アリームさんホントにコケたよ。サム・グッドマンに対策されて終始糞詰まり状態に。序盤は苦戦すると思ったけど1Rから自信たっぷりでしたね【結果・感想】
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2023年6月18日に豪・クイーンズランド州で行われたIBF世界S・バンタム級挑戦者決定戦。同級4位サム・グッドマンと同5位レイセ・アリームが対戦し、2-1(117-111、116-112、112-116)の判定でグッドマンが勝利。現IBF王者マーロン・タパレスへの挑戦権を獲得した試合である。
一時期井上尚弥との対戦をアピールしていたレイセ・アリームが敵地でサム・グッドマンとの無敗対決に挑んだ今回。
接戦の末にグッドマンが判定勝利を挙げたわけだが……。
僕は当初、この試合の主役はアリームだと思っていたのだが、試しにサム・グッドマンの過去の試合を漁ってみると「おや、そうでもねえぞ」と。
無敗の戦績はもちろん、前戦で元王者TJ・ドヘニーを完封するなど普通に実力も高い。
これはアリームさんがコケる可能性も全然あるんじゃねえか? と思った次第である。
しかもグッドマンは全体的に同郷のジェイソン・モロニーと似た雰囲気がある。
また“サム・グッドマン”を直訳すると「多少男前(スペル違い)」。
いろいろな意味で僕好みの選手だなぁと。
一応アリームさんの判定勝利を予想しておくが、多少男前(スペル違い)が勝つパティーンも全然ありそう。僕としても、むしろそっちの方が嬉しいくらい(笑)
と言いつつ不遇続きのアリームさんにも報われてほしいんだよな……。
などなど。
複雑な思い()を抱えながら当日を楽しみにしていた。
サム・グッドマンvsチャイノイ・ウォラウト。グッドマンに打倒井上は厳しいとオモタ。パワフルなチャイノイとあえて打ち合ったのはよかったけど
「アリームさんの勝利予想だけどグッドマンが勝つ可能性も十分ある」という予防線張りまくりの展望w
まず試合前の僕の展望は下記。
サム・グッドマンを応援せざるを得ない理由w 王座挑戦権コレクターのアリームさん、コケる可能性も? ノーマークだったけどちょっと楽しみ
・サム・グッドマンはトータルでレベルが高くバランスもいい
・多彩な左と距離の調整が巧み
・圧倒的ではないが確実にポイントを奪取する安定感
・レイセ・アリームはスピードとパワーは階級内でも上位
・鋭いジャブと前後の出入り、パワフルな右が持ち味
・ただ、動きが単調で動き出しのタメも大きい
・攻撃パターンが少なく後半になるにつれてグダる
見どころとしては、
アリームの動き出しにグッドマンのカウンターが間に合うか。
踏み込みスピードに置いてきぼりを食わずに近場でパワフルな打ち合いができるか。
グッドマンの多彩な左がどこまで機能するか。
といったところ。
恐らく展開的には前半アリーム、後半グッドマンの流れになる。
グッドマンがどの段階でペースを掴むかが分かれ目になるのではないか。
上述の通り勝敗予想はアリームの判定勝ちだが、グッドマンにも十分勝機はある。
毎度の予防線張りまくりのクソ展望というヤツである笑
グッドマンがデカい&懐が深い。単調なアリームの動きを1Rから攻略する
具体的な感想だが、まず最初に思ったのがサム・グッドマンがデカい。
BoxRecによるとサム・グッドマンの身長が169cmなのに対してアリームは168cm。数値上は1cmしか違わない。
だがリング上で向かい合うとアリームがグッドマンを見上げる感じになる。
FIRST UP: Ra'eese Aleem takes on Sam Goodman in an IBF 122-pound title eliminator. #AleemGoodman pic.twitter.com/mcTtefuUQA
— Premier Boxing Champions (@premierboxing) June 18, 2023
さらに実際に構えると両者の体格差がより際立つ。
やや広めのスタンスで腰を落として構えるアリームに対し、グッドマンはアップライト気味にスラッと立つ。前に掲げた両手のせいで懐も深い。アリームとしても思った以上に距離が遠く見えたのではないか。
そして、グッドマンはこの体格差? を活かしてうまく立ち回る。
アリームの踏み込みに合わせて自ら一歩前進、スペースを潰して初弾の威力を半減させつつ同時打ちのタイミングで左をヒット。
さらにアリームが2発目のモーションに入る前に追撃の右。もしくは2発目をガードし再び同時打ちのタイミングでカウンターを返す。
申し上げたようにアリームはスピード&パワーには秀でているが動きは単調。
攻撃パターンが少なく動き出しのタメが大きいので、後半になるにつれてグダる傾向が強い。
この試合もグッドマンがどの段階でアリームの出入りに慣れるか、動き出しを狙ってカウンターを打てるかが見どころだと思っていた。
なので、1Rの初っ端からカウンターをバンバン打ち込んでみせたことはかなり意外だった。
正直、序盤3Rくらいまではアリームの馬力にタジタジになると思っていたのだが……。
しかもアリームの踏み込みにバックステップが全然間に合っていたのもすごい。
前後のスピーディな出入り、遠間から助走をつけて打ち込むジャブを起点に展開を作るのがアリームの勝ちパターンだが、グッドマンはその踏み込みを恐れずカウンターを合わせにいく&バックステップでそのつど距離をリセットしてみせた。
動きの単調さ、攻撃パターンの少なさを考えればどこかでグッドマンに流れがくるとは思っていたが、まさか最初からとは。
フィジカル面がやや心もとない印象だったが、実はそんなことはないのかもしれない。
ピカソがンゲビンヤナにTKO勝利。アフリカ系選手の大味っぷり、引き出しの少なさ。亀田興毅のアフリカ視察、スカウトにはちょっと期待してる
やりたいことをやれたグッドマンと攻略されても折れずに腕を振り続けたアリーム。日本人ジャッジがめちゃくちゃ批判されとる
ただ、決してグッドマンの一方的な試合だったわけではなく。
ジャッジ1人が116-112でアリームを支持しているし、打ち合いの局面ではアリームのパンチも普通に当たっていた。
だが、遠間から一足飛びで距離を詰めて腕を振る流れが持ち味な分、アリームは近場ではやや窮屈になる。確かにパンチは当たっているのだが、腕が伸びないせいでいまいち威力が足りない。
逆にグッドマンのパンチはしっかりと体重が乗っており、“有効打”という意味ではアリームを上回っていた。
何となくだが、試合を通してやりたいことをやれていたのはグッドマン。対するアリームは糞詰まり状態のまま腕を振り続け、引き離されないようにどうにか踏ん張り続けた印象である。
下記の記事ではアリームを支持したジャッジがめちゃくちゃ批判されている。
「How rogue judge’s scorecard almost cost Sam Goodman title shot, and mate $50K」
僕もグッドマンを支持した他2者のスコアに概ね賛成で、もう1者は“アリームが勝つならコレ”というスコアだったように思える。
前半6Rまでを5-1でリード、後半6Rは3-3で失速を最小限に。
アリームとしては理想に近い流れと言えそうである(疑問符がつくけど)。
てか、グッドマンを支持したジャッジは日本人なんですね。
レフェリーも日本人だったし、よく見たら2022年10月のデビン・ヘイニーvsジョージ・カンボソスVol.2を担当した人じゃねえっすか。
ヘイニーがリマッチでもカンボソスを圧倒。ジャブとアウトボクシングだけじゃない、パンチ力とインテリジェンスも証明した試合だったな。PFP No.1がより盤石に
いい試合でしたね。やっぱり暫定王座は必要だと思うけど
しかし、改めていい試合だったなぁと。
ワンパターン気味なアリームの特徴をよく理解し、1Rからやりたいことを貫いたサム・グッドマン。
動き出しを狙い続けるというのは恐らくかなりの負担になる。
実際、6Rにやや疲れが見えてペースを奪われかけたが、7Rにすぐ盛り返してみせた。
一方のアリームもあれだけ糞詰まりを起こしながらも最後まで腕を振り続けた。
個人的にこの選手はジョン・リエル・カシメロと少し似ていると思っていて、スピーディな踏み込みとパワフルなスイングに秀でているが、持ち味をフルに発揮するには前後に広いスペースが必要になる。
そこをグッドマンにことごとく潰されたわけだが、何だかんだで落ちることなく12Rを走り抜けた。
仮にこれがカシメロだったらどこかでヘタっていた気がする。
サム・グッドマンvsチャイノイ・ウォラウト。グッドマンは井上尚弥戦を目指すなら打ち合いで勝たなきゃダメかな。例の“グッドマンは逃げた”祭りは心底クソだった
と同時に現王者タパレスが統一戦を強く希望していることを考えると、素直に暫定王座を設置した方がいいんじゃねえか? と思った次第である。
グロ過ぎる。
だからそれ、暫定王座戦と何が違うんだよ笑統一王者がいるときは素直に暫定王座を設置しろって8億年前から言ってる。
王座に挑戦できない挑戦権なんて意味ねえだろw
【ボクシング】亀田和毅、前統一王者アフマダリエフとのWBA挑戦者決定戦の指令受ける https://t.co/QNDX1mcPlY
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) June 6, 2023
てか、もしかしたらこれでアリームvsカシメロ戦を組みやすくなったかもしれませんね。
無敗ブランドを失ったアリームさんを呼ぶ意味があるのか? と聞かれると甚だ疑問ですが。
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