渡邉卓也vs三瓶数馬、高山涼深vs千葉開、鈴木雅弘vs利川聖隆振り返り。PPV3000円はアリだと思ったよね【2021.10.30後楽園ホール感想】

渡邉卓也vs三瓶数馬、高山涼深vs千葉開、鈴木雅弘vs利川聖隆振り返り。PPV3000円はアリだと思ったよね【2021.10.30後楽園ホール感想】

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2021年10月30日に東京・後楽園ホールで行われた「A-SIGN BOXING & DANGAN244」を現地観戦してきたのは先日申し上げた通り。
 
富岡樹vs藤田裕崇戦、大激戦にテンション上がりまくり。富岡選手は残念だったけどナイスファイト。藤田選手の今後に期待
 
第1試合の富岡樹vs藤田裕崇戦を観るために出向いたわけですが、今回はその他の試合について。
 
・渡邉卓也vs三瓶数馬(S・フェザー級8回戦)
・高山涼深vs千葉開(53kg契約8回戦)
・鈴木雅弘vs利川聖隆(ライト級8回戦)
 
の3試合の感想です。
 

 
前置きが長くなってもアレなので、さっそくいきたいと思います。
 

○渡邉卓也vs三瓶数馬×(2R2分57秒TKO)

まずはこの試合。
 
三瓶数馬選手は今年6月の宮本知彰戦を現地観戦したのですが、その際のパフォーマンスが素晴らしくまた観たいと思っていた選手です。
 
遠藤勝則vs鯉渕健、三瓶数馬vs宮本知彰戦感想。無骨な一点突破の遠藤選手と覚醒? した三瓶選手の右リード
 
今回現地観戦を決めたのも、第1試合の富岡樹vs藤田裕崇戦に加えて三瓶選手の出場が決まっていたからというのもありました。
 
相手の渡邉卓也のことはまったく知らなかったのですが、とにかく三瓶選手の試合が楽しみだなと。
 
と思って渡邉選手のプロフィールを眺めたところ……。
 
戦績37勝10敗1分?
32歳で48戦のキャリア?
 
しかもこれまでタイや中国、香港など、いろいろな国への遠征経験も豊富とのこと。
 
おお、それはすごい。
当たり前だけど、選手それぞれにキャリアがあるんすね。
 
 
そして試合が開始されると、渡邉選手がまあ強い
身長177cmのサイズを活かして遠い位置から固そうなパンチをヒットし、今度は馬力と連打で三瓶選手をロープに追い詰めインファイトで圧倒していく。
 
長身サウスポーがファイタータイプの相手を懐に入らせないのと逆パターンというか、サウスポーの三瓶選手が自分の距離を作れない状況が続きます。
 
 
顔面に打つと見せかけて……。

 
ボディにズドン。

 
三瓶選手もボディを返しますが、渡邉選手は動じることなく打ち返します。

 
三瓶選手のダメージが深くなった2R後半にレフェリーが試合をストップしましたが、もうワンテンポ早くてもよかった気が……。
 
すげえなオイ。
前回あれだけのパフォーマンスを見せた三瓶選手をここまで圧倒するとは。
逆に三瓶選手は前手の差し合いで歯が立たなかったのが痛かったですね。
 
おもしろい試合が多かった今回の興行ですが、誰が一番強かったか? と聞かれれば断然渡邉選手を推させていただきます。
 

○高山涼深vs千葉開×(判定3-0 ※76-75、77-74、77-73)

続いてセミファイナルの高山涼深vs千葉開戦について。
 
千葉開選手は去年12月に墨田区総合体育館で初めて観たのですが、その際のスピーディな動き+駆け引きのうまさに「おお〜、いい選手やんけ」と思った経緯があります。
 
伊藤雅雪vs三代大訓、佐々木尽vs石脇麻生、坂井祥紀vs小畑武尊、千葉開vs石川春樹感想。満腹の虎がまさかの僅差判定負け
 
一方の高山涼深選手はちらっと映像で観て「何コイツ、超強そう」となり、今年7月の富岡浩介戦を見逃したのをめちゃくちゃ後悔していたところ。


キャリア的には千葉選手が上だけど、勝敗は普通にわからんぞと。
 
 
で、実際に試合を観て思ったのが「千葉開、サウスポー苦手そう」
 
石川春樹戦で見せた出入りの鋭さ、パンチの的確さは影を潜め、右の1発目から入るもののパンチにちっとも体重が乗らない。

 
逆に高山選手は高いガードでプレスをかけ、近場のコンビネーションで千葉選手を押し込んでいきます。

 
5Rの相打ちでも千葉選手の方がふっ飛ばされてダウンを喫しましたが、いまいちパンチに威力が乗らない分、打ち負けたのかなぁと。
 
 
7、8Rあたりでようやくvsサウスポーのタイミング、距離を掴んだ千葉選手ですが、残念ながらちょっと遅かった。
 
一度でもダウンを奪えていれば流れが変わったのかもしれませんが、高山選手の根性がそれをさせませんでした。
 
とは言え、高山選手もしんどい試合だったことは間違いなさそう。

 
強敵相手に8Rを完走できたことで、また一段レベルアップするかもしれません。
 
千葉開が栗原慶太にTKO勝利。千葉は完全にゾーンに入ったな。ゴングとともにコーナーから飛び出して前のめりで栗原を待ち構える姿が印象的だった
 

○鈴木雅弘vs利川聖隆×(判定2-1 ※76-74、76-74、77-74)

そしてメインイベント。
鈴木雅弘選手と利川聖隆選手による日本ライト級最強挑戦者決定戦です。
 
鈴木雅弘選手は今年6月の永田大士戦に勝利し、日本S・ライト級王座を戴冠した選手。後日タイトルを返上→適正階級のライト級で2階級制覇を狙います。
 
なおこの試合での勝ちっぷり、カウンターを軸とした攻防兼備のファイトが「亀海善寛にそっくり」だと思った選手でもあります。
 
シャクールvsナカティラ、鈴木雅弘vs永田大士、赤穂亮vs杉田ダイスケ振り返り。地獄のシャクールにあの名選手とそっくりな鈴木雅弘
 
相手の利川聖隆は初見だったのですが、現在4連勝中と絶好調。アマチュア時代に鈴木選手との対戦経験があるとのことで、こちらも注目でございます。
 
 
試合の感想としては、利川聖隆選手が惜しかったなぁと。
 
序盤は鈴木選手のジャブ、カウンター、見切りのよさを大いに持て余し、ダウンも喫した利川選手。
 
「これは中盤KOも十分あるな」と思って観ていました。

 
しかも鈴木選手はセコンドからの「右当たるぞ」「ボディ打て」「左のダブル」といった指示を直後にそのまま実行する。で、それがことごとくヒットするという。
 
テクニック的な部分でだいぶ差があるというか、鈴木選手からは「ちょっと遊び出したか?」という雰囲気すら漂っていました。
 
 
ですが、6Rに利川選手が強引に前に出始めたところから微妙に流れが変わります。
高いガードと低い姿勢でプレスをかけ、懐に入って右ストレート。これが顎の先端をかすめて鈴木選手がストンと膝をついてダウンを喫する。
 
このダウン以降、利川選手がペースアップして攻勢を強めます。
 
ただ、鈴木選手も押し込まれそうになるたびにガードの硬さと得意のカウンターで迎撃し、最後の詰めまでは許さず。最終的に僅差の判定勝利を飾りました。
 
 
いや〜、惜しかったですね利川選手。
僕の周りが鈴木選手の応援一色だったので、逆に利川選手を応援していたのですが。
 
ボディを攻めまくって、そこから上に1発ぶち込めばダウンが取れそうな雰囲気だったのが……。
 
ここで上を!!

 
ここで上!!

 
ここで!!

 
あの局面で身体を起こして右を振り抜く体力が残っていなかった印象です。
 
渡来美響vs柴田尊文、矢作海vs高橋世魁感想。渡来美響のほっときゃ出てくる感と矢作海の入念に準備を重ねて当日を迎えた感。どっちも好きっすね
 

PPV3000円はアリだと思ったよ。きっと対象とする層が世界戦とは違うんだろうね

なお今回のイベントに関しては、ライブ配信のPPV販売が話題になっていました。


価格は4試合で3000円(会員価格は2000円)。
 
先日のWBC世界L・フライ級タイトルマッチ、寺地拳四朗vs矢吹正道戦の購入価格2200円がかなり高いと言われていた(僕もそう思った)ことを考えると、世界戦も絡まない興行での3000円は相当強気です。


ただ、これに関しては個人的にそこまで無謀だとは思わない。強気なことには違いありませんが、それなりに勝算もあったのだと想像します。
 
上述の拳四朗vs矢吹正道戦がいわゆるライト層にボクシングを浸透させたい試合(だから2200円は高い)なのに対し、今回の4試合はもっとマニア向けのものだったのだろうと。
 
選手から直接チケットを買う層というか、それこそ4回戦から追い続けた選手の成長を喜んだり、日本ランキングの動向に常に注意を向けている人たち。
その中でも、たまたまこの日は現地観戦がかなわなかった人向けの配信という側面が強い。
 
そういう人たちなら少々値段が張っても「いいよ〜、そのくらいなら全然払うよ〜」とお金を出す(かもしれない)。
で、単価を高く設定しているのである程度売れれば採算はとれる。世界戦ほど運営費もかからないし、全然OKでしょといった計算が働いたのではないかと。
 

僕が購入するかと言われれば微妙かな。なぜなら…

なお、僕がこの値段でPPVを購入したかというと……。
 
正直、ちょっと難しいのではないかと思っております笑
 
 
僕が日本ランキングをこまめにチェックするような人間ではないのはもちろん、一番の理由はDANGANの配信がキツすぎるから。
 
DANGANの「BOXING RAISE」は僕も興味のある試合があればちょいちょい利用しているのですが、とにかく試合の真っ最中に映像がよく止まる。
 
しかもタイマー表示がない(ことが多い)せいで時間経過がわからず、毎回ストレスを感じながらの視聴となります。
 
亀田京之介vs奈良井翼、ティム・チューvsスパーク、ルビンvsロサリオ振り返り。京之介はあそこで打ち合いにいったのが素晴らしい
 
さらに今年7月のバンタム級日本タイトルマッチ、澤田京介vs定常育郎戦の中継に細川バレンタインと内藤律樹が解説として参加していたのですが、モゴモゴとしゃべるだけの聞くに耐えない配信だった記憶があります。
 
いや、大の男2人がコタツでみかんを剥きながらしゃべっているようなものを金を払って観る必要があるんか? と。
それなら試合映像を垂れ流すだけの方が全然マシですよOK?
 
 
で、後日2人してコロナに感染して「何やっとんねんお前ら笑」と。
 
内藤律樹なんて、決定していた試合が中止になってますからね。
 
「東洋太平洋Sライト級王者の内藤律樹がコロナ感染 5度目の防衛戦は中止」
 
あっという間に継続利用する気が失せた次第です。
 
 
今回の配信がどうだったかは不明ですが、諸々を踏まえるといくら興味のある試合でも3000円を払う気にはならなかっただろうなというのが本音でございます。
 
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