小國vsグスマン感想。怒らないで聞いて。実は小國が勝てるんじゃないかと思ってた。でもビビって口に出せなかった。2016年末最高の判定勝利【結果】

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京都絵馬イメージ
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2016年12月31日、島津アリーナ京都で行われたIBF世界S・バンタム級タイトルマッチ。
同級王者ジョナタン・グスマンにランキング5位の小國以載(おぐにゆきのり)が挑んだ一戦は、3-0(115-112、115-112、115-112)の判定で小國が勝利。絶対的不利の下馬評を覆し、小國が2016年末最高のアップセットを果たした。

「ボクシングはテレビで観るものだと確信した夜。有明コロシアムで「ボクシングフェス2016 井上尚&八重樫 W世界戦」」

序盤は様子見のグスマンに対し、ワンツー、ボディを的確に当てていく小國。
そして3R。
グスマンの突進をバックステップでさばいた小國がカウンターで左ボディをヒットし、値千金のダウンを奪う。

これで一気に試合の流れを掴んだ小國が、会場の雰囲気も味方につけて強敵グスマンを押し切り勝利。自身すらも「勝率は2割」と言うほどの不利予想を覆し、見事王座初奪還を果たした試合である。

「井岡のボディでスタンプ嘔吐。2016年大みそかも悶絶ボディで安定のKO勝利。唯一無二の伝説()」

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あんまり言いたくないけど、小國が勝つかもしれないと思ってました

小國以載勝利!!
23戦22勝22KOの怪物王者にまさかのアップセット!!
2016年末の国内ボクシングにおいて、最高の下克上を達成する!!

小國以載まさかの勝利である。
2016年7月に和氣慎吾を完膚なきまでに叩きのめし、王座を獲得して以来の来日となったグスマン。

「顔面崩壊で完敗和氣。ダメだ、全然感動しなかった…。グスマン4度のダウンを奪い世界タイトル獲得!!」

大多数の方が小國の圧倒的不利予想を掲げる中、左のボディを効果的にヒットしての見事なアップセットである。
2016年末の世界戦ラッシュの中、小國以載をMVPに推す方も多いのではないだろうか。

「覚醒した田中がフエンテスに圧勝!! “中京の怪物”が絶不調のフエンテスを5RKO。階級アップでパワーが増した田中」

なお、僕はこの試合をリアルタイムのテレビ放送では観ていない。
もちろん楽しみにしていた内山高志の試合とかぶっていたというのが理由だが、実はそれ以上にこの試合を避けていた理由がある。

「内山再戦でコラレスに惜敗!! 2-1の判定でリベンジ失敗で引退か?」

これはマジで言いたくなかったのだが、僕はこの試合、小國が勝つかもしれないと思っていた

もうこの時点で「後出しキタ!!」と言われることがわかりきっているので続けたくないのだが、残念ながらガチである。

この試合が決定してから小國の過去の試合をいくつか観て、「これ可能性あるんじゃね?」と思い、実際予想記事も書こうと思っていた。

ただ、世間の意見があまりにグスマン楽勝ムード一色だったため、ビビリな僕は完全に萎縮してしまった。
そして、グスマンの強さと小國のかませ犬っぷりが強調される記事を見かけるたびに「そうかな……。でも、みんながそう言うんだからそうなんだろうな」と自分に言い聞かせていた。
ええ、ビビリなんで。

おかげで試合当日の放送も怖くて観ることができず、意識的に避けていた次第である。

さらに小國が勝ったと聞いても今さら感が強く、なおかつ試合の多さに辟易していた。そのため、本来はこのままシカトする予定だった。
 
「気づくのおっせえw 岩佐vsサウロン。大差判定で岩佐が初防衛成功。ジリ貧の両者が後半に「あっ」ってなる」
 
だが、試合の評判があまりによかったことに加え、Twitterのフォロワーさんにおススメしていただいたこともあり、重い腰を上げたというわけである。

というわけで、もはや何を言われようが知ったこっちゃない。大声で宣言させていただく。

ほら見ろ。

俺は小國は勝つ(かもしれない)と思ってたぞ。あ?

「フランシスコ・バルガスvsミゲール・ベルチェルト予想。豪打のメキシカン対決勃発。ベルチェルトねえ……」

小國にはグスマンを上回るだけの条件が揃っていた。ジェスレル・コラレスと似てる? いや、全然似てないでしょ

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とりあえず、僕が小國が勝つのではないかと思った理由から。

・ガードが高い
・ノーモーションで高速のワンツーが打てる
・左が多彩
・上背があり、身体が強い
・何か、すげえがんばり屋さんっぽい

そして、

・グスマンが戦績ほどの怪物に見えなかった

こんな感じである。

グスマンの脅威というのは、基本的にあの突進力とチャンスでの爆発力のみ。
戦績は凄まじいものがあるが、パンチ力や動きを見る限りそこまでの怪物感はない。
ロープに追いつめられてのラッシュに巻き込まれさえしなければ、中間距離で十分勝負できるのではないか。
 
「井上尚弥に勝てる選手? バンタム級で誰が井上尚弥を倒せるか、どうすれば勝てるかを妄想してみる」
 
内山に勝利したジェスレル・コラレスと似ているとの意見を多数聞いたが、正直それも僕にはよくわからなかった。
「怪物怪物って言うけど、そこまで強い選手かね」
 
「岩佐圧勝で世界王者!! 小國は手も足も出ず、試合後に引退を表明。ラフさが足りなかったかな小國は」
 
そしてガードが高く、小さいモーションでワンツーが打てるというのはグスマンに対抗する条件として最適である。
野性的な動きが持ち味の選手なので、当然狙いはボディになる。それもあの多彩な左があれば可能。
なおかつ上背があり、がんばり屋さんっぽい。グスマンの突進にも当たり負けせずボディが当たる位置まで近づける可能性も高い。

しかも、グスマンは後半のスタミナに不安がある選手。
 
「WBOAP王座がしょーもないなんてことは絶対ないから。小原佳太がWBOアジア・パシフィック・ウェルター級王座決定戦に勝利」
 
もう、何から何まで小國が勝てる条件が揃っている(ような気がした)のである。
 
「岩佐vs小國を予想してみる。自信ないけど、岩佐のワンサイドでいいんじゃない? 赤っ恥覚悟の強気予想だけど」
 
確かに運動神経や純粋な戦闘力だけならグスマンの方が上なのは間違いない。
ただ、小國にはそれを補うだけの上背があり、作戦次第では十分勝機はあると思っていた。

後出しと言われるかもしれないが。

「井上vs河野感想。モンスター井上がタフボーイ河野に勝利。これが井上尚弥」

相手と正対せず、クリーンヒットをもらわないポジショニングの意識がすばらしい

そして、試合当日の小國の試合運びは僕の想像を超えてすばらしかった。
グスマンを完全に丸裸にしたと言っていいのではないだろうか。

今回の試合で小國の実行した作戦はズバリ左回り
とにかく徹頭徹尾左に回り続け、相手と正対しないことを強く意識した戦い方である。
 
「ギャビン・マクドネル敗北!! レイ・バルガスがポイントゲームを制して初の王座奪還!! 手がなが〜〜い!!」
 
まずグスマンの攻撃パターンは、基本的に左のダブルから発動することが多い。
いきなり右を打ち込むこともあるが、それ以外はほぼ左の連打からのスタートである。
しかも真正面から突進するのみで、アングルなどの工夫はほとんど見られない。

なので、小國は左ジャブに合わせて小さくサイドステップし、グスマンの右側に回るだけでクリーンヒットを避けられる。
なおかつ、常に半身をキープして正対しないことを意識しているので、的はさらに遠くなる。恐らく小國のリーチと上背があれば、多少距離が遠くても右は届くという計算もあったのだろう。

「ロマチェンコに勝てるのは誰? 階級を超えたPFP、ハイテクボクシングマシーンをストップできそうな選手」

試合後の小國の顔を見るとわかると思うが、右半分の傷が圧倒的に多い。あれこそが、小國が試合を通して左回りと半身の姿勢を意識し続けた証拠である。
 
「聖地後楽園ホールに亀田和毅登場!! 強豪マイク・タワッチャイを相手に日本復帰戦。タワッチャイをパワーで圧倒しろ亀田」
 

ノープレッシャーで左ボディを叩き込むための完璧なシナリオ。うん、確かに小國が2016年末のMVPかもしれない

また、グスマンは左の連打を打った後に大きな右を振り回すことが多い。
それもやや特徴的な打ち方で、脇を広げて身体を左に傾けたフォーム。ちょっと野球のサイドスローに近いイメージである。
 
「久保隼vsセルメニョ感想。ナイスファイト久保。万全の準備をした上での好試合。え? リゴンドーとやれ?」
 
小國の狙いはまさしくここ。
左にサイドステップし、グスマンの右に合わせてガラ空きのボディに左を打ち込む。
常に半身をキープしているため、必然的に小國の左肩が壁になる。これによって、身体が流れているグスマンは追撃のパンチを打つことができない。小國が意図的に作り出した完璧なボディ打ちのタイミングである。

「鉄拳爆発!! ジャーマル・チャーロがテクニシャンウィリアムスを豪腕で沈める!!」

申し上げたように、グスマンは相手の左側から鋭角的に間合いを詰めるなどの術を持たず、一方向から突進することしかできない。そのため、小國にポジションチェンジされるたびに攻め手を失い、徐々に自分から手が出せなくなるのである。

もちろん好守が交代しても小國の姿勢は変わらない。
距離を詰める際にも左回りを意識し、グスマンの強打が飛んでこないアングルから近づく。
必然的に小國の左だけが当たりやすくなり、ペースはどんどん小國に傾くというわけである。
 
「亀田和毅国内復帰初戦を判定で飾る!! 後楽園ホールに行ってきたぞ。天笠、赤穂も揃い踏みの豪華興行の感想」
 
確かにグスマンにロープに詰められるシーンは何度もあった。だが、それも小國の中では想定内だったのだろう。

きっちりガードを上げ、ある程度の被弾も覚悟しつつこれまで通りボディを返す。
手持ちの武器を総動員してやれることをやり通す。

「爆腕!! 村田がブルーノ・サンドバルにド迫力KO!! 世界前哨戦で格の違いを見せつけ3RKO」

自らの不利予想をぶち上げるなど、自虐的に試合を盛り上げるその裏で、小國は綿密な作戦を立ててきたのだ。そして、それを実行するために膨大な反復練習を重ねてきたのである。
12Rを通してあの作戦を実行した小國に対しては「お見事」以外の言葉が見つからない。
 
「やっぱりすげえなトラメイン(トレメイン)・ウィリアムズ。ウィリアム・ゴンサレスを1RKOでぶち抜く」
 
なるほど。
これは確かに2016年末のMVPかもしれない。
センスと勘だけで何とかしようとしてボコられた和氣慎吾とはひと味もふた味も違う。
ホンマ、ええもん見せてもらいましたわ。

「騙された! 田口がカニサレスを持て余して引き分け防衛。薄氷を踏む展開でギリギリ5度目防衛に成功」

10Rにちょっと色気を出して正面から倒しにいこうとした途端、すぐに「左回り左回り!!」という声が飛んだのはちょっと笑ったけどね。

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