デービスvsベドラサ感想。どうもピンとこない。新スター候補デービスが7RKOでペドラサを一蹴して初奪還。でも「よくわからん」【結果】

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チョーライメージ
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2017年1月14日(日本時間15日)に米・ニューヨーク州バークレイズ・センターで、IBF世界S・フェザー級タイトルマッチが行われた。

同級王者ホセ・ペドラサにランキング8位ジャーボンティ・デービスが挑んだ一戦は、スピーディな攻防の末にデービスが7R2分36秒TKO勝ち。メイウェザーの秘蔵っ子として期待されるデービスが無敗対決を制し、念願の王座奪還に成功した。

スイッチの得意な技巧派王者に挑んだデービス。当初は不利予想も伝えられていたが、持ち前のスピードとカウンターの威力を発揮して序盤からペドラサを圧倒する。

「フランシスコ・バルガスvsミゲール・ベルチェルト予想。豪打のメキシカン対決勃発。ベルチェルトねえ……」

中盤ペースを掴まれかけるものの、ペドラサが失速した6Rに顔面にパンチを集めてリズムに乗る。7Rもそのままの勢いで連打を浴びせ、強豪王者を沈めて勝利。大歓声の中、勝ち名乗りを受ける。

スターの資質をたっぷり見せつけたデービスは、これで戦績を17戦全勝16KOとした。

「カネロ・アルバレスvsチャベスJr.決定! ビバ メヒコ! 大絶賛の時間だあああぁぁぁ!!」

激戦区のS・フェザー級にまた1人スター候補誕生。その名はジャーボンティ・デービス

デービス勝利!!
メイウェザーの秘蔵っ子がスターダムに駆け上がる!!

衝撃的なKOで、メインのバドゥ・ジャックvsジェームス・デゲール戦を完全に食った感のあるこの試合。
メイウェザーのお気に入り、ジャーボンティ・デービスが衝撃的なKOで王座初奪還に成功した。

ちなみにこの選手、呼び方がまちまちでよくわからない。

ジャーボンティ?
ジェルボンテ?
ゲルボンタ?

確かに「Gervonta」を日本語に変換するのは難しいよね。
一応WOWOWエキサイトマッチでは「ジャーボンティ」と呼んでいるようなので、それに合わせておきますか。

いやしかし。
この試合のインパクトは相当だったようで、各所でデービスへの賞賛が止まらない。
敗れたペドラサも文句なしの実力者。王者の実力をいかんなく発揮した上での敗北ということで、まさしく「メイン食い」の一戦というヤツである。

「【閲覧注意】バドゥ・ジャックvsジェームス・デゲール感想。体調整えて気合い入れて観るべし」

絶対王者と言われた内山高志の陥落。
異次元の強さを見せるロマチェンコ。
そして、メイウェザーの秘蔵っ子ジャーボンティ・デービス。
王座返り咲きを目指して決定戦に挑む三浦隆司を含め、S・フェザー級のトップ戦線はマジで目が離せない。

「ロマチェンコ完勝! ウォータースあへあへギブアップで余裕の防衛成功!! 階級アップで覚醒した天才ロマチェンコ」

デービスってそんなに大絶賛するほどよかったか? せいぜい強化版アンドレ・ベルトくらいじゃないか?

壮絶なKO勝利でインパクトを残したジャーボンティ・デービス。
野性的でド派手なスタイルに加え、歯に衣着せぬ強気な言動。
次世代のスター候補への期待は高まるばかりである。
 
「インドンゴがバーンズ討伐を果たして王座統一。おもしれえ試合ww 野生動物のようなインドンゴにビックリ」
 
ちなみにだが、この選手に対する僕の印象は「これ、そんなにいいか?」

ひねくれているわけでも、貶したいわけでもない。
デービスに対しての悪感情はまったくない。
それを踏まえた上で、この選手がそこまでぶっ飛んでるとは思わない。

スピードもある。
パンチのタイミングと威力も抜群。
見切りもすばらしい。
持って生まれたセンスの高さは間違いない。

「ベルチェルト勝っちゃったw バルガスを流血ストップで王座奪還!! 三浦vsベルチェルト最高じゃねえか」

加えて、全身から発せられる華やかさ。
人気選手になる要素はすべて兼ね備えたスター候補。
どこから見ても文句なし。

それでも、なぜかピンとこない
 
「はあ、ラッセルたん…。エスカンドンを接近戦で圧倒して勝利!! この試合好き過ぎて、もう5回くらい観てるw」
 
すばらしい選手であることに異論はない。
だが、そこまで大絶賛するほどか?

これは以前から思っていたのだが、正直まだ素材の段階を抜けていない気がする。そして、今回の試合を観てもその印象はあまり変わっていない。

「天才三浦隆司がミゲル・ローマンの努力を牛耳るからまあ見とけ。S・フェザー級トップ戦線生き残り」

何度も申し上げるが、すごいことはわかる。
とはいえ、現状ではせいぜい左構えの強化版アンドレ・ベルト
ポテンシャルをフルに開放したとして、エイドリアン・ブローナーの下位互換がMAXといったところではないだろうか。

「メイウェザー、やっぱり判定勝ち!! 現役ラストの試合でも挑戦者ベルトに何もさせず」

う〜〜ん……。
具体的に言語化できないのが辛いのだが、ひと言で言うと「もの足りない」

いや、素材型でアンドレ・ベルトを上回っているならすごいとは思うのだが、ちょっと持ち上げられ過ぎじゃないの? という意味で。
 
「は? ソーサがロマチェンコに勝てるわけねえじゃんかww え? 棄権した? よし、批判の時間だあああああ」
 
恐らくこれは、僕の精神状態も大きく関係しているのだろう。
前日に観たエリスランディ・ララの試合があまりに完璧だったせいで、目が贅沢になっている感が強い。
省エネかつダーティに相手を撃沈させたララと、全身に力を入れてガチガチのフルスイングを繰り返すデービス。両者の対照的なスタイルを目の当たりにして、デービスの燃費の悪さを受けつけなかった。のかな?

「エリスランディ・ララvsフォアマン感想。ムカつくけどすげえ。ララがダーティ、正当両面でフォアマンを圧倒」

流れが二転三転した試合。最後はペドラサの失速を見逃さなかったデービスが見事に仕留める

そして、惜しくも敗れたホセ・ペドラサについて。

こちらはアレだ。
完全な戦略ミスだ。

というより、調子こき過ぎだ。

試合の大ざっぱな流れとしては、

1、2Rのペドラサは、体格差を活かして間合いを詰める作戦。
対するデービスは身体能力抜群のフリースタイルで迎撃。ヒット数でペドラサを上回る。

「そうか、ベルデホアカンか。オリバー・フローレスを持て余してタイトルマッチに不安を残す」

3Rに入ると、これまでガチガチに間合いを詰めていたペドラサがほんの少し距離をとる。
序盤でリズムを掴んだデービスは、その勢いのままペドラサを翻弄する。

そして4R。
デービス失速。
これを見て、ペドラサは一気にペースアップする。
中間距離での差し合いでペドラサに流れが傾く。
デービスのガードの間からスピーディな連打を見舞う。

5Rに入ると、ペドラサの勢いがさらに増す。
完全にリズムを掴み、声を発しながら左右の連打を顔面、ボディへ打ち分ける。
デービスも野性的なパンチで応戦するが、体力切れのために連打が続かない。
 
「アントニオ・オロスコvsケアンドレ・ギブソン予想。ついに復帰戦キタ!! オロスコさんの栄光への道が再スタート」
 
ペドラサが主導権を握って迎えた6R。
ここでペドラサ失速。
いきなり手数が激減する。
足は前に出るが、上半身の動きが目に見えて鈍る。

「アントニオ・オロスコさんが世界チャンピオンになるには? S・ライト級のホープも29歳。2017年が勝負の年」
 
このタイミングでデービスが復活する。
4、5Rを耐えに耐えた分、野性的な連打とフットワークが戻る。
序盤ほどではないが、ガス欠状態のペドラサには十分な効果を発揮する。

6R。
すでに足が言うことを聞かず、上半身の動きでパンチをかわすことしかできないペドラサ。
最後はデービスの連打を立て続けに被弾し、尻餅をつくようにダウン。そのままレフェリーストップ。

「ゲイリー・ラッセルvsエスカンドンが楽しみすぐる。両方めちゃくちゃいい選手ですよねこれ?」

ペドラサ勝てた試合だった。なぜあそこでイキったの? どう考えてもオーバーペースでしょ

まあ、要は雑な試合である。

両者ともに無駄に動き回った末にガス欠でピンチを招き、デービスの方が少しだけ早く回復した。ペドラサは被弾数も含めて甚大なダメージを負い、中盤で力尽きた。その結果があの劇的KOにつながった。そういうことである。

そしてペドラサに関して言えば、普通に勝てた試合だった

正直、1、2Rの接近戦を続けていれば、そのままパワーでねじ伏せられたと思う。

マジな話、なぜ3Rから中間距離の勝負に切り替えたのだろう。
確かにデービスにはスピードがあった。
だが、あれだけ力み返ったフルスイングが12R続くわけがない。それこそ、致命打さえ食わないように気をつけていれば、デービスが勝手にバテてくれる。

「鉄拳爆発!! ジャーマル・チャーロがテクニシャンウィリアムスを豪腕で沈める!! 5RKOで2度目の防衛」

現に4、5Rのデービスは思いっきり失速していたではないか。
「このままじゃスピード差で負ける」とテンパったか?

さらに言うと、4、5Rは調子こき過ぎだ。
デービスがバテたおかげでせっかく流れがきたのに。あんなハイテンションで動き回ればあっという間にガス欠するに決まってる。

劇的なKO負け?
いや、そりゃそうでしょとしか言いようがない。

どうした、おい?
ペドラサってあんなヤツだったっけ?
僕はてっきり、もう少しクレバーな選手だと思っていたのだが。
イキった小僧に触発されちゃったか?
 
「ブローナー(笑)vsグラナドス感想。エイドリアン同士のキャッチウェイト対決はブローナーの辛勝」
 

エリスランディ・ララとのコントラストがすご過ぎた。この2試合を立て続けに観たせいで、両者の違いが顕著に感じられてしまった

何度も言うが、ジャーボンティ・デービスはいい選手である。
そして、将来のスターを期待されるホープが十分なインパクトを残したこの試合を否定するつもりもまったくない。無敗王者の実力も随所に見られたし、誰が何と言おうとエキサイティングだった。

だが、エリスランディ・ララのプロフェッショナルな“仕事”に感動したせいで、この試合がツギハギだらけの大味なものに見えてしまったことも事実である。

いっさい無駄がなく洗練されたエリスランディ・ララと、大ざっぱで雑なジャーボンティ・デービス。淡々と仕事をこなす職人とイキり倒した原石。

語彙が貧弱なせいで非常にもどかしいのだが、あまりに両極端な試合内容に唖然とさせられた次第である。

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