ラグビープロ化構想がスタートしたらしいけど、なかなか難しそう。批判もあるけど企業スポーツってクッソ待遇いいからね【長文】

ラグビープロ化構想がスタートしたらしいけど、なかなか難しそう。批判もあるけど企業スポーツってクッソ待遇いいからね【長文】

ラグビー試合イメージ
2019年11月5日、日本ラグビー協会の清宮克幸副会長が自民党スポーツ立国調査会のスポーツビジネス小委員会でラグビーの新プロリーグ構想について講演した。
 
現行のトップリーグ(TL)は2021年春にいったん終了し、それ以降は企業リーグに移行。TLからプロ化するチームと新たに設立されるチームを合わせた計8チーム前後でプロリーグをスタートしたいという。
 
現在TLからは4~6チームがプロ化に関心を持っているとのことで、自国開催のW杯での波を逃さずプロリーグ構想を推し進めていくとのこと。また2020年限りでスーパーラグビーから除外されるサンウルブズも参入見込みだとして、今後は海外資本の受け入れも視野に市場拡大を狙うとしている。


 

ラグビーのプロ化はいずれやらなきゃダメだよね。でも、そんなに簡単な話ではなさそう

清宮克幸副会長によるラグビーのプロリーグ構想。
 
このネタは僕も以前に耳にしたことがあるのだが、そのときはW杯が目前に迫っていたこともありあまり気に留まらず。
だが、大盛況のうちに終了したW杯の流れに乗り、いよいよプロリーグ構想が本格的に動き出すとのこと。
 
記事によると、現行のTLは2021年で終了し、そこからは企業リーグと新たに設立されるプロリーグの2つに分かれるという。現在TL内でもプロ化に興味を持っているチームが4~6チームあるとのことで、そこにサンウルブズと新設チームを加えた計8チームを想定しているということか。
 
なるほどねぇ。
確かにこの先日本経済が劇的に好転するとは考えにくい。企業スポーツが頭打ちになるのは目に見えていて、将来的なプロ化は避けては通れないのだと思う。
 
でもまあ、そんなに簡単でもないだろうなと。
上記の記事でもいくつかの課題が述べられているが、仮に発足したとしてもいろいろな壁にぶつかるはず。それこそ軌道に乗る前にポシャったりというパティーンもあるのでは? というくらい。
 
 
というわけで、ここから先は僕がラグビーのプロ化、リーグの継続が容易ではないと思う理由を適当に並べていくことにする。
 
一応言っておくと、僕は決してプロ化に反対しているわけではない。ラグビー界発展のためにはいずれやらなくてはならないことだし、W杯後のタイミングでというのも理解できる。
 
それを踏まえた上で、なかなか厳しそうだよねという話。
 
「ラグビーW杯2019南アフリカ優勝。タックル、セットプレー、モール。南アフリカの持ち味がイングランドをノートライに封じる」
 

世界的なトップ選手が日本に来なくなる

まず1つ目はコレ。
「世界的なトップ選手が日本に来なくなる」について。
 
現在、日本のTLには海外からの有名選手が多数所属している。
無作為に選んだ試合でも両チームに強豪国の代表クラスが多数いるなど、はっきり言ってめちゃくちゃ豪華なリーグである。
2018年には元オールブラックスのスーパースター、ダン・カーターが神戸製鋼コベルコスティーラーズ入りしたことが話題になったりもしている。
 
以前にも申し上げたが、これはマジでとんでもない。
サッカーで言えば2006年W杯後にジネディーヌ・ジダンがJリーグ入りするようなもので、ラグビーファンからすれば目ん玉が飛び出るほどの事態である。
 
「ダン・カーターが神戸製鋼入りするってよ!! 世界的なプレイヤーが観たければラグビートップリーグがおススメだよん」
 
そしてW杯後の2020年シーズンには、さらに多くのW杯出場選手が日本のTLに所属することが決まっている。


割とガチで、現在のTLは「世界的な有名選手を生で観られるリーグ日本一」と言っても過言ではない。
 

なぜ日本に有名選手が来るのかって? 日本のTLが理想的な環境だからですよ

なぜこれほど有名選手が日本に大挙して押し寄せるのかについては、
・ラグビー界の年俸がインフレしていない
・日本のシーズンが短い
・日本が安全
というのがある。
 
下記の記事でもわかるように、ラグビー選手の年俸はトップ中のトップでも1億円程度。


しかもこれは日本だけでなく、世界各国のリーグでも同じ。2015年にフランスリーグ「TOP14」のラシン92に所属していたダン・カーターの年俸がラグビー史上最高額の2億5000万円だったと言われており、野球やサッカーに比べればだいぶおとなしい金額となっている。
 
さらに言うと、日本のTLはシーズンが短い。
フランスの「TOP14」やイングランドの「プレミアシップ」のように8~9か月ぶっ続けで開催されるリーグと違って半年未満で終了するし、夏のテストマッチ期間の中断もある。
 
その上南米系の選手にとって、日本の治安のよさは大きな魅力。昔、プロ野球中日ドラゴンズに所属していたドミニカ出身の選手が「日本は夜外を歩いても殺されないのがいい」とクソまじめな顔でコメントしていたが、冗談でもなくそういうことなのだと思う。
 
サンキュー、ダン・カーター。2年間夢を見せてくれたことに感謝。神戸製鋼には“夢は金で買える”ことを教えてもらった
 
シーズンが短いために精神的、身体的に余裕が生まれ、なおかつ治安もいいので暮らしやすい。年俸もフランスリーグやイングランドリーグの7、8割は得られる。
 
また企業側としても、役員1人分の給料で世界的な有名選手を獲得できるのはありがたい。選手の名前が広告塔となり、さらなる企業の宣伝効果が見込めるという流れ。
 
つまり、多くの海外選手にとって日本のTLは理想的な環境であり、企業側にとっても年俸がそこまでインフレしていない分メリットが大きい。お互いにWIN-WINの状況というヤツ。
 

社会人リーグのチームが有名選手を獲得するメリットはどれだけあるの? 間違いなく補強費は削られるんじゃない?

だがTLが終了して新たにプロリーグが発足すると、恐らくこれまでのように世界的な選手が日本に押し寄せる状況は当たり前ではなくなる(気がする)。
 
プロリーグに所属するチームは今まで通りそれなりの年俸を払って選手獲得を狙うとは思うが、そうでないチームはどうなるか。
 
新設されるプロリーグは間違いなく日本のトップカテゴリーの位置付けになるはずで、社会人リーグ所属のチームはプロリーグよりも下に位置することになる。それに伴って社会人リーグの広告効果は低くなるので、その状況で企業側は多額の補強費用をかけるメリットを感じるか? という話。
 
そう考えると、海外の有名選手が日本のTLに魅力を感じるのはあくまで企業スポーツだからこそ
このままプロリーグが発足すれば、多くのチームがTL時代よりも予算を削らざるを得なくなると思うのだが、どうだろうか。
 
逆にプロリーグにDAZNのような海外資本が入った場合、有力な外国人選手がさらに多く集まり、日本人選手が出場機会を奪われる可能性もあったりなかったり。
 

代表チームの活動が難しくなる

2つ目はコレ。
「代表チームの活動が難しくなる」について。
 
下記の記事によると「日本代表は日当が1万円」とのこと。この待遇の低さがファンの間でちょろっと話題になっていた記憶がある。
 
「日本代表はラグビーに関わる全ての人の憧れの存在でなくてはいけない」という精神のもと、選手は報酬が低くても高い志を持って集結したといった内容の記事である。


これについては賛否両論あったが、僕が気になったのは「今年だけでも240日間の合宿をしてきた」という部分。今回の日本代表は1年の2/3を合宿に費やし、2019年W杯に備えたとのこと。
しかも代表の活動によってリーグ戦のスケジュール、試合数が毎年コロコロ変わるという。
 
これも海外選手の移籍同様、企業スポーツならではの話。
 
興行優先のプロリーグでは、代表チームにここまで極端に比重を置くことはできない。
サッカーでは2018年W杯期間中の1か月以外は普通にリーグ戦が行われていたし、現在開催中の「野球プレミア12」にも3月~10月までのフルシーズンを戦った選手が多数出場している。
 
代表チームの日当1万円は確かに安いとは思うが、その分レギュラーシーズンが軽減されるというのはむしろ恵まれているとも言える。
 
これがプロリーグ発足となると状況はガラッと変わる(はず)。レギュラーシーズンは大事な収入源なので、当然スケジュールも興行優先で組まれることになる。代表の活動があろうがリーグ側としては試合は極力開催したい(はず)。それこそ各チームの主力選手が1年のうち2/3も拘束されるなどもってのほかである。
 
さらに社会人リーグからも代表選手が選ばれるとなれば、余計にややこしい。
代表の活動によって比較的簡単にスケジュールを変更できる社会人リーグと、興行優先のプロリーグ。どう考えても足並みが揃うとは思えないのだが。
 
かつてのバスケットのように、プロ化賛同組と企業スポーツ優先組の意見が合わずにbjリーグとNBLに分裂する最悪の事態にすらなりかねない(気がする)。
 
「川崎ブレイブサンダースの親会社になるDeNAってすげえ優良企業だって知ってた?」
 
実際、企業側の「収益性を第一には考えていない」「そもそもチーム運営は収益事業ではない」という姿勢には競技全体が助けられている部分が大いにあると思っている。


バレーボールのVリーグもプロ化or企業スポーツの件で揉めたせいでなかなか話が進まなかったらしいが、観客動員を気にせず設備や道具も使い放題、競技引退後も有名企業の社員としての身分が約束されているというのは相当恵まれていると思うのだが。


 

プロとして厳しい目で見られる

最後の3つ目はコレ。
「プロとして厳しい目で見られる」について。
 
プロ化するということは、当然各チーム、リーグともに収益を上げなくてはならない。これまでの赤字体質を解消する必要があるし、ガラガラのスタジアムの映像を毎回垂れ流しているようではお話にならない。
 
1万人規模のスタジアムを使用するのであれば、その維持費も必要になる。もしくは既存のスタジアムを増設して条件に見合ったものに作り直すことも考えなければならない。
 
以前、サッカーのJ3(DAZNと契約前)の財務諸表を見ながら「J3がいかに儲かっていないか」「これが本当にプロと呼べるのか」といった内容でボロクソ言ったことがあるが、要はそういうことかなと。(名目上は)収益事業ではない企業スポーツと違い、プロリーグはいろいろな場所から厳しい目で見られるようになる。
 
「サッカーJ3の存在意義とは? Jリーグの3部は必要か? Jリーグ傘下のプロチームになるってそこまですごいことなのか?」
 
仮にスタジアムを増設することになれば税金が投入されるわけで、納税者から反対意見が出ることは必至。
 
上記のJ3の記事に対しては某巨大掲示板で「部外者が口を出すな」「にわかは黙ってろ」と散々disられたが、いやいやいやいや。税金の使い道を批判することの何がいけないのか。
 
部外者は黙ってろ?
 
アホか。
宇宙一関係あるわww
 
そもそも論として、自分が収めた大事な税金がまったく収益の上がらないクソ事業に消えていく状況を黙って受け入れろという方がおかしな話である。今さらながらあのdisは意味がわからなかった。
 
 
と同時に、僕がバスケやバレーボールのプロ化に賛成なのはこのため。
1チームの選手保有数が少なくアリーナ増設もそれなりに容易。サッカーやラグビーと比べて収益を上げやすく、事業規模の面でも失敗した際の損失はごく小さくて済む。
 
特にラグビーは試合ごとの消耗が激しく、試合数もせいぜい週1回が限度。
清宮副会長がバスケのBリーグを引き合いに出していたが、実際にはレギュラーシーズン全60試合のBリーグとは比較にならないくらい困難な道のりに思える。
 
 
 
長々と語ってきたが、申し上げたように僕は決してラグビーのプロ化構想に反対しているわけではない。
 
今のままでは確実に企業スポーツは頭打ちになるし、レベルアップの著しいラグビーの成長を妨げる要因にもなりかねない。
 
アイスホッケー界のように、チームの離脱や消滅によってリーグの存続自体が危ぶまれる危険すらもあるかもしれない。
いずれにしても、プロ化に舵を切ることが必須なのは明白である。
 
「アイスホッケー全日本選手権2019準決勝クレインズvsアイスバックス戦を観てきた。楽しかったけど、イマイチなところは変わってなかったな」
 
ただ、あまりに一気にやり過ぎるのは危ないんじゃないの?
2021年スタートというのはなかなかの見切り発車だよね。
という話。
 
諸々を考えると、 もう少し慎重にやった方がいいかもしれないというのが率直な印象かなと。
 

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