佐々木尽vs小原佳太、阿部麗也vsキコマルは興味深い。拳四朗vsゴンサレス、拓真vsソリスは正直…。那須川天心vs与那覇勇気戦以外の展望
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2023年4月8日に東京・有明アリーナで開催される「Prime Video Presents Live Boxing」第4弾。キックボクシングからボクシングに転向した那須川天心のデビュー戦が行われるわけだが、それ以外にも注目試合が多く組まれている。
具体的には、
・寺地拳四朗vsジョナサン・ゴンサレス(世界L・フライ級3団体統一戦)
・井上拓真vsリボリオ・ソリス(WBA世界バンタム級王座決定戦)
・阿部麗也vsキコ・マルティネス(IBF世界フェザー級挑戦者決定戦)
・佐々木尽vs小原佳太(WBO-APウェルター級タイトルマッチ)
の4試合である。
ちなみに現地観戦するかは非常に迷っている。
那須川天心vs与那覇勇気戦は非常に楽しみだし佐々木尽vs小原佳太戦は聞いた瞬間に「え? マジでやるの?」となったほど。
時間を作って現地に行く価値はあると思うのだが、ちょっとイベントが長すぎるのが……。
12回戦×4は単純にしんどい。
帰りは確実に遅くなる上に有明アリーナの評判があまりよろしくないのも微妙。それなら自宅でグデーっとしながら配信を視聴する方がいいんじゃねえか? と思ったり、思わなかったり。
まあ、それはそれとして。
今回はこの4試合の展望? を適当に考えてみることにする。
那須川天心vs与那覇勇気現地観戦。天心すごかった。Amazonの中継は絶対に必要だよね。試合順は「打順」なんだよ
井上拓真vsリボリオ・ソリス
この試合に関しては、絶好のタイミングでちょうどいいヤツを引っ張ってきたなぁと。
元S・フライ級王者、亀田大毅や山中慎介と対戦するなど日本でもおなじみのリボリオ・ソリスだが、2023年2月現在ですでに40歳。
さらにファイトスタイルもガードを上げて距離を詰めるブロック&リターンが中心で、アウトボクサーの拓真にとっては比較的やりやすそう。
要するにこれは拓真にタイトルを取らせるための試合、兄の井上尚弥との兄弟世界王者を達成する大チャンスと言えるのではないか。
逆に拓真にとっては絶対に負けられない試合。ここまでお膳立てしてもらった上でトチった場合は引退すらも視野に入れるレベルである(言い過ぎか?)。
まあ、実際ソリスはいい選手だしそこまで簡単ではないと思っているが。少なくとも2022年6月に対戦した古橋岳也に比べれば一段上の選手。あの試合のように12Rを通してほとんど触らせないわけにはいかない気はする。
井上拓真vs古橋岳也、平岡アンディvs赤岩俊、石井渡士也vs福永輝、岩下千紘vs山名生竜。井上vsドネア2アンダーカード振り返り。あと、レイチェル・マーシャルさんがヨカタヨ
それでも前半5Rまでをしのげば普通に勝つんじゃないの? とも思ってますけどね。
寺地拳四朗vsジョナサン・ゴンサレス
2022年11月の京口紘人戦で異常なまでの強さを見せた寺地拳四朗。
相手のWBO王者ジョナサン・ゴンサレスは拳四朗vs京口戦の同日に岩田翔吉に勝利した選手である。
正直、この試合は勝敗についてはあまり興味をそそられない。
拳四朗vs京口戦を観る限りジョナサン・ゴンサレスに勝機があるとは思えない。拳四朗の3団体統一はほぼ確定と言ってもいいのではないか。
寺地拳四朗vsアンソニー・オラスクアガ。あれ? これはvsジョナサン・ゴンサレスよりもおもしろいんじゃ…。興味が薄かった試合が楽しみになった笑
もちろんゴンサレスもいい選手だし、岩田のプレスを12Rしのぎきった粘り強さは目を見張るものがある。
ただ、今の拳四朗を何とかできるか? と言えば……。
ジョナサン・ゴンサレスは2019年8月の田中恒成戦で田中の圧力に押し切られてKO負けを喫しているが、あのときの田中と今の拳四朗のどちらが強いか? という話。
階級こそ違うが、むしろ拳四朗の方が上では? とすら思っているのだが。
それくらい矢吹正道を下した拳四朗のモンスターっぷりは群を抜いている。
唯一希望を見出すとすれば拳四朗がサウスポーを苦手としている可能性だが、残念ながら過去にガニガン・ロペスやジョナサン・タコニンにKO勝ちしているというね。
阿部麗也vsキコ・マルティネス
前戦で日本拳法出身の前田稔輝に勝利し挑戦者決定戦のチャンスを得た阿部麗也。
対戦相手のキコ・マルティネスは2014年4月に日本の長谷川穂積を7RTKOで下した選手で、2021年11月にはキッド・ガラハドに6TKOで勝利する番狂わせを演じている。
井上拓真は打倒井上尚弥筆頭? 和氣慎吾戦での圧勝がお見事すぎた。その他、ムンギアvsロサド、キコマルvsガラハド振り返り
実を言うとこの試合は僕の中ではかなり興味深い。
もちろん36歳のキコマルに今が全盛期の阿部麗也が負けるわけにはいかないのだが、いや待てよと。案外わからんぞと。
上述の通りキコマルは長谷川穂積やキッド・ガラハドをKOした経験があり、中でも長谷川戦で見せたプレスはめちゃくちゃよかった。
足を使って距離を取る長谷川をジリジリ追い詰め、近場では頭が当たろうが関係なしに腕を振り回す。アウトボクサーを追いかけることに慣れっこなのだと思うが、今回の阿部麗也もフットワークでいなそうと考えているようならちょっと危ない。
逆にジョシュ・ウォーリントンやレオ・サンタ・クルス、スコット・クイッグにKO負けを喫していることを考えると、むしろこの選手は近場で打ち合うタイプを苦手としているのかもしれない。
もともと身体が大きくない&打たれながら打つスタイルなので耐久力勝負になるとどうしても途中で決壊するパターンが増える。
諸々を加味すると、阿部麗也もポイントアウトを狙うよりも真正面から受けて立つくらいの方がいいように思える。
長谷川穂積戦同様、どこかでキコマルのパンチが阿部の顔面を捉えそうな気もするが、逆に阿部が抜群のタイミングで左をねじ込みそうな気もする。
他の試合に比べて注目度こそ低いが、実は結構楽しみな試合である。
佐々木尽vs小原佳太
そして対戦を聞いた際にめちゃくちゃ驚いたのがこの試合。
挑戦者の小原佳太は2022年10月の小畑武尊戦後に日本王座を返上、次のステージを模索するものだとばかり思っていたら……。
まさか佐々木尽のWBO-APタイトルに挑戦するとは。
勝てばWBOランキングが手に入る&佐々木尽が比較的組し易いと判断したのだと思うが、それ以上に吉野修一郎の存在が大きいと想像する。
過去3度の「Prime Video Presents Live Boxing」のうち2度に出場しいずれもMVP級の活躍を見せた吉野修一郎。ご存知の通り4月8日にシャクール・スティーブンソンとの挑戦者決定戦が決定している。
佐々木尽vs小原佳太→100点満点、阿部麗也vsキコマル→微妙、井上拓真vsリボリオ・ソリス→ダントツ最下位。天心、オラスクアガ、佐々木尽がこの日の功労者
中量級以上の日本人選手が世界で活躍するには村田諒太レベルの知名度、マネジメント力がなければ困難を極める。
基本は国内、アジア圏で防衛を重ねながらチャンスを待つことになるわけだが、それに耐えきれずに陥落するケースも多々ある。
吉野修一郎もそのルートに入りかけていたが、Amazonのボクシング中継参入によってギリギリ間に合った。
那須川天心公開スパーリングと尾川堅一の復帰戦。どちらもよかったんじゃない? 尾川は僕の知る限り過去一の出来かな
逆にそのチャンスを生かせなかったのがS・ライト級の平岡アンディ。
井上尚弥のアンダーという絶好の機会を得たにも関わらず、パッとしない試合を披露した上に内輪ノリ満載のタコ踊りで観客を呆れさせるという。
海外に向けてアピールしなくてはならない立場の選手がクソ寒い内向きのパフォーマンスでスベり倒し、豪快にチャンスを逸してしまった。
恐らく小原佳太がメリットが少ない佐々木尽戦を受けたのも吉野修一郎ルートを見越してのもの。
要するに中量級以上の日本人選手が成り上がるには「Prime Video Presents Live Boxing」は最適の舞台と言えるのではないか(トチったら最悪だけど)。
試合展開に関しては、普通に考えれば小原がジャブとフットワークを駆使して翻弄するのかな? と思うが、佐々木の剛腕がどこかで爆発しそうな気もする。
特に怪我明けの小原は足の動きが落ちて若干カクカクした印象。
佐々木が根気よく前に出て腕を振り続ければ“まさか”が起きる可能性もありそうな……。
小原佳太vs小畑武尊、渡来美響vsロメル・ピニリ。小原佳太はさすがの中間距離での強さ。でも動きがちょっとカクカクして滑らかさが失われたような
というか、どちらが海外に名前を売れるか? と聞かれれば断然佐々木尽である。
ファイトスタイルがわかりやすくド派手で華もある。リング上の太々しい振る舞いも相まって人気者になる要素は小原圭太よりもはるかに多い。
勝つ確率が高いのは小原圭太だが、勝った場合に次に進む確率が高いのは佐々木尽。
佐々木も小原同様、吉野修一郎の例を踏まえて短いスパンでの試合を受けたのだと思うが、とにかく興味深い組み合わせである。
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