ジャーボンティ・デービスvsライアン・ガルシア。序盤物量勝負を仕掛けたガルシアはよかった。でもデービスの嗅覚、精度が高すぎる【結果・感想】
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2023年4月22日(日本時間23日)、米・ネバダ州で行われた136ポンド12回戦。現WBA世界ライト級レギュラー王者ジャーボンティ・デービスとライアン・ガルシアが対戦し、7R1分44秒KOでデービスが勝利した試合である。
無敗の倒し屋同士のビッグマッチということで注目を集めた今回。
いろいろな方が各所で展望を語るなど、2023年上半期におけるNo.1のビッグマッチといっても過言ではないほどの盛り上がりを見せていた。
だが、僕はこの試合にいまいち食指が動かず。
やっていれば観るけど前のめりで食いつくほどでもない。
当日も当たり前のように外出しており、結果を知った上でようやく視聴を終えたところである。
てか、この2日ほど体調をおかしくしておりまして。
黄砂だかPM2.5だかの影響で鼻水と喉のイガイガと目のかゆみがえげつない。
鼻炎薬を飲もうが顔を洗おうがマスクをしようがまったく効果なし。
「ひょっとしたらついにコロナか?」とも思ったが、熱はない、食事は旨い、自分の屁は臭い()のでそこは大丈夫そう。
毎年どこかで必ずこういう状態に陥るのだが、今年はそれが4月下旬にきたということで。
なので、今回はあまりテンションが高くない&体調最悪な状態での感想ということを加味していただければ幸いです。
ジャーボンティ・デービスvsフランク・マーティン。vsサウスポーの経験が少ないマーティンとエクトル・ガルシアをKOしたデービス。近場の打ち合いでどうなるか? かな
- 1. ライアン・ガルシアが勝つには前半。デービスの警戒心をどこまで煽れるか
- 2. フットワークのないガルシアに出入り勝負は難しい。普通に考えればデービスのKOが濃厚?
- 3. ライアン・ガルシアはがんばった。開始直後からのプレッシャー、2Rの連打勝負
- 4. デービスの超絶カウンター。ガルシアのラッシュはよかったけど、あそこであの左が飛んでくるかね
- 5. ダウン以降、ガルシアの足が止まったのが…。序盤にビビらせる→一気に攻め落とすを逆にやられてしまった
- 6. 6Rに再び勝負をかけるガルシア。そうそう、勝機を見出すにはどっちが先に当てるかのギャンブルを繰り返すしかない
- 7. できることをやり尽くして沈んだライアン・ガルシア。でもデービス攻略には出入りの足は必須かな
ライアン・ガルシアが勝つには前半。デービスの警戒心をどこまで煽れるか
まず、数日前に大急ぎで考えた展望は下記。
ライアン・ガルシアがジャーボンティ・デービスに勝つには? 序盤でデービスをビビらせるしかないんじゃない? 後半までいったらどこかで大の字になりそうな
・デービス攻略にはハンドスピード、フットワーク、射程外からのカウンターが有効
・上記3つのうち2つを兼ね備えている必要がある
・だが、ガルシアはハンドスピード以外は微妙
・後半になると対応される恐れがあるので、ガルシアが勝つには前半
・早い段階でデービスの警戒心を煽ることができれば
・ハンドスピード? 身体の大きさ? 1発の威力? とにかく先手を取ることが重要
・それができない場合は中盤〜後半にデービスの1発をもらう可能性が高い
・勝敗予想はデービスの9RKO勝利
・どちらが勝ってもいいけど、ガルシアの吹っ切れた姿に期待する
過去、ジャーボンティ・デービスを苦戦させた選手(僕が思う)は
・ホセ・ペドラサ
・ユリオルキス・ガンボア
・レオ・サンタ・クルス
・イサック・クルス
の4人。
イサック・クルスは突進力、近場の回転力でデービスのカウンターを封じた。
ホセ・ペドラサはハンドスピードとフットワーク、ガンボア、サンタ・クルスは射程外からのカウンターと出入り、アングル調整を駆使してデービスをもたつかせた。
どの選手も勝利には至らなかったが、攻略の糸口は示した(と思う)。
フットワークのないガルシアに出入り勝負は難しい。普通に考えればデービスのKOが濃厚?
だがライアン・ガルシアが上記の作戦を実行できるとは思えない。
特にこの選手のフットワークのなさはちょっと厳しい。強いパンチを打つには相手の正面に立たなければならず、それはデービスのカウンターが当たる位置に長く留まることでもある。
なので、ガルシアがデービスのカウンターを封じるには馬力でねじ伏せるのが一番。
危険地帯だろうがお構いなしで立ち入り、持ち前のハンドスピード&身体の強さで押し潰す。
物量勝負と1発の威力でデービスが危険を感じるようならガルシアにも勝機が生まれる。
問題はそれをやれるだけの割り切り、恐怖を乗り越える思い切りのよさをガルシアが発揮できるか。ここが今回の見どころになるのではないか。
でも、普通に考えればデービスのKO勝利が濃厚じゃない?
だいたいこんな感じである。
ライアン・ガルシアはがんばった。開始直後からのプレッシャー、2Rの連打勝負
試合の感想だが、なかなかおもしろかった。
当初あまり食指が動かなかったと申し上げたが、最初のハードルが低かった分楽しめたというか。
展開は想像の範疇を超えなかったものの、両者の1発がどこで炸裂するか? というヒリヒリ感は最後まで消えることはなかった。
とりあえずライアン・ガルシアは相当がんばったと思う。
勝機を見出すには前半勝負、連打と圧力でデービスの警戒心を煽るしかないと申し上げたが、その通りのことをしようとしていた(気がする)。
開始直後からガードを上げて距離を詰め、ジャブでデービスのガードを弾く。
体格差、前に出る馬力を活かしてペースを奪いにいく。
実際、これはうまくいっていた(と思う)。
デービスはガルシアの正面に立たないように常に左右に動いていたし、ガルシアのスイングに合わせてクリンチを繰り返していた。
「コイツと真正面から打ち合うと危ない」と感じさせることはできていたのではないか。
そして、2Rに入るともう1歩中に入って初弾のジャブor右ストレートを起点にラッシュを浴びせる。クリーンヒットこそないものの、防御に回ると亀になるデービスの癖をうまくついてみせた。
スコアカードを見ても1Rはガルシアのポイントだったし、2Rに意図的にペースを上げたのも素晴らしい。
「この相手には序盤勝負」「なるべく早いラウンドで流れを掴む必要がある」と僕が思っていたそのままの立ち上がりである。
カネロvsジョン・ライダー感想。ダウンで吹っ切れたライダーの健闘。カネロが下降線に入ったという意見には同意せざるを得ないな。切ないけど
デービスの超絶カウンター。ガルシアのラッシュはよかったけど、あそこであの左が飛んでくるかね
だが、やはりそこはジャーボンティ・デービス。
連打の切れ目を狙ってドンピシャの左を顔面に叩き込む。
これをもらったガルシアは後ろに吹っ飛ばされるように尻餅をつく。
う〜わ、すげえなオイ。
マジかよ……。
この選手の一瞬の爆発力、カウンターのタイミングは本当にとんでもない。
いくらライアン・ガルシアの連打が凄まじいといっても永遠に打ち続けられるわけではない。
また、懐に潜られてクリンチされればどうしても糞詰まりを起こす。
そして、そのわずかな間隙を塗ってあの左をねじ込んでくるのだからシャレにならん。
展望記事でも申し上げたようにライアン・ガルシアは強いパンチを打つには足場を決める必要がある。その分相手の危険地帯に留まる時間も長くなる。
ホセ・ペドラサのように“打っては離れて”ができない分、カウンターの餌食になる可能性は高い。
ジャーボンティ・デービスvsエクトル・ルイス・ガルシア。ガルシアってライアンじゃない方か笑 ルイス・ネリ同様、vsサウスポーが得意なタイプだったけど。8Rの猛攻でギブアップ
開始早々の物量勝負、そこからラッシュにつなぐ作戦はよかったが、ヒット自体はあまり多くない。
どこかでデービスの動きが止まるくらいのクリーンヒットが入っていれば流れは変わっていたかもしれないが、それができなかったライアン・ガルシアとそれができるジャーボンティ・デービスの差が出たのだろうと。
ダウン以降、ガルシアの足が止まったのが…。序盤にビビらせる→一気に攻め落とすを逆にやられてしまった
そしてダウンを喫して以降、ガルシアの足が止まってしまったのが痛かった。
相変わらずガードを上げてプレッシャーをかけるガルシアだが、1、2Rほどのガツガツさはない。
それどころか若干腰が引けたジャブ、デービスが前に突き出した右を気にするなど、カウンターの1発を警戒しているのが丸わかり。
ああ、アカン。
それはアカン。
もともとこの選手はジャブを起点に攻撃を組み立てていくタイプ。
速射砲のようなジャブで相手を怯ませ、ハンドスピードを活かした連打につなぐのがいつもの勝ちパターンである。
だが、サウスポー相手にはそのジャブがあまり機能せず、むしろ馬力でねじ伏せてきた感が強い。
前回のハビエル・フォルトゥナ戦などはその典型で、僕もデービスに勝つにはアレをやるしかないと思っていた。
ライアン・ガルシアvsハビエル・フォルトゥナ。ライアン・ガルシアの強者のメンタル? 相手をリスペクトし過ぎて卑屈になるな。打倒ジャーボンティ・デービス筆頭かも?
ところが2Rに喫したダウンによって気持ちが後ろ向きに。
サウスポーのデービスを中間距離の差し合いで上回るのは難しい。
また、あのへっぴり腰ではデービスの踏み込みを鈍らせることは不可能である。
ダメージの影響もあったとは思うが、「序盤で相手をビビらせる→そこから一気に攻め落とす」を逆にやられてしまったのが……。
6Rに再び勝負をかけるガルシア。そうそう、勝機を見出すにはどっちが先に当てるかのギャンブルを繰り返すしかない
それでも6Rに入ると再び前に出て腕を振るライアン・ガルシア。
2R同様、初弾のジャブを起点に中に入り、打ち下ろし気味の連打をデービスに浴びせていく。
時おり放つ左ボディも凄まじいスピードで、このペースを維持できれば何かを起こせるかも? と思わせるパフォーマンスだった。
そうそう。
結局ライアン・ガルシアはこれしかないんですよね。
ハンドスピードと身体の大きさを活かした物量勝負。自分からゴリゴリ攻めて“どっちが先に当てるか”のギャンブルを繰り返す。
少なくとも中間距離でのジリ貧を続けるよりもはるかにいい。
最後の左ボディはアレだ。
もう仕方ない。
あのタイミングでアレを打たれたなら諦めるしかない。
そもそも近場でのパンチの精度に差があったしデービスはパリングもかなりうまかった。
ガルシアが勝機を見出すにはあの作戦しかなかったが、それでも全局面でデービスが一枚上手だったということか。
できることをやり尽くして沈んだライアン・ガルシア。でもデービス攻略には出入りの足は必須かな
デービスの警戒心を煽るために前半から飛ばして物量勝負を仕掛ける。
ダウンを喫したあとは中間距離で耐えつつダメージの回復に努める。
そして6Rに再びペースアップ。
勝つためにはKO、短期決着が最良であることを自覚し、その作戦を忠実に実行した。
負けはしたが、自分にできることをやり尽くしたライアン・ガルシア。個人的にめちゃくちゃがんばったと思っているのだが、どうだろうか(いや、がんばるに決まってるんだけど)。
もともと実力差があると思っていた両者だが、その中でも健闘した部類に入るというか。
ジャーボンティ・デービスvsローランド・ロメロ。デービスの動きがちょっと悪かった? ロメロの作戦がハマったけど、タイミングを覚えられてからが…
まあでも、デービス攻略にはやはりフットワーク、スピーディな出入りが必須な気はしたかな。
この選手は打ち合いでの獰猛さ、一瞬の隙を突く嗅覚が高すぎる。
足を止めての打ち合いを挑むとどこかで必ずカウンターの餌食になる。
最後のボディなんて何が起きたのかわからなかったしね。
スローで確認してようやく「おおう…、これはキツいわ」と。
そういう意味でもS・フェザー級のワシル・ロマチェンコならいけたんじゃねえか? と思っているんですけどね。
今さらあり得ない話だけど。
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