過去最強カネロがヘロヘロチャベスを寄せつけず。体重差マッチを圧勝でクリア。ってか、この試合はアカン。9月にゴロフキン戦決定だってさ【結果・感想】

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ビバメヒコイメージ
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2017年5月6日(日本時間7日)、米・ラスベガスにあるTモバイル・アリーナ。
WBO世界S・ウェルター級王者サウル・“カネロ”・アルバレスが、元WBC世界ミドル級王者フリオ・セサール・チャベスJr.を相手にノンタイトル12回戦を行い、3-0(120-108、120-108、120-108)の判定で勝利を収めた。
 
164.5ポンド(約75kg)のキャッチウェイト契約で行われた今回、一回り身体の大きなチャベスを相手にカネロがどこまでできるかに注目が集まった試合である。
 
だが、結果はまさかのワンサイドゲーム。
終始カネロがチャベスを攻めたて、ガードの隙間から次々にパンチをヒットする。
カネロよりも10cmほど上背のあるチャベスだが、スピードでもパワーでもまったく歯が立たず。12Rを通してほぼ何もできずに終了のゴングを聞く。
 
「この試合をわからないヤツはニワカだ!! エリスランディ・ララvsガウシャのハイレベルな駆け引きの末に生まれた芸術的ボクシング」
 
試合後に宿敵ゲンナジー・ゴロフキンをリングに呼び寄せ、9月の一騎打ちを大々的に発表したカネロ。戦績を49勝1敗1分とし、ついにボクシング界最大の頂上決戦実現にコマを進めた。
 
「ジェイコブス大健闘!! ゴロフキンのKO記録をストップ!! でもがんばった止まりかな。倒し方は見えたけど誰ができんの?」
 

カネロは過去最高で過去最強。マジでナイスファイト。チャベスはアレだ。減量大変だったね

まず、何をおいてもカネロはナイスファイト。
キャリア最重量のウェイトながら、本当に見事な動きだった。間違いなくカネロの中では過去最高で過去最強。減量苦から解放されたカネロのMAXパワーがどれだけすごいか。それをたっぷりと見せつけてくれた試合だった。
 
「ララvsハードが決定しただと……?! さすがS・ウェルター級だなオイ。こんなビッグマッチがサラッと決まっちゃう激戦階級」
 
そして、チャベスはマジでお疲れ。
あれだけの絶不調の中、よく最後まで立っていたと思う。
過去最強のカネロを相手に12Rよく耐え抜いた。試合自体はワンサイドだったが、恐らくあれが今のチャベスができる精一杯だったのだろう。たっぷり休んでまた再起してくれ。
 
「藤本京太郎がジョセフ・パーカーに挑戦か? ヘビー級日本人王者誕生の可能性は?」
 

めちゃくちゃ楽しみにしていた試合だったが、数日前から興味が失せていた。あんな状態のチャベスに勝ち目はない

実を言うと、僕は数日前からこの試合に対する興味がめっきり失せていた
以前の記事であれだけ「楽しみだ」と連呼したにもかかわらず。「ボクシング界の今後を占う試合になる」だの「2017年最大のイベントだぜ!!」「ビバ!! メヒコ」だのと言っていたのに。
 
「カネロ・アルバレスvsチャベスJr.決定! ビバ メヒコ! 大絶賛の時間だあああぁぁぁ!!」
 
しかも、
カネロがチャベスに挑むのは危険過ぎる。
もしかしたらチャベスの圧力に押し切られてKO負けすらあり得る。
「カネロの楽勝だろ」という声が聞こえるが、さすがにそれはチャベスを見くびり過ぎだ。
など、カネロのキャリアの中でも最大のピンチになるとまで申し上げていたのに、である。
 
「ガンボアvsカステリャノス感想。ガンボアの身体がデカ過ぎてアレだった。ところで内山の今後は?」
 
もちろん僕の見る目のなさもアレなのだが、僕がこの試合への興味が失せた最大の理由は、減量中のチャベスの様子を見たから。
 
こんな状態で勝てるわけない↓


なるほど。
チャベスが164.5ポンドに落とすとこうなっちゃうのか。
 
「井上尚弥が米国デビュー。アローヨ兄弟よりマシじゃないの? アントニオ・ニエベス全然知らないけど」
 
確かに腹筋は6パックに割れて、筋骨粒々に見えないこともない。
だが、はっきり言ってそれは違う。
これは鍛え上げた身体ではなく、やつれて骨と皮だけになったカッサカサの身体だ。
 
こんなガリガリ状態でまともに動けるとは思えない。ましてや本来の力などもってのほかである。もしかしたらチャベスのKO負けすらあり得るぞ。
 
「亀海がコットをダウンさせる未来が見えた。亀海の大の字KO勝利以外あり得ない。やる前からわかる」
 
後出しと言われてしまうかもしれない(実際後出しなんだけど)が、とてもじゃないがチャベスは自分の持ち味が出せる状態ではない。
たとえ計量をクリアしても、この状態から24時間で回復するわけがない。恐らく当日はヘロヘロのままリングに上がり、カネロにつるべ打ちにされるんじゃないか。
 
そして、とどめとなったのがこれ↓


減量苦でボロボロのチャベスに対し、キレッキレのカネロ。
この試合(というより、この階級)に向けて、時間をかけてじっくりビルドアップしてきた様子がはっきりとうかがえる。確かに9月のゴロフキン戦というのは絶好のタイミングかもしれない。
 
「カネロ・アルバレスvsゴロフキン予想。頂上決戦開幕だぜ。若き英雄か、破壊の帝王か。GGGのキャリア集大成の大一番の行方は?」
 
病的にやつれたチャベスと過去最高のコンディションを作り上げたカネロ。
対照的な両者の様子を見て、僕は一気にこの試合に対する興味を失った次第である。
 
「カーン仰向けにバッタリ。“カネロ”・アルバレスが壮絶カウンター一発でカーンを失神KO!!」
 

案の定、フラフラのチャベス。圧力をかけて押し潰す予定が、足が前に出ないので何もできない

試合は見ての通りと言うか、哀し過ぎて振り返るのも辛い内容である。
 
コンビネーションの多彩さ、ハンドスピードでは断然カネロ。
特にカウンターに関しては、コットのコンビネーションにも打ち負けないほどの精度を持つ。
 
「“カネロ”・アルバレス、コットに大差判定勝ち!! 最高峰の技術戦に完勝し、王座獲得!!」
 
つまり、チャベスがやるべきことは一つ。
堅いガードとフィジカルで押し込み、ロープを背負わせて打ち合いに巻き込む。重いパンチを何発も打ち込み、カネロをたじろがせること。
 
「ゴロフキンvsカネロ・アルバレス感想。カネロは初めてゴロフキンの突進を真正面から受け止めて負けなかった選手。まあ再戦だね」
 
そして、身体の小さなカネロがどれだけチャベスの圧力に耐えられるか。
勝敗の行方はほぼそれだけと言っても過言ではない。
 
「井上尚弥がヨアン・ボワイヨと年末ファイト。余裕? の勝利でいけるのか? 2月の米国参戦も視野」
 
だが、残念なことに結果はそれ以前の話。
リングに上がった瞬間から、すでにチャベスには前に出る力が残っていない。圧力をかけるも何も、身体にまったく力が入らない状態である。
 
「シーサケット勝利!! PFP No.1 ロマゴンに判定で大金星を挙げる!! すっばらしいねシーサケット」
 
確かにカネロは過去最高のコンディションでリングに上がっていた。
しかも、1発1発にあれだけ力を込めても精度とスピードを失わないのはさすがである。
それを踏まえた上で、2階級以上軽い選手のパンチをガードの上から受けただけで、あれだけ身体が流れてしまうのだから話にならない。
 
「リカルド・ロドリゲスっていい選手だと思う。井上尚弥の苦手なタイプかも? 米国からのオファーがあるってホントかね」
 
エキサイトマッチの解説者が「チャベスは後半に向けて力を溜めてる状態ですよ」と言っていたが、ちゃうちゃうww
力を溜めるも何も、今のチャベスにそんな余裕なんかねえよ。
試合開始直後からエネルギー残量がゼロに近いのだから、それを12R配分するだけで精一杯だろという話である。
 
「俺のウィリー・モンローJr.さんキター!! サンダースとのタイトルマッチ。よしお前ら、震えて眠れ」
 
どこかで爆発が見たい?
後半、体力を使って流れを変えたい?
 
何を言ってる。
今日のチャベスの目標は「無事に怪我なくリングを降りること」。
それだけだ。
 
マジな話、ホントに減量を達成するまでがチャベスの仕事だったんだなと思うような動きである。
 
「ジャーマル・チャーロさんミドル級初戦キター!! セバスチャン・ヘイランド戦予想。ミドル級でもパワフルな剛腕は健在か」
 

ここまで身体が動かないチャベスを観たのは初めてでした。2015年のコットvsギール戦を思い出したかな

身体に力が入らない。
力が入らないから足が前に出ない。
足が前に出ないから手も出ない。
単発のパンチの打ち終わりをカネロに狙われまくる。
精度の高いカウンターで顔面を跳ね上げられる。
 
「ロマゴンの手詰まり感ぱねえっす…。シーサケットのカウンターで大の字KO負け。PFP No.1の伝説に終止符?」
 
ガードを上げて立て直そうとするが、カネロのスピードについていけない。
そのつどリング中央から押し込まれ、下がりながらの防戦を強いられる。
 
「そうか、ベルデホアカンか。オリバー・フローレスを持て余してタイトルマッチに不安を残す」
 
何と言うか、本当にどうしようもない。
あれだけ身体の小さな相手に、あそこまでド正面に立たれて、それでも何一つできないとは。
恐らく、あそこまで絶不調のチャベスは初めだったのではないだろうか。
 
「カネロ降臨。ロッキー・フィールディングそこそこいいんでない? でもDAZN大型契約後の一発目だから負けられない」
 
2Rの1分過ぎあたりでチャベスが至近距離で押し込もうとしたシーンがあったが、カネロはまったく動じず。
もちろんカネロのコンディションが抜群によかったのもあるが、実質あれで勝負が決まった感が強い。
 
その後もたびたびチャベスがロープ際まで詰めるものの、カウンターの1発であっさり下がらされる。普段は相手のパンチを受けても気にせず、どんどん回転が上がっていくのがチャベスのパターンなのだが。
 
「ここでパワーを使い過ぎると最後まで体力がもたない」と感じていたのだろうか。
哀しいくらいの減量苦である。
 
「ジョシュアがクリチコを粉砕!! 圧倒されながらも逆転勝利。怪物元王者を沈めたジョシュアの次戦はクリチコ再戦か、フューリー戦か」
 
7、8Rに少しカネロを押し込むシーンを作ったが、見せ場と呼べる部分はほぼそこだけ。これもあっさりカネロに凌がれ、やっぱりガス欠状態に逆戻りである。
 
以前、こういう試合を観たことがあると思っていたのだが、ようやく思い出した。
2015年6月に行われたミゲール・コットvsダニエル・ギール戦だ。
 
あの試合も無理な減量でフラフラのギールが、フルパワーのコットに何もできずにボコられたという典型的な試合だったと思う。
 
Aサイドが相手に無理な減量を強いて、自分に有利な状況を作り出す。
コットがすばらしかったのはもちろんだが、あの試合もダニエル・ギールの絶不調ぶりが非常に痛々しかった。
 

パワフルに前進するカネロ。チャベスを練習台に、完全にゴロフキン戦を見据えた試合運びだった

対するカネロだが、こちらは何度も言うように間違いなく過去最高、過去最強だった
 
今回のカネロは、基本的にはパワー勝負。
得意のコンビネーションで翻弄するというより、1発1発のパンチに力を込めて力技で相手を圧倒する作戦である。
 
チャベスの打ち終わりにカウンターをかぶせ、追撃の連打を打たせない。
1発に力を込め、相手の前に出る圧力を半減させる。
チャベスの出足が鈍ったところで、力強いパンチをガードの間から通しまくる。
 
減量苦に加え、カネロがあれだけパワーアップしてリングに上がるというのもチャベスにとっては計算外だったかもしれない。序盤の数ラウンドで完全にのまれてしまった感じである。
 
3Rにはガードを下げて挑発する仕草を見せる余裕。本当にこの試合のカネロは早い段階でペースを掴んだのだろう。
 
「インドンゴがバーンズ討伐を果たして王座統一。おもしれえ試合ww 野生動物のようなインドンゴにビックリ。バーンズもがんばった」
 
今回のチャベスを含め、あらゆるタイプの強敵と対峙してきたカネロ。
そのキャリアの中でも最重量の体重でリングに上がったわけだが、どうやらこれがベスト体重と言えるのかもしれない。
スピードを失わずにパンチの威力を格段にアップさせたところを見ると、カネロはこれまで相当な減量苦と戦っていたことがうかがえる。
 
ゴロフキンが前回のダニエル・ジェイコブス戦で若干下降線を見せたことを加味すると、まさしく激突のタイミングとしては完璧。GBPの戦略も含め、すべてがカネロ陣営の計画通りに進んでると言えそうである。
 
しかも、身体の大きな相手と対峙してもリング中央から下がらず、打ち終わりにカウンターを返しまくる。これはゴロフキン対策として非常に有効に思える。
 
「は? ソーサがロマチェンコに勝てるわけねえじゃんかww え? 棄権した? よし、批判の時間だあああああ」
 
ビルドアップによってゴロフキンの圧力への耐久力を身につけ、さらに1発の威力で連打に対抗する。
そして、リング中央から押し込むことさえできれば、カネロ得意のスピーディなコンビネーションに持ち込める。
何から何までゴロフキン戦を見据えた予行演習となっているのが丸わかりの試合である。あのチャベスを相手に。
 
もちろん、それを実現するだけのフィジカルを身につけたカネロがすごいのは言うまでもないのだが。
 
「猛獣井上尚弥がマクドネルを1RTKO。あんぐりですね。解説山中慎介に喋る暇を与えない秒殺劇。マクドネルはお疲れ」
 
というか、この人ってまだ26歳なんですよね。
もう51戦目だし、強敵との試合ばかりこなしているので忘れがちだが、ここからがまさしく全盛期なんですよね。
で、ゴロフキン戦が予定される9月時点で27歳か。
そりゃ、ゴロフキン戦を引き延ばすわけですわ。
 
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