クロフォードさすが。カバロウスカスを9RTKO。もっと無双してほしかったけど。マジでミドル級に上げるの?【結果・感想】

クロフォードさすが。カバロウスカスを9RTKO。もっと無双してほしかったけど。マジでミドル級に上げるの?【結果・感想】

タイムズスクェアイメージ
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2019年12月14日(日本時間15日)、米・ニューヨーク州で行われたWBO世界ウェルター級タイトルマッチ。同級王者テレンス・クロフォードvs同級1位エギディウス・カバロウスカスの一戦は、9R44秒TKOでクロフォードが勝利。3度目の防衛に成功するとともにウェルター級進出以降、4連続TKO勝利を果たした試合である。
 
 
いつも通り立ち上がりから左構えで対峙するクロフォードに対し、カバロウスカスはガードを高く上げ、クロフォードの右リードに左カウンターを被せていく。
この左が顔面をかすめ、時おり右のストレートがクロフォードの側頭部を捉えるなど序盤はカバロウスカスのパワフルなスイングがクロフォードを上回る。
 
また、3Rには右フックを浴びたクロフォードが一瞬棒立ちになり、相手にもたれるように膝をつく。だが、これはレフェリーがスリップを宣告したためダウンを免れる。
 
 
ところが、4Rからクロフォードが徐々にペースアップ。
カバロウスカスの左にさらに右を被せ、そのまま左のフルスイングにつないでヒットを重ねる。
 
7R以降はガードを上げて自ら距離を潰し、近場でのパワフルな連打でカバロウスカスを追い詰めていく。そして計3度のダウンを奪い、最後はレフェリーストップを呼び込み勝利。見事3度目の防衛に成功した。
 
クロフォードvsポーター感想。クロフォードはカッコよくカウンターで倒したかったんだろな。ポーターの凄まじい方向転換に苦労
 
 

クロフォードの圧勝に期待してたけど、“ウェルター級の井上尚弥”ことカバロウスカスもよかったね

PFPランキング上位の常連であるテレンス・クロフォード。
ビッグネームとの対戦を求めてウェルター級に進出したものの、プロモーターの関係もありなかなか相手に恵まれず。次戦以降のミドル級進出を匂わせるなど、自身の不遇、不人気の打開を探る状況が続く。
 
 
今回の対戦相手であるエギディウス・カバロウスカスは2度のオリンピック経験を持つ強豪で、戦績21勝1分17KOの強打者。前戦では長身サウスポーのレイ・ロビンソンと引き分けたものの、それまではKOを量産するなど順調なキャリアを送っている。
 
特に強烈な左リードと全身のバネを活かした踏み込みを持ち味とし、個人的に“ウェルター級の井上尚弥”などと呼んでいる選手。2017年あたりから動向に注目しているが、かなりいい選手だと思う。
 
「リトアニアの井上尚弥、カバロウスカスがアバネシャンを6RKO」
 
ただ、それでもクロフォードに勝つのは難しい。
両者の過去の試合を観る限り、今回はクロフォードが無双する可能性が高い。というより、クロフォードはこの試合に圧勝するくらいでないとPFP上位としてはダメなんじゃないの?
 
そんな感じで、クロフォードがノーマスに追い込むくらいの一方的な展開を期待していた次第である。
 

カバロウスカスのカウンターがうまく機能した。この選手は階級を下げるのもアリだと思うけど…

そして、実際には思った以上にカバロウスカスのがんばりが見えた試合。
 
がんばったというか、うまく戦ったというか。
 
左構えのクロフォードに対し、ガードを上げて上体を振りながら芯を外す。
1発目の右に同時打ちのタイミングで左を被せ、クロフォードに攻撃のリズムを作らせない。
 
さらにタイミングを測って大きく踏み込み、追撃の右。
全身のバネを総動員し、リーチ差、サイズ差をゼロにする凄まじいスイングを浴びせる。
 
ああ、いいですねカバロウスカス。
僕は前手の差し合いでもっと圧倒されると思っていたのだが、決してそんなことはなく。
あえて手数を抑えてカウンターに集中することで、より1発の威力と圧力を増す。左構えのクロフォードのリードに対抗し、攻め手を奪うためのめちゃくちゃいい作戦だったと思う。
 
また、瞬時に左足を相手の内側に踏み込み、ガードの間から左を通す動き。ああいうのを見せられると、改めてカバロウスカスは井上尚弥と似ているなぁと。
もちろん踏み込みの鋭さや1発の威力は井上には及ばないが、やろうとしていることは近い気がする。
 
「井上尚弥がワンパンKO。パヤノを瞬殺ってマジっすかw ロドリゲスだ? いくらでもかかってこいよだね」
 
だからアレなんだよな。
以前も申し上げたが、この選手は思い切って階級を下げた方がいい(と思う)。S・ライト級でフィジカル面、サイズ面の優位性を確保すれば、自分の特性をより発揮できるのではないか。
 

クロフォードはさすがの対応力。序盤に面食らってもすぐに立て直し、中盤までに自分のペースにしてしまう…

勝利したクロフォードについてだが、こちらはもう、さすがでしたとしか言いようがない。
 
僕としては序盤に多用していた右リードで支配してほしかったのだが、そこはカバロウスカスの馬力と作戦、思い切りのよさが想像を超えていた感じ。
 
むしろ4R以降の対応力こそがこの選手の真骨頂と言える。
 
3Rまでカウンターを合わせられていた右リードを減らし、ガードを上げて距離を詰める。
微妙に外側への踏み出しを意識しつつ、距離が詰まったところでカウンターを被せられないように外旋回の右を打ち込む。
そして、カバロウスカスの右を小さなバックステップで避け、すぐさま左をフルスイング。
 
どんどん前に出てスペースを潰し、とにかく先に踏み込んで腕を振る。
これによってカバロウスカスは左のカウンターを封じられ、右を打ち込むタイミングも失う。
結果、クロフォードの圧力に追い詰められ、後退させられるシーンが目立ち始めるという。
 
いや、やっぱりすげえなクロフォード。
序盤にカバロウスカスにやられたことを左右を逆にしてそのままやり返している。しかも1発1発が強力で、ウェルター級に上げた効果が如実に出ている印象。
 
バージル・オルティスvsカバロウスカスはおもしろそうだよな。オルティスを勝たせるための試合だと思うけどカバロウスカスもがんがれ
 
繰り返しになるが、この対応力の高さがクロフォードの最大の持ち味。
最初は多少面食らっても、だいたい3Rまでには最適解を見出す。で、中盤にしっかりペースを引き寄せ後半に決着をつける流れ。
 
開始直後から左のカウンター&右のフルスイングで勝負を賭けたカバロウスカスはめちゃくちゃ正しかったと思うが、動きに慣れられる前にKOできなかった時点で勝つのは難しかったのかもしれない。
 

7R以降のパワフルなプレスは初めて観た。あれだけ腕を振っているのにいっさいバランスを崩さないのもすごいね

そして、お見事だったのが7R以降。
 
クロフォードはこれまでよりも半歩間合いを詰め、しっかり足場を決めてカバロウスカスと向き合う。
近場でのフェイントの掛け合いから右ジャブ→バックステップ→左ストレートのカウンター。そこまでの流れを踏襲しつつ、さらに積極的に前に出る。
 
強烈な左でカバロウスカスを遠ざけ、動き出しを狙っていきなりの左。
連打の中でスイッチを繰り返し、距離感が狂った瞬間にラッシュを浴びせる。
 
おお、すげえ。
相手の動きを見切り、タイミングを掴んだところで強引にねじ伏せにいく。
マジな話、ここまで前のめりに打ち合うクロフォードは僕の中では初めてかもしれない。何となくだが、序盤に苦戦させられた分をここで取り返してやろうということか。
 
 
しかも、あれだけ腕を強く振っているのにまったくバランスを崩さないというのがまた……。
 
自然なスタンスを常にキープし、左右どちらの構えでも身体が流れることはない。
カバロウスカスのパンチに軸の移動だけで対応し、戻り際にさらに回転力を上げる。
 
この選手の下半身を見ていると、ひょっとしてつま先が地面に吸い付いているのでは? と思うほど。
 
まあ、顔を見るとムカつくからというのもありますがww
 

クロフォードがミドル級進出? vs村田諒太? むしろS・ライト級に下げた方がいい気もするけど…

ちなみにクロフォードが次戦以降にミドル級進出を考えているというのは本気なのだろうか。
別にそれならそれで構わないのだが、そうなるとターゲットの第一候補が日本の村田諒太となるわけだが。
 
正直、村田諒太vsテレンス・クロフォードというのはまったく考えたことがなかったのでアレだが、確かに現状のウェルター級でクロフォードは完全な孤立状態。階級最強と目されるエロール・スペンスJr.は事故による長期離脱が確実で、レジェンド枠のマニー・パッキャオが首を縦に振るとは思えない。
 
その上ダニー・ガルシア、ショーン・ポーターもスペンスと同じPBC傘下なためにTOP RANKのクロフォードと絡むのは難しい。
 
このままだと埒があかないので、強引にミドル級に上げてビッグファイトを目指したくなる気持ちもわからんでもない。
 
クロフォードよ、お前がNo.1だ…。ケル・ブルックを4RTKOで沈める。見えない右キター♪───O(≧∇≦)O────♪
 
てか、強敵との対戦を求めるのであればS・ライト級に下げればよくね?
あなたが4団体統一したときに比べてめちゃくちゃ層が厚くなってるけど?
 
と言いたいところだが、やはりファイトマネーや自らの価値を高めることを考えると、ウェルター級orミドル級なのかなと。
 
まあ、村田諒太vsテレンス・クロフォード戦なんてものが本当に決まったら絶頂しますけどね。
 
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