オスカー・デラホーヤvsアイク・クォーティ。観ないと人生損する名試合。スーパースターのベストバウト【結果・感想】
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ここ最近、DAZNのボクシングカテゴリーに「過去の名試合」と題して1990年代〜2010年代にかけての名試合がアップされている。
2007年のマニー・パッキャオvsアントニオ・バレラ戦や、2010年のフロイド・メイウェザーvsシェーン・モズリー戦など。どんな試合だったかがパッと思い出せるようなラインナップで、ニワカww な僕にとっても嬉しい限りである。
中でも注目なのが、1999年2月のオスカー・デラホーヤvsアイク・クォーティ戦。
ネバダ州ラスベガスにあるトーマス&マックセンターで行われたWBC世界ウェルター級タイトルマッチ。
結果は2-1(116-112、116-113、114-115)の判定でデラホーヤの勝利で終わったが、試合は期待に違わぬ大接戦が繰り広げられる。
「黄金の中量級」と呼ばれた1980年代の名勝負、シュガー・レイ・レナードvsトーマス・ハーンズ戦にも匹敵すると言われるほどの好試合となった。
「信じる心が拳に宿る。ドネアが井上尚弥に敗れるも、12Rの大激闘。敗者なきリングに感動しました」
80年代〜90年代前半のボクシングをよく知らないんですよね。辰吉丈一郎よりも畑山隆則の方が印象が強い
まず僕は「黄金の中量級」と呼ばれた80年代のボクシングをよく知らない。
伝説のレナードvsハーンズ戦も観ていないし、ハグラー、デュランがそこにどう絡んできたのかもいまいち把握していない。
また、一番強いと言われたカス・ダマト時代のマイク・タイソンもよく知らない。
日本で言えば、1994年の辰吉丈一郎vs薬師寺保栄戦もいまいちピンとこず。いまだに語り草になるほどの試合である意味も実はよくわかっていない。
ボクシングを観始めた時期の問題だとは思うが、はっきり言ってクソニワカww な人間である。
「アイク・クォーティのバズーカが朴政吾を粉砕。寒気がするほどの一方的なタコ殴りに絶望した話」
そういう意味では、僕の中ではシュガー・レイ・レナードよりも断然オスカー・デラホーヤ。辰吉丈一郎よりも畑山隆則。
今回のデラホーヤvsクォーティ戦同様、辰吉vs薬師寺戦より1999年の畑山隆則vs崔龍洙Vol.2への思い入れの方がはるかに強い。
この2試合に2003年のロイ・ジョーンズJr.vsジョン・ルイス戦を加えた3試合が、1990年代後半〜2000年代前半の個人的なベストバウトである。
やっぱりデラホーヤvsクォーティ戦がベストバウトかな。観ないと人生損するレベルで
上記の中でもNo.1の名試合だと思っているのが、やはり1999年のオスカー・デラホーヤvsアイク・クォーティ戦。
スタイリッシュでインテリジェンスに溢れたデラホーヤと、「バズーカ」の異名をとった剛腕で勝利を重ねたクォーティ。
ともに無敗で全盛期の両者が絶好のタイミングで遭遇し、期待通りの大熱戦を繰り広げた。
見るからに硬そうなジャブでガードを揺らすクォーティに対し、多彩な左とハイスピードな連打で対抗するデラホーヤ。
それに触発されるようにクォーティが自らガードを下げ、火花が散るような打ち合いを展開する。
「オールタイム・ベストの幕引き。元PFPロイ・ジョーンズ引退。スコット・シグモンに3-0の判定で有終の美を飾る」
張り詰めた緊張から一瞬の爆発。
達人同士の居合い斬りのような空気感。
両者の拳がお互いの顔面を跳ね上げ、ギリギリの射程内での攻防が繰り広げられる。
マジな話、ここまでの熱狂はそうそう味わえるもんじゃない。
これに匹敵する試合としては、近年では2018年のカネロvsゴロフキンVol.2くらいか。
特に6R中盤にダウンを奪ったクォーティの左。
あのクロス気味のアッパーは何度観ても鮮やかすぎてヤバい。思わず目ん玉が飛び出そうになるほどに。
「歴代PFPが〜」とか「今の選手に比べれば〜」みたいな話は関係ない。
あくまで自分基準だが、あれだけテンションが上がる試合にこの先どれだけ出会えるか?
久しぶりにフルラウンドを観たが、改めてすごかった。観ないと人生を損する(かもしれない)レベル。
デラホーヤの主人公感。こういう生まれながらの主人公っているんだよな
そして、何と言ってもデラホーヤの主人公感ね。
甘いマスクにエレガントな佇まい。
知的かつエキサイティングなファイトスタイルに加え、吸いこまれそうな笑顔に爽やかなコメント。
しかも、来日の際は秋葉原でちょんまげのカツラをかぶってはしゃぐというお茶目さも忘れない。
まさしく絵に描いたようなスーパースター。
今でこそカネロのわがままに振り回されたり、メイウェザーと低レベルな舌戦をしたりとおもしろおじさん化しているが、当時のキラキラっぷりは誇張抜きですごかったと思う。
シェーン・モズリーとかいうデラホーヤ戦の9Rですべてを使い切った男。天才肌脳筋ワンマン短距離型最強全盛期クソ短いけど試合超おもしろいマン
ボクシング界で言えばモハメド・アリやシュガー・レイ・レナード。
バスケ界で言えばマイケル・ジョーダンやコービー・ブライアント、レブロン・ジェームズ。
陸上界で言えばカール・ルイスやウサイン・ボルト。
野球界で言えばベーブ・ルースや長嶋茂雄。
サッカー界で言えばキングカズやクリスティアーノ・ロナウド。
冗談でも何でもなく、全盛期のデラホーヤは各界の歴代スターに匹敵するほどの主人公だったのではないか。
というか、いるんだよな。こういう生まれながらの主人公って。
理由はわからないけど、なぜか時代がそいつに味方する。
本人の実力はもちろん、自然と道が開いて気づけば真ん中に立っている謎現象。
理屈じゃなく、世の中ってそういうふうにできてるんだよ。
文句なしのキャリア。数々の強敵と全盛期を外さずに対峙した。ただ一つの例外を除いては…
実際、この時期のデラホーヤは文句のつけようのないキャリアだったと思う。
フリオ・セサール・チャベス、パーネル・ウィテカー、ヘクター・カマチョに引導を渡し、最強挑戦者アイク・クォーティを撃破。2度にわたるシェーン・モズリーとの激闘や、アルツロ・ガッティ、フェルナンド・バルガス戦でのKO劇など。
1995年から2003年までの華やかさは他の追随を許さない。
特に全盛期を外さずにクォーティ、モズリー、バルガスの3人と対戦した実績はお見事としか言いようがない。
力が落ちた2004年以降もバーナード・ホプキンス、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオと、最後の最後まで望まれる相手とのマッチメークに前のめりで突き進んだ。
繰り返しになるが、まさしく稀代のスーパースターである。
「ロマチェンコ階級の壁? ペドラザに粘られ、久しぶりの判定で王座統一。てか、サイズ差に苦労してるよな」
ただ一つの例外、フェリックス・トリニダード戦を除いては。
1999年9月に行われたIBF&WBC世界ウェルター級王座統一戦。
WBC王者オスカー・デラホーヤが、IBF王者フェリックス・トリニダードをラスベガスに迎えたメガマッチである。
当時デラホーヤが31戦全勝、トリニダードが35戦全勝。両者ともにまさしく今が絶頂期で、なおかつ同い年。しかもどちらも前戦が5月。試合間隔を含めたタイミングも完璧である。
実績、実力、人気すべてを兼ね備えた王者同士の統一戦、それが激戦区のウェルター級であっさり実現した事実。もはや、この10年を代表する名試合になること間違いなしだったのだが……。
それがまさか、あんな放送事故レベルの凡戦が生まれるとはww
最終ラウンドに劣勢のデラホーヤが足を使って時間稼ぎするマヌケな光景は、いまだに僕の脳裏にはっきりと残っている……。
まあ、そういう拍子抜けもひっくるめてスーパースターだったのかもしれないけどね(え?)
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