進化が止まらない!! ダラス・カイケルがヤンキース打線を7回無失点に抑えてアストロズ先勝。MLBのポストシーズン最高なんじゃw【2017年MLBプレーオフ】

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野球ホームプレート
2017年10月13日(日本時間14日)、米・ヒューストンにあるミニッツ・メイド・パークで行われたMLBリーグ優勝決定戦。
 
第1戦のマウンドに上がったヤンキース先発の田中将大は、強打のアストロズ打線を相手に6回4安打2失点と好投。
だが、打線は相手先発のダラス・カイケルに7回無失点に抑えられ、反撃の糸口を掴むことができない。
 
試合は2-0のまま最終回に入り、アストロズの抑え投手ジャイルズからバードがソロホームランを放ち1点を返すが、反撃はここまで。
4勝勝ち抜けのシリーズにおいて、ヤンキースは黒星発進となった。
 
「阪神CS進出決定(予定)!! 1stステージで当たるのはDeNAと巨人どっちがいい? 2位と3位フィニッシュどっちがいい?」
 
なお、アストロズ先発のカイケルは109球を投げて被安打4、10奪三振と、つけ入る隙を与えなかった。
 

田中マー君がすごかった。前回、今回と本気になったマー君はやっぱりヤバい。そして、それ以上にカイケルがとんでもなかった

まず、何と言ってもすごい試合だった。
 
ワイルドカードのツインズ戦に先発した田中将大は完全にゾーンに入っていたが、この日の田中もすばらしかった。
 
スプリットの落ちがよくない中、威力のある4シームで押すピッチング。
右打者の外側からスプリットのバックドアでストライクをとったり、この投球術は文句なしに世界最高レベルである。
今シーズンは好不調の波が激しかったが、やはり本気になったときのマー君は凄まじい。
 
「目指せNPB! WBCで就活中の外国人選手たち。「日本でできれば最高」? でも、そんな甘いもんじゃないのだよ」
 
だが、そのマー君以上にすごかったのがアストロズのダラス・カイケル。
90マイル前後で鋭く沈む球を駆使して三振とゴロの山を築く快投っぷり。さすがは2015年のサイヤング賞投手である。
 
正直、カイケルクラスの投手にこのピッチングをされたらどうしようもない。
誰が悪いとかではなく、単純に打つのは無理。
今日はヤンキースの日ではなかったと切り替えるしかない。
 
 
そしてこのポストシーズンの熱狂、トップ中のトップの本気のぶつかり合い。
シーズンを勝ち抜いた各チームのスーパーエースたちのMAXパワーのピッチング。
年俸20億円を稼ぐフィジカルモンスターたちが、明日を捨ててボールを追いかける。
やはり、MLBのポストシーズンの雰囲気は最高である。
 

大好きなダラス・カイケル。でも、ちょっとだけ違和感を感じた。その正体を突きとめてみる

以前の記事でちょろっと取り上げたが、僕はダラス・カイケルという投手がお気に入りである。
 
「ダラス・カイケルとかいう88マイルのシンカーをひたすら投げ続けてフライボール・レボリューションに巻き込まれなかった人」
 
手元で加速するように沈む2シームをひたすら投げ続け、脅威のゴロ率を叩き出すグランドボーラー。
前半戦の快投から一転、残念ながら故障者リスト入りしてしまったが、9月以降はポストシーズンに向けてしっかりと調子を上げてきている。
 
もう、狂おしいほどに僕好みww
 
もちろんダルビッシュや田中マー君も応援しているが、今シーズンのダラス・カイケルはちょっとたまらない。
 
「中日ディロン・ジー獲得だっはー!! 先発不足のチームの救世主となるか。2018年の成績を予想してみる」
 
そして今回の圧倒的なピッチング。
文句なしに惚れ惚れしてしまった。
 
だが実を言うと、同時に妙な違和感も感じていた。
何となくスタイルが変わったと言うか、春先に観たときと多少イメージが違ったというか。
 
それが何なのかを調べてみたところ、ちょっとおもしろいことがわかった次第である。
 
「阪神ディエゴ・モレノ誕生。150km右腕が日本で活躍できるかを予想してみる。田中マー君とも同僚だったんだってさ」
 

投球の約半分を2シームが占める投球パターン。そこにスライダーとカッター、チェンジアップを織り交ぜてゴロを量産する

まず下記が、2017年シーズンのダラス・カイケルの球種分布である。
 
FT(2シーム):48.8%
SL(スライダー):19.3%
FC(カッター):12.7%
CH(チェンジアップ):11.8%
FF(4シーム):5.8%
SI(シンカー):1.6%
 
投球の約半分を2シームが占め、次に多いのがスライダー(約20%)。そこにカッターとチェンジアップをほぼ同じ割合で織り交ぜるというのが基本的なピッチングスタイルである。
 
4シームはほとんど投げず(5.8%)、1.6%のシンカーは物の数ではない(恐らく機械の判定ミス)。
 
また、対右打者の場合は、全体の投球の割合とそこまで差はない。
膝元のスライダーとカッターを見せ球に、主に2シームとチェンジアップでゴロを打たせるスタイル。
 
「2018年に横浜DeNAベイスターズがセリーグ優勝する理由」
 
だが対左打者の場合は、2シームの割合が68.2%と7割近くに跳ね上がり、スライダーも24.9%。ほぼこの2球種だけで勝負していることがわかる。
 
また以前の記事で申し上げたように、2017年のカイケルの2シームは横への変化量が減り、縦への変化量が増加している。さらに回転数の減少によって打者の手元での減速が小さくなっている。
 
つまり、打者にとっては加速しながら沈むイメージ。ボールの上っ面を叩いてのゴロになりやすく、アウトを取るには非常に効率のいいボールと言える。
 
「片手間で成功したってええやん。楽して金稼いで何が悪い? 新庄「野球なんて、マジバイト」←ステキやんww」
 

高速化し、より変化量を多く改良したカッター。縦変化を増やし、縦スラの軌道に改良したスライダー

だが、カイケルの投球パターンを月ごとに見ていくと、シーズン後半からさらに改良を加えていることに気づく。
 
下記が2017年4月〜8月までの球種分布。
FT:48.2%
SL:21.1%
CH:12.9%
FC:10.0%
FF:5.4%
SI:2.3%
 
続いて、下記が2017年9月〜10月の球種分布。
FT:49.9%
FC:19.0%
SL:13.4%
CH:10.9%
FF:6.8%
 
とりあえず一目瞭然なのが、FC(カッター)の割合が激増しているということ。
今シーズン開幕から8月までは全体の1割だったのに対し、9月以降は2割弱。約1割も増えている。
その分スライダーが21.1%→13.4と減少し、割合が逆転していることがわかる。
 
また、4月〜8月までのカッターは、
平均球速:86.8マイル
Vertical(縦の変化):5.14
Horizontal(横の変化):-1.63
だったのに対し、
 
9月以降のカッターは、
平均球速:87.5マイル
Vertical(縦の変化):4.34
Horizontal(横の変化):-2.90
 
となっており、より速いスピードで横へ大きくする球に改良されている。
 
つまり、ここ最近の野球界でトレンドである高速のスライダー、通称スラッターに近い軌道になっていることがわかる。
 
「【感想】マネーボール全否定? 2002年アスレチックスは弱くなかった? ビリー・ビーンのマネジメント能力と打線萌え」
 
また、割合を減らしたスライダーは、4月〜8月までは、
平均球速:78.4マイル
Vertical(縦の変化):-0.98
Horizontal(横の変化):-7.57
だったのに対し、
 
9月以降は、
平均球速:79.1マイル
Vertical(縦の変化量):-1.91
Horizontal(横の変化):-7.44
 
とやや高速化しつつ、カッターとは逆に縦の変化量を増やしていることがわかる。
カイケルのスライダーはもともと縦スラ気味ではあるのだが、それをさらに大きく沈ませたというか。
 
「巨人高橋由伸監督辞任←同情の声多数。阪神金本監督続投←批判多数。そんなにおかしいかね? 仕方ないと思うんだが」
 
ちなみにだが、今回(10月13日)のヤンキース戦での球種の割合が下記。
FT:54.4%
SL:25.7%
FC:16.5%
FF:5.5%
CH:0.9%
 
この日は2シームとスライダーを多投したおかげで、スライダーの割合がカッターを超えていることがわかる。逆にチェンジアップはほぼ投げておらず、全投球の1%にも満たない。
 
「大谷165kmキター!! 大谷のストレートの質が悪い? ファールされる160kmより空振りが取れる140kmの方が上? そうなの?」
 

フライボール・レボリューションに対抗するために、カッターをスラッター化。2015年のサイヤング賞投手は絶賛進化中です

要は、僕の感じたカイケルの違和感はコレ。
 
春先に比べてカッターとスライダーを高速化させ、変化の量にも微妙に改良を加えた。
右打者の外側に沈みながら逃げる2シームと、逆の変化で膝元に食い込むカッターに大きく割れる縦スラ。ベースの上で真逆に鋭く変化する球を駆使して打者を翻弄する投球パターンである。
 
その分、チェンジアップの割合が減少し、より野球界のトレンドに近いスタイルへと進化した。
 
現在、MLBを席巻するフライボール・レボリューション
各打者がアッパースイングで打球をすくい上げ、積極的に長打を狙いにいくスタンスというヤツ。
この流れに田中マー君を始め、2シーム使いがことごとく苦しみ、軒並み被本塁打を増やしているのが2017年シーズンである。
 
「田中マー君快投!! フライボール・レボリューションへの対抗策? 2シームを減らしてスライダーとカッター、カーブを増やす?」
 
だが、もともとダラス・カイケルは、このフライボール・レボリューションに飲み込まれなかった唯一の2シーマーとも言える存在。それが証拠に今シーズン前半から快投を続けていた。
 
ところが、月別の防御率、被安打率を見ると、
 
3、4月:1.21、.163
5月:2.88、222
6月:0.00、.143(1試合登板のみ)
7月:9.00、.400(1試合登板のみ)
8月:5.05、.250
と徐々に悪化させている。
 
ところが、カッターとスライダーに改良を加えた9月以降は、
9、10月:2.87、.233
と改善の兆しを見せているのである。
 
恐らくだが、ひたすら2シームとチェンジアップを投げ続けるスタイルは身体の負担が大きく、故障も耐えない。なおかつ、対戦が増えるにつれて慣れられた面もあったのかもしれない。
 
なのでカッター、スライダー系を高速化し、変化量にも改良を加え、より効率よく打ちとるスタイルを身につけた。
まさに「進化」と呼べるのではないだろうか。
 
「三浦大輔と黒田博樹の引退があまりにも見事で、FA移籍と生え抜きへの考えが揺らぎそうになった件」
 
もしかしたら、本人はまだしっくりこない部分もあるのかもしれないが、一つ言えるのは、めちゃくちゃ僕好みのスタイルだということ。
もともと好きなタイプの投手ではあるのだが、それに輪をかけて僕好みの方向に進化を見せているww
 
 
ドジャースのダルビッシュやナショナルズのシャーザー、ストラスバーグのように一目でわかるド派手さもいいが、こういう一見どうってことないけどよく見るとすげえww という選手は個人的に最高である。
 
恐らく第5戦まで行けば、再び田中マー君vsカイケルのマッチアップが観られるはずで、今からワクワクが止まらない。
 
というか、MLBのポストシーズンたまらねえっすww
 
 

 

 
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