クロフォードがモリナに圧勝! でもスター候補がそれでいいのか? ホントに強いのかクロフォード。トップ中のトップとの対戦を待つ【結果・感想】

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ネブラスカ州イメージ
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2016年12月10日(日本時間11日)に行われたWBC、WBO世界S・ライト級タイトルマッチ。米国ネブラスカ州で開催された一戦は、同級統一王者テレンス・クロフォードが挑戦者ジョン・モリナを8R2分32秒TKOで下し、防衛に成功した。

「クロフォードキター!! 無敗統一王者がジョン・モリナと対戦。スピードスターがビッグマッチに向けて再始動」

これで戦績を30戦全勝21KOとしたクロフォードはWBCでは初防衛、WBOでは4度目の防衛を飾っている。

なお、この試合では挑戦者のジョン・モリナが前日の計量で3.4ポンド(1.36kg)オーバーしたため、クロフォードが敗れた場合は王座が空位になる条件で行われていた。

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計量オーバーのジョン・モリナを成敗!! クロフォードが貫禄の勝利を挙げる

クロフォード勝利!!
計量オーバーのモリナを怒りのKOに沈める!!

圧倒的有利と見られていたクロフォードが順当に勝利を挙げた。
挑戦者のモリナは好選手ではあるが、スピードとキレでは圧倒的にクロフォードが上。終始削られ続け、8Rに力尽きたという試合である。

恐らくだが、計量オーバーでタイトルマッチに水を差したモリナに怒りを覚えていた方も多いと思う。そして、クロフォードの見事なKO劇で多少は気が晴れたのではないだろうか。
 
「大激戦のバルテレミーvsキリル・レリク!! まさかの苦戦のダークヒーロー、バルテレミーはクロフォード打倒を果たせるか?」
 
「よくやったクロフォード。挑戦者のくせに計量オーバーをやらかす不届き者をよくやっつけてくれた」

見た目もスタイルも地味だが、とにかく全身から優等生的雰囲気を漂わすクロフォード。
この選手に好感を持っているボクシングファンは多いような気がする。
 
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そっち側の勝ち方でしたかクロフォード。もう少し打ち合いでねじ伏せて欲しかったが

今回の試合、個人的な感想を申し上げると、
「やっぱりそっちのパターンかクロフォード」
である。

正直、今回の試合にクロフォードが勝つのはそこまで難しいことではなかったと思う。
予想記事では「意外と厳しい試合になるかも」と申し上げたが、それでも何だかんだでクロフォードが勝つと予想していた。
モリナに多少攻め込まれるシーンはあっても、最後はクロフォードが翻弄して終わるだろう。

そして、ある程度その通りになった試合である。
勝敗予想はクロフォードの判定勝利だったが、蓋を開ければ8RでのTKO勝ち。思ったよりも一方的な展開だったが、まあそれも許容範囲である(何様?)。

理由はもちろんはっきりしている。
クロフォードが足を使って動き回れば、モリナはついてこられない
そういうことである。
 
「ガンボアvsカステリャノス感想。ガンボアの身体がデカ過ぎてアレだった。ところで内山の今後は?」
 
モリナの最大の持ち味は至近距離でのフルスイング。逆に言うと、力を発揮するには自分の間合いまで近づく必要がある。
つまり、クロフォードのやるべきはアウトボクシング。左右に動きながら遠い位置からスナッピーなパンチを打っていれば、モリナは何もできなくなる。

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モリナのプレスは確かに強力だが、クロフォードのさばきとピンポイントのジャブがあればどうということはない。スピーディなジャブを当てているうちにダメージが蓄積し、じきに疲弊する。
こんな予想をしていたわけだが、基本的にはその通りの展開だったのではないだろうか。

ただ、僕としてはこの展開は若干残念である。
もちろんクロフォードの勝利に文句をつける気はないが、できれば今回は打ち合いでモリナを上回ってもらいたかった。足を使ったアウトボクシングではなく、中間距離での打ち合いで勝利して欲しいと思っていた。

つまり、そういう意味での「そっちのパターンか」である。

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クロフォードは勝つために最適な方法を選択した。悪いとは言わないが、物足りない

右手を伸ばして相手の突進を妨げ、スペースができた瞬間にガードの間から左を打ち込む。
下がりながら相手の左に回り、右フックから返しのボディ。
大振りのフックをダッキングでかわし、ロープ伝いに距離をとる。
 
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足を止めずに終始動き続け、ガードの間からパンチを通しまくる。
プレスをかけて腕を振り回すモリナに対し、クロフォードが選択したのはアウトボクシング。勝利という結果を得るための最も効率的な方法である。

と同時に、前回の試合でビクトル・ポストル戦でも実行した戦法。いわゆる持久走作戦というヤツである。

「クロフォードがポストルに大差判定勝利!! ん? クロフォード圧勝? むしろポストル勝てたんじゃないのか?」

もちろん試合に勝つことが目的なので、ダメだと言う気はさらさらない。
ポストルと中間距離で打ち合っては分が悪いと判断したクロフォードが、勝利のために選んだ最適な作戦だったことも否定しない。

だが、テレンス・クロフォードは中量級の主役を期待される選手である。
そのクロフォードが、ポストルだけでなくモリナにもあの持久走作戦を選択したことについては、個人的にはちょっと残念だった。できることなら中間距離の打ち合いでねじ伏せてもらいたかったのだが。

実を言うと、序盤のクロフォードにはその気概が見られたのである。
計量オーバーに対する怒りかはわからないが、愚直に前進するモリナと正面から打ち合おうという気合いが感じられたのである。格の違いを見せつけて勝利してやるという思いがひしひしと伝わってきたのである。

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だが、それが続いたのも2Rまで。
3R以降、中量級の主役候補はきっちりとアウトボクシングに切り替え、安全な勝利を優先してしまった。

恐らくだが、モリナのパワーはクロフォードの想定をわずかに上回っていたのだろう。このまま打ち合いを続けて体力を消耗するより、スピード差を活かして遠い距離から削った方が確実だという判断が働いたのだ。

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スーパースター候補のクロフォードがそれでいいのか? あのアウトボクシングがトップ中のトップに通用するとは思えないんだが

申し上げたように、今回の試合のクロフォードは、足を使って削っていれば勝てた。それは明白過ぎるくらい明白である。そして「勝利」という2文字だけを考えれば、その選択が正しいことも確かである。

だが、スーパースターを目指す選手として正解かといえば、残念ながら「Yes」とは言い難い。

何度も言うが、クロフォードは中量級の主役を期待される選手である。
パッキャオの復帰戦に名前が挙がるなど、今後のマッチメークを楽しみにしているファンは多い。また、本人の口からロマチェンコとの一騎打ちを希望する発言も飛び出している。

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そんなトップ戦線のど真ん中を走ろうという選手が、ジョン・モリナを相手にああいう持久走作戦で勝ちに徹するのはどうなのだろうか。

とてもじゃないが、あの劣化版メイウェザースタイルでパッキャオやロマチェンコから逃げ切れるとは思えないのだが。
エイドリアン・ブローナー戦も期待されているが、ブローナーにもあのスタイルが通用するかは甚だ疑問である。

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確かにあれだけ動きながらもピンポイントで急所を打ち抜く一点集中の正確性はすばらしい。
刃物のような切れ味鋭いパンチをあれだけ的確に出し続けられる選手はなかなかいないと思う。
ただ、いかんせんメイウェザーと違って威圧感が足りない。
モリナがあれだけ躊躇なく前に出られているのを見る限り、カウンターに対する恐怖はそこまででもないのだろう。

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モリナを足止めできないアウトボクシングが、一段も二段も上のブローナーやロマチェンコに通用するとはどうしても思えない。また、パッキャオのプレスから12R逃げ切れる可能性も低いような気がする。

前回のポストル戦、そして今回のモリナ戦で見せた持久走作戦がクロフォードのMAXなのか。それとも、さらなる強敵と対峙することでもう一段上のポテンシャルを引っ張り出すことが可能なのか。
僕自身、このテレンス・クロフォードという選手がトップ中のトップの実力を持っているのか、それとも“普通の”トップクラスなのかの判断がつきかねている状況である。

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実は一番観たいのがロマチェンコvsブローナー戦。初めてスピード負けするブローナーの姿がちょっと楽しみ

今後、クロフォード絡みのマッチメークとして画策されているのは、

・クロフォードvsロマチェンコ
・クロフォードvsブローナー
・クロフォードvsパッキャオ

といったところだろうか。

特にクロフォードvsブローナー戦は期待する人が多いようである。

ただ、僕自身が観たいのは実はロマチェンコvsブローナー戦である。

「クロフォード関係ねえじゃねえかw」と言われそうだが、そんなことは関係ない。ただ単に僕が観たい。そして、キャリアで初めてスピード負けするブローナーを観てみたい。それだけの話である。

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もちろんウェイトの問題が解決すればの話だが、ロマチェンコ自身がパッキャオ戦を考えているのであればそこまで不可能ではないと思うのだが、どうだろうか。

まあ、ブローナーについては私生活がアレ過ぎるので、どちらかと言えばそっち側の懸念が大きいのだが。
いろいろ報道を聞いていると、「プロブレム」どころか「お前、単なる社会不適合者じゃねえかw」というツッコミを入れたくなるくらいのDQNぶりである。

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とにかくお前は無事にリングに立て。
その後でブチ込まれようが知ったこっちゃない。
試合前の3ヶ月だけはシャバにいろ。
マジでそんな感じである。

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