゴンはやはり別次元の怪物と断言できる。
「井岡vsレベコ決着!! やればできるじゃねえか井岡おいww」
以前にも申し上げたように、個人的に現在のPFPトップはライトヘビー級のセルゲイ・コバレフだと思っているが、当然ロマゴン1位という意見にも異論はない。
こういうものは幻想で楽しむ数字遊びのようなもので、誰かと議論をする類のものでもないと思っているので、その辺は自由である。
「シーサケット勝利!! PFP No.1 ロマゴンに判定で大金星を挙げる!! すっばらしいねシーサケット。僕は感動しちゃいました」
ロマゴンの戦績が現在45戦全勝。
そして連勝記録がメイウェザーの持つ49連勝。
恐らくロマゴンがこれを更新することは間違いない。
大きな怪我や病気さえなければ、2017年の後半あたりには50連勝を飾っているのではないだろうか。
「ロマチェンコがゴロフキン化? マルティネスに手も足も出させず完勝!! アカンわこりゃww」
ちょっとだけ見えた綻び。ロマゴンをどうにかできるかもしれない?
これは余談だが、この試合のロマゴンは腰を浮かして伸びあがるようにアッパーを打つシーンが目立っていた。身体に力が入らなかったせいもあると思うが、ロマゴンにしては珍しく打ち終わりの態勢が危ないと感じる瞬間が見られたのである。
上背のある選手がこのパンチにカウンターを合わせることができさえすれば、ひょっとしたらが起きるのではないだろうか。
当然、今回のアローヨのようにロマゴンの圧力にも屈しないフィジカルを持っていることが大前提となるのだが。
今回の試合で、ほんの少しだけロマゴンの綻びが見えた気がしたがどうだろうか。
いや、でもさすがに厳しいかな?
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