ゴロフキンvsカネロ・アルバレス感想。カネロは初めてゴロフキンの突進を真正面から受け止めて負けなかった選手。まあ再戦だね【結果・感想】
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2017年9月16日(日本時間17日)、米・ラスベガスにあるT-モバイルアリーナで行われたWBA、WBC、IBF統一世界ミドル級タイトルマッチ。
王者ゲンナジー・ゴロフキンと元2階級王者サウル・“カネロ”・アルバレスが対戦。1-1(118-110、113-115、114-114)のドローで、ゴロフキンが判定防衛を果たした。
「カネロvsゴロフキン再戦感想。最強王者を真っ向勝負で上回ったカネロ。前回を超える感動的な試合」
最強王者ゴロフキンが初回からジャブを出しながらプレッシャーをかけ、カネロ・アルバレスは強烈なコンビネーションで応戦。
カネロのスピーディでパワフルなワンツーがたびたびゴロフキンの顔面を捉える。
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カネロがペースを掴んだかに見えた序盤3R。
ところが4R以降、圧力を強めたゴロフキンが主導権を握る。再三カネロにロープを背負わせ、澱みのない連打で攻めたてる。
だが、カネロも要所でガードの間からカウンターを返し、リング中央まで押し返す。
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一進一退の攻防が続く中、終盤でカネロがペースアップ。一気呵成の連打でゴロフキンの顔面を捉え、最強王者がグラつくシーンも。
そして両者決め手がなく、ラストラウンドのゴングが鳴り、試合終了。
結果は1-1のドローでゴロフキンが防衛を果たす。
だが、試合後にはお互いが自分の勝利を主張し、早くも再戦への機運が高まっているとのこと。
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い〜い試合だった!! 諸々言いたいことはあるだろうが、両者ナイスファイトでいいんじゃない?
まずは感想というか、何よりアレだ。
単純におもしろかった!!
ボクシング界の頂上決戦と言われるだけあって、両者一歩も引かない大接戦だった。僕はそのことに普通に満足している。
個人的にはゴロフキンの勝利かと思ったが、試合を観直してみると必ずしもそうでもない。確かにゴロフキンが押し込む場面は多いが、クリーンヒット自体はあまり多くない。
効果的で印象的なパンチで言えば、むしろカネロの方が多かったのではないか。
圧倒的にペースを握っていたゴロフキンか、パンチの的確さで上回ったカネロか。さすがに118-110はないとは思うが、そこまでおかしな結果には見えない。
「衰えまくったメイウェザーがセンス抜群のマクレガーにTKO勝利!! お前ら最高やww 報酬100億円のメイウェザーは久しぶりのKO」
たとえば118-110が115-113だったとしても結果に変わりはない。あまりこだわる必要もないんじゃない? というのは言い過ぎか?
判定云々、ジャッジ云々の不満はあるのだろうが、とりあえずは両者ナイスファイトでいいと思う。
「サンダースvsウィリー・モンローJr.とかいうアラサー大男2人のお見合いが36分間続く地獄。俺がリゴンドーを嫌いな理由がコレww」
カネロの作戦通りに進んだ試合。でも、ゴロフキンの耐久力とプレッシャーが想定を超えていた
今回のカネロの作戦としては、
・序盤から飛ばしてペースを掴むと同時に、ゴロフキンの出足を止める
・中盤はある程度ディフェンスを重視して体力を温存
・終盤にもう一度ギアを上げ、序盤以上のカウンターと連打を浴びせる
という流れを想定していたと思う。
「KO狙いでいく」とコメントしていたが、実際に考えていたのは判定勝利。
中盤にペースダウンしても、数ラウンドはポイントを取れる。序盤と終盤で貯金を作っておけば、うまくポイントアウトできるという判断だったのではないだろうか。
「バドゥ・ジャックはすげえだろ? クレバリーを問題にせず圧勝。どうだ? 驚いたかオイ? 俺は驚いたぞww」
そして、その作戦は基本的にはうまく機能していた。
だが、誤算だったこともいくつかある。
まず序盤の猛攻で、ゴロフキンを怯ませられなかったこと。むしろ、4R以降のペースアップを呼び込んでしまったこと。そして、思ったよりもゴロフキンが終盤失速しなかったこと。
カネロのプラン通りではあったが、ゴロフキンの圧力と耐久力が想定以上だった。これが今回の大まかな流れな気がする。
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カネロはゴロフキンに対抗できるほどのフィジカルを身につけていた。でも、それを12R継続するスタミナはなかった
以前の予想記事で、僕は「カネロのコンビネーションがゴロフキンに通用するか」「カネロがフィジカルでどこまでゴロフキンに対抗できるか」が勝負を分けるのではないかと申し上げた。
「カネロ・アルバレスvsゴロフキン予想。頂上決戦開幕だぜ。若き英雄か、破壊の帝王か。GGGのキャリア集大成」
ビルドアップしたカネロがゴロフキンのプレッシャーに耐え、逆に押し返すことができるか。カネロのフィジカルがジェイコブスに匹敵していれば、あの高速コンビネーションでゴロフキンを上回れるのではないか。
そして直近の試合を観る限り、カネロはそのレベルにまで達しているように思えた。
これはある意味正解で、ある意味不正解だった気がする。
まずカネロは、間違いなくゴロフキンのフィジカルに対抗できていた。
序盤3Rや終盤にゴロフキンを後退させていたし、リング中央での差し合いでは完全に上回っていた。
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だが、それを12R続けるほどのスタミナはまだない。
WOWOWエキサイトマッチの解説者が「カネロの作戦ミスだった。中盤守りに入ったのがよくなかった」と言っていたが、恐らく序盤のペースを続けていたら7、8Rで潰れていたのではないか。
あの中盤があったからこそラスト3Rの反撃につながったわけで、結果的にドローまで持ち込むことができた。
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さらに言うと、ロープを背負わされた状態でのカネロのディフェンスはお見事だったと思う。
ロープ際で亀になった相手のガードの間から次々パンチを通す。これはゴロフキンの必勝パターンである。
だが、今回のカネロはその局面でもボディワークとガードでゴロフキンのラッシュをいなし、カウンターを返しつつサイドへ逃げていた。
序盤にカウンターでゴロフキンの注意力を顔面へ向けさせ、ボディを打ちにくくさせる。
ロープ際では左のカウンターを意識させて、ゴロフキンの右フックを封じる。そしてタイミングを測って左サイドへのステップ。
「近藤明広がリピネッツを圧倒しながら惜敗。試合は支配してたけど、手数とヒット数がまったく足りず。やってしまいましたなぁ」
1発目の左でゴロフキンのガードを内側からずらし、2発目を顔面にヒット。
カネロのパワーパンチがゴロフキンのプレッシャーに負けなかったのはもちろん、要所での的確なヒットで完全にペースを渡さなかったのもよかった。
何となくだが、リアム・スミス戦でプレッシャーを跳ね返し、チャベスJr.戦で大きな相手に慣れた経験がここで活きたのでは? と思う。
「過去最強カネロがヘロヘロチャベスを寄せつけず。体重差マッチを圧勝でクリア。ってか、この試合はアカン」
カネロはゴロフキンと真正面から打ち合って負けなかった初めての選手。その事実に感動した。「試合後のコメントが〜」とかはマジでどうでもいい
マジな話、カネロはゴロフキンと真正面からぶつかって負けなかった初めての選手である。
「正面衝突で負けないことが絶対条件」「自分が前に出る展開にならないとカネロは勝てない」と以前から繰り返してきたが、本当にやってのけたのだからすばらしい。
あれだけ大きな身体で、目いっぱい策を講じた上で敗北したダニエル・ジェイコブス。
自分のスタイルを真正面からぶつけてドローに持ち込んだカネロ。
どちらがどうということはないが、ボクシング界の主役を決める一戦としては最高の展開だった。
「ジェイコブス大健闘!! ゴロフキンのKO記録をストップ!! でもがんばった止まりかな。倒し方は見えたけど誰ができんの?」
ゴロフキンの衰えやカネロ寄りのジャッジ等、言いたいことは山ほどあるだろうが、僕は今回のカネロに単純に感動している。もちろん12R前に出続けてプレッシャーをかけ続けたゴロフキンにも。
両者が自分の得意なスタイルで正面衝突し、お互いが一歩も引かずにがっぷり四つで終わった。
まさしくボクシング界の頂上決戦にふさわしい一戦だったのではないだろうか。
「挑発大好きサンダース君がレミューをヒラヒラかわして大差判定勝利。さすがサンダースww 予想以上にいい選手」
正直、試合後のカネロのコメントが気に入らないとか、この試合でカネロを嫌いになったとか、クソほどどうでもいい。何度も言っているように、スポーツ選手の人間性にはまったく興味がない。
「リナレスvsルーク・キャンベル予想。濃い顔族か平たい顔族か。強化版阿部寛の顔力で英国の英雄を吹っ飛ばせリナレス」
そもそも「ジャッジの買収」などの言葉は、相当の確信がない限り言ってはいけないと思っている。
そんなことより、ボクシング界の帝王と真正面から打ち合って、初めて互角の戦いを見せた事実。それをやってのけたカネロを思いっきり賞賛したい。
というか、あの場面でカネロはどう答えるのが正解だったのか。
「ゴロフキンは強かったです。どう見ても僕の負けです。今日のジャッジはおかしい」とでも言えばよかったのか。
ドローという結果が出たのだから「俺は果敢に攻めた。絶対に俺が勝っていた。もちろん再戦はしたい」でいいような気がするのだが。
「ウォードが再戦に完勝!! コバレフがキャリア初のKO負けでリベンジ失敗。仕方ないね。ちょっと差があり過ぎたよな」
まあ、それでも「プロの判定に素人が口を出すな」とかいうのはカス理論以外の何物でもないですけどね。
試合結果を受けてアレコレ言うのもボクシングファンの楽しみなわけで、それを「するな」とか、もはや染色体からやり直した方がいいレベルでございます。
「トラメイン(トレメイン)・ウィリアムズ試合し過ぎ問題。ジョエト・ゴンサレスがなかなかよさげ問題」
再戦予想は難しいよね。スタイルの幅があるのはどっち? カネロはここからさらにビルドアップできるの?
なおこの両者が再戦するとして、果たしてどちらが有利になるのか。
間隔を開ければ、ゴロフキンはさらに下降線に入る可能性が高い。
だが、カネロは今よりもビルドアップできるのか。
むしろ必要なのは強打を打ち続けるスタミナに思えたが、根本的にカネロのスペックでそれが可能なのか。
「グヴォジクすっげえわコイツ。クレイグ・ベイカーを圧倒して6RTKO。何? この内山と井岡とリー・セルビーのいいとこ取り」
基本的に微妙な判定後の再戦では、スタイルに幅がある方が有利だと思っている。
・フロイド・メイウェザーvsマルコス・マイダナ
・井岡一翔vsファン・カルロス・レベコ
・アンドレ・ウォードvsセルゲイ・コバレフ
・シーサケット・ソー・ルンビサイvsローマン・ゴンサレス
などなど。
特にシーサケットとロマゴンの再戦は顕著で、最強のワンパターンが通用しなかったロマゴンがより攻撃的に出たシーサケットに吹き飛ばされた試合である。
「ロマゴンの手詰まり感ぱねえっす…。シーサケットのカウンターで大の字KO負け。PFP No.1の伝説に終止符?」
今回のゴロフキンvsカネロも基本は同じ。ゴロフキンの最強のワンパターンにカネロがフィジカルで対抗した結果、ドローに持ち込んだという試合だった。
僕がカネロを賞賛しているのは、下から階級アップした上でそれをやり遂げたからなのだが、じゃあ、ここからのカネロがどれだけ上積みできるのかという話。
「ジャレット・ハードの理不尽フィジカルがトラウトを粉砕する。ダメだトラウト…。パンチがまったく効かない地獄」
正直、ゴロフキンと同様、カネロにもそこまでスタイルに幅があるとは思わない。だったら今のスタイルをそのまま底上げするしかないのだが、果たしてそれが可能なのか。カネロの体格、上背、リーチで、現状のスペックをどこまでビルドアップできるのか。
もしくは、アウトボクシングに傾倒するなど作戦変更に賭けるのか。
いろいろ考えると、結構難しい予想な気がする。
「アルバレスvsゴロフキン再戦を予想する。まあ、いろいろなことは水に流して楽しくいこうやww」
ちなみにだが、ゴロフキンの階級アップにはあまり興味がわかない。
恐らくロマゴンと同じパターンで苦しみそうな気配がプンプンする。
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