UFC女子、僕のベストバウト3選。第3位は女子MMAを次のステージに押し上げたあの試合
僕はMMAのゆる〜〜いファンで、日本のRIZINやシンガポール発のONEなど、各団体の試合をフワッと観ている人間である。
MMAの最高峰と言われるUFCも時間が合えばWOWOWの中継を、UFCのYouTubeチャンネルで過去の試合を漁ったりと、わからないなりに楽しませていただいている。
そして、実を言うとUFCに関しては男子よりも女子の方が好きだったりする。
以前にも何度か言った記憶があるが、僕は旧K-1やPRIDE初期の洗練されていない感じがお気に入りである。
一つのジャンルとして成熟しきっておらず、各競技から集まった選手たちが探り探りやっているごちゃ混ぜ感。ああいう寄せ集めの雑多な異種格闘技戦は競技レベルが上がった現在のMMAにはないもので、それはそれで幻想的なワクワクがある。
もちろん競技として洗練されたものが嫌いなわけではなく、どちらもアリだよねという話。
フロイド・メイウェザーJr.vsコナー・マクレガー、フロイド・メイウェザーJr.vs那須川天心のようなお祭りファイトも好きだし、堀口恭司vs朝倉海、トニー・ファーガソンvsジャスティン・ゲイジーのような普通のMMAファイトも楽しい。
落日のファーガソン。ゲイジーのカウンターに血まみれレフェリーストップ。今回がヌルマゴとのラストチャンスだったんだろうな
では、なぜUFCでは女子の方が好きかと言うと、女子の試合にはMMAの黎明期にあったごちゃ混ぜ感が存在しているから。
男子の試合は完全に技術が確立され、一つのジャンルとして成熟しているが、女子の方はかろうじてそういう雰囲気が残っている(気がする)。
打撃に特化したストライカーやグランドに特化したグラップラーが活躍する余地があり、フィジカルとスタミナお化けがすべてを更地にしてしまう期待感もある。
2002年8月のDynamite!で柔術家のアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラがアメフト出身のボブ・サップのパワーに大苦戦を強いられたり。
ああいうロマンは競技レベルが上がるにつれて失われていったものだが、UFC女子の試合には現在でもそれがわずかに存在する。
というわけで表題の件。
今回は「UFC女子のベストバウト3選」と題し、僕がこれまで観た中でのベストバウト3試合を発表していく。
念のために申し上げておくと、MMAのゆる〜〜いファンである僕が独断で決めた順位なので、「あの試合がない」「この試合を入れないのはあり得ない」とご指摘を受けても「すみません、でもよく知らないんです」としか言いようがないッス。
UFC女子、僕のベストバウト3選。第1位は女子史上最高? の打ち合いが生まれたあの試合。日本人にも希望が持てる一戦
UFC女子、僕のベストバウト3選:第3位
○ホリー・ホルムvsロンダ・ラウジー×(UFC193)
2015年11月のUFC193で行われたUFC世界女子バンタム級タイトルマッチ。同級王者ロンダ・ラウジーが挑戦者ホリー・ホルムと対戦し、2R59秒KOでホルムが勝利した一戦である。
この試合はもう、世界中のMMAファンに衝撃を与えた一戦と言っても過言ではない。
当時のロンダ・ラウジーと言えば、UFC6連勝中の最強女王。
凄まじい圧力と連打で相手を追い込み、金網とのプレスで押し潰して得意の腕ひしぎ十字固めに入る。
難攻不落の必勝パターンによる1RKOを連発していた時期で、人気映画「ワイルド・スピード SKY MISSION」への出演を果たすなど、押しも押されもせぬUFCのスーパースターだった。
だが、そのラウジーをUFC3戦目のホルムがKOで下してしまう。
ラウジーの圧力をフットワークとカウンターで寸断し、最後は側頭部へのハイキック一閃。最強女王に何もさせずに勝利した光景は言葉を失うほど衝撃的なものだった。
と同時に、この試合は女子MMAが次のステージに進んだ一戦だったとも思っている。
圧力と躊躇のない打撃がフットワークとカウンターの前に沈んだ。女子MMAから黎明期の幻想が失われた試合
申し上げたようにロンダ・ラウジーは強フィジカルと腕ひしぎの最強コンボで勝利を量産した選手。
圧倒的な馬力と躊躇のない打撃でグイグイ前進し、強引に相手を寝かせて腕ひしぎ十字固めでフィニッシュに持ち込む。フィジカルのゴリ押しと言ったらアレだが、ある意味ラウジーにはボブ・サップ的なところがある(と思う)。
だが、ボクシングの元世界王者であるホリー・ホルムにはそれが通用せず。
縦横無尽に動くフットワークに置いてきぼりを食い、微妙にポジションを変えながら放つカウンターにまったく反応できず。最後のハイキックは開いた口が塞がらないほど凄まじい光景だったが、その前の金網付近でのアンクルブレイクもなかなか……。
強フィジカルで圧殺するゴリ押しスタイルの限界というか、ガチの技術に屈したというか。MMA黎明期の幻想が一気に崩れた試合と言える(気がする)。
RIZIN20の視聴率がヤバい? 平均5.2%で打ち切りかも? 現地の熱量との乖離がすごいよね。そらメイウェザーも勘違いするわ
この試合で最強女王を下し、一晩でスターダムに上り詰めたホリー・ホルムだが、次戦でグラップラーに特化したミーシャ・テイトに敗れて陥落。
そのミーシャ・テイトも初防衛戦でトータルファイターのアマンダ・ヌネスの打撃に手も足も出ず、1Rで一本負けを喫するまさかの事態に。
そして2016年12月のUFC207で復帰を果たしたロンダ・ラウジーだが、この1年で飛躍的にレベルが上がった女子MMAにはすでに彼女の居場所はなく。
もっとも得意な距離、もっとも得意なスタンドでの打ち合いで完膚なきまでに打ちのめされ、女王アマンダ・ヌネスにまさかの1R48秒TKO負け。再び世界のMMAファンに衝撃を与えてしまう。
この試合によって一つの時代が終わるとともに、女子MMAからも黎明期の雑多なごちゃ混ぜ感は完全に失われた。すべての要素を高次元で兼ね備えたトータルファイターがしのぎを削る領域に入ったことがはっきり証明されたのだと思う。
そのすべてのきっかけとなったのがこのホリー・ホルムvsロンダ・ラウジー戦だったのかなと。
プライドの高い彼女は2連敗の後にMMAからさっさと身を引いた
なお、先ほど「ロンダ・ラウジーはボブ・サップ的なところがある」と申し上げたが、どれだけカッコ悪い負け方をしても引退しないサップに対し、ラウジーは2連敗後にさっさとMMAから身を引いてしまった。
2018年9月の大砂嵐戦である意味「これぞRIZIN」と言える試合を披露したサップだが、何となくこの選手はMMAも一つの仕事と割り切っている節がある。
だが、当のラウジーはホルム戦後のインタビュー動画などを観ると、明らかにプライドの高そうな性格がうかがえる。
恐らくだが、攻略法を暴かれ進化のスピードに追いつけない自分がこれ以上情けない(情けないとは思わないが)姿を晒すことに我慢ならなかったのではないか。
ロンダ・ラウジーがわかりやすくボブ・サップだった件。ヌネスに48秒TKOか。ちょっとマズい負け方かもしれんな
もちろんそれぞれにスタンスがあるのでいい悪いもないのだが、どちらかと言えば僕はボブ・サップの方が好きだったりする。
まあ、ロンダ・ラウジーも人間味があっていいですけどね。この選手がUFCで残した功績が消えるわけでもないし。
てか、もしかしたら復帰までに時間をかけ過ぎだったのかもしれない。
むしろ、ああいう負け方をした後はさっさと次の試合を組んで切り替えた方がいい。時間が経てば経つほど余計なことをごちゃごちゃ考えておかしな方向に行く可能性が高まる。こういう性格のヤツは特に。
ノンタイトル戦でもいいからすぐに次戦を組んで快勝しておけば、また別の未来があったのかも? などと思ったり。
そういえば「ワイルド・スピード SKY MISSION」のロンダ様は1人だけ身体つきが異次元過ぎて違和感ありまくりでしたねww
第2、1位は次回に
思った以上に長くなってきたので、第2、1位は次回にまわしたいと思う。
UFC女子、僕のベストバウト3選。第2位は最強女王対決がまさかの決着となったあの試合。アイツが負けるとは思わなかった
何度も申し上げているように、僕はMMAのゆる〜〜いファンなのでUFCについても詳しくも何ともない。それぞれの勢力図もよく知らないし、技術云々についてもわからない。
単純に「観ておもしろかった!!」「めっちゃくちゃ思い入れがある」という試合を挙げるだけなので、気が向いたら引き続きお付き合いいただければ幸いである。
てか、思い入れがあり過ぎて長くなっちゃうのがアレですが……。