ホントに勝ちやがったよフェルナンド・マルティネス。アンカハスとの打ち合いを制して王座初戴冠&井岡一翔との統一戦が消滅。まいったなオイ。クッソ複雑じゃんよ笑【結果・感想】

ホントに勝ちやがったよフェルナンド・マルティネス。アンカハスとの打ち合いを制して王座初戴冠&井岡一翔との統一戦が消滅。まいったなオイ。クッソ複雑じゃんよ笑【結果・感想】

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2022年2月26日(日本時間27日)、米・ネバダ州で行われたIBF世界S・フライ級タイトルマッチ。同級王者ジェルウィン・アンカハスがランキング11位フェルナンド・マルティネスと対戦し、3-0(118-110、118-110、117-111)の判定でマルティネスが勝利。 初戴冠を果たすとともにアンカハスに約10年ぶりの黒星をつけた一戦である。
 
 
2021年4月以来約10か月ぶり&10度目の防衛戦を迎えた王者アンカハス。
挑戦者フェルナンド・マルティネスは13戦全勝8KOのオーソドックス。これまではほとんどの試合を母国アルゼンチンで行っており、北米のリングに上がるのは今回が初めてとなる。
 
 
試合は開始直後からゴリゴリ前に出て腕を振るマルティネスをアンカハスが右リードとカウンターで迎えうつ展開。
 
だがマルティネスの圧力と躊躇のない連打、旺盛なスタミナを前にアンカハスは劣勢を強いられる。
 
前手の右リードをパリングされ、パンチの戻り際にフックの連打を浴びてなかなかペースを掴むことができない。中盤以降、ギアを一段上げて真正面からの打ち合いを挑んだもののマルティネスの手数を抑えきれず。
11、12Rには顔面にまともに被弾して後退させられるなど、突破口を見出せないまま終了のゴングが鳴る。
 
結果は3-0(118-110、118-110、117-111)の判定でマルティネスの勝利。アンカハスは10度目の防衛に失敗するとともに内定していたWBO王者井岡一翔との統一戦も消滅してしまった。
 
ジェイド・ボルネアがフェルナンド・マルティネスに肉薄。ジャブと先手先手の作戦が機能。減量苦のアンカハスよりもずっとよかったね
 

期待していたフェルナンド・マルティネスが勝ったけど、心境としては複雑w やっぱり井岡との統一戦が観たかったよ笑

ジェルウィン・アンカハスvsフェルナンド・マルティネス。
 
僕は以前から「挑戦者フェルナンド・マルティネスのことが気に入った」と連呼し、「断然マルティネスを応援する」「アンカハスを吹っ飛ばせ」「井岡との統一戦を消滅させてやれ」などと喚き散らしてきた。
 
アンカハスを吹っ飛ばせ。フェルナンド・マルティネスの殺気に満ちたファイトと顔面が気に入った。この際だから井岡との統一戦を消滅させてやれや笑
 
で、それが現実となったわけだが……。
 
心境としてはめちゃくちゃ複雑である笑
 
いや、まいったねコレは。
ホントに勝っちゃったよフェルナンド・マルティネス。
 
 
フェルナンド・マルティネスは僕が久しぶりに気に入った軽量級の選手。
殺気に満ちたファイトスタイルと整った顔の造形、太々しい表情はマジで僕好み。


接近戦での躊躇のないフルスイングやボリュームのある連打など、打倒アンカハスのネタも兼ね備えている。
 
これはひょっとするとひょっとするかも?
アンカハス有利だとは思うけど、何かが起きる可能性もなくはない?
 
 
でも、井岡一翔vsジェルウィン・アンカハスの王座統一戦はすげえ楽しみだよね。
日本開催なら絶対に現地観戦したいし、宇宙一嫌いな大田区総合体育館に行くことも我慢してやってもいい()
 
フェルナンド・マルティネスのアップセットには大いに期待するが、井岡vsアンカハス戦は何としても実現してほしい。そんな感じの微妙なテンションでこの日を迎えた次第である。
 

マルティネスがよかった。それ以上にアンカハスの動きが悪かった。マルティネスはカウンターとボディの餌食になると思ったけど…

今回の試合、フェルナンド・マルティネスがよかったのと、アンカハスが思った以上に動けてなかったというのが僕の印象である。
 
申し上げたようにフェルナンド・マルティネスはガツガツ前に出てフック系のぶん回しを躊躇なく打ち込むタイプ。それを1試合通して継続するスタミナも兼ね備える。
前傾姿勢で待ち構えるアンカハスにとって、あのフックの連打は相当厄介そう。
 
ただ、1発1発の精度はそこまで高いわけではなくディフェンス面もヌルさが目立つ。連打の最中にカウンターをモロに被弾するシーンも多く全体的に粗削り。
これだとアンカハスのカウンターとボディの餌食になるのではないか。序盤こそ頑張るものの、近場の打ち合いで徐々に疲弊させられ最終的にKOされる展開が濃厚か?
 
試合前の展望としてはだいたいこんな感じである。
 
アンカハスがんばれ井上拓真に勝てアンカハスがんばれ井上拓真に勝てアンカハスがんばれ井上拓真に勝てアンカハスがんばれ井上拓真に勝て
 
ところが実際にはまったくそんなことはなく。
 
序盤から無遠慮に距離を詰めて得意のフックを打ちまくるマルティネス。
 
アンカハスの前手のリードをパリングし、戻り際に合わせて前進。
懐に入ると同時にスマッシュ気味のフックをブンッ!!
サイドに逃げるアンカハスをクルッと方向転換して正面に捉え、すぐさま左アッパー、右フックをぶつけていく。
 
3、4Rにはアンカハスのボディで動きを鈍らされたがすぐに回復。中盤から前に出てきたアンカハスと真正面から打ち合い、終盤2Rには打ち疲れを見せるアンカハスを完全に圧倒した。
 
特に5Rからの修正能力の高さは目を引いた。4Rにアンカハスが右リード一辺倒の攻めからワンツーとバックステップ、ボディを駆使して流れを変えにきたが、次のラウンドにはすぐに対応。ワンツーにカウンターを合わせることで再び距離を詰めてみせる。
接近戦での勝負に慣れっこなのだと思うが、アンカハスに流れが傾きかけた局面での修正能力の高さにはちょっと驚かされた。
 
微妙に角度を変えながらプレッシャーをかけ、前手のリードを外して前進。
至近距離でのフックやアッパー、ボディなど。
 
案外器用で柔軟性のある試合運びに加え、力強い出足と旺盛な手数は最後まで衰えることがなかった。
 
最初から最後まで非の打ち所がない、ほぼパーフェクトな勝利と言っていい(と思う)。
 

普通にやればアンカハスの勝ちだと思ったよ。バックステップからのリターンがアンカハスの持ち味だけど…

一方敗れたジェルウィン・アンカハスだが、こちらはちょっと(だいぶ)動きが悪かったなぁと。
 
上述の通りフェルナンド・マルティネスは打倒アンカハスを果たすネタを持ち合わせた選手だったし、思った以上に器用だった。近場での連打とボディ攻撃にタジタジになるアンカハスとの相性もよくなかった。
 
だが、それ以上にアンカハスのコンディションが悪いというか、ちっとも足が動いていなかった(気がする)。
 
 
アンカハスという選手はもともと前手のリードと前後の出入りが中心の長身サウスポー。
鋭い右リードで相手の出足を止め、スペースができたところに威力抜群の左ストレートをまっすぐ打ち込む。
 
またバックステップからのリターンまでの流れもスピーディで、この出入りの距離の長さが“パッキャオ二世”と呼ばれる所以でもある。
 
長身+前傾姿勢から打ち出す右リードでスペースを確保し、鋭いバックステップ→リターンの左を突き刺す。
相手が強引に距離を詰めてきた際はど真ん中からのボディとカウンターで迎撃する。
 
マルティネスの防御のヌルさを考えると、普通にやれば多少はモタモタしても負けることはないだろうと思っていたのだが……。
 
ロマゴンすっげえわ。マルティネスを連打で圧倒。ディフェンシブに傾倒した割り切りで再び上昇気流に。井岡一翔戦が観たいけど、ないんだろうな笑
 

アンカハスの足が動かない。相性も悪かった。長期政権によるマンネリ感とブランクが影響したか?

この日のアンカハスはとにかく足が動かない。
前後の鋭いステップは鳴りを潜め、右リードにもいまいち威力がない。
 
おかげであっさりとマルティネスに懐に入られ、丸出しの顔面にフックの連打を浴びる流れ。
 
右リード→バックステップから相手よりも先にリターンの左を打ち出すのがアンカハスの持ち味だったはずが、バックステップが利かないせいでこの左が間に合わない。
何とか接近戦で打ち返すものの、その場にとどまったまま腕を振るだけなのでマルティネスの圧力をまともに受けてしまう。
 
3、4Rとボディを中心に明確に効かせたが、そこから畳みかけることができず流れを掴めない。
中盤からは意を決して打ち合いに応じるが、マルティネスの回転力についていけず。ボディを打つ余裕も失い、クッソ微妙なヘッドハンターと化したままズルズルとラウンドを消費させられた。
 
これだけ接近戦が得意+根気のある相手との対戦が初めてだったのもあると思うが、やはりコンディションの悪さも影響したのだろうと。
 
以前「アンカハスに生物的な弱体化を感じた」と申し上げたが、今回はそれがさらに進んだ印象。


長期政権におけるマンネリ感、試合間隔の長さ、などなど。
再三言われていた減量苦も含め、諸々の要素が相まっての不調だったと想像する。
 
井岡一翔vsドニー・ニエテス再戦。井岡のニエテス対策が素晴らしかった。ニエテスも相当落ちてたね。最後かも? と思って現地観戦したけど勝ってよかった
 
とは言ってもまだ30歳なのでね。井岡との統一戦が内定したことでもう一度浮上してくるとも思っていたのだが。
 
 
繰り返しになるが、期待していたフェルナンド・マルティネスのアップセットは文句なしに素晴らしい。
と同時に、一度は正式発表された井岡一翔vsジェルウィン・アンカハス戦が塵と消えた現実をいまいち受け止められずにいる笑
 
「ホントに勝ちやがったよフェルナンド・マルティネス」
「井岡との統一戦なくなっちゃったよオイ」
 

毎回コンディションを整えて試合を迎えること自体が難しい。“普通”を維持できる時点で偉大と言える?

表題の通りだが、ここ最近続いた波乱を見ると毎回コンディションを整えて試合に臨むというのはそれ自体が難しいのだと思わされる。
 
寺地拳四朗は私生活の乱れとコロナの影響でブランクを作り、それを取り返すために無理やり試合を組んで撃沈。
4団体統一王者テオフィモ・ロペスは鮮やかなKO勝利を狙って力みまくった結果、豪快にカウンターを被弾してダウン。
試合間隔が約2年開いたゲイリー・ラッセルJr.は肩の負傷を抱えてリングに上がり、試合序盤に悪化。
で、ジェルウィン・アンカハスは長期政権によるマンネリとブランクが響いて下降線に入り、相性最悪の相手に完敗。
 
今回は「普通にやればアンカハスが勝つと思った」と申し上げたが、この“普通”を毎回キープできる時点ですでに偉大と言えるのかもしれない。
 
特に今はコロナの影響で試合間隔が開きやすい状況。いきなり調整のペースを上げて怪我をしたり、落ちたメンタルが戻らなかったりといったことも普通にありそう。
 
フェルナンド・マルティネスがアンカハスに再び勝利。これでアンカハスはトップ戦線から脱落かな。組みし易しな選手になっちゃったよね。マルティネスは2023年に来日しれ
 
毎回同じことを喚いているが、具志堅用高の13度防衛が無意味なわけがないんですよね。
 
13度防衛と言えば単純計算で年3戦を4年4か月継続してようやくたどり着く数字である。
拳四朗を始め記録に挑んだ選手はこれまで何人かいたが、結局誰もが道半ばでとん挫している。
 
試合を重ねるたびに研究もされるしマンネリ感も増す。その中で目立った怪我もせずに私生活の乱れもなく減量もこなしながら勝ち続ける難しさは僕のような素人には想像もできない。
 
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