田中マー君、課題は中四日? 11勝目をマークするも不調。打線の大量援護に助けられる【レッドソックス戦結果】

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課題はやはり中四日? 今日もホームランを許す苦しいピッチング。それでも大量援護に守られ11勝目をマーク!!

ニューヨーク・ヤンキースに所属する田中将大が9月2日(日本時間3日)に敵地ボストンで行われたレッドソックス戦に先発。6回1/3を投げて6安打5奪三振で4失点。味方打線の大量援護に助けられて11勝目(6敗)をマークした。

「田中将大10勝目!! ホームランを許すものの7回3失点の好投」

中四日での登板、ヒッターズ・パークと呼ばれるフェンウェイ・パーク。調子の悪さも相まって、結果的に勝利はしたが快投とはいえない苦しいピッチングであった。
田中自身も「投球の精度をもっと上げていきたい」旨のコメントを残すなど、今後の勝負どころの登板に向けて課題の多いピッチングといえるだろう。

今日の田中は立ち上がりから調子が上がらない。いきなり長打を許す苦しい展開

初回。
いきなり先頭打者のベッツにレフトオーバーのツーベースを打たれ、ノーアウト2塁のピンチを背負う田中。
2番サンドバル、3番ボガーツを打ち取り、2アウト2塁とする。

迎えた4番オルティス。その初球。外寄りの92マイルのツーシーム。この球を思い切りオルティスが引っ張る!! 打球はライトの頭上を越えるツーベース!! あっさり先制点を与えてしまう。

続く5番ショーには外側へのスライダーを強振される。痛烈な打球はセンターに抜けるかと思われたが、セカンドのドルーがこの打球を飛びついてキャッチ!! 振り向きざまにファーストへ送球して3アウト!! これはナイスプレーだ。助かった。

立ち上がりの投球を観る限り、今日の田中はあまりよくない。
前回登板であれだけ走っていたフォーシーム、ツーシームの直球系の球速が軒並み2、3マイル落ちている。やはり中四日での登板が影響か。球の走りが露骨に悪い。

2回にヤンキース打線が爆発し、一挙8点を奪う。
8-1と大量リードで迎えた2回裏。
先頭の7番ホルトにいきなりヒットを許したものの、後続を打ち取ってこの回を無失点で切り抜ける。
しかし、やはり今日は球が遅い。スプリットやスライダーに本来のキレもない。
球にキレがないので空振りが奪えない→より厳しいコースを狙ってカウントを悪くする→一人の打者への球数が増える
今日の田中はこのパターンが多い。

3回まで11-1と大量リードしたヤンキース。
この辺りから調子を上げていきたい田中だが、なかなかそうもいかない。
先頭バッターの1番ベッツ、2番サンドバルをいずれも内野ゴロに打ち取りはしたが、どちらもスライダー系の球をしっかりミートされての内野ゴロ。
続く3番ボガーツにはカウント1-2からの外角スライダーを合わせられてセンター前ヒットを許す。普段なら空振りかポップフライになるコースだと思うのだが、キレがないのでうまく捉えられてしまうのだ。

続く4番オルティス。2球目のカットボールを強振!! しかしこの打球は高く上がっただけで、平凡なセンターフライで3アウト。
結果には1安打無失点。だが、内容的にはどうにか綱渡りで抑えたといった印象である。

前にも言ったが、調子の悪い日の田中はどうもカットボールに頼る傾向がある。ツーシームと双方向にボールを動かす組み立て作戦なのだろうが、この球を多投する日はスライダーとスプリットの精度がよくない傾向が強いように思える。

「田中将大、インディアンス打線につかまり敗戦。4試合連続QSも地元紙には評価されず」

4回。
この回の田中はなかなかよかった。
先頭の5番ショーをカーブとカットボールで追い込み、最後は左打者の内側からストライクになるツーシーム、通称フロントドアで見逃し三振に打ち取って1アウト。
6番カスティーヨは外側のキレのいいカットボールとスライダーで空振り三振。連続三振で2アウト。
7番ホルトは1ストライクからの2球目のスプリットをうまく打たれたものの、ファースト正面のゴロ。これで3アウト。

ホルトへ投じたスプリットは危ない球だったが、前の2人の打者に対してはまともなスイングをさせなかった。少しエンジンがかかってきただろうか。このピッチングができればそれなりの結果は残せそうに思えるが。

調子がよかったのは4回だけ。その後はやはり苦しい投球が続く

5回。
8番スワイハート。追い込んでからのスプリットとツーシームをファールされ、カウント1-2から真ん中に入ったカットボールを右中間にツーベースを打たれる。最後の6球目のカットボールが一番甘かった。これは打たれても仕方がない。
続くブラッドリーのセンターフライの間にスワイハートが3塁へ進む。

1アウト3塁で迎えるのは1番ベッツ。その初球。外角の89マイルのカットボールをなぎはらうようなスイングで打つ。打球はライトへ上がるが、ベルトランがキャッチして2アウト。だが3塁ランナーのスワイハートが余裕を持ってホームインして2失点目を許す。

2番サンドバルは2球目を打ち上げてキャッチャーフライ。結局この回を1失点で切り抜ける。

まあ、この失点は仕方がない。
今日の球のキレでは鮮やかな空振りを奪うのは難しいし、コースを狙ううちに失投もあるだろう。スワイハートがその失投を見逃さなしてくれなかったということだし、犠牲フライを許したとはいえ後続の打者を5球で終わらせている。悪いなりのピッチングという意味では上出来といってもいいだろう。

6回。
この回の先頭は3番ボガーツ。
初球、2球目とカットボールで0-2と追い込む。
3球目のツーシームはやや低めに外れる。
4球目。84マイルのスプリットが内側高めにフワッとした軌道で入る。この球をボガーツが腰を鋭く回転させて強振!! 打球はレフトスタンドへ一直線に突き刺さるホームラン!! あっという間の3失点目。得点は12-3。

いや、今のは打たれる。あんなヌルいスプリットでは「どうぞ、打ってください」と言っているようなものだ。まさしく今日の調子を凝縮したような1球だった。

4番オルティスを内側のカットボールで三振に、5番ショーをカーブでレフトライナーに打ち取り2アウトを奪った田中。6番カスティーヨにはスライダー、カットボールと外側中心の組み立てを見せる。3球目のスプリットをうまくすくわれるが、打球はセンターの正面へのライナーで3アウト。

今日の田中は低めのスプリットで空振りを取れないのが厳しい。確かに今日のスプリットではローボールヒッターが多いレッドソックス打線から逃げ切るのは難しいだろう。かといって、いつもよりスピードも出ていないので高めに見せ球を投げるのも躊躇われる。いや、厳しい。

「田中マー君、今季初完投で9勝目。被弾に泣かされた雪辱を晴らす!!」

とはいえ、なんだかんだで6回まで82球の3失点。
悪いなりに球数もそこそこで何とかしてしまうのが田中の器用なところだ。このごまかしのうまさには毎回驚かされる。投げている球自体は全然すごくないし、ホームランもしょっちゅう打たれるのに1回に2点以上取られることが本当に少ない。出来は悪くとも試合を作る術はさすがとしか言いようがないところである。

7回。
ここまで82球。中四日+この球数。間違いなく回がラストだろう。どうにか無難に切り抜けてもらいたいところだ。
先頭打者は7番ホルト。
初球の90マイルのツーシームをうまくすくいあげられるが、打球はセンター正面のライナーで1アウト。

続く8番ショー。
初球は92マイルのフォーシームが低めに外れる。コースはいいのだが、やはりスピードがない。

フルカウントとなったところで内側へのスライダー、外側低めへのスプリットを続けるがいずれもファールで粘られる。というよりも、投げている球自体に空振りをとれるだけのキレがない。

9球目。思い切り腕を振るが、90マイルのスプリットを叩き付けてしまう。ベースの手前でバウンドしてフォアボール。1アウト1塁。
球数が92球となったところで監督のジラルディがベンチを出る。
あ〜、ここまでか。残念だけど球数と調子を考えたらここが代え時だろう。

拍手を受けながらベンチに戻る田中。悪いなりにまとめたピッチングといってよさそうである。

試合はその後、リリーフ陣が崩れてよもやの13-8でヤンキースが辛勝する。田中は11勝目(6敗)をマークしたものの、自責点が4となりQSは5試合連続で途切れた。6回1/3を投げて92球、6安打5奪三振1四球。防御率は3.73となった。

内容よりも結果が重要な時期に入ってきました。中四日が続くスケジュールに耐えられるか

今日の田中ははっきり言って、ちっともよくなかった。
スピードは出ていないし、得意のスプリットとスライダーの軌道もドロンとしていて空振りを奪えるほどのキレはなかった。
球が走らないので、それを補うために厳しいコースを狙う。結果的にカウントを悪くして甘くなった勝負球を打たれるパターンが目立っていた。

不調の原因は言うまでもなく中四日だ。肘の調子だとか、手術をしておけばという話はまったく関係ない。

とはいえ、なんだかんだで6回1/3を92球。四球も最後のショーへの粘られた末に与えた1つのみである。
球威もない。変化球もよくない。それでも試合はしっかり作る。非常に評価に困る内容だが、激しい首位争いを繰り広げるチームにとっては及第点の出来なのではないだろうか。これぞまさしく開幕前の「1年を通してチームに貢献することが目標」という言葉どおりのピッチングといえる。

相手打線を圧倒的な内容でねじ伏せて、主軸の打撃を狂わせるほどのダメージを与えるようなエース格のピッチングではないが、内容よりも結果が重視されるこの時期としては十分だろう。

楽天時代の圧倒的なピッチングを知る日本のファンには物足りなく映るだろうが、今シーズンの田中ははっきり言ってこんなものである。こんなものというのは若干語弊があるが、なんだかんだで毎回QSを記録し続ける投手。それが今シーズンの田中が目指している姿なのである。

次回登板からは中四日での登板が連続するのだろうか。2015年の田中将大、いよいよ本当の正念場を迎えそうである。

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