フルトンvsレオ、アリームvsパリシャス、ティム・チューvsモーガン、マーク・ハントvsガレン振り返り。やっぱり打撃のハントはロマンあるよなw【感想】

フルトンvsレオ、アリームvsパリシャス、ティム・チューvsモーガン、マーク・ハントvsガレン振り返り。やっぱり打撃のハントはロマンあるよなw【感想】

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2021年1月23日(日本時間24日)、米・コネチカット州で行われたPBC興行。メインイベントでWBO世界S・バンタム級王者アンジェロ・レオにスティーブン・フルトンが挑戦し、3-0(119-109、119-109、118-110)の判定で勝利。王座戴冠に成功している。
 
また、セミファイナルではWBA世界S・バンタム級2位レイセ・アリームと同級8位ビクター・パリシャスが対戦。11R1分TKOでアリームが勝利し、暫定ながらも王座戴冠を果たした一戦である。
 
 
その他、1月26日にWOWOWエキサイトマッチでO.A.された2試合、WBO世界S・ウェルター級2位ティム・チューvsボウィン・モーガン戦、元K-1王者マーク・ハントvsポール・ガレンのヘビー級6回戦を視聴したので、その感想も併せて述べていこうと思う。
 
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○スティーブン・フルトンvsアンジェロ・レオ×(判定3-0)

まずはこの試合。
 
アンジェロ・レオは2020年8月にトライメン・ウィリアムスとの一戦を制して初戴冠を果たした選手。
だが、これは本来出場を予定していたスティーブン・フルトンが直前で新型コロナウイルスの陽性となって欠場し、急遽相手がウィリアムスに変更になった経緯がある。
 
その流れを受けて、今回改めてフルトンがレオに挑戦したわけだが。
 
試合はフルトンがスピーディな左リードでレオの前進を寸断。
接近戦でボディを効かされてもうまくごまかし、スピードとパンチの正確性で上回っての完勝である。
 
お互いにしんどい試合だったとは思うが、フルトンの大差判定に文句をつけるところはない。
 
フルトンは前戦ではハンドスピードとフットワークでアーノルド・ケガイを捌ききって勝利したが、この試合では近場での対応力も発揮してみせた。
 
僕のアーノルド・ケガイががが。フルトンのジャブで止められ大差判定負け。ブロック前提の選手がこれをやられるとキツいな
 
恐らくスティーブン・フルトンはめちゃくちゃ研究熱心な選手なのだと思う。
試合前に相手をじっくり観察して作戦を立て、それを最後まで遂行するタイプ。突出したスペックがあるわけではないが、基本的に器用でいろいろな状況に対応できる柔軟性がある。
 
この試合でもボディ打ちが得意なレオに思いっきり体重を預けて体力を温存しながら打ち合っていたし、試合巧者っぷりは随所に感じられた。
 
クッソ地味だけど。
 

○レイセ・アリームvsビクター・パリシャス×(11R1分TKO)

続いてはフルトンvsレオ戦のセミファイナルで行われたこの試合。
 
勝利したレイセ・アリームは前回のレオvsトラメイン・ウィリアムス戦のアンダーにも出場していた選手で、その際もなかなかいいと思っていた。
 
アンジェロ・レオがトラメイン・ウイリアムズを攻略して勝利。アンジェロ・レオは田中恒成っぽかったな。いい試合でした
 
今回も多彩な左とスピーディな出入り、強烈な右を駆使して計4度のダウンを奪っての快勝。
思い切りのいいフルスイングは見栄えもよく、見事な勝利と言っていいのではないか。
 
対戦相手のビクター・パリシャスもいい選手で、印象としては前回アリームが下したマーカス・ベッツよりも少し上くらい?
 
王座から陥落したアンジェロ・レオや前回そのレオに敗れたトラメイン・ウィリアムス、この試合で勝利したレイセ・アリームを含め、実力はあってもなかなかチャンスが回ってこない選手が山ほどいるんだなぁと改めて思わされる。
 
以前にもちょろっと申し上げたが、レイセ・アリームやスティーブン・フルトンは日本の和氣慎吾をボッコボコのギッチョンギッチョンにしたジョナサン・グスマンと同格かそれ以上の力はありそう。
 
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ただ、レイセ・アリームはファイトスタイルがやや脳筋気味で「このペースで飛ばしたら途中でバテるんじゃないの?」と思っていたところ、案の定7Rに失速。そこからパリシャスの反撃を受け、8Rには明確に効かされるシーンも見られた。
 
じっくりと研究すればグスマンに勝利した小國以載のように付け入る隙があるように思えたが……。
 
 
なお“暫定王座決定戦”という短いセンテンスの中にツッコミどころが山ほどあるパワーワードについては、気にしたら負けなのである。
 

○ティム・チューvsボウィン・モーガン×(1R1分54秒TKO)

そして、ここからは先日のWOWOWエキサイトマッチでO.A.された試合。
 
ティム・チューはご存知の通り元S・ライト級3団体統一王者コンスタンチン・チューの息子。
現在の戦績が16勝全勝12KOで、前戦では元ウェルター級王者ジェフ・ホーンを8RTKOに下すなど、オーストラリアのスター候補筆頭と言える存在である。
 
 
とは言っても、今回はさすがに力の差があり過ぎたというか、開始直後に「あ、これはアカン」となる試合だった。
相手のボウィン・モーガンは21勝1敗と戦績こそ見栄えがいいが、チューとの力量差は明らか。直近2戦はウェルター級契約でリングに上がるなど、体格にもかなりの違いがあった。
 
チューの左をガードの上から受けただけで身体をグラグラと揺らされ、圧力に飲み込まれるモーガン。
 
確かにチューのパンチの貫通力、的確さは発揮されたが、マッチメークとしてはどうなの? ミスマッチ過ぎて危なかったんじゃないの? と思わざるを得ない2分間だったなと。
 
 
まあでも、アレなんですよね。
この選手は本当に親父のコンスタンチン・チューと似ている。
 
顔の造形はもちろんだが、どっしりとした構えや骨太な身体つき、迫力満点な前進から剛腕を振り回してなぎ倒すスタイルまで。
一見大振りにも感じるスイングだが、よくよく見ると1発1発がコンパクトで無駄がない(気がする)。
 
階級的にもパパチューよりも一段スケールが大きく、このままいけばマジで期待できる(気がする)。
S・ウェルター級はチャーロ弟を筆頭に地味強がズラッと揃うが、2021年のチューがどんなパフォーマンスを見せるかに注目したいと思う。
 
井上岳志vsティム・チュー11月に!! こうなったらチューをぶちのめして「井上違いだよhahaha」とかほざいてるヤツらを全員黙らせちゃえよ
 

×マーク・ハントvsポール・ガレン○(判定3-0)

ラストはコレ。
元K-1のマーク・ハントが元ラグビー選手のポール・ガレンと6回戦で対戦し、3-0(56-58、56-58、55-59)の判定で敗れた一戦である。
 
この試合はもう、完全に意表を突かれたというか、O.A.をボーッと観ていたら突然マーク・ハントが出てきて「おお、マジか」と驚いたという。
 
2018年の3連敗後にUFCから離脱したとは聞いていたが、まさかボクシングに行っていたとは。「キャリアの最後は再び日本でやりたい」的な噂も耳にしていたのでどうしているんだろうとは思っていたが……。
 
もともと膝をぶっ壊したことがキックからMMAに転向したきっかけだったと記憶しているが、確かに最後にボクシングを選んだのもわかる気がする。
先日のRIZINでも膝がボロボロの五味隆典がパンチのみのルールでリングに上がっていたしね。
 
あるべき場所に戻ってきた堀口恭司。朝倉海を1RTKOに沈めて王座奪還。やっぱりRIZINの現地観戦はサイコーだなw
 
で、実際の試合についてだが、打撃ルールのマーク・ハントにはやっぱりロマンがあるなと。
相手のポール・ガレンは元ラグビー選手なだけあって近場での連打やパワフルな前進は見応えがあるのだが、ハントのド迫力のスイングと比べるとどうしてもピコピコパンチに見えてしまう。
 
ヒット数や正確さ、スピードなど。あらゆる面でハントを上回っているものの、当のハントは1回のフルスイングですべてをチャラにしてしまう。
 
ろくにガードもせず、打たれ強さに依存したスタイルもK-1時代のまま。
46歳という年齢もあってか、すでに2Rの後半にはバテバテ。
 
だが、自慢の剛腕だけはいっさい衰えがない。
 
遠間からのスイングが側頭部をかすめただけでポール・ガレンはグラングランに揺らされ、そのたびに客席からは大歓声が挙がる。
 
ティム・チューのスイングは一見大振りながらも実はコンパクトで的確さがあったが、ハントのスイングは見た目通りの大振りww
 
結果は判定負けだったものの、単純に試合としておもしろかった。
勝ち負けやレベルの高さ云々以上に、打撃ルールのハントは最高だなと思わせてくれた。
 
本人的には「王者どうこうは関係ない」「賞金が欲しい」というスタンスらしいが、それも含めて素晴らしいw
ラグビー界のスーパースター、ソニー・ビル・ウィリアムズにもちょっかいを出しているとのことで、次戦以降もぜひ観たいと思う試合だった。
 
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ついでに言うと、オーストラリアは興行場所としては間違いなく狙い目ですよね。
基本的に温暖な国だし、日本と真逆で今は真夏。ぎっしり埋まった客席からもコロナの感染者が落ち着いていることははっきりとわかる。
 
その上、2017年のジェフ・ホーンvsマニー・パッキャオ戦の盛り上がりなど、ボクシングに対する熱狂もすごい。
 
ポテンシャル的には中国にも匹敵すると思うのだが、どうなんでしょうか。
 
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