レイ・バルガスがムニョスに勝利し、また一歩王座へ近づく。でも見た目ほど圧勝じゃなかったな。というか、井上尚弥の試合とそっくりじゃねえかww【結果】

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メキシコシティ
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2016年9月3日(日本時間4日)にメキシコ・サラゴサのリングにWBC世界S・バンタム級1位のレイ・バルガスが登場。元WBA世界S・フライ級王者アレクサンデル・ムニョスとの一戦を行い、5R2分22秒TKO勝ちを収めた。

無敗レコードを誇るランキング1位のバルガスは37歳のベテラン、ムニョスを終始圧倒。計4度のダウンを奪い、レフェリーストップに追い込む。

これでデビュー以来の連勝を28にのばし、9月16日に日本で行われるウーゴ・ルイスvs長谷川穂積の勝者への挑戦に大きく前進した形だ。

「ウーゴ・ルイスに挑戦! 長谷川穂積最終章開幕。ラストファイトか?」

レイ・バルガスめっちゃ強い!! ……自分の距離では

レイ・バルガス圧勝!!
37歳のムニョスに何もさせず!!
とにかく強い!!(自分の距離では)

レイ・バルガスがムニョスを終始圧倒して勝利を飾ったこの試合。
だが、個人的には見た目ほど楽勝ではなかったと思っている。

というより、レイ・バルガスの粗がモロに表面化した試合と言った方が正確か。
「5Rストップ」「計4度のダウン」という数値以上に、レイ・バルガスにとっては先が思いやられる試合だったのではないだろうか。

ムニョスの試合運びは予想通りの接近戦。バルガスの懐に潜り込んで、フルスイングのカウンターを下から顎に叩き込む作戦である。

「おなじみムニョス見参!! レイ・バルガスに試練か? 世界前哨戦でベテラン元王者を一蹴できるか?」

試合開始のゴングと同時にムニョスが頭を振って距離を詰め、右のオーバーハンドを振り回す。

そうだよな。
今のムニョスにできるのはこれだけなんだよな。

これに対し、バルガスは後退しながら長い左を打ち下ろす。
だが、ムニョスの圧力を受け止めきれずにロープを背負ってしまう。

「長谷川穂積のベストバウトはあの試合だろ? 壮絶な打撃戦の最中に長谷川を覚醒させ、その後の道すじを決定した7R」

ガードを上げ、頭を激しく振りながら間合いを詰めるムニョス。大きく踏み込んで出した左がバルガスの顔を跳ね上げる。

バルガスも得意のボディで迎撃するが、ムニョスの前進を止めるまでには至らない。

あ~、やっぱりか。
バルガスはこれをやられると弱いと思っていたのだが、まさにその通りだった。

この選手はガードを固めて間合いを詰められると一気にキツくなる。
中間距離で思い切り腕を振っているときは無類の強さを発揮するが、そこから間合いを詰められると途端に窮屈になる。
確かにスピードとパワーは凄まじい。だが、ポジション的な優位性を保てなくなると一気に脆さを露呈してしまうのだ。

「井上拓真がタパレスに挑戦!! って、何を焦ってるんだ拓真さん」

まさかの健闘を見せたムニョス。だけどあっさり失速してジ・エンド

持ち前の突進力でバルガスを追い回すムニョス。
これはもしかしたらもしかするか?
観衆にそう思わせた1分半過ぎ。

無事失速。

……ですよね。
こうなると思ってましたよ。
今のムニョスに1試合通じてバルガスにプレッシャーをかけられる体力なんかないんですよ。
それでも1分半でのガス欠は予想以上に早かったけど。
 
「レイ・バルガスvsロニー・リオス予想。亀海vsコット、マクレガーvsメイウェザーもいいけど、この試合も楽しみ」
 
ムニョスの追い足が急速に衰え、バルガスとの間にスペースができる。
その途端、バルガスのパンチにパワーが戻る。
左右のストレートが再三ムニョスの顔面を捉え、のけぞるようにムニョスが後退する。

終わった。
完全に終わった。
37歳ムニョス、怪物レイ・バルガスを相手に大健闘だった。
90秒間ホントによくがんばった。
 
「弱点バレバレやんけ。レイ・バルガスがロニー・リオスに大苦戦。バルガスがわかりやすく弱みを露呈」
 
ラウンド終了間際、頭を振ってバルガスのパンチを避けるムニョス。そのままフルスイングのカウンターを狙うが、リーチと身長差が大きく届く気配がない。あれだけ前に出ていた足がちっとも動いていない。

「マックジョー・アローヨ、アンカハスにまさかの敗北。フィリピンにおけるパッキャオの影響はマジで甚大」

ゴング後、コーナーに引き上げるムニョスの顔から早くも疲労感が漂う。
逆にレイ・バルガスの後ろ姿からみなぎるパワー。
なるほど。
これが勢いの差というヤツか。

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やろうとしていることはわかる。だけど足がまったく動かないのがツラい

2Rからは観ての通り、ほぼ一方的な展開である。
ムニョスがガードを上げてジリジリと距離を詰めるが、バルガスの強打にさらされ前進を止められてしまう。

恐らく今のムニョスはまともに足が動かないのだと思う。
膝に銃弾を受けた影響はもちろん、何より経年劣化で下半身のバネがどうにもならなくなっているのだ。

前後にシフトウェイトを繰り返しながらバルガスとの間合いを詰めようとするムニョス。だが、いかんせん足が動かない。
ロープ際にバルガスを追い詰め、渾身のパンチを振るうムニョス。だが、下半身の粘りがなく身体が拳に振り回されてしまう。
頭をつけて得意の至近距離での打ち合いに持ち込むムニョス。だが、足の踏ん張りが効かずにあっさりとはじき返される。
バルガスのサイドに回り込み、左ボディからフックのコンビネーションを打ち込むムニョス。だが、踏み込みが甘くバックステップで軽々と防がれる。

めげずに何度もアタックをかけるのだが、バルガスの強打でスペースを作られ、そのつどストレートを被弾。効かされたところに追撃を受けてダウンを喫する。

あ~、キツい。
これはキツい。

やろうとしていることはすっげえわかる。
しかも、ボクシングのクオリティだけなら間違いなくバルガスを上回っている。

ただ、とにかく足が動かない。
身体能力というか、ポテンシャルの部分での差があり過ぎてまったく歯が立たない。

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せめてあと7歳若く、身体がもう一回り大きければ。フィジカル的にもう少し対抗できるものがあれば、展開はまったく違っていたのに。

というかこの試合、井上尚弥vsペッチバンボーン戦にそっくりじゃねえかww

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ペッチバンボーン戦の井上尚弥と同じ。今のレイ・バルガスは強靭なフィジカルで相手をねじ伏せている状態

世界前哨戦と称されたこの試合。
レイ・バルガスにとっては圧勝が義務づけられた一戦だったわけだが、5RTKOという結果だけを見れば上々の出来である。
しかも、前回のカボレ戦のように持久走作戦に逃げるわけでもなく、持ち前の荒々しい攻撃力を発揮しての勝利。来るタイトルマッチに向けての準備は万端といって間違いない。

「レイ・バルガスが日本に来るぞ?! カボレに圧勝判定で挑戦者決定戦を制す」

ただ上述の通り、内容的には前途多難というか、レイ・バルガスの課題がモロに露呈した試合である。

スピード、パワー、身体の強さ。
見てわかるように、レイ・バルガスのフィジカルは本当に凄まじい。
しかも井上尚弥と違い、この選手には階級屈指の上背がある。身体能力だけなら間違いなくS・バンタム級トップだろう。

「亀田和毅日本復帰!! また亀田の試合が観られるぞ。協栄ジム所属でライセンス申請」

だが、今のレイ・バルガスはその溢れんばかりのパワーで相手をねじ伏せているに過ぎない。
これまでの相手はフィジカルのゴリ押しでねじ伏せることができたが、ここから先、相手の実力が上がるにつれて徐々に厳しい試合が増えてくるはずである。
そして、その兆候が見えたのが今回のムニョス戦だ。

パンチのヒット数も上回り、ダウンも奪っている。見た目上は圧勝なのだが、ボクシング的な部分では完全に劣っている。
ガードを固めてシフトウェイトしながら距離を詰められると、あっという間に手詰まりになってしまう。スピードを活かしたフットワークもいいが、あの動きでガチの実力者からフルラウンド逃げ切るのは不可能だろう。

つまり、井上尚弥vsペッチバンボーン戦そのものである。

「井上尚弥がペッチバンボーンに10RKO勝ち!! 井上が何者なのかがいまだに謎…。すごいのはわかるんだが」

ここから先は厳しい試合が増えてきそうだなレイ・バルガス。だけど長谷川穂積戦は絶対に観たいぞ

何度も言うように井上尚弥同様、レイ・バルガスのフィジカルや持っているポテンシャルは凄まじいものがある。スター性やスケールの大きさもあり、恐らく今のままでも王座を獲得することは可能だ。

「レイ・バルガスやべえww強いww こいつは絶対覚えておいた方がいい」

だがここから先、適正な体格とパワーを兼ね備えた選手と対峙したとき、相当厳しい戦いを強いられることになりそうである。
仮にタイトルを獲得したとして、長期政権or2階級制覇のどちらの路線に進むのかはわからないが、そう遠くない未来に壁にぶつかるときがやってくるのではないだろうか。
とりあえず本人が「フェザー級を狙いたい」と言い出したら、陣営は全力で止めることをおすすめする。

「ゲイリー・ラッセルがロマチェンコに熱烈片思い? ハイランド戦を2RTKOで圧勝防衛!!」

とはいえ、以前にも申し上げたように僕はレイ・バルガスのことが大好きである。
基本的に脳筋人間なので、「速い」「力が強い」「大きい」というわかりやすい選手は問答無用に大正義だ。
正直、この選手を日本で観たいためだけに長谷川穂積の勝利を願っているといっても過言ではない。
 
「無敗対決レイ・バルガスvsギャビン・マクドネル予想。かなり興味深い試合です。長谷川穂積の後がまに座るのはどっちだ?」
 
和氣慎吾を完膚なきまでに叩きのめしたジョナタン・グスマンや内山を敗ったジェスレル・コラレス。このレイ・バルガスは彼らに勝るとも劣らないポテンシャルを持った選手である。こんな選手を日本で観られるかもしれないのだから、ワクワクしないわけがない。

「顔面崩壊で完敗和氣。ダメだ、全然感動しなかった…。グスマン4度のダウンを奪い世界タイトル獲得!!」

というより、何かきっかけさえあればマジでモンスターに覚醒する可能性がある選手だと思っている(今回のムニョス戦でちょっと揺らいでしまったが)。
そういう意味でも、長谷川穂積には絶対ウーゴ・ルイスに勝ってもらわなくては困るのだ。

「言うほどいい試合かこれ? 長谷川穂積がウーゴ・ルイスから王座奪取!! すまん長谷川、あんまり感動せんかった」

日本の生ける伝説・長谷川穂積vsスター候補レイ・バルガス。
2016年大みそかに何が何でも実現してほしい。

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