キース・サーマンが戻ってきた。マリオ・バリオスをスピードで翻弄して判定勝利。ボディを効かされてからのマラソンもさすがだった笑【結果・感想】
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2022年2月5日(日本時間6日)に米・ネバダ州で行われたウェルター級12回戦。元WBAウェルター級スーパー王者キース・サーマンと前WBA S・ライト級レギュラー王者マリオ・バリオスが対戦し、3-0(118-110、118-110、117-111)の判定でサーマンが勝利。2019年7月のマニー・パッキャオ戦以来、約2年半ぶりの復帰戦を飾った一戦である。
ルイス・ネリvsカルロス・カストロ戦と同興行、メインイベントとして行われたこの試合。
すでにだいぶ前に観終わっていたのだが、先日現地観戦した前田稔輝vs木村蓮太朗戦、宇津木秀vs鈴木雅弘戦の方に気持ちがいっていたせいでなかなか振り返ることができず。
ようやく一段落したので、じゃあ改めてということで。
前田稔輝vs木村蓮太朗現地観戦感想。初めて生で観たけどやっぱり前田稔輝カッコいいな。木村蓮太朗の粘りもすごくていい試合だった
ちなみに当日はとんでもない睡魔に襲われており、あまり試合観戦に集中できていない。
なので頓珍漢なことも言うと思うが、そこは広い心で受け止めていただければ。
と、適当な予防線を張ってからスタートしてみる。
サーマンのブランクとボロボロの肘、拳がどこまで回復しているか。相手のバリオスは追い足がなくディフェスがヌルい
まず戦前の僕の展望としては、
キース・サーマンは
・2年半のブランクがどこまで影響するか
・ボロボロだった拳や肘がどれだけ回復しているか
に注目。
マリオ・バリオスについては
・普通に強いと思うけど、ウェルター級初戦でサーマンは??
・右のカウンターが得意
・顔面のディフェンスがヌルい
・追い足がない
という印象。
出入りのサーマンと追い足のないバリオス。
左フックが得意だが腕がボロボロのサーマンと、顔面のディフェンスがザルなバリオス。
大きなブランクを作ったサーマンの足がどこまで動くか。
バリオスのカウンターが間に合うか。
何となくだが、サーマンのコンディションが2019年7月のパッキャオ戦くらいであればどうにか勝てるのではないか?
逆にそれ以下だとバリオスに捕まる可能性が高い。
僕の勝敗予想はサーマンの僅差判定勝利。
ただ、わずかな違いで勝敗が逆転するパターンも十分あり得る。
みんなのルイス・ネリが戻ってくる。再起戦でカルロス・カストロは厳しい? サーマンvsバリオス、ロマゴンvsマルティネス。難しい試合を適当に予想してみる
だいたいこんな感じである。
サーマンの動きが思った以上によかった。パッキャオ戦でのピコピコパンチとは雲泥の差
試合を観た感想だが、思った以上にサーマンの動きがよかったなと。
序盤2Rは若干硬さも感じられたが、3R以降はまったくそんなこともなく。リズムが出てからは王座防衛を続けていた2014〜2015年前後と近い動きをしていた。
また、ボロボロだった拳や肘もそれなりに回復したっぽい。
全快かどうかは不明だが、少なくともサーマンが得意とする飛び込み際の左フック、左アッパーは復活していた。パッキャオ戦でのピコピコパンチとは雲泥の差である。
黄昏時のサーマンが若き王者パッキャオ(40)に2-1で敗れる。肘も痛いし足も動かない。だから僕はサーマンに感動したんです
中盤から後半にかけてボディを効かされる→マラソンに切り替えるパターンもいつも通り。12Rの間にフッと集中が切れる時間帯があるのだと思うが、そこから足を使いまくって逃げ切るスタイルもキース・サーマンの復活を感じさせるものだった笑
「これぞキース・サーマンの真骨頂」
「ようやく帰ってきやがったわコイツ」
みたいな。
この動きができるのであれば、階級内でもそこそこの位置にはいけそうに思える。
ウェルター級のトップ戦線はWBOがテレンス・クロフォード、WBAのヨルデニス・ウガスとWBC/IBFのエロール・スペンスJr.の統一戦が決定している。現状サーマンが入る余地はなさそうだが、もう一戦挟んだあとくらいに絡めればといった感じか。
すでに33歳と若くないのでなるべく早くチャンスがくればと思う。
爆弾を抱えた拳や肘がいつまでもつかもわからないしね。
勝てるかどうかは知らん。
バリオスはちょっと差があったよね。ウェルター級にも適応しきれてなかった気がするよ
一方、マリオ・バリオスについてだが、今回はちょっと差があったなと。
まず開始直後にリング中央で対峙した両者を観て思ったのが、「バリオスが予想以上に華奢」ということ。
「マリオ・バリオスは普通に強い」と申し上げたが、それはあくまでS・ライト級でのこと。
ジャーボンティ・デービスに健闘したと言っても、ウェルター級の試合と比べると身体の厚さの違いは嫌でも目につく。
ジャーボンティ・デービスは寝起きに人を殴ったその足で朝マックするヤツ。マリオ・バリオスをパワフルに粉砕。小型のカネロじゃんコイツ
何と言うか、肩周りのゴツさが足りないんですよね。
首から肩にかけての隆起が力強さを感じさせるキース・サーマンに対し、マリオ・バリオスは後ろ姿が非常に心もとない。腹回りにやや肉がついたかな? という程度で身体つきは前回のデービス戦とあまり変化もなく。
ウェルター級の第一線でやっていくには準備が足りていないというのが率直な印象である。
また、顔面のディフェンスのヌルさはちょっと致命的だった。
申し上げたように今回のキース・サーマンはパッキャオ戦でのピコピコパンチからの劇的な改善が見られた。実際どこまで戻っているかは不明だが、少なくとも遠間から飛び込んで強打をヒット→低いダッキングで距離を取る動きができるくらいまでには回復していた。
マリオ・バリオスは基本カウンター狙いの“待ち”の選手なので、1発目をあれだけ豪快にもらう&明確に動きを止められてしまうようだとやはり厳しい。
12Rの中で露骨によろめくシーンが何度かあったと思うが、ああいうのも階級アップによる影響と言えそうである。
僕の素人採点は117-111でサーマン勝利。バリオスにもう少し追い足があれば9、10Rでチャンスが広がったかも?
てか、序盤1、2Rはよかったんですけどねマリオ・バリオス。
ジャブの差し合いに関してはサーマンよりもシャープだったし。
ところがサーマンの硬さが抜けた3R以降は出入りのスピードについていけず。
9Rにボディを効かせたものの、続く10Rに追いきれずに回復を許してしまうという。
もう少し追い足があればあそこでチャンスを広げられた可能性もあったのだが。
カネロvsゴロフキンVol.3のレフェリー、ジャッジの報酬の低さにびっくり。こんな金額で忖度や買収容疑、八百長、人種差別者扱いされる職業、しんどすぎる
ちなみに僕の素人クソ採点は117-111でキース・サーマンの勝利。
バリオスのラウンドにしたのは初回と9、10Rなのだが、そこも見方によってはサーマンのポイントになってもおかしくない気がしている。
全盛期を彷彿とさせるキース・サーマンの飛び込み左フック。
One Time has been on point all night ? #ThurmanBarrios
(via @PBConFOX)
pic.twitter.com/chftcz4iG8— ESPN Ringside (@ESPNRingside) February 6, 2022
バリオスも顔面のディフェンスがヌルいとはいえ、1発でこれだけ効かされるのは……。やはり階級アップによる影響は大きかったと想像する。
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