選び放題のカネロが渦中のビボルとの対戦を選択。ビボルのジャブがカネロの圧力にどこまで対抗できるかかだろうな【予想・展望】
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2022年5月7日(日本時間8日)、米・ネバダ州で世界S・ミドル級4団体統一王者サウル・“カネロ”・アルバレスがWBA世界L・ヘビー級王者ディミトリー・ビボルと対戦する。
カネロが8年7ヶ月ぶりの敗戦。ビボルのジャブとガードを崩せず。“ロッキー・フィールディングの呪い”を解いたビボルに神の祝福を
2021年11月にケイレブ・プラントを11RTKOで下し、S・ミドル級4団体統一を果たしたカネロ。
今回はエディ・ハーン率いるマッチルームとの2試合契約締結後の初戦、WBA世界L・ヘビー級王者ディミトリー・ビボルとの対戦となる。
さらに4月に日本で開催される世界ミドル級2団体王座統一戦、ゲンナジー・ゴロフキンvs村田諒太戦でゴロフキンが勝利すれば、9月にS・ミドル級契約でカネロとゴロフキンの第3戦が行われるとのこと。
ところが現在はビボルの母国であるロシアがウクライナと戦争真っ只中。公平を期すために開催地をドバイに変更する案も浮上しているとか。
「カネロ」アルバレスの次戦は米国からドバイに変更か ビボルの〝不利判定回避〟目的の声も=米メディア #ボクシング https://t.co/HAASiawZyZ
— 東スポ (@tospo_prores) March 1, 2022
スポーツ界でもロシア排除が広がる中、無事に試合が行われるかにも注目が集まる。
フリーになって以降、上から目線で相手を選び放題のカネロ。チャーロ兄を蹴ってビボルを選んだのね
サウル・“カネロ”・アルバレスvsディミトリー・ビボル。
2018年9月のゲンナジー・ゴロフキンVol.2以降、人が変わったようなパワフルさで快進撃を続けるカネロ。
L・ヘビー級のディミトリー・ビボルは今のカネロに対抗できる可能性のある1人と言われる。
そのビボルも2016年5月の暫定王座獲得から8度の防衛を重ね、現在の年齢が31歳。そろそろ大勝負に出てもいい時期と言えそう。
ただ、その相手はWBC王者のアルツール・ベテルビエフかカネロくらいしかいない、でも簡単には決まらないだろうなぁとも思っていたこともあり、試合が正式発表された際はちょっと驚いた。
ロマゴンすっげえわ。マルティネスを連打で圧倒。ディフェンシブに傾倒した割り切りで再び上昇気流に。井岡一翔戦が観たいけど、ないんだろうな笑
しかもカネロはPBCからのオファー(チャーロ兄とデビッド・ベナビデスとの2試合、ファイトマネー110億円超)を蹴ってこちらを選んだとか。
オスカー・デラホーヤのGBP、DAZNとの長期契約から解放され、現在は完全に王様状態のカネロ。
上から目線で相手をえり好みしまくる無敵感はかつてのフロイド・メイウェザーを彷彿とさせる。
また、ロシア国籍選手を軒並みランキングから除外(戦争に反対するビボルは免除?)したWBAがビボルの持つ王座の扱いをどうするのか、そもそも無事に興行が開催されるのか、などなど。情弱な僕にはまったくわからないのだが、どちらにしても試合自体は楽しみである。
ビボルのジャブがカネロの前進をどこまで止められるかが見どころかな
諸々の懸念材料はあるものの、とりあえず試合の展望を考えてみるわけだが……。
まず、一番の見どころとしてはビボルのジャブがどれだけ通用するか、いかにカネロの前進を止められるかだと思っている。
ディミトリー・ビボルという選手は基本的にはジャブが得意なワンツーの人。
やや低いガードに若干広めのスタンス。
前後の軽快なステップを駆使しながら左を放つ。
この左で相手の前進を止め、右を打ち込むスペースとタイミングを作り出す。
ファイトスタイルとしては元S・フェザー級王者内山高志と少し似ている(気がする)。
内山高志は僕が心底カッチョいいと思った選手。中間距離でかなうヤツは誰もいないんじゃない? ウォータース戦は実現してほしかったよね
特に相手の出入りを寸断しつつ試合のペースを引き寄せる多彩な左はビボルの真骨頂。中間距離での差し合いでは相当な強さを発揮する。
当然、今回のカネロ戦でもこの左が通用するかが重要になる。申し上げたようにカネロの圧力を左リードと前後の出入りでどこまでしのげるかが勝敗を分けるのではないかと。
ビボルはカウンター使いが苦手だと思う。内山みたいなボディもないので近づかれるとしんどい
過去の試合を観る限り、恐らくビボルはカウンター使いが苦手。
2021年5月のクレイグ・リチャーズ戦などはそれが顕著で、遠間でジャブを出しながら待ち構えるリチャーズに打ち終わりを狙われまくっている。結果は3-0の判定勝利だが、内訳は115-114、115-113、118-110とまあまあ際どかった。
ディミトリー・ビボル危なッ! クレイグ・リチャーズ強かったよね? そろそろベテルビエフとの統一戦をだな…。カネロを狙うよりも
しかもビボルには内山高志のような至近距離でのボディはない。試合のペースを握るには常に得意の中間距離で対峙し続ける必要がある。
サイズ差、パワー不足を補うために1発1発に力を入れると打ち終わりに間ができるというのはカウンターが得意なカネロに対抗する上での懸念事項になるのではないか。
勝敗予想はカネロの12RKO。カネロvsコバレフ戦みたいな流れになる?
今回の勝敗予想だが、カネロの12RKOでいきたい。
上述の通りディミトリー・ビボルはジャブとワンツー、前後の出入りを持ち味とする。
と同時にL・ヘビー級としてはややパワー不足で、最後にKO勝利を飾ったのは2018年3月のスリバン・バレラ戦までさかのぼる。
鋭いジャブとフットワークを駆使したスタイルは中間距離ではめっぽう強いが、打ち終わりにカウンターを狙われると脆い面も……。
などなど。
あれこれ考えると、ビボルがカネロの馬力に12R耐えきるのは難しいのではないかと。
序盤こそビボルのジャブが機能するも、圧力を強めたカネロに押し込まれるシーンが目立ち始める。
中盤以降、ジャブのタイミングを覚えたカネロが打ち終わりにカウンターを返しながら前進。ビボルがロープを背負うシーンが増え、最終12Rにカネロのフックが側頭部にズドン。
みたいな。
流れとしては、2019年11月のカネロvsセルゲイ・コバレフ戦と似た感じになると予想しておく。
カネロがコバレフを失神KO! スターってこういうことだよな。ここぞの勝負で予想を超えてくる。僕のボンクラっぷりも想像を超えた
ポイントは結構競ると思うんですよね。ビボルが最後まで立ってさえいれば鼻差で逃げ切る可能性も?
とは言え、ポイント自体はまあまあ競るかも? とも思っている。
上述のカネロvsコバレフ戦もKOラウンドの前までは96-94、96-94、95-95と大接戦が続いていた。
コバレフとビボルは
・前後の出入り
・ジャブ
・ワンツー使い
と比較的共通点が多い。
さらにコバレフがアンソニー・ヤード戦からわずか2か月のインターバルでの試合を強いられたという経緯もある。
ビボルが当時のコバレフよりもはるかに若いことを加味すれば、カネロのプレスに12R耐えきれば鼻差で逃げ切るパターンもあるのではないか。
スピード:ビボル>コバレフ
パワー:ビボル<コバレフ
スタミナ:ビボル>コバレフ
コンディション:ビボル>コバレフ
サイズ:ビボル=コバレフ
メンタル:?
2019年11月時点のコバレフと今のビボルではパワーとサイズ以外はビボルの方が上回っているように思う(メンタル面は不明)。
不足気味のパワーをフットワークでカバーしつつ、何とかポイントゲームに持ち込めればといったところか。
カネロvsプラント、モグラ叩きみたいな試合。あっちを隠せばこっちを打たれ、こっちを隠せばあっちを打たれ。プラントもがんばったけど最後に決壊してアディオス
カネロが勝つなら後半KOか判定。
ビボルが勝つなら先行逃げ切りの判定。
ビボルのアップセットもありそうだが、どちらか一方を選べと言われればやはりカネロ勝利かなぁと。
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