朝倉未来vs斎藤裕感想。斎藤の勝ちやな。空間支配とカウンター戦術を突破された朝倉未来はちょっとヤバい?【2020.11.21RIZIN25】
2020年11月21日、大阪城ホールで開催されたRIZIN25。メインイベントで行われたフェザー級タイトルマッチ、朝倉未来vs斎藤裕の一戦は大接戦の末に3-0の判定で斎藤が勝利。見事初代RIZINフェザー級王者となった。
RIZIN7連勝中、YouTuberとしても160万人以上の登録者数を誇る朝倉だが、この日は激しい出入りから細かいパンチ、タックルを仕掛ける斎藤裕をなかなか攻略できず。
2R中盤には絶対の自信を持つスタンドからテイクダウンを許すなど、接戦ながらも3-0の判定負け。RIZIN参戦後初の敗北となった。
なお、僕はこの日のRIZINをリアルタイムでは視聴していない。
ちょうど巨人vsソフトバンクの日本シリーズ開幕と重なったこともあるが、何よりRIZINの運営に誠意がなさ過ぎるのが一番の要因である。
今年8月にぴあアリーナMMで開催されたRIZIN22のオンライン配信チケットを購入したのだが、その際のしょーもなさは以前申し上げた通り。
RIZIN22、23のクラウドファンディングが成功した件。僕もRIZINは好きだけど、あの舐め腐ったリターンじゃそりゃ苦戦するだろなというお話
バカ高いオンラインチケット代(5000円)に加え、前半4試合まではまさかの無料視聴可。しかも数日後には全試合がYouTubeにアップされるという舐め腐った対応に嫌気がさし、購入意欲が完全に失せた次第である。
RIZIN22 四試合目まで無料視聴OKってw
散々舐め腐ってるって言いまくったけど、さらに上があんのかよ。
今朝きたログインお知らせメールもその前にきてたヤツと内容微妙に変わってるし、ホントに最初から最後までとことん舐めてんな。
ここまで舐められるとだんだんオモロくなってくるわ^_^ https://t.co/BA95wIC89F
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) August 9, 2020
「“大変です。助けてください”と言いつつ、その舐め腐った態度はなんやねん」
「RIZINは好きだし朝倉未来の試合も楽しみだけど、不快な思いをしてまでリアルタイムにこだわらなくてもええわ」
朝倉未来が負けたことはニュース等で知っていたが、実際の試合は未視聴のまま。
ようやく先日アップされたものを観たので、今回はその感想を適当に言っていこうと思う。
てか、運営側の傲慢さが垣間見えるとどうしても興ざめするよね。
榊原のおっさんのバイタリティは素直に尊敬するけど、いまだに90年後半~2000年前半あたりの格闘技バブルの脳みそから脱却できてないってことなんでしょうか。
朝倉未来がクレベル・コイケに失神KOで敗れる。リングならではの決着だったな。勝負論のある好ファイト
判定結果に文句はない。斎藤裕の明確な勝ちだと思った。朝倉未来の強さは空間支配能力の高さ。だったのだが…
まず試合を観た感想だが、勝敗は判定通りでいいと思う。SNS等で判定結果について揉めているのも見かけたが、僕としてはまったく文句はない。両者一歩も譲らぬクロスファイトの末に斎藤裕が勝利した一戦ということで間違いないのではないか。
そして、斎藤裕が朝倉未来をめちゃくちゃ研究してきた試合でもあった。
分析能力に長けていると言われる朝倉未来だが、今回に関しては逆。むしろ斎藤が朝倉の癖、傾向を見切った上で最善の策を遂行したと言える(気がする)。
表題の通りだが、僕が思う朝倉未来の強さは空間支配能力の高さ。
常に相手と一定の間合いをキープし、踏み込みに合わせてバックステップ。抜群のタイミングで右フック、左ストレートをカウンターでヒットする。
自ら前に出る際はローキックやハイキック等、蹴り技からスタートすることが多く、ここにカウンターの脅威を上乗せすることで相手は踏み込みを躊躇させられてしまう。
“待ち”が基本スタイルなのでどうしてもアクションは少なくなるが、矢地祐介もジョン・マカパもこの空間支配を攻略できずに判定負けを喫した。
神試合連発のRIZIN17。メイン3試合がヤバ過ぎて頭痛が痛い()。これぞFEDERATIONなヤツらの集い
・攻撃を見切る目のよさ
・前手のうまさ
・カウンターの精度
・簡単に倒されない体幹の強さ
これらの要素に試合前の研究熱心さ、持ち前の冷静さが加わり、難攻不落のディフェンシブなファイトを構築していたわけだが……。
射程ギリギリでの出入りを繰り返し、単発のパンチと遠間からのローで削る。斎藤が朝倉をよく研究していたよね
カウンター中心のディフェンシブなスタイルでRIZIN7連勝中の朝倉未来だったが、今回の斎藤裕はそのスタイルを見事に攻略してみせた。
朝倉の射程内、前手のパンチが届くか届かないかのギリギリの位置で細かい出入りを繰り返し、朝倉の攻撃を誘う斎藤。
この前手の射程ギリギリというのがミソで、朝倉が打撃を当てるにはもう半歩前に出るor大きく踏み込んでの蹴りしかない。
これに対して斎藤は常に攻撃を単発、もしくは2発までに抑える。
強引に前に出て連打を出すとカウンターの餌食になるので深追いはせず、なるべく少ない弾数にとどめて打ち終わりはサッと距離をとる。
過去の試合を観ると、朝倉未来は最初の1、2Rは相手の動きを観察する傾向が強い。空間支配力は確かに凄まじいものがあるが、1、2Rに限っては初弾にカウンターを合わせてくることはほとんどない。
相手に先に手を出させ、それをバックステップでかわす。そこからさらに相手が前に出たところにカウンターを返すのが基本のパターン。
逆に言うと、射程ギリギリの位置から攻撃を1発、2発までにとどめておけばカウンターの危険を極力小さくできる。
微妙にサイドに回ってアングルを変え、前手のパンチを軽く当てつつ相手の蹴りは落ち着いて防御。朝倉の間合いを外しまくり、カウンターに付き合わずに遠間からのローキックで削る。
この作戦を徹底しながら斎藤はテイクダウンのタイミングを測っていたのではないかと。
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中断後のラッシュで一気に流れを引き寄せた。この臨機応変さ、試合巧者っぷりも素晴らしい
そして2R中盤。
斎藤の蹴りが朝倉の急所に入って一時中断→再開直後に斎藤が前に出てラッシュを浴びせるシーンがあったと思うが、この試合はあそこで流れが一気に斎藤に傾いた気がする。
申し上げたように朝倉未来はカウンターを得意とする選手で、基本は“待ち”のスタイル。
空間支配に絶対の自信を持つ反面、自分から仕掛けない分どうしても手数は少なくなる。しかもこの日は序盤の制空権争いで上を行かれ、カウンターのタイミングを掌握するまでにはいたっていない。
さらに再開直後だったこともあり、メンタルが若干後ろ向きになっていた部分もあるかもしれない。
その瞬間を狙ってラッシュを仕掛けた斎藤の判断はめちゃくちゃよかったし、あれで朝倉をよりディフェンシブに追い込むことができた。
そして、踏み込みの鈍った状態からのローキックをキャッチしての見事なテイクダウンである。
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朝倉未来を山ほど研究し、状況によって臨機応変に動きを変える。
1Rから初弾のキックに合わせてタックルのタイミングを探っていたことを含め、あらゆる面で斎藤裕の試合巧者っぷりが発揮されていた試合だった。
唯一絶対の戦術を突破された朝倉未来はちょっと厳しいかも? ベラトールのフェザー級GPに衝撃を受けた直後だったこともあって驚いた
一方の朝倉未来だが、こちらは「テイクダウンを許さない」「自分の間合いでカウンターを打てる」という唯一絶対の戦術を突破されたことは割と一大事なのではないか。
得意の空間支配でスタンドの打ち合いに引きずり込み、的確なカウンターで勝利してきた朝倉未来。だが今回、斎藤裕によってそれがモロに攻略されてしまった。
正直、僕は朝倉未来のカウンターファイトを突破できる選手は日本にはいないと思っていた。
YouTuberとしての成功もあってか、ここ最近の朝倉は対戦相手の質を問われることが多い。
“アンチ”と呼んでいいのかは定かではないが、朝倉のスタンスに対する批判の声は僕の耳にも聞こえてくる。
マジな話、この状況を打破するにはベラトールに行くしかない。
朝倉未来がダニエル・サラスをKO。もうベラトールに行くしかないと思うけど。朴光哲の挑戦を受けたら批判されちゃう理不尽
ただ、巨大なファンベースに支えられる今の地位を捨ててまで海外挑戦する気が本人にあるかは微妙。30歳での引退を宣言していることもあり、もしかしたらこのまま日本で“そこそこの”相手に無双し続ける方がお得と考えたとしてもまったく不思議はない。
などと思っていたところ……。
この日の斎藤裕がそれらの懸念をすべて覆してくれた。しかも朝倉の唯一絶対の(はずだった)戦術を攻略し、MMAファイターとしての幅の狭さも白日の下にさらしてしまった。
恐らく朝倉は3Rのように自分から攻めれば打撃でダウンを奪うこともできる。斎藤の連打にカウンターをヒットするなど、相手が出てきた際の対応は的確で、タイミングさえ覚えれば1発目からカウンターを当てることも可能。
ただ、それはあくまで根幹となるスタイルあってこそ。斎藤の術中にハマり、自分の土俵に引き込めなかったことは今後を見据えるとちょっと厳しいのではないか。
もちろんすべての選手が斎藤と同じことをできるわけではなく、仮にリマッチがあれば朝倉が勝つことも十分考えられる。
だが、手数の少ない“待ち”スタイルの限界が見えたことも確かなのかなと。
UFCのイスラエル・アデサニヤのような長身クネクネタイプでもない分、絶対的なカウンター使いとまでは言えないのがね……。
吉成名高、井上直樹、クレベル・コイケ、倉本一真。RIZIN26で衝撃を受けた試合振り返り。やっぱり2週間の隔離は影響デカいよな
ベラトールのフェザー級グランプリ準決勝、パトリシオ・ピットブル・フレイレとAJ・マッキーがともに衝撃的な1R勝利を挙げた直後だっただけに、同じフェザー級の朝倉未来が敗れたことは逆の意味で驚かされた次第である。
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