佐川遼vs丸田陽七太がめちゃくちゃおもしろかった。左の精度と右のカウンター。ちなみに「LEGEND」はいっさい観ておりません【結果・感想】

佐川遼vs丸田陽七太がめちゃくちゃおもしろかった。左の精度と右のカウンター。ちなみに「LEGEND」はいっさい観ておりません【結果・感想】

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2021年2月11日、東京・後楽園ホールで行われた日本フェザー級タイトルマッチ。同級王者佐川遼とランキング1位の挑戦者丸田陽七太が対戦し、7R2分57秒で丸田が勝利。見事新王者となった一戦である。
 
この試合は試合の翌々日の13日深夜に放送予定だったが、宮城県と福島県で発生した地震により放送が延期。2月19日深夜にO.A.されている。
 
 
なお、2月11日は東京・代々木第一体育館でボクシングチャリティーイベント「LEGEND」が開催され、現バンタム級世界王者井上尚弥と東洋太平洋同級王者比嘉大吾のスパーリングが行われるなど、大きな話題となった。
 
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「LEGEND」は観てねえっす。なぜなら値段が高過ぎるから。ただのスパーリングにあの値段を出すのはムリ

ちなみにだが、僕は例の「LEGEND」はまったく観ていない。
理由はあまりにも値段が高過ぎるから。
 
コンセプトはおもしろいと思うし、今の状況を打破するためにもこういうイベントを開催すること自体はアリだったと思う。
 
ただ、単なるスパーリングに最低価格15000円のチケットは僕の中ではあり得ない。しかも観客全員へのPCR検査が必須というのがめんどくさいことこの上ない。
前乗りで受けるのか早めに到着しなくてはならなかったのかは知らんが、とにかく入場までの手順がダル過ぎるせいで現地観戦をさっさと断念した次第である。
 
さらに配信を視聴するにも3300円のPPVを購入する必要があったとか。
 
 
このイベントは階級違いの選手がヘッドギアなしで打ち合ったり、大晦日に試合をした比嘉大吾が急遽井上尚弥の相手に抜擢されたりと行き当たりばったり感が強く、それを疑問視する声も聞こえてきた。
 
「ヘッドギアをせずに本気で打ち合うのなら、それは試合とどう違うんだ」
「計量もなし、階級差も関係なし、ヘッドギアもなしのスパーリングをチケット代をとって見せるのがOKなのであれば、普段の試合での1、2ポンドの体重超過にも文句は言えなくなる」
といった指摘もあり、確かにその通りな気もする。
 
だが、僕自身はその辺をあれこれ言う気はない。
2019年の那須川天心vs亀田興毅戦も普通に楽しんだ人間なので、今回も基本的にはバラエティとして受け入れることができる。
ただのスパーリングにあれだけの金額を出す気にならなかっただけで、実際にあのイベントを楽しんだ人を否定する気もない。
 
 
まあでも、これ↓を言っていた現役の世界王者が苦言を呈するどころか、ノリノリで参加していたことを考えれば大した信念もなかったのだとは思うが。


簡単に立候補して戦える相手じゃない→比嘉が井上尚弥と戦えちゃった
ボクシングには階級制がある→計量も階級差も関係なかった
エンタメじゃない→エンタメだった
 
要するに外部の人間が細かい部分にツッコミを入れるようなイベントではないのだろうと。
 

佐川遼vs丸田陽七太戦おもしろかった。丸田を観たのは大竹戦以来だったけど力強さが増してたな。あれだけ広いスタンスでバックステップ→リターンが利くのはすごい

例によって前置きが長くなったが、そろそろ佐川遼vs丸田陽七太戦について。
 
まず率直な感想としては、めちゃくちゃおもしろい試合だった
それこそ上述の「LEGEND」に話題をさらわれたことが残念なくらいに。
 
 
挑戦者の丸田陽七太は2017年10月の大竹秀典戦を観て以来の視聴。
大竹との対戦はS・バンタム級だったわけだが、その際は線が細くフィジカル面も心もとない。正直、あまりピンとこなかったのが本音である。
 
元トップアマとして期待が大きい選手と聞いていたので僕もそれなりに楽しみにしていたのだが……。
実際には大竹の迫力満点のプレスに追い回され、インファイトで圧倒された上での判定負け。拳を痛めていたことを差し引いても、パワーがなさ過ぎてこれでは厳しいのでは? という印象だった。
 
ところが今回の試合では数年前に感じたフィジカル面の物足りなさはどこにもなく。
全体的に身体が分厚くなって力感も増し、179cmの長身を活かす馬力も身についていたように思う。
 
広いスタンスでどっしり構え、前後左右に鋭くステップしてカウンターを狙う。
もともと左の精度やカウンターのタイミングはハイレベルだった記憶があるが、それ以上に同体格の佐川にまったく当たり負けしないフィジカルは大竹戦では観られなかったもの。
 
ラストの右に被せたカウンターなどはお見事過ぎて、深夜にも関わらず大声が出てしまったほど。
 
いや、すごかったっすよね丸田陽七太。
カウンターの鮮やかさ、殺傷力の高さはもちろん、バックステップ→リターンまでの流れをあの広いスタンスのままスムーズにやってしまうのにはちょっと驚かされた。
 
下半身の強さに加えてバネもあるのだと思うが、佐川の右を上回るほどのレンジは国内No.1と言っても過言ではない? と思ったり。
 
 
大竹秀典戦を糧に一回り成長したと言うか、あの負けを無駄にせずに戻ってきた姿は心を動かされるものがあった。


 

伸びる右が印象的な佐川遼だけど実は左の精度も高いんだよな。でも、今回は各局面で丸田が一枚上だった

一方、惜しくも敗れた佐川遼についてだが、こちらは2019年12月の日野僚戦を現地観戦して以来。2020年8月にも防衛戦をこなしているが、残念ながらその試合は未視聴である。
 
 
この選手の印象としては、とにかく右が伸びること。
2018年9月の松本亮戦ではディフェンスの甘い松本の顔面に得意の右をガシガシ当てた上での3RKO勝利。それ以降、王座戴冠を果たした阿部麗也戦、日野僚戦、竹本雄利戦とサウスポーとの対戦が続くも、いずれも右を中心に勝利を重ねている。
 
勅使河原弘晶vs川島翔平、佐川遼vs日野僚戦感想。興味なかったのに、ついに勅使河原目的で後楽園ホールに行っちゃった
 
ただ、実は左リードが多彩なのもこの選手の特徴である。
現地観戦した日野僚戦でも左を効果的に使って相手を射程内に誘い出して右を当てる流れが秀逸だったし、今回の試合も序盤から両者の左の差し合いに引き込まれたことを報告しておく。
 
だが、この試合では丸田との距離の違いを最後まで埋められず。
精度や威力はほぼ互角だったと思うが、スピードと距離の部分でそのつど上を行かれた印象。
 
2Rから無理やり前に出て近場での打ち合いを挑んだものの、徐々に丸田にタイミングを覚えられて逆に被弾が増える流れに。
 
 
で、5R終了時の公開採点を聞いたセコンドから「相打ち覚悟で右を狙え」との指示が出たとのこと。
 
とは言え、あの時点で丸田は佐川の右にだいぶ慣れ始めていたことも確か。
たびたびバックステップ→リターンのタイミングでカウンターの右が顔面をかすめていたし、結果的にはあの指示が丸田にKOのチャンスを与えてしまった気がする。
 
中間距離での差し合いで遅れを取り、前に出ての打ち合いではカウンターの餌食に。
序盤はほぼ互角の展開だったものの、両者の持ちネタの違いが徐々に表面化→7Rに噴出した印象である。
 

丸田陽七太を中間距離で上回るのは相当難しい。あとは清水聡vs森武蔵戦の勝者との統一戦くらいしか国内ではやることがない?

マジな話、中間距離での技術勝負で今の丸田陽七太を上回るのは相当困難に思える。
 
ブロック&リターンでゴンゴン前に出た大竹秀典はインファイトでねじ伏せたが、ジャブの差し合いやカウンター勝負で丸田陽七太を何とかできる選手が国内にいるのかどうか。
 
それこそ5月に開催予定の清水聡vs森武蔵戦の勝者とのアジア3冠統一戦以外、国内ではやることが残っていない気が……。
 
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