ワイルダーコケたよ。パーカーに3-0の判定負け。手が出ない、反応が遅れる、足が動かない。2016年のアルツール・スピルカ戦と違いすぎて哀しくなる【結果・感想】

ワイルダーコケたよ。パーカーに3-0の判定負け。手が出ない、反応が遅れる、足が動かない。2016年のアルツール・スピルカ戦と違いすぎて哀しくなる【結果・感想】

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2023年12月23日(日本時間24日)にサウジアラビアで行われたDAZN興行。セミファイナルでは前WBC世界ヘビー級王者デオンティ・ワイルダーと元WBO同級王者ジョセフ・パーカーが対戦、3-0(120-108、118-111、118-110)の判定でパーカーが勝利した試合である。
 
 
ヘビー級のトップ選手たちが同日にリングに上がることで注目された今回。
メインイベントではアンソニー・ジョシュアvsオット・ワリン戦が組まれており、ワイルダーとジョシュアが順当に勝てば長年待望されていた両者の対戦が実現するとも言われていた。
 
ところがまさかのワイルダー敗退。
ジョセフ・パーカーの圧力になかなか手が出ず、得意の右も不発に終わっての判定負けである。
 
なおワイルダー以上に危ないと思われたアンソニー・ジョシュアは強敵オット・ワリンに5RTKO勝利。2024年2月に予定されるタイソン・フューリーvsオレクサンドル・ウシク戦の勝者との頂上対決が期待される。
 
フューリーがガヌーにダウンを奪われ辛勝。競技のトップがポッと出のMMA選手に大苦戦って。自分の土俵に立たせた時点で言い訳はできないんだよ
 

ワイルダー、ジョシュアどっちかコケたらおもろいなと思ってたけど、思てたんとちゃう

デオンティ・ワイルダーvsジョセフ・パーカー。
 
アンソニー・ジョシュアとの頂上決戦を散々引っ張った挙句にジョシュアに土がつく→ワイルダーがフューリーに2度負ける流れですべてのロマンが崩れたヘビー級。
 
今回の出血大サービスにも僕のテンションはいまいち上がっていなかったことをお伝えする。
 
極論、ワイルダー、ジョシュアのどちらかがコケて大笑いするのも全然あり。
しかもジョセフ・パーカーとオット・ワリンはちゃんと強い。いくらワイルダー、ジョシュアでもすんなり勝てる相手とは思えない。
 
なおさら番狂せを期待しつつ当日を迎えた次第である。


思てたんとちゃう。
 
うん、思てたんとちゃうな。
ワイルダーがコケるパターンは大歓迎だが、こういう負け方は求めていない。
 
何と言うか、もっと「完全に攻略されました」みたいな試合を期待していたのだが。
 
 
まさかここまであからさまに劣化した姿を見せるとは……。
すでに38歳+アジリティ重視のスタイルなので仕方ない部分はあるが、それでも。
 
当てが外れた関係者を笑うよりもワイルダーの落日っぷりが切なすぎる。
 
「さっさとやっておかないからこういうことになるんだよ」とさらにイライラが募ったことをお伝えする笑
 
アンソニー・ジョシュア復活? オット・ワリンを蜂の巣に。このパターン、ちょっとあると思ったよね。前回のガシエフ戦が怪しかったのよワリンさん
 

ワイルダーの持ち味は“動けるヘビー級”。今回も中盤〜後半KOを予想してたけど…

右の1発でKOを量産してきたワイルダーだが、もともとこの選手の持ち味は“動けるヘビー級”だと思っている。
 
バスケ出身らしく全身がバネの塊で、前後左右への動きが軽やか。1発で試合を終わらせる右もあのバネを活かしたリターン、もしくは遠間からのワンツーが中心となっている。
 
だが、近年では大柄なタイソン・フューリーに対抗するために体重を増やしたり、1発重視に傾倒しつつある。パンチの威力は上がったかもしれないが、全体のアジリティは明らかに落ちている。
 
いわゆる“鈍重なヘビー級”に近づいたというヤツ。
 
 
そう考えると、ヘビー級の中ではスピードがある&踏み込みの鋭さとジャブが持ち味のジョセフ・パーカーとは相性がいいとは思えない。
 
どこかでワイルダーの右が炸裂する可能性は高いと思うが、パーカーが置いてきぼりにするパターンも十分考えられる。
 
一応ワイルダーの中盤〜後半KOを予想しておくが、逆の結果も全然あり得る?
 
ジョシュア、ワイルダー揃い踏み+フューリーvsウシクもリスケ。唐突なヘビー級出血大サービスにびっくり。でもすまん、僕には“フランシス・ガヌー杯”に見えてしまうのが…
 

ダメダメだったワイルダー。手が出ない、反応は遅い。パーカーのワイルダー対策もよかった

いや〜、ダメでしたね。
ワイルダー、ダメダメでした
 
遠い位置でサークルするだけでなかなか手が出ず、相手の攻撃にはそのつど反応が遅れる。
パーカーが射程の半歩外で待ち構えるせいで得意の右を打ち込むタイミングも見つからない。
 
また、パーカーのワイルダー対策もよかったと思う。
 
序盤3Rまではワイルダーの豪打を警戒していたパーカーだが、中盤以降はどんどん大胆に。
ワイルダーに1発の怖さがない、スピードについてこられないと感じたのだと思うが、自分よりも上背のあるワイルダーの懐に何度も侵入してみせた。
 
申し上げたようにパーカーは射程の半歩外で対峙することでワイルダーの右を封じてみせた。
中に入る際はガードを上げる&頭を下げた姿勢を徹底。極力打つ場所を少なくコンパクトに。
 
ワイルダーの右は腕が伸びる位置で打ってナンボなので、とにかく早めにスペースを潰す窮屈にさせるを最後までやり抜いた。
 
 
自分から攻めるには距離が遠い。
相手の踏み込みにはそのつど反応が遅れる。
中に入られると威力のあるパンチが打てなくなる。
 
チャンスらしいチャンスは離れ際の一瞬と打ち終わりくらい。だが、パーカーの警戒心、高い集中力がそれを許してくれない。
 
ワイルダーにとっては完敗以外の何物でもない、マジで“手も足も出ない”試合だった。
 
ワイルダーが稲妻のような右でヘレニウスを1RKO。やっぱりワイルダーは動けてナンボの規格外マンだった。それだけにフューリーの人外っぷりが際立つ
 

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ワイルダーのベストバウトは2016年1月のアルツール・スピルカ戦。アジリティの高さにめちゃくちゃ驚く

試しにワイルダーの過去の試合を漁ってみたところ、動きの軽快さにめちゃくちゃ驚く
 
個人的にワイルダーのベストバウトは2016年1月のアルツール・スピルカ戦だと思っているが、この試合〜2018年3月のルイス・オルティス戦あたりまでがもっともバランスがよかった印象である。

 
てか、僕はやっぱりアルツール・スピルカ戦が好きっすね笑
出入りが得意なスピルカにスピード負けせず、それどころかラウンドを重ねるごとにだんだんと右のタイミングが合ってくる。
で、9Rにカウンターの右をぶち当ててジ・エンド。
 
狙いすぎない、行きすぎない、待ちすぎない。
すべてのバランスが“ちょうどいい”状態で生まれたKO勝利だった(と思う)。
 
 
そして、あの試合のあとに今回のジョセフ・パーカー戦を観直すと、あまりの変わりように哀しくなってしまう。
改めてアンソニー・ジョシュアとの頂上決戦を引っ張ったことが悔やまれる。
 
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