僕のアーノルド・ケガイががが。フルトンのジャブで止められ大差判定負け。ブロック前提の選手がこれをやられるとキツいな【結果・感想】
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2020年1月25日(日本時間26日)、米・ニューヨーク州で行われたWBO世界S・バンタム級挑戦者決定戦。同級2位アーノルド・ケガイと8位ステファン・フルトンの一戦は3-0(117-111、117-111、116-112)の判定でフルトンが勝利。王者エマヌエル・ナバレッテへの挑戦権を獲得するとともに、WBC同級インターコンチネンタル王座を戴冠した一戦である。
いつも通りガードを上げてじっくり近づくケガイに対し、フルトンは左ジャブの連打で迎撃。常にケガイとの距離を一定に保つ。
ガードの間から被弾を重ね、うまく前に出られないケガイ。身体を振ったり右からの逆ワンツーを放ったりといろいろと工夫をするものの、フルトンの鋭い左ととっさのクリンチを攻略できずに攻めあぐねる。
中盤以降、イライラが募ったケガイのパンチがフルトンの後頭部に当たるなど、ややラフな展開に。
だが冷静さを失わずにジャブを出し続けたフルトンが最後までペースを渡さず試合終了。文句なしの判定勝利で王者ナバレッテへの挑戦権を手にした。
「コルバートvsコラレス感想。コルバートいいな。対抗王者にも勝てるんじゃない? 安定のクソ試合でUFCとの差が明確だけど」
僕のアーノルド・ケガイが負けちゃった。フルトンはそこまで強くは見えなかったけどね
アーノルド・ケガイvsステファン・フルトンの挑戦者決定戦。
以前から僕が期待していたアーノルド・ケガイがついに挑戦者決定戦までたどり着いたということで、ぼちぼち楽しみにしていた試合である。
「アーノルド・ケガイって選手がいいなと思いました。WBSSバンタム級に出る選手の戦績をながめてたら出てきました」
相手のステファン・フルトンも無敗のプロスペクトとして注目されている選手らしく、サバイバルマッチとしてはめちゃくちゃ好カード。時間がなくてリアルタイムでは観られなかったものをようやく観たのでその感想を。
まず、ケガイにとっては残念な結果だったなと。
ステファン・フルトンの過去の試合を漁ったところ、そこまでぶっ飛んだ強いようには見えず。
スピードと見切りはよさそうだが特別パンチがあるわけでもない。無敗のプロスペクトとはいっても、デビン・ヘイニーやシャクール・スティーブンソンなどに比べれば一段落ちる。先日ジェスレル・コラレスに勝利したクリス・コルバートほどの完成度もない。
正直に申し上げてあまりテンションが上がる選手ではなかった。
ただ、ブロック&リターンのアーノルド・ケガイとはそれなりに相性がよさそうではある。
ケガイのプレスと得意の左がどこまで通用するかだが、だいたい6:4でフルトン有利かなぁ? などと思っていた。
ついでに言うと、ステファン・フルトンが王者エマヌエル・ナバレッテに勝つのは相当難しいのではないか。打倒ナバレッテを考えるのであれば、むしろケガイの方が可能性がありそう。
などなど。
純粋な戦闘力ではケガイが上に見えるが、ジャンケンの要領でフルトンが上回るのではないかと漠然と思っていた次第である。
フルトン圧勝だった。力強い左とクリンチでケガイの長所を徹底的に消す
そして、実際には僕が思っていた以上にフルトンの圧勝だった。
ガードを上げてブロックを固めるケガイに対し、フルトンは前足重心の構えで対峙。
左を下げてリラックスし、そこから強めのリードをガードの間から通す。
常にケガイの射程の1歩外にとどまり、自分の腕だけが届く位置をキープする。
痺れを切らしたケガイが強引に近づいてきた際は、自らも前に出てクリンチ。
ケガイは得意な距離ではどんどん強打が出るが、射程が短く距離を外されるとやや手数が減る。
基本的にブロック中心の攻防分離気味なスタイルなので、今回のように遠い位置から連打を打ち込まれるとどうしても苦戦しやすい。
逆ワンツーを出したり、上体を振って芯を外したり。
あの手この手で懐に入る工夫を見せてはいたが、結局最後まで追いつけず。恐らく今回のフルトンはケガイが一番苦手なタイプだったと言えるのではないか。
だって、めちゃくちゃイライラしてたもんなケガイ。
クリンチにくるフルトンを投げ飛ばしたり、勢い余って後頭部を攻撃したり。
自分の長所をここまで封じられたのはキャリアで初めてというくらいに、12Rを通して何もさせてもらえなかった。
フルトンvsレオ、アリームvsパリシャス、ティム・チューvsモーガン、マーク・ハントvsガレン振り返り。やっぱり打撃のハントはロマンあるよなw
フルトンのケガイ対策が完璧でしたね。これならナバレッテともいい勝負になる? かも?
勝利したステファン・フルトンについては、これまた僕の思っていた以上にいい選手だった。
というより、正確にはケガイ対策が完璧だった。
申し上げたようにフルトンの過去の試合を観たところ、そこまでぶっ飛んだ強さは感じない。今回の試合もケガイが馬力でねじ伏せる可能性も十分あると思っていた。
ところが、実際にはほぼ完封に近い内容での勝利。
足を踏ん張り、1発1発に力を込めてケガイの前進を寸断してみせた。
試合を通して力強い左を出し続けるスタミナに加え、距離が近づいた際はさっさとクリンチにいく潔さ。
正直、こういう割り切りができる選手だとは思わなかった(何となく顔がw)ので、その点についてはめちゃくちゃ関心させられた。
身長165cm、リーチ168cmのアーノルド・ケガイに対し、ステファン・フルトンは身長169cm、リーチ179cm。サイズ的な優位性(特にリーチ)を目いっぱい活かした作戦でケガイの長所を抑え込んだのは文句なしにお見事だった。
相変わらずフルトンに絶対的な強さは感じないが、これならもしかしたらエマヌエル・ナバレッテともいい勝負をするかも? などと思い始めている。
急転直下のアンジェロ・レオvsトラメイン・ウイリアムズw アンジェロ・レオ思てたんとちゃう。ウィリアムズ結構苦労する?
ケガイは今回は仕方ない。さっさと切り替えよう。そして、村田諒太のような成長を見せてください
また敗れたアーノルド・ケガイについては、もう仕方ないなと。
2018年10月の村田諒太vsロブ・ブラント戦もそうだが、相手のパンチをブロックしてからアクションを起こす攻防分離タイプがこういう負け方をするのはある程度想定せざるを得ない感じ。
11、12Rと自ら前に出て腕を振っていたのを観て「最初からそれをやれよ」と思わないでもないが、早いラウンドで仕留められなかった場合はあっという間にガス欠を起こす。今回のような大事な試合でいきなり全力で勝負をかけろというのはやはり無理がある。
連打で先手を取られまくり、リズムに乗れないままズルズルポイントを奪われの完敗。再戦すればどうなるかはわからないが、今回に関してはさっさと諦めて切り替えた方がいい。
そういう意味で言うと、改めてロブ・ブラントとの再戦を制した村田諒太はすばらしかった。
連打と横の動きについていけなかった初戦を受けて、1Rから鬼気迫る表情での猛ラッシュによるTKO勝利。
恐らくあの試合で一皮むけたのだと思うが、初防衛戦となったスティーブン・バトラー戦での力強さにはちょっと驚かされた。
「村田覚醒? 強敵バトラーを壮絶左フックで5RTKO。ついに自分の馬力に気づいちゃったか?」
これまでは最大2発で終わっていたコンビネーションが3、4発と増え、1発1発の威力も両立しているので反撃する余裕も与えない。
ロブ・ブラントVol.2での勝利で自分の馬力に気づき、続くスティーブン・バトラー戦で初回から飛ばしても息切れしないさじ加減を身につけた。
いわゆる「負けを糧に成長した」というヤツで、あの試合のコンディションを維持できればゲンナジー・ゴロフキンに勝てる可能性も十分あると思っている。
そんな感じで、アーノルド・ケガイも今回の敗戦にめげずに一段成長してくれればと勝手に期待している。
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