中日ディロン・ジー獲得だっはー!! 先発不足のチームの救世主となるか。2018年の成績を予想してみる
2018年1月4日、中日ドラゴンズがMLBミネソタ・ツインズからFAとなっていたディロン・ジー投手(31)と入団合意したことを発表した。
ディロン・ジー(1986年4月28日生まれ)
ニューヨーク・メッツ時代に先発ローテーションの柱としてチームを支え、2011、2013年に二桁勝利を挙げるなど、メジャー51勝の実績を持つ右腕。
2013、2014年シーズンは松坂大輔と同僚だったこともあり、日本のファンにもなじみ深い。
先発不足に悩む中日にとって、まさに助っ人と言える存在である。
なお、背番号は「60」で、推定年俸1.2億円プラス出来高払いの1年契約とのこと。
果たしてジーは5年連続Bクラスに沈むチームの救世主になれるか。2018年シーズンの躍動に期待がかかる。
- 1. まさかのディロン・ジー獲得!! 中日フロントに高速で謝罪させていただきます。「2018年、勝つ気あるのか」とか言ってすみません!!
- 2. 2018年のディロン・ジーの成績予想は7、8勝で、防御率は3.10〜3.40前後? そこそこやれるんじゃないかと思っております
- 3. 2シームを中心に多彩な変化球を織り交ぜるスタイルのディロン・ジー。平均球速はそこまででもないけど、よくまとまっている印象
- 4. 特徴的なナックルカーブ。他の選手と比べると、縦変化が小さく減速せずに沈んでいくイメージ
- 5. スライダー(カッター)は微妙かな……。この球がNPBで通用するかどうかも影響しそう
- 6. 意外と4シーム中心でいってもいいかもしれないね。右にはナックルカーブ、左にはチェンジアップの組み立てで
まさかのディロン・ジー獲得!! 中日フロントに高速で謝罪させていただきます。「2018年、勝つ気あるのか」とか言ってすみません!!
先日の「中日が松坂大輔さんを獲得しなくてはならない理由」の記事中で、「中日のフロントは何をやってんだ」「2018年シーズンに勝つ気があるのか」と申し上げた。
「中日が松坂大輔さんを獲得しなくてはならない理由。日本球界の功労者に対する敬意が足らんよ敬意が」
松坂ファンとしてはぜひ獲得してほしいが、今の中日にそんな余裕はない。戦力を見れば一目瞭然で、3年間で一軍登板1試合のベテランをテストしてる場合じゃない。
本音を言えば、2018年シーズンに勝つ気があるのかも疑わしい。
そんな感じで罵倒したのだが、さっそくこの言葉を訂正するとともに謝罪させていただきたいww
すまん中日!!
めっちゃがんばっとったんだな。
まさかディロン・ジーを連れてくるとは思わなかった。
正直、この補強が成功するかどうかは大した問題じゃない。
大事なのは「中日は2018年シーズンを捨てていない」と、ファンや関係者に証明したこと。
それくらい、ディロン・ジー獲得に成功した中日フロントは評価されるべきだと思う。
「ハイレベル過ぎてFA選手の契約にも影響してるよ。MLBオールスター2018がとんでもなかった件」
しかもアレだ。
メジャー56勝の松坂大輔さんと、メジャー51勝のディロン・ジーが2014年以来、再び同僚になるという。
松坂ファンの僕としては、まあまあの胸熱展開なのだが。
ヤベえなオイ。
今年は中日ファンになろうかなww
「阪神ディエゴ・モレノ誕生。150km右腕が日本で活躍できるかを予想してみる。田中マー君とも同僚だったんだってさ」
確か中日、サンディエゴ・パドレスでプレーした大塚晶文が、3Aで「派遣コーチ」とかいう肩書きで選手の調査をしてるんだっけか。
そのツテでディロン・ジー獲得につながったってことなのかな。
2018年のディロン・ジーの成績予想は7、8勝で、防御率は3.10〜3.40前後? そこそこやれるんじゃないかと思っております
とまあ、個人的にディロン・ジー獲得を大絶賛しているわけだが、じゃあ実際にはどうなのか。今のディロン・ジーが、NPBでどこまでやれるのか。
表題の通りなのだが、過去のデータや投球動画などを観ながら、ディロン・ジーの2018年の成績を予想してみたいと思う。
「松坂大輔2018年成績予想。ついにこの季節がやってきました。ほら見ろ、松坂はすげえだろが。あ?」
まず最初に勝敗を含む成績についてだが、そこそこやれるのではないかと思う。
具体的にはシーズン7、8勝で、防御率は3.10〜3.40くらい。怪我なくフルシーズンを先発で稼働したと仮定して、このくらいの成績は残すのではないか。
あくまでも「そこそこやれるのでは」という感じで、元巨人のマイルズ・マイコラスや広島のクリス・ジョンソンほどの活躍は見込めないような気がしている。
「進化が止まらない!! ダラス・カイケルがヤンキース打線を7回無失点に抑えてアストロズ先勝。MLBのポストシーズン最高なんじゃw」
だいたいのイメージだが、MAXでも10、11勝、防御率2.80前後。
中日のチーム状況や、本拠地がピッチャー有利のナゴヤドームということを考えると「8勝8敗、防御率3.35」といったところか。
「大エース松坂大輔の復活。550日ぶりの一軍登板は5回3失点で初黒星。そんなことより中日がクッソ弱いんだがww」
ぶっ飛んだ活躍は難しいかもしれないが、今の中日にとっては間違いなくエース級。大野雄大や吉見一起の状態が上がらない場合、繰り上がりでローテーション1番手に抜擢というパターンすらあるかもしれない。
「見たか貴様らww これが松坂大輔さんだよww そこにいるだけで人が群がるカリスマ性、佇まいが絵になる男が中日合格」
2シームを中心に多彩な変化球を織り交ぜるスタイルのディロン・ジー。平均球速はそこまででもないけど、よくまとまっている印象
ではここからは、投球動画や各球種のデータを見ながら、ディロン・ジーのNPBでの活躍度を考えていきたい。
まず、2017年のディロン・ジーの動画を。
リンク先がいつまで生きているかわからないが、だいたいこんな感じ。
持ち球は主に4シーム、2シーム、チェンジアップ、スライダー、カーブの5種類。
データサイトによって微妙に球種の判別が異なっているのだが、2017年の全投球の内訳は、
球種:投球割合、平均球速
4シーム:25.1%、91.1マイル(約146.6km)
スライダー:21.7%、86.0マイル(約138.4km)
2シーム:15.9%、90.8マイル(約146.1km)
カーブ:14.5%、77.0マイル(約124km)
チェンジアップ:12.9%、83.8マイル(約134.8km)
となっている。
「ヤクルトはなぜ弱くなったのか。2015年の優勝時と2017年では何が違ったのか。意外と球場にも原因があるかもよ?」
僕の確認したデータサイトだと4シームのVertical(垂直方向の変化量)が8.74、Horizontal(水平方向の変化量)が-8.00となっており、純粋なストレートというよりシュートに近い。
また2シームのVerticalが4.84。Horizontalが-10.75なのを見ると、恐らくジーは2種類の2シームを使っており、横変化の2シームを4シームと判別された可能性が高い。
「藤浪イップスってマジか…。復帰登板で5回途中7安打7四死球3失点KOで即2軍落ち。2017年阪神終焉? NPB史上屈指の才能がががが」
4シームの割合が15.72%、2シームの割合が31.34%となっているサイトもあり、恐らくデータとしてはこちらの方が正しい。
ジーの投球パターンは2シームを中心に、4シーム、チェンジアップ、スライダーを織り交ぜるスタイルだと考えてよさそうである。
「中日松坂大輔さんが開幕ローテ決定的? らしいけど、オープン戦最終登板を観た感想を言っていくぞ」
特徴的なナックルカーブ。他の選手と比べると、縦変化が小さく減速せずに沈んでいくイメージ
そして、ジーの持ち球の中でも特徴的なのがカーブ。全投球の14.5%の割合で投じている球である。
一番上の動画でも投げているシーンが確認できるが、このカーブはなかなか印象深い。
いわゆる「ナックルカーブ」と呼ばれるもので、いったん浮き上がってから加速するように沈む。近年、NPBでも使い手が増え、ソフトバンクの五十嵐やバンデンハーク、オリックスのディクソンもこの球を得意としている。
だが、投球を観る限り五十嵐などが使うナックルカーブと違い、変化量がやや小さい。
たとえば同じナックルカーブの使い手として、タンパベイ・レイズのアレックス・コッブやボストン・レッドソックスのドリュー・ポメランツがいるが、彼らのナックルカーブのデータは以下の通り。
アレックス・コッブ:Vertical -8.39、Horizontal 2.15
ドリュー・ポメランツ:Vertical -8.38、Horizontal -3.34(ポメランツはサウスポー)
これに対し、
ディロン・ジー:Vertical -4.10、Horizontal 6.63
ジーのナックルカーブが、オーソドックスなナックルカーブに比べて小さく沈みながら横に変化する球だということがわかる。
また、Spin Rate(回転数)もコッブのナックルカーブが1,977、ポメランツが1,772なのに対し、ジーは1,519。回転数が少ないので減速幅も小さく、加速しながら落ちるように感じる球である。
「ダラス・カイケルとかいう88マイルのシンカーをひたすら投げ続けてフライボール・レボリューションに巻き込まれなかった人」
だがこのナックルカーブ、2017年の被打率が.250とMLBではあまり有効な球にはなっていない。
映像を観ると、変化量がそこまで大きくなくスピードが速いわけでもない(平均約124km)ので、打者のバットから逃げ切れていない印象。
全投球の15%前後の割合で投げており、なおかつ0-2と追い込んだ状況での割合は約35%。
決め球としてもカウント球としても使用している球種で、この球が通用するかどうかがNPBでの成功のカギを握りそうな気がする。
スライダー(カッター)は微妙かな……。この球がNPBで通用するかどうかも影響しそう
また、全投球の約22%を占め、ストレート系(4シーム、2シーム)に次いで使用頻度の高いスライダーについて。
実はこの球、被打率.368と、使用頻度の高さに反比例してMLBではまったくといっていいほど通用していない。
平均球速は約138.4kmながらVerticaが5.18、Horizontalが-0.07。水平方向の変化量が小さく、沈みも少ない。軌道としては、スライダーというよりカッターに近い。
ただ、球速138kmではカッターとしてはちょっと物足りず、MLBの打者には打ち頃。
特に浅いカウントでこのスライダー(カッター)を投げる頻度が高く、1-0での被打率が.288、0-1での被打率が.262と、よくない数字が並ぶ要因だと思われる。
このスライダー(カッター)がNPBでどの程度通用するか。それも、ディロン・ジーの成績に大きく影響すると思うのだが、いかがだろうか。
意外と4シーム中心でいってもいいかもしれないね。右にはナックルカーブ、左にはチェンジアップの組み立てで
繰り返しになるが、中日がディロン・ジーを獲得したことは掛け値なしですばらしい。そして、この投手が活躍できるかどうかについては、「そこそこやるのではないか」と思っている。
全体的なピッチングを観た印象は、制球力も高くよくまとまっているが、ややスケールが小さい。
MLBではすべての面でスペック不足気味だったが、打者のレベルがやや落ちるNPBと広いナゴヤドームでどうなるか? といったところ。
「片手間で成功したってええやん。楽して金稼いで何が悪い? 新庄「野球なんて、マジバイト」←ステキやんww」
具体的には、どの球種が軸となるか。
2シームの被打率.294、スライダーの被打率.368の中、頼れる球を見つけることができるか。
また、対右の被打率.261に対し、対左の被打率.305。苦手な左打者対策をどうするか。
恐らくチェンジアップ(被打率.245)とナックルカーブ(被打率.250)を中心に組み立てていくことになるとは思うが、果たしてうまくいくか。
なお僕個人としては、意外と4シームを軸にしてもいいかも? などと思っているのだが。
平均球速が約146.6kmながら、Spin Rateは2,372とそこそこ高回転。FB%(フライ率)も50%で、広いナゴヤドームではかなり有効に思える。何より被打率が.219と、MLBでもっとも通用していたのがこの球である。
「「リスペクト」を便利使いするお前らに言いたいことがある。「マスコミ対応もプロフェッショナルの仕事だ」ってのはお前らマスコミ側が言うことじゃない」
「軸となるストレート+使える変化球が2種類」というのが、先発投手が成功する基本的な条件だと思っているので、4シーム、ナックルカーブ、チェンジアップのあるディロン・ジーは一応その条件を満たしている。
あとは、2017年シーズンで49.1回しか投げていないこと、1試合の最長イニングが6回であること、球威が落ちるとすべての球が棒球になることなど。
近年、先発としてシーズンを投げていないジーの体力面がどの程度か。そして、ベンチがそれを見越した運用をできるか。そのあたりも重要な要素になるのではないか。
「SNSで上手にセルフブランディングしているスポーツ選手を挙げてみる。スターになるには試合で勝つだけじゃなく、注目を集める努力が必要なんやで」
2017年のラウル・バルデスのように、開幕から中四日で謎のフル回転を強いるようだと、あっという間に肩痛を発症して帰国という展開もあり得る。
というか、稚拙な投手運用こそが中日の一番の課題という噂もありますが……。