武尊vsペッダム感想。武尊とローの削り合いをしても勝てないわな。正解がわからないK-1強行開催【2020.3.22】

武尊vsペッダム感想。武尊とローの削り合いをしても勝てないわな。正解がわからないK-1強行開催【2020.3.22】

マスクイメージ
2020年3月22日、さいたまスーパーアリーナで行われた「K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K’FESTA.3」。セミファイナルに登場したK-1WORLD GP スーパーフェザー級王者武尊がタイのペッダム・ペットギャットペットと対戦し、2R49秒KOで見事勝利を挙げた。
 
 
新型コロナウイルス感染拡大の影響によってISKA世界ライト級王者アダム・ブアフフの来日が不可能となり、急遽代役のペッダム・ペットギャットペットとのワンマッチとして行われたこの試合。
 
開始直後から鋭いローキックで前に出る武尊に対し、ペッダムも前蹴りやフックのカウンターで迎えうつ。
だが武尊の多彩なローキックにペッダムはなかなか対応できず、ラウンド後半から目に見えて動きが落ちていく。強烈な右フックでダウンを奪うなど、終始武尊ペースのまま1ラウンド終了のゴングが鳴る。
 
2Rに入ると、武尊はさらに圧力を強めていく。
グイグイ前に出て腕を振り、次々に強烈なパンチをペッダムの顔面に叩き込む。鋭いカウンターを立て続けに被弾したペッダムはたまらず仰向けにダウンを喫し、そのまま立ち上がれずに試合終了。
 
見事な2RKOを飾った武尊は2019年3月のK’FESTA.2でのヨーキッサダー・ユッタチョンブリー戦に続き、2年連続でのムエタイ王者撃破となった。
 
那須川天心vs武尊戦のルール決定。当日計量が試合3時間前。Aサイドの天心陣営主導で動いている試合なんだろうな。チケット価格最高300万円はびっくりしたよ
 

新型コロナウイルス感染が拡大する中、K-1の8時間全25試合というアグレッシブさには驚いた

新型コロナウイルスの影響で大小さまざまなイベントが軒並み延期・中止となる中、批判覚悟で開催に踏み切った今回のK-1。前日には西村康稔経済再生担当相が主催者側に自粛を促すように埼玉県の大野元裕知事に要請するなど、各所で物議を醸している。
 
また、大会後日も開催可否についての議論は収まらず、よくも悪くも「K-1」の名が全国に広まったと言えるのではないか。
 
僕もこの状況の中、8時間全25試合という大規模イベントを開催するK-1のアグレッシブさにはかなり驚かされた。格闘技を観るのは好きだしK-1の会場にもいつか行ってみたいとも思っているが、さすがに今回ばかりは触らんでおこうと(いろいろな意味で)。
 
ただ、それでも武尊の試合だけは興味があったので、その時間を狙って画面の前でスタンバイした次第である。
 

ムエタイの選手がK-1ルールで武尊に勝つのはほぼ不可能。やっぱり可能性があるとすればサウスポーか?

試合の感想だが、やはりムエタイの選手がK-1ルールで武尊に勝つのは至難の業だなと。
 
恐らくペッダム・ペットギャットペットはめちゃくちゃいい選手で、急遽代役で連れてこられる中では最上級の強さだったと想像する。僕は「タイ国BBTVスタジアム認定フェザー級王者」なるものがどういう王座なのかすら知らないクソニワカw だが、動き自体はかなりよかったように見えた。
 
だが、申し上げたようにムエタイの選手が「肘なし」「首相撲からの膝蹴りNG」「3分3R」のK-1ルールで武尊に勝つのは無理ゲーと言っていい。
1Rの開始直後からあれだけローキックを連打できる武尊は絶対におかしいし、効かせたあとのラッシュは超人的ですらある。
 
「序盤は様子見→中盤から後半にかけて勝負」の流れに慣れているムエタイ選手にとって、至近距離での掴み、肘がないK-1ルールはあまりにも不利。RISE王者の那須川天心もそうだが、スピード&パワーで一気に決めにくるタイプはムエタイ選手が一番苦手とするスタイルなのかなと思う。
 
そして、解説陣も言っていたように武尊のローキックは本当にエグい。あれだけのスピードと精度を両立しつつ、内、外を自在に連打できる選手は武尊以外に存在しないのではないか。
 
あのプレッシャーを受けながら中間距離での削り合いで武尊を上回るのはほぼ不可能。ムエタイ云々ではなく、恐らく正面からの真っ向勝負で武尊に勝つのはまずあり得ないと言っていい(気がする)。
 
 
なので、やはり打倒武尊を果たすにはサウスポーなのだろうと。
2019年12月の村越優汰のように、テクニシャンタイプのサウスポーが正面を外しながらヒラヒラとポイントアウト狙いに徹するのがもっとも可能性がある(と思う)。
もしくは至近距離の打ち合いの中でカウンターがとれるタイプとかね。
 
一応、那須川天心ならその条件を満たしている感じはするのだが……。
 
ここ最近の那須川天心の武尊戦への熱量のなさに加え、悲壮感満載の武尊のマイクを聞くと、マジで実現性は薄いんだろうなというのは僕にも理解できる。
 
その上、両者のベスト階級にも微妙に差があるしね。いろいろな意味で旬を逃した感が尋常じゃない。
 
「盛りだくさんの大みそかRIZIN20感想。美憂、ハム・ソヒ、未来、天心、ケイプ。今までで一番の見ごたえ」
 

今回のK-1開催は正解とも間違いとも言えないよね。ホントに誰も幸せになれない大会だったけど

そして、世間で批判を巻き起こしている強行開催についてだが、今回は正解だったとも間違いだったとも言えないと思っている。
 
 
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、密閉空間に6000人が8時間も留まるなど正気の沙汰ではない。
 
だが、K-1の経営状態を考えれば興行を中止できないのも理解できる。県や国は主催者側に再三自粛を促したそうだが、中止した途端に経営が立ち行かなくなるのであれば突っぱねざるを得ない。
 
一方、「何の補填もなしに自粛だけしろと言うのは無責任」「今回は行政側の『コロナ対策してます』アピールにK-1が利用されただけ」という意見も見かけたが、これはあまりに強引過ぎる。
 
仮にK-1に何らかの補填がなされたとして、その出どころが税金なのは誰の目にも明らか。そんなことをすれば「税金を無駄使いするな」という批判が起こるのは目に見えているし、ぶっちゃけ僕もそう思う。
 
しかも一度税金を投入してしまえば、他のイベントにも同様の対応をしなければならなくなる。
 
サッカーのJリーグやラグビーのトップリーグは現状、ずーっと公式戦がストップしているし、プロ野球は開幕を延期して無観客での練習試合で急場をしのいでいる。
それこそ毎試合東京ドームに4、5万人が集まる巨人戦の損失を税金で補填するなど、どう考えても現実的ではない。
 
「自粛を一方的に促すだけでは無責任」「相応の補填が必要」という意見もわからんでもないが、残念ながら「そりゃ無茶だろ」としか言いようがない。
 
「朝倉未来がダニエル・サラスをKO。もうベラトールに行くしかないと思うけど。朴光哲の挑戦を受けたら批判されちゃう理不尽」
 
また「同日に宝塚のイベントもやっていたではないか」「そちらは批判しないでK-1ばかりに矛先が向くのはおかしい」という意見も聞こえてきたが、それはまあ、アレだ。
目立つヤツが一番叩かれる典型的なパティーンというヤツ。
 
毎年、夏の甲子園が「炎天下で無茶な試合をやらせて学生の将来を潰すな」と判で押したように批判されているが、実際には7、8月に行われる学生の大会など山ほど存在する。それこそ自転車競技やハンドボール、バレーボールなど、野球よりもはるかに消耗が大きい種目も当たり前のように大会が開催されている。
 
だが、実際に目の敵にされるのは甲子園での高校野球のみ。
理由はもう、単純明快で「目立つから」である。
 
そして、今回のK-1も同じ。
宝塚よりも世間的な浸透度が高く、なおかつイメージ的にも叩きやすい。兵庫県や宝塚市がイベントの自粛をお願いをしていたかは定かではないが、ニュースバリューの高いK-1の方が世間の槍玉に挙げられてしまったというのがファイナルアンサーなのだと思う。
 
「K-1の独占契約にドン引きした話。これが本当ならヤバいね。那須川天心vs武尊戦のラストチャンス?」
 
繰り返しになるが、今回はどれが正解でどれが間違いだと言うのは本当に難しい。
それぞれの立場で言い分があり、それぞれに筋が通っている。開催が100%正解だったなどと言うつもりはないが、実際にイベントを楽しんだ方や開催を決めた主催者に罵詈雑言を浴びせるのは違うよねという話。
 
ついでに言うと、いまだに「じゃあ、満員電車はどうなんだ」という意見が散見されるのには心底ゲンナリする。スポーツを含むエンタメ系のイベントと生活インフラを同列に論じている時点であまりにナンセンスだし、今はそういう極論vs極論で争っている場合ではない。
 
 
何となくだが、武尊の涙ながらのパフォーマンスはそんなこんながすべて噴き出した結果だったのかなぁと思ったり。
 

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