リー・ウッドがマイケル・コンランを場外KO。空中で失神する衝撃のラスト。やることをやり続けたウッドと1発狙いの出たとこ勝負のコンラン【結果・感想】
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
2022年3月12日(日本時間13日)、英・ノッティンガムで行われたWBAフェザー級タイトルマッチ。同級レギュラー王者リー・ウッドとランキング1位で前暫定王者のマイケル・コンランが対戦し、12R1分25秒KOでリー・ウッドが勝利。初防衛に成功した一戦である。
リー・ウッドとマイケル・コンランによる同国人同士のタイトルマッチ。
挑戦者マイケル・コンランは2021年8月に元S・バンタム級王者TJ・ドヘニーに勝利しWBA暫定王座を獲得。ところがWBAの王座削減方針によって暫定王座をはく奪され、ランキング1位の指名挑戦者に格下げされることに。
一方レギュラー王者リー・ウッドは前戦でシュ・ツァンに12RTKO勝利し初戴冠に成功した選手。今回はエディ・ハーンのマッチルームとの契約締結後最初の試合となる。
試合は初回終了間際に左でダウンを奪ったコンランが2Rも激しく攻めるもリー・ウッドを倒しきれず。3Rから立て直したウッドのパンチをボディ、顔面に被弾し徐々にダメージを蓄積させていく。
終盤まで一進一退の攻防が続いたが、最終回にリー・ウッドの右を被弾したコンランが空中で動きを止める。それを見たウッドが一気に連打を浴びせ、コンランが場外に転落。即座にレフェリーが試合をストップしリー・ウッドの初防衛が決定した。
ティム・チューの馬力と経験値の少なさ? テレル・ガウシャの懐の深さとカウンターにモタついたけど圧力で圧倒。こういう相手への対策は日本人選手も必須なんだろう
両選手ともほとんど印象がない。リー・ウッドに関する知識はゼロだし、コンランの試合はちっとも思い出せない
リー・ウッドvsマイケル・コンラン。
同国人同士のタイトルマッチ、しかも新型コロナウイルスの規制が全面撤廃された直後の興行ということで会場は大盛り上がり。最初から最後まで大歓声が飛び交う中での熱戦が繰り広げられたわけだが。
僕自身は両選手ともいまいち印象が薄く、まあまあの惰性で試合を眺めていた次第である。
特に王者リー・ウッドについての知識はほぼゼロ。戴冠を果たしたシュ・ツァン戦も観ていないし通算成績もよく知らない。当然顔写真を見ても「誰コレ?」状態で、マイケル・コンランとのマッチメークを聞くまでは存在を忘却していた。
対する挑戦者マイケル・コンランにもあまりピンときていない。
前戦で元S・バンタム級王者のTJ・ドヘニーに勝利したのは知っているが、どんな内容だったかはまったく覚えていない。それ以前にも何試合か観ているはずだがなぜか一向に思い出せない。
全体的に器用な選手だった気もするし、人気もあるようだがそれもいまいち定かではない。
何となくひ弱で頼りない印象が日本の和氣慎吾と被るような、そうでもないような……。
井上拓真は打倒井上尚弥筆頭? 和氣慎吾戦での圧勝がお見事すぎた。その他、ムンギアvsロサド、キコマルvsガラハド振り返り
とにかく両選手に対する僕のイメージは“無”。
本当に現世に存在しているのかすら怪しい選手同士の対戦という、失礼極まりないタイトルマッチだったことを報告させていただく。
初回のダウンで勢いづいたコンランが1発狙い+フルスロットルであっさり失速。そりゃそうなりますよね
上述の通りクッソ低いテンションで視聴をスタートしたこの試合。
マイケル・コンランが空中で失神→怒涛のラッシュを浴びて場外転落KOという衝撃の結末が待っていたわけだが、感想としては1発に味を占めたマイケル・コンランがよくなかったなと。
コンランが豪快な左でダウンを奪った1R終了間際。直後のゴングに助けられたものの、リー・ウッドのダメージは明らかに深い。
まともに足が動かないウッドは2R開始直後から露骨にクリンチにいくが、足がついてこないせいでうまくコンランを抑えることができない。パンチが少しかすっただけでも身体を揺らされる状態が続く。
対するコンランはこのチャンスを逃すまいと目いっぱい腕を振りまくる。
必死に抱きつくウッドを引き剥がし、上から頭を押さえてボディ、顔面へとアッパーを突き上げる。
バッティングの注意を受けても気にすることなく、大歓声に押されるように全弾フルスイングでウッドを圧倒する。
そして、案の定3Rに失速。
いや、そりゃそうなりますよね。
ダウンを奪った左フック? 左ストレート? は文句なしに素晴らしかったが、ジャブも出さずにあれだけ飛ばしまくれば当然体力は底をつく。大観衆の前でカッコよく倒してやろうと力んだのだと思うが、勝負をかけるにはちょっと早かったなぁと。
拳四朗の接近戦で矢吹正道陥落。そりゃ序盤から倒しにくるよ。ガードを上げた拳四朗を初めて観た。不必要な再戦を強いられた矢吹の不憫さ
マイケル・コンランってこんなに大味な選手だったっけ? 1発の大振りに味を占めたんだろうな
その後もコンランは1発狙いに終始。左構えのまま遠間で対峙し、いきなり左右フックをぶん回してパッと離れるを繰り返す。
申し上げたように僕はマイケル・コンランの試合をほとんど覚えていないのだが、こんなに大味な選手だったっけ?
奥足体重+L字気味の構えで左右に動きつつ、タイミングを測って飛び込みブンッ!!
攻撃は基本単発、「距離を詰めて~、ジャブをついて~」といった組み立てもない。
相手が攻めてくれば足を使って距離を取る。
ロープ際に追い詰められればガードを固めて亀になる。
見切りとスピードに長けている上に動きも滑らか。当て勘も優れている。この選手の器用さ、能力の高さは間違いなさそう。
ただ、今回に関しては身体能力に頼り過ぎというか、出たとこ勝負の脳筋ファイトっぷりが尋常じゃない。
中でも左フックの1発狙いは……。
1Rのダウンで味を占めたのだと思うが、結局最後まで左のビッグパンチを狙い続けたまま沈んでしまった。
繰り返しになるが、マイケル・コンランってこんなに大味な選手だったっけ?
攻撃パターンは単発のビッグパンチ狙いのみ。
防御は足を使って離れる→追いつかれたら頭を下げて亀になるのループ。
まさかここまで攻撃と防御が分断された脳筋ファイターだったとは。
2021年8月のTJ・ドヘニー戦ではもう少しインテリジェンスを感じた記憶があるのだが。
まあ、覚えてないんですけどね!!
コバレフが戻ってくる。コバレフが戻ってくる(大事なことなので2回言った)。違法配信おもしろおじさんがTriller興行のメインでプーレフと対戦
やるべきことをやり続けたリー・ウッド。瞬時に最善策を選択する判断力、試合を通してそれをやり続ける根気強さ
一方勝利したリー・ウッドについては、やるべきことをコツコツやり続けたのがよかった。
初回のダウンで深いダメージを負ったものの、2Rはクリンチを駆使して回復を待つ。
動きが戻った3Rからは前後左右にアングルを変えながら距離を詰め、ボディを攻めつつじっくりチャンスを待つ。
で、ロープ際に追い詰めたところで一気にペースアップ。
ボディを叩きながら前進を続け、距離が詰まると頭が下がるコンランのさらに低い位置からアッパーを突き上げる。
時おりコンランのフルスイングを被弾するが、1Rのように無防備にもらうことはなく。
ある程度軌道と威力を把握した上で覚悟を持って対峙していた印象である。
足のある相手を崩すにはボディから。
下を意識させておいて上を攻める。
スピードやセンス、見栄えのよさはコンランに及ばない&突出したスペックも感じないリー・ウッドだが、自分のやるべきことを瞬時に選択する判断力、試合を通してそれをやり続ける根気は文句なしに素晴らしかった。
選び放題のカネロが渦中のビボルとの対戦を選択。ビボルのジャブがカネロの圧力にどこまで対抗できるかかだろうな
12R中盤に突然コンランがこと切れた際はどのパンチが当たったのかがよくわからなかったが、試合を観直してみると「ああ、なるほど」と。あれだけまともにもらい続ければダメージが蓄積するのも仕方ない。
特にコンランの左のタイミングを覚えたリー・ウッドが踏み込みに合わせてカウンターを合わせにいった9、10Rはお見事だった。
実際あれで攻め手を失ったコンランは近場での連打勝負以外にできることがなくなった。
で、結果的に顔面に被弾しまくる→最終回にダメージが噴き出しての場外転落KOである。
再戦はいらないんじゃない? リー・ウッドの完勝だし。ファイトマネーがいいなら別だけど
なお11Rまでの採点はコンランがわずかにリードしており、敗れたコンランは再戦を希望しているとか。
「ボクシング世界戦の場外KOで病院送りにされた挑戦者が自虐「絶対に再戦したいね(笑)」」
ただ、僕の意見を言うなら今回は再戦はいらない。
ポイントはともかく内容的にはリー・ウッドのがんばりが光った試合だし、勝負は完全についたと思っている。これで再戦と言われたらリー・ウッドがちょっとかわいそうな気も……。
高いファイトマネーが得られるならやる価値はあるのだろうが。
それ以前にリー・ウッドのことを次回まで覚えている自信がありませんが笑
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る