チャーロ兄ジャーマルがトラウトを撃破!! フィジカルモンスターが階級屈指のテクニシャンを力技でねじ伏せる!!【結果】

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トラウトイメージ
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2016年5月21日(日本時間22日)、米・ラスベガスでIBF世界S・ウェルター級タイトルマッチが行われ、王者ジャーマル・チャーロが同級7位で元WBA王者のの挑戦者オースティン・トラウトと対戦。3-0(116-112、116-112、115-113)の判定でチャーロが勝利を飾った。

チャーロ兄弟の兄であるジャーマルが挑んだ2度目の防衛戦。
技巧派サウスポーの元王者トラウトを迎えた一戦は、お互いに激しくペースを争う緊張感漂う展開。最終的にはパワーと圧力で終始押し気味に試合を進めたチャーロがポイントで勝り、防衛に成功した。

「ジャーマル・チャーロvsトラウト予想!! IBF王者が曲者トラウトを迎え撃つ」

これでチャーロの戦績は24戦全勝(18KO)。
同日に行われた弟ジャーメルとともに兄弟同時、同階級世界王者という初の快挙を成し遂げている。

最高の状態に仕上げてきたトラウト。その上でチャーロに負けた

槍のような右、刃物を思わせるソリッドな左。
スピーディな出入りと華麗な体さばき。
相手の打ち終わりを高速の左が的確に射抜く。
まさしく階級屈指のサウスポー。

オースティン・トラウトという選手がこの階級でも突出したスピードとテクニックを持ったボクサーであることが改めて証明された。今回の試合はまさしくそんな試合だったと思う。

そして、その上でチャーロに負けた。
自分の力を目いっぱい発揮した上で負けた
ジャーマル・チャーロに体格の優位性を見せつけられて負けた。

「ウィリー・モンロー・ジュニアやっぱりいい選手!! トンプソンに判定勝利で健在ぶりをアピール」

テクニックのトラウトを力技のチャーロがねじ伏せた試合

チャーロ勝利!!

いや、最高だ。
僕は個人的にジャーマル・チャーロのファンなのだが、この試合は本当にいい勝ち方をしてくれたと思う。

いわゆるボクシングのテクニックだけで言えばトラウトはチャーロを上回っていた。チャーロは最後までトラウトのトップスピードについていくことができなかった。パンチのスピードはやや上だが、身体全体のスピードでは残念ながら劣っていた。

スピードで負け、技術でも負け、その上で勝利した。
要するに力技で勝った。

リーチの長さ。
パンチの強さ。
圧力の強さ。

つまり身体の強さでテクニックを凌駕した。
 
「ジャーマル・チャーロさんミドル級初戦キター!! セバスチャン・ヘイランド戦予想。ミドル級でもパワフルな剛腕は健在か」
 
すばらしい。
僕はこういう試合が大好きだ。

柔よく剛を制す?
スピードで翻弄する?
動きについていけない?

関係ない。
すべてを超えたパワーこそ大正義。
大は小を兼ねる。
そういうことだ。

「ウォーレンがパヤノに雪辱!! マジいい試合!! 階級屈指のテクニシャンがバンタム級最強ファイターとのダイレクトリマッチを制す」

フィジカルモンスター・チャーロは状況判断力も兼ね備えたクレバーな選手

僕は常日頃からしつこいぐらいにフィジカル至上主義を訴えているのだが、今回の試合はまさしくフィジカルモンスターがテクニシャンを力でねじ伏せた試合だったと言えるのではないだろうか。

「ゴロフキンがウェイドを子ども扱い!! もう相手おらんなこりゃ。」

細かい部分を見ていくと、まずトラウトの作戦はいつのもように鋭い踏み込みからの左を当てていくこと。動きが直線的なチャーロの顔面にまっすぐ打ち込んで後退させようと考えた作戦だったと思う。

これに対し、チャーロがとった作戦は同時に踏み込んで距離を潰すこと。ガードでもなくバックステップでかわすのでもなく、トラウトの踏み込みに合わせて自分も前に出て迎撃する作戦である。

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このチャーロの踏み込みによって出鼻を挫かれたトラウトだったが、すぐさま作戦を切り替える。2R目からはチャーロに先に打たせて打ち終わりを狙うプランBの発動である。さすがのトラウト。歴戦の雄というか、豊富な経験値とボクシングの幅の広さがなせる業だ。

そして、結果的にこの作戦が功を奏する。
2R以降、スピード差を活かしたトラウトのカウンターがチャーロの顔を何度も跳ね上げる。
僕はこのトラウトの踏み込みに対し、チャーロがバックステップからのリターンでカウンターをとるのではないかと予想していた。だがトラウトの出入りは予想以上にスピーディで切れ味鋭く、最後までチャーロがカウンターをとることはできなかった。
 
「チャーロ兄圧勝やね! センテノを2RKOに沈めて暫定王座獲得。村田諒太との違いが明確でおもしろかった。フィジカル上位の優位性」
 
それでも試合全体を優勢に進めたのはジャーマル・チャーロである。
要因はもちろんリーチの長さと圧力の強さだ。
肩口から飛んでくる大砲のようなジャブ、鈍器のような右。強靭な上半身のパワーをそのまま相手にぶつけるような豪腕っぷり。ややL字気味の構えから直線的に踏み込み、自慢のパンチを容赦なく叩き込んでトラウトを強引に後退させる。

「俺のアムナットさんが負けただと……?! カシメロに4RKO負けを喫して王座陥落!!」

相手をコーナーに追い詰めればさらに強い。
左足を踏み込んで退路を塞いでからの左フック。さらに右。
フォームもバランスもバラバラだが、とにかく1発1発が強い。

さらに、ただゴリ押しするだけのスタイルではないところがチャーロの持ち味でもある。
相手をコーナーに追い込んでも強引に攻めにはいかない。相手の状態をじっくり観察するクレバーさも持ち合わせているのである。もしやの反撃を警戒しながらリーチ差を活かしてじわじわと攻める。パワーだけに頼らない冷静さである。

「クロフォードvsポストル予想!! 虚弱クリチコ・ポストルがソリッドスター・クロフォードに挑む!!」

恐らくこの選手は自分の長所と短所をよく理解しているのだと思う。
最大の持ち味であるパワフルな攻撃は他に類を見ないが、動きは直線的でわかりやすい。つまり自分のキモは相手をいかにパワーで押し込めるかどうか。それを自覚しているのだろう。

トラウトのような技巧派と技術勝負をしても勝てない。それならあえて打ち合う必要はない。ある程度の被弾は承知の上で、態勢を崩さずにプレッシャーをかけにいくのだ。

「ジャーマル・チャーロがキャンプフォートを圧倒敵な強さで下して防衛に成功!! いや、こりゃすげえ」

もしかしたら、反撃姿勢を整えるために避けられるパンチをわざと受けている場面もあるのかもしれない。オーバーな動きで相手の攻撃を避けてスキを作るより、被弾しても自分の反撃姿勢の維持を優先する。こういう冷静さを持ち合わせているのもこの選手の強みではないだろうか。

「亀海惜しくもソト・カラスとドロー!! 勝ったと思ったけどな」

技巧派サウスポー・トラウトには勝ったけど、エリスランディ・ララに勝つのは難しいだろうなぁ

フィジカルモンスターっぷりを発揮して難敵トラウトを退け、2度目の防衛を果たしたジャーマル・チャーロ。
だが今回の試合を観た限り、今のままではWBA王者のエリスランディ・ララに勝つのは難しいのではないかと思う。

同日に行われたタイトルマッチで防衛を果たしたララは2013年にトラウトを下している選手だが、その試合ではトラウトからダウンも奪っている。
確かこの試合は同タイプのテクニシャン対決として注目された試合だったが、結果的にはララが終始支配してワンサイドゲームでの勝利を飾っている。

「ジャーマル・チャーロvsジュリアン・ウィリアムス予想!! チャーロ兄がまたしてもテクニシャンを迎えうつ」

僕が思うに、ララとトラウトの大きな違いは2つ。
まず1つ目は横へのフットワークである。

2人の試合を観るとわかるのだが、動きが直線的なトラウトに対してララは縦横斜めと自在に動き回ることができる。パンチの精度、種類自体にそこまで差はないと思うが、打ち込むアングルやレンジには大きな違いがある。

そして2つ目はバックステップのバネである。これが個人的に考える両者の最も大きな違いではないかと思う。
トラウトの踏み込みは確かに鋭い。だが、バックステップの際にややバネの鈍さがある。アンセルモ・モレノや内山を敗ったコラレスにも言えるのだが、どうも相手の踏み込みに対するバックステップの際に下半身の引っかかりを感じるのである。
これは余談だが、先日の内山vsコラレス戦では、内山が距離を詰めることさえできれば悶絶ボディを打ち込むチャンスがくると思っていた……。
まあ、いまさら言うことでもないのでアレだが。

「内山vsコラレスを予想する!! 4月27日の大田区総合体育館でトリプル世界戦開催!」

動きが直線的で、なおかつバックステップのレンジが短い。
これはつまり、長いリーチとを活かして直線的に攻めてくる相手との相性が圧倒的に悪いことを意味する。
僕が今回の試合でジャーマル・チャーロの勝利を予想した最大の要因がここで、チャーロのジャブやストレートの軌道はトラウトに当たりやすいのではないかと思ったのである。

結果的にこの予想はある程度当たったと思っているが、同時にエリスランディ・ララと対峙した場合にチャーロが勝つのは相当難しいと思った次第である。

「鉄拳爆発!! ジャーマル・チャーロがテクニシャンウィリアムスを豪腕で沈める!!」

ララの縦横無尽のフットワークと踏み込み、バックステップのレンジの長さ。恐らくチャーロはこの動きについていくことができない。自分のパンチが届かない距離からタッチボクシングでポイントを奪われ続けて大差判定負け。このシナリオが濃厚ではないだろうか

といっても、エリスランディ・ララは階級さえ合えばゴロフキンにも勝てる可能性を持った選手である。たとえチャーロが負けたとしても恥じることは何もない。

「ゾンビか!! サリドがバルガスを追いつめ惜しくもドロー!!」

ここからしっかり成長しろチャーロ。S・ミドル級まで制覇してくれなくては困る

以前にも申し上げた通り、ジャーマル・チャーロはいずれミドル級、S・ミドル級までを制覇しなくてはならない選手だ(僕が決めた)。そのためにも対抗王者のララは避けて通ることが許されない相手である。今は無理でも、向こう半年〜1年以内にはきっちりと力をつけてくれれば最高だ。

これも以前申し上げたが、チャーロは今の直線的ゴリ押しスタイルをさらに極めればアイク・クォーティやフェリックス・トリニダードになれるし、上半身の柔軟性を高めれば内山高志やセルゲイ・コバレフになれる逸材である(僕が決めた)。
どちらの方向に進むかはわからないが、何かをきっかけにして飛躍的に成長してもらいたい。
とりあえず今回の試合を観る限りでは、直線的なスタイルを追求した方がいいのかなという気はしたが。
 
「新旧超人対決クリチコvsジョシュア予想。ヘビー級最強決戦の行方は? ジョシュアはクリチコに引導を渡せるか?」
 
もちろんめちゃくちゃひいき目で見てます。
なぜなら僕がジャーマル・チャーロのファンだから

ちなみにエリスランディ・ララvsバネス・マーティロスヤン戦は観てません。アイツの試合、死ぬほど眠いんで。

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