内山再戦でコラレスに惜敗!! 2-1の判定でリベンジ失敗で引退か? ダイレクトリマッチはボディを効かせるものの攻めきれず【結果・感想】
2016年12月31日に東京・大田区総合体育館で、WBA世界S・フェザー級タイトルマッチが行われた。
同級スーパー王者ジェスレル・コラレスに前スーパー王者内山高志が挑んだ一戦は、2-1(117-110、113-114、115-112)の判定でコラレスの勝利。
序盤から内山の攻撃をかわし、的確に自分のパンチを当てたコラレスが逃げ切り初防衛に成功した。
「ボクシングはテレビで観るものだと確信した夜。有明コロシアムで「ボクシングフェス2016 井上尚&八重樫 W世界戦」」
5Rにスリップ気味のダウンを奪った中盤以降、徐々にペースを掴んだ内山だが、集中力を切らさずクリンチやホールドで逃げるコラレスを捕まえられず。最後まで印象的な一発を当てることができずにポイントアウトを許してしまう。
これで2016年4月に続いて同じ相手に連敗となった内山。
引退か、現役続行か。
37歳の名選手の進退に注目が集まる。
「【再戦展望】内山vsコラレス大みそか決戦。苦戦必須? 引退を賭けた大一番のリング」
全力でやることをすべてやった上で負けた内山。悔いはあるかもしれないが、この結果はしゃーない
内山連敗。
健闘虚しく、コラレスの老かいな試合運びに屈する。
多くのボクシングファンの願いを乗せた2016年大みそか。
失われたプライドを取り戻すべく、リマッチのリングに上がった内山だったが、結果は残念ながら僅差の判定負け。
「覚醒した田中がフエンテスに圧勝!! “中京の怪物”が絶不調のフエンテスを5RKO」
感想としては、
「まあ、しゃーないかな」
何度も申し上げているように、この試合は個人的にもいろいろな思い入れがあった試合である。当然画面に釘付けで応援していたのだが、それでも勝てそうな気配はあまり感じられなかったのが本音である。
「内山vsコラレスの敗因? 経験知不足、国内専門王者の弊害が一番大きいんじゃないかな? 衰えやモチベーション低下ではなく」
もちろん何もできずに終わった前回に比べて格段にいい試合だったことは間違いない。だが、それでも絶対的な相性の悪さを覆すことができなかったことも確かである。
「インドンゴがバーンズ討伐を果たして王座統一。おもしれえ試合ww 野生動物のようなインドンゴにビックリ」
やれることを全部やり尽くした上で届かなかったとでも言えばいいだろうか。
内山自身は「余力を残して終わったのが悔しい」とコメントしているようだが、それも含めてコラレスの巧さである。
4月の敗戦後に8ヶ月かけて作戦をたて、その通りに実行した結果負けた。
残念だが、「しゃーない」としか言いようがない。
これから内山がどうするのかはわからないが、ある程度は清々しさが残る試合だったとも言えるのではないだろうか。
「爆腕!! 村田がブルーノ・サンドバルにド迫力KO!! 世界前哨戦で格の違いを見せつけ3RKO」
ってか、コラレスでけえww お前、その腹何があったんだよww
試合の流れとしては周知の通り。
前半コラレスの猛攻をしのいでいた内山が、5Rにダウンを奪ってペースアップ。10Rに右ボディをヒットしてコラレスを大きく失速させるものの、クリンチやホールドでうまく時間を稼がれて攻めきることができず。惜しくも2-1の判定で敗れたという流れである。
「ガンボアvsカステリャノス感想。ガンボアの身体がデカ過ぎてアレだった。ところで内山の今後は?」
それはともかく、開始直後にリング上で対峙した両者を観て、不謹慎ながら僕は吹き出してしまった。
だってコラレスでけえんだもんww
「金子大樹引退?! マジでか。内山引退→しゃーない。三浦引退→ワカル。山中陥落→完敗だね。てか会長老害過ぎワロタww 金子引退→は?」
いやアイツ、でか過ぎじゃありませんかね。
肩周りも胸板も前回より一回りゴツくなって。
「コラレス陥落。マチャドのカウンターで壮絶ダウン。って、体重超過で負けるってどこのネタキャラだよw これからどうすんねん」
というか、あの腹なんすかww
めっちゃ膨らんどるじゃないですかww
しかもやたらとハイウエストなトランクスww
マジでボディが弱点だったのかな?
「フォルトゥナがイースターに挑戦だ? これまた厳しいお話で…。あんな全部のパーツが長いヤツの顔にパンチが当たるんかいな」
悲壮感漂う真剣勝負の最中にアレなのだが、シェイプアップされた内山との好対照な姿に笑ってしまった次第である。
「小國vsグスマン感想。怒らないで聞いて。実は小國が勝てるんじゃないかと思ってた」
8ヶ月間の成果を出し切った。内山の作戦に失敗は一つもなかった
申し上げたように、今回の内山は本当にやれることをすべてやった感が強い。
ガードを高く上げ、スタンスを広めにとってコラレスから的を遠ざける。
左を突きながらコラレスの踏み込みに対応、相手の打ち終わりを狙って左を返す。
極力自分から攻めにはいかず、相手のタイミングと距離感を掴む作業に集中する。
コラレスのスピードが落ちてくる中盤以降、少しずつ距離を詰めてボディを狙う。
ポイントで競りつつ後半勝負。どこかでビッグパンチが入ればKO勝利も視野に入れる。
「天才三浦隆司がミゲル・ローマンの努力を牛耳るからまあ見とけ。S・フェザー級トップ戦線生き残り」
キャリアの中で多くの相手を葬ってきた破壊力。
試合後半にはしっかり相手との距離感を掴む対応力。
コラレスの野性的な動きに対応しつつ、内山の持ち味がうまく発揮された試合運びだった。
「ジェスレル・コラレスが内山を粉砕!! 暫定王者がまさかのアップセット!!」
ただ、やはり如何ともし難かったのは圧倒的なスピード差。
ガードを上げ、スタンスを広げる構えではコラレスの打ち終わりのリターンに一瞬の遅れが生じる。
かといって、いつも通りガードを下げて上体の動きでかわそうとすれば前回の二の舞。
そもそも「ボディがカギになる」とは言ったものの、コラレスの左をかいくぐってボディなんか打てるのか? あの荒々しいラッシュの最中にガードを下げる暇なんかあるのか? とは思っていた。
「エリスランディ・ララvsフォアマン感想。ムカつくけどすげえ。ララがダーティ、正当両面でフォアマンを圧倒。長谷川穂積の理想型だな」
そして実際前半はその通りで、うまくコラレスの攻撃をしのいではいたが、内山の効果的な攻撃というのはほとんど見られなかった。
「ジャブが当たっていた」と言うかもしれないが、鼻先をかすめる程度のジャブに大きな効果はない。それ以上に、コラレスの野性的なパンチの方が強い印象を残していた。
「5度ダウンのカールソンが山中に敗れる!! 神の左()を活かすための神隠しの右()が冴え渡るww」
確かに10Rのボディはよかった。
だがあれをもう少し早く出せていればというのは違う。
あのパンチはあくまでコラレスの動きが落ちたのと、内山の対応力が交差した結果であって、もう少し早いラウンドで勝負に出ていたらKOされていた可能性も高い。
「井岡のボディでスタンプ嘔吐。2016年大みそかも悶絶ボディで安定のKO勝利。唯一無二の伝説()」
陣営の作戦を忠実に実行したが、コラレスとの絶対的なスピード差を埋めることはできなかった
絶対的なスピード差を埋めることができずにコラレスの体力を削りきれなかった前半。
ラッキーなダウンで流れを掴んだものの、コラレスのカウンターの脅威でペースアップしきれなかった中盤。
明確なダメージを与えて決定機を作るも、ラスト3Rをうまくしのがれて逃げ切りを許した終盤。
「星勝優とトラメイン・ウィリアムズがお気に入りな件。ここ数日の僕の推しメン備忘録」
陣営の作戦通りに試合を運び、なおかつすべての局面でほんの少し上をいかれた。その結果が2-1という僅差判定だった。
つまり、やれることをすべてやった上で負けた。そういうことである。
「海外挑戦にはインパクトのあるきっかけが必要なのかね? NHK BS1「あの負けで私は強くなった「ボクシング・長谷川穂積」」を観て」
10Rの右ボディ以降、会場の雰囲気を含めてKOの期待が高まったことは間違いない。だが、僕自身あまりそれが起きるようには思えなかったのが本音である。
確かにあのパンチを被弾してからのコラレスはダメージと疲労でグダグダだった。
ただ、その中でも集中力だけは切らさず、危険地帯での打ち合いを避ける意識は強く働いていた。
「騙された! 田口がカニサレスを持て余して引き分け防衛。薄氷を踏む展開でギリギリ5度目防衛に成功」
奥足重心の後傾姿勢で構え、内山の踏み込みに合わせて自分も前に出る。
頭を下げて両手を前に出し、攻撃のタイミングを与えず身体を密着させる。
自身の脇腹を相手の眼前に晒さないように気をつけながらクリンチで時間を稼ぐ。
実質、ラスト3Rに内山が必殺の悶絶ボディを打ち込むチャンスは皆無だった。
「やっぱりすげえなトラメイン(トレメイン)・ウィリアムズ。ウィリアム・ゴンサレスを1RKOでぶち抜く」
実況席からは、あのコラレスの時間稼ぎに対して批判的な言葉も聞かれたが、とんでもない。
身体能力抜群の選手が体力切れを起こした後半、ポイントアウトを狙って実行する常套手段である。
ガス欠でまともに動けない中、完全アウェーの地で勝利するための最善策を講じる選手に対して「減点しろ」など話にならない。お門違いも甚だしい。
「マイキー・ガルシア復活!! ライト級戦線の主人公が戻ってきたぞ。エリオ・ロハスに圧勝して健在アピール」
試合前に女性アナウンサーに声をかけたり、「内山のパンチは弱い」と吹聴したり「交通事故にあったが無事だった」という噂を流して心理的な揺さぶりをかけてきたり。
クリンチ作戦を含め、何から何までコラレスは「勝利を掴むために」全力を尽くしていたのである。
「ダウン応酬に期待? 山中vsカルロス・カールソン予想。12度目の防衛を果たして具志堅の記録に王手を」
勝機があったとすれば6Rかな? KAT-TUNの上田さんのおっしゃる通り
あえて内山の勝機を挙げるとすれば、スリップ気味のダウンで流れが変わった中盤6Rだろうか。
あのラウンドで一気に勝負を賭けていれば、もしかしたらKOまでもっていけた可能性があったかもしれない。もちろんカウンターでKOを食らう可能性の方がはるかに高いとは思うが。
「八重樫がサマートレックをパワーで圧倒!! あれ? 肉体改造でもしたか? ここまでパワフルにねじ伏せるとは」
内山とも親交があり、ご自身も10年以上のボクシング経験がおありのスペシャルゲスト、KAT-TUNの上田さんも「ダウンを奪ったあとからちょっと流れが変わったように思います」とおっしゃっていたが、実質あそこが内山が勝てる唯一の場面だったような気がする。
見逃してしまいそうなほど小さな勝機だが。
とりあえず、コラレスのカウンターを警戒して前に出られない内山を観て、コンスタンチン・チューのような高速のワンツーがあればと何度も思ってしまった。
同じ強打者でも、ファイター寄りのチューとボクサー寄りの内山ではまったく別物だというのも理解しているのだが。
「ロマチェンコに勝てるのは誰? ハイテクボクシングマシーンをストップできそうな選手を考えてみる」
ウダウダとタラレバを並べている時点で往生際が悪いことこの上ない。だが、それほどこの試合には思い入れがあったということで許していただければと思う。
「グヴォジクすっげえわコイツ。クレイグ・ベイカーを6RTKO。何? この内山と井岡とリー・セルビーのいいとこ取りしたようなヤツ」
とにかくアレだ。
コラレスはナイスファイト。
内山も最後の最後(?)に「絶対に倒したい」と思う相手と試合ができてよかった。