トレバー・バウアー2戦目先発で7失点初黒星。単純に球が遅い&ゾーン内で勝負しすぎ&巨人がこれ系の投手が得意ってのが感想かな。ランナー1塁の対応は急務ですね【2023.5.9】
2023年5月9日にハードオフエコスタジアム新潟で行われた読売巨人ジャイアンツvs横浜DeNAベイスターズ戦。DeNAは元サイヤング賞投手のトレバー・バウアーが先発したが、6回103球を投げてホームラン3本を含む被安打11、失点7、自責点6と打ち込まれ来日初の黒星を喫している。
5月3日のNPBデビュー戦で7回98球1失点で勝利を飾ったバウアー。
ところが中5日で巨人戦に先発したこの日はまさかの炎上。大城卓三、門脇誠にそれぞれ3安打を許すなど、巨人相手に大量7点を失う散々な結果となった。
球が遅すぎたのとクイックで露骨に球威が落ちる。ランナー1塁時の対応は急務じゃない?
トレバー・バウアー来日初黒星。
この日はリアルタイムでは間に合わずにDAZNで後追い視聴したのだが、うん。なかなか厳しい登板でしたね。
バウアーの炎上に対して各所であれこれ意見が述べられているが、要するに“調子が悪かった”というのがファイナルアンサーかなと。
変化球が高めに浮く、配球ミス等はもちろんだが、そもそも球が遅すぎる。
ランナーがいない状況では8割前後の力で投げていたと思うが、さすがにまっすぐの球速が143kmでは……。
このピッチャーは多彩な変化球を組み合わせて打ち取るタイプだが、投球の軸はあくまでストレート。150km前後&ホップ成分の高いストレートがあってこその変化球で、そのストレートがあれだけ遅いとどうにもならない。
また1塁にランナーを背負うと露骨に球威が落ちるのも厳しい。
ファームでの登板からクイックが課題と言われていたが、今回はクイックに意識が行きすぎて肝心の球の精度が落ちてしまっていた。
慣れないクイックに苦心して球威が落ちるのは来日1年目の助っ人先発にはよくあるパティーン。僕のような素人はできもしないクイックに翻弄されるくらいなら開き直って打者に集中すればよくね? と思うのだが、恐らくそんな単純なものではないのだろうと。
熱投バウアー。キャリア最多の128球で2失点完投勝利。合理的じゃないものが心を打つ。8回裏に打席に立ったときの球場の雰囲気がすげえ
てか、あんなトロいカッターを多投したら打たれるに決まってますからね。
足を上げて力を入れたときは普通にいい球がいっているので、この部分の修正は急務と言えそう。
配球の工夫も必要か? ゾーンにポンポン投げるのではなくボール1個分くらい広く使えば…
そして今後は配球面の工夫も必要になるのではないか。
本人も言っているように現状はアメリカ時代と似たような投球パターン。
6回7失点で初黒星のDeNA・バウアーが冷静分析 炎上の3つの要因 日本野球への敬意も「違う野球。学ばないと」/野球/デイリースポーツ online https://t.co/TGjRcWhnKJ #DailySports
— デイリースポーツ (@Daily_Online) May 9, 2023
ストレート、カッター、スライダーを同じコースからそれぞれ投げ分ける。
球種とスピードに段階的な変化をつけて打者のタイミングを外す。いわゆるピッチトンネルと呼ばれるヤツ(だと思う)。
だがこのやり方はゾーン内での勝負が基本になるので今回のように球がいかない日は必然的に捉えられやすくなる。
また来日1年目の助っ人がよく「日本の打者はコンタクト能力が高い」とコメントしているようにNPBは横の変化についてくる打者がMLBよりも多い印象。
実際、この日スタメンに入った大城卓三や門脇誠、梶谷隆幸、丸佳浩といった左打者はみなバットコントロールに長けている。ああいうドロンとしたカッターや高めに浮いたカーブは彼らにとっては打ちごろの球となる。
前回申し上げたようにバウアーのカッターはあまり効果的に見えないのだが、この日はそのカッターを連投して打たれるケースが目に付いた。
トレバー・バウアーNPB初先発初勝利。凄みと柔軟性を感じるピッチング。松山をスプリットチェンジで三振に取った7回は感動したよ
諸々を踏まえると、今後は球種の選択はもちろんボール1個分ほどゾーンを広く使ってみるのもアリかもしれない。
で、それが垣間見えたのが5回のピッチング。
丸佳浩への2球目にストライクからボールになる膝もとのスライダーで空振りを奪い、続く坂本勇人には外角に逸れていくスライダーを見せ球に高めのまっすぐでフライを打たせた。
ああいう感じで日本の(MLBよりも)広いゾーンをうまく使えば調子が悪くても多少のごまかしは利く。
今のようにゾーン内にポンポン投げ込むよりも逆に効率的になる? かも?
そもそも前回の広島戦がまさにそれだったんですよね。
あの試合のアンパイアはやたらと外が広かったせいで左打者へのナックルカーブが強力な武器となった。
要所で三振を奪えたのも外に広いストライクゾーンがバウアーに味方したのだと思っている。
巨人打線はバウアーの天敵? 狭い東京ドームを本拠地としているおかげで伝統的にフライを打つのが得意
ついでに言うと、巨人がこれ系のピッチャーを得意としているのもありそう。
2018年にプチ復活を果たした松坂大輔が
・阪神:4試合、防御率1.96
・DeNA:2試合、防御率3.00
・巨人:3試合、防御率12.54
・ソフトバンク:1試合、防御率1.80
・オリックス:1試合、防御率0.00
と巨人をダントツに苦手にしていた。
あの年の松坂もカッター、スライダー、チェンジアップなどの沈む球を軸としており、巨人打線はその球をことごとくすくい上げていた記憶がある。
狭い東京ドームが本拠地だからか、巨人は伝統的にフライを打ち上げるのが得意な印象。
つまり、松坂と同じく沈む球が持ち味のバウアーにとって巨人打線は天敵と言えるのかもしれない。
トレバー・バウアー、西武打線を3安打2失点に抑えて2勝目。左右を広く使うコツを掴んだ? 初回先頭へのスライダー2球で「今日はいい」って思ったよね
その一方で阪神とは相性がよさそう。
広い甲子園、イレギュラーが多い土のグランド、左打者には地獄の浜風。
球場の特性上、どうしても各打者はゴロやライナーを狙う打撃を強いられる。
2021年に24本のホームランを打った佐藤輝明が2年目からややこじんまりしてしまったのも球場の影響が少なくないと思っている。
そういう意味でも高めに伸びるまっすぐと沈む変化球が得意なバウアーは阪神打線とはマッチしそう。2018年の松坂も阪神戦の防御率はよかったしね。
まあ、当面は横浜スタジアム専属が理想かな? とは思うが。
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