ベルデホダメか? マルティネスにはKO勝利したけど課題山積。見た目の派手さに惑わされたけど、どこかで挫折しそうだな【結果】

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ニューヨーク自由の女神
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2016年6月11日(日本時間12日)、米・ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにボクシング界最大のホープであるフェリックス・ベルデホが登場。ファン・ホセ・マルティネスと10回戦を行い、5R2分40秒TKO勝ちを収めた。

前回のロドリゲス戦、前々回のシルバ戦と2試合続けて不調な結果に終わったベルデホだが、この日は序盤から飛ばして期待通りのKO勝利。若手No.1プロスペクトの底力を見せつける結果となった。

なお、この試合はワシル・ロマチェンコvsローマン・マルティネスのWBO世界S・フェザー級タイトルマッチのセミファイナルとして開催されている。

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ベルデホ久々の完勝!! 僕は完全にこの選手を過大評価してました

ベルデホ5R勝利!!

これぞ主人公。これぞスーパースター候補筆頭。そんな試合だった。
久しぶりにベルデホのスカッとしたKO勝ちを見ることができて安心した方も多いのではないだろうか。

まず今回の試合というか、僕のベルデホに対しての率直な感想を申し上げたいと思う。
すみません。どうやら僕はこの選手を相当過大評価していました。

「太陽の申し子」
「ボクシング界を背負うトッププロスペクト」
「オスカー・デラホーヤやマニ―・パッキャオの系譜を受け継ぐ男」
「陽のあたる場所を歩くことを約束されたスーパースター候補」

以前から僕はこのベルデホを近い将来のスターだと断言し、散々持ち上げてきた。

「フェリックス・ベルデホがボクシング界を背負う? 次世代ホープのプエルトリカン、太陽の申し子ベルデホに注目」

前々回のウィリアム・シルバ戦、前回のロドリゲス戦と不調な試合が続いても「調子が悪かった」「きっと次回は期待に応えてくれるだろう」などと楽観的な言葉を並べ、あげくの果てには「試合間隔が短すぎて疲れが溜まってるんじゃないの?」という本末転倒な理屈で締めくくる始末である。

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メイウェザー、パッキャオ時代の終焉とともにボクシング界に現れた未来の主人公。「あまり好きではない」などと言いつつ、ここまでの華やかさを持った選手にはめったにお目にかかれない。そんな高揚感もあり、何だかんだで応援している選手である。そして、そのせいで僕の目は完全に曇っていたと言わざるを得ない。

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まあ、そもそも僕の見る目なんてそんなもんですけどね。

というわけで、今一度はっきりと断言したいと思う。

フェリックス・ベルデホ大したことないっす。
いや、マジで。

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前回の試合が不調に終わったので、改めて同じようなタイプを連れてきた

今回の相手であるファン・ホセ・マルティネス、そして前回のホセ・ルイス・ロドリゲス。どちらも骨太で頑丈な身体つきのファイターである。
ガードを高く上げてにじり寄り、自分の距離まで近づいたところで左右のフックとストレートを振り回す。
スピードも上背もそこまであるわけではないが、打たれ強さとガードの固さが持ち味のブルファイター。
非常に乱暴な言い方だが、ベルデホ陣営は同じような選手をあえて2戦続けて調達したと考えて間違いないだろう(今回のマルティネスの方がやや突進力は上だが)。

ベルデホに豪快にKO勝利を飾らせるために

まあ、要はかませ犬である。
スター候補のベルデホに派手なKO勝利を飾らせてインパクトを与える。観客にもプロモーターにも。そのためだけに呼ばれたかませ犬ファイター。それがファン・ホセ・マルティネスであり、前回のホセ・ルイス・ロドリゲスである。

ただ、前回の試合では残念ながらその目論見が不調に終わってしまった。そのため、仕切り直しの意味で似たような選手を連れてきた。恐らくそういうことだと思う。

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この程度の相手にあっさり距離を詰められる。これはかなりマズいんじゃないか?

そして、ここまでお膳立てをしてもらった上でのこの体たらくである。

この試合を観た方に一応お聞きしたいのだが、今回のベルデホはよかっただろうか。
とてもじゃないが僕にはそうは見えなかったのだが。

5RでのTKO勝ち。結果だけ見ればまったく文句のつけようのない試合である。一見すると、前に出てくる相手をスピード差を活かして翻弄し、一瞬のスキをついてパンチをヒット。一気呵成に攻めてストップに持ち込んだ。そんなベストファイトに思える。

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だが、実際のところはこの選手の課題が山ほど露呈した試合だったのではないだろうか。
というより「相変わらず課題を放置したままつぎはぎだらけでキャリアを歩んでいる」と言った方が正確か?

まあ、あまり「ダメだダメだ」と言っていても仕方がないので、具体的にどのあたりが課題なのかを考えていくことにする。

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前回、前々回の記事で申し上げていることと基本的には同じなのだが、

・パンチスピードで圧倒できないと得意のカウンターが打てなくなり、攻めの幅が一気に狭くなる
・スピーディなパンチ以外にこれといった攻め手がなく、防御勘のいい相手を攻めあぐねる
・カウンターを狙い過ぎで左が少ない
・接近戦が苦手。自分の距離以外で打てるパンチがない。パンチの軌道が外旋回なので距離を詰められると窮屈になる

だいたいこんなところだろうか。

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さらに今回のマルティネス戦ではっきりしたのが、

・インファイターにめっぽう弱い
・フットワークがダメダメ

ということ。

繰り返しになるが、今回のマルティネスや前回のロドリゲスは対戦相手のレベルとしては決して高くはない。悪い選手ではないが、かませ犬の域を出ていないのが正直なところである。
身体が頑丈で骨太。倒しにくい選手ではあるが、ただそれだけ。ボクシング界のトッププロスペクトが手こずっていいような相手ではない。

だが、当のベルデホはその程度の相手にあっさりと距離を詰められ、ロープ際まで追い込まれる。左右へのフットワークにも楽々ついてこられてしまう。キース・サーマンの劣化版というか、無駄な動きが多いというか。

パンチのスピードでは圧倒しているものの、カウンターのスペースを簡単に潰されて何もできなくなる。あの程度の突進力にプレッシャ―を感じて下がらされてしまうのである。

華麗なカウンター。
スタイリッシュなボクシング。

こんなスタイルを身上とする選手が、かませ犬の域を出ないインファイターもどきにあっさりと懐に入られる状況。
これは正直、かなりマズいのではないだろうか。

さらに、相手をグラつかせてからのラッシュの命中率の悪さ。冗談抜きでまともにヒットしたパンチは1、2発だったと思う。
あれだけのパンチを出してもろくに当たらない。 これも至近距離での攻防が苦手という課題が一気に噴出した結果と言えるのではないだろうか。

恐らく、今後この選手は相手のレベルが上がるにつれて「あれ?」と思うことが増えていくだろう。今の守られたマッチメークをどこまで続けるのかはわからないが、どこかで必ずガチの実力者とぶつからなくてはならないときがくる。ポテンシャルの高さだけでは通用しない相手と対峙したときにメッキがはがれる。近からず遠からずその瞬間はやってくると思う。

実はプロデビュー前にロマチェンコに欠点を突かれて負けているベルデホ

実はプロデビュー前にフェリックス・ベルデホを丸裸にしていた選手がいる。ワシル・ロマチェンコである。

2012年のロンドンオリンピックでこのフェリックス・ベルデホは、当時アマチュア最強の名をほしいままにしていたロマチェンコと対戦している。そして、ほぼ何もできずに完敗を喫しているのである。

この試合をご覧になった方はいらっしゃるだろうか。
もう見事にベルデホの欠点が露呈しまくっている試合である。

ロマチェンコの流れるようなフットワークであっさりと距離を詰められ、コンパクトなコンビネーションを被弾する。先ほども言ったようにベルデホのパンチはやや外旋回の軌道なので、パンチスピードはあってもロマチェンコの方が先に届く。正確性もはるかにロマチェンコの方が上なので、至近距離での打ち合いでことごとく上をいかれる。

目の前を前後左右に動くロマチェンコを捉えることができず、ロープ際に追いつめられてパンチを被弾し続けるベルデホ。
文句なしにロマチェンコの完勝である。
ベルデホの欠点をうまく突いての圧勝である。

要するに、2012年の時点でベルデホの欠点は白日の下に晒されていたのである。アマチュア界最強のボクサーの手によって。
僕ごときがああだこうだと言い出すはるか昔に。

いや、本当に惑わされた。
豪快なカウンターと派手なKO劇。ハンサムな見た目。華やかな雰囲気。
どこからどう見ても主人公キャラのベルデホの持つ空気感に完全に虜になっていた。
今のままでは恐らく、僕のお気に入りであるバルテレミーとの一騎打ちまでたどり着くのは難しいだろう。

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我ながら無能極まりない。
それでもさすがに3回も見せられれば気づくわな。いくら無能でも。

まあ、何度も言うように僕の見る目などこの程度だし、別に落ち込むことでもない。
というより、今回の僕の意見が正しいという証拠もないし、いつも言うようにスポーツ観戦はしょせん主観である。

なので、これからも気にせず好き勝手に楽しく観戦していこうと思う。

ベルデホがんばれ〜。

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