ロマゴン復活! ヤファイを右一閃でTKOに下して3年ぶり王座返り咲き。デカなっとったな。パワフルな前進が戻った【結果・感想】
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2020年2月29日(日本時間3月1日)、米・テキサス州で行われたWBA世界S・フライ級タイトルマッチ。同級王者カリド・ヤファイが元4階級制覇王者ローマン・ゴンサレスが対戦し、ゴンサレスが9R25秒TKOで勝利。約3年ぶりの王座返り咲きを果たした一戦である。
2017年9月以来、約2年6ヶ月ぶりの世界戦の舞台に立つロマゴン。
久しぶりの日本での試合となった前戦ではディオネル・ディオコスに2RTKO勝利を収めるなど、調子を上げて今回の試合を迎えている。
対する王者カリド・ヤファイは2016年10月の戴冠以降、5度の防衛を重ねる安定王者。一時はWBC王者ファン・フランシスコ・エストラーダとの統一戦が具体化していたが、エストラーダの負傷により今回のロマゴン戦が実現した。
試合は序盤から身体を振って前に出るロマゴンに対し、ヤファイも足を止めて真正面から受けて立つ。
至近距離で両者の強いスイングが交錯するが、そのつどロマゴンの精度の高い連打がヤファイを上回る。ラウンドが進むにつれて徐々に均衡が崩れ、ロマゴンにペースが傾いていく。
中盤6Rにロマゴンが目尻から出血するなど、ヤファイのラフさにやや手を焼いたものの、試合のペースは渡さず。8R終了間際にダウンを奪い、最後は見事な右ストレートでヤファイを腰砕けにしてTKO勝利。文句なしの圧勝で約3年ぶりの王座戴冠に成功した。
ロマゴンvsイスラエル・ゴンサレス感想。連打とスタミナでフィジカル不足を克服。次はエストラーダ戦? ロマゴン最終章に突入ですね
強いロマゴンが戻ってきた!! 僕はヤファイ応援だったけど
ロマゴン勝利!!
カリド・ヤファイをTKOに下して約3年ぶりの戴冠に成功!!
日本で人気のロマゴンが王座に返り咲いた。
それも無敗のカリド・ヤファイを見事な右ストレートで打ち砕いてのTKO勝利。
日本の八重樫東やファン・フランシスコ・エストラーダとの激闘を知っているファンからすれば、恐らくロマゴンの復活劇はめちゃくちゃ嬉しいはず。実際、多くの方がこの勝利に歓喜していた。
ただ、予想記事でも申し上げたように僕は今回、ヤファイを応援していた。
ロマゴンのことは好きだが、最近はなぜかいまいち興味がわかない。全盛期があまりにすご過ぎたせいかも知れないが、どちらかと言うとヤファイに勝ってもらいたいと思っていた。
「ロマゴンvsヤファイ予想。ロマゴン第二次全盛期に向けての第一歩。僕はヤファイを応援するけどね」
なので、勝敗予想もヤファイの判定勝ち。
両者の戦力を比較するとロマゴン有利だとは思うが、ヤファイが勝つでしょ。なぜなら僕がそう決めたから。
そんな感じでヤファイのがんばりに期待して観始めたところ……。
ロマゴン圧勝!!
いや〜、すごかったですねロマゴン。
今回はかなり出来がよかったんじゃないでしょうか。
2017年にシーサケットに敗れた際はS・フライ級はオーバースペックに思えたが、この試合では一味違う。全体的に身体も分厚くなり、階級にフィットしてきた感がある。
これはガチで“強いロマゴン”が戻ってきたかもしれないですね。
ロマゴン攻略には接近戦or足を使っての手数勝負。ヤファイが選択したのは接近戦
具体的な感想だが、申し上げたように今回はロマゴンの出来がかなりよかった気がする。
僕がパッと思いつくロマゴン攻略法は以下の2つ。
・コンビネーションの合間にカウンターを合わせる
・足を使いながら手数を出す
1つ目は上述のシーサケットが実行した作戦で、ひたすら近場で打ち合いロマゴンに得意の連打を出させないやり方。ロマゴンに対抗するには下がってはダメなので、とにかく自分から前に出てラフな打ち合いに持ち込む。1発1発に力を込めてコンビネーションの回転力を鈍らせ、強引にカウンターを合わせにいく。
単純明快な反面、波状攻撃に耐えられるフィジカルと1発の威力を要する。打ち負ければ大差でポイントアウトされかねないリスクもあり、馬力と打たれ強さを兼ね備えたシーサケットならではの作戦とも言える。
2つ目の“足を使いながら手数を出す”に関しては、もっともわかりやすいのが2016年9月のカルロス・クアドラス。常に射程の半歩外をキープし、連打とサイドへの動きでロマゴンの正面を外しまくる。リーチ差、体格差を活かして遠目から細かいパンチを当て続け、僅差のラウンドを量産して逃げ切る作戦。
露骨な判定狙いではあるが、S・フライ級にフィットしていない当時のロマゴンなら何とかなるという計算もあったのだと思う。難攻不落だと思われた最強王者打倒の可能性を一番最初に示した試合と言えるのではないか。
L・フライ級のロマゴン凄すぎワロタw ベストバウトはスティベン・モンテローサ戦で異論ないよな?
そして、今回カリド・ヤファイが選択したのは1つ目。
自ら間合いを詰めて近場で打ち合い、体格差と馬力、打たれ強さでロマゴンのコンビネーションを抑え込む作戦である。
真正面からの物量勝負を仕掛けた結果、ロマゴンの連打を抑えきれずに撃沈してしまったわけだが……。
ヤファイの選択は間違いではなかった。仮に足を使った場合、さらに一方的な展開に…
ただ、今回のヤファイ陣営の選択は決して間違いではなかったと思う。
申し上げたように、僕はヤファイは足を使って動き回る方を選ぶと思っていたが、恐らくそれではロマゴンのプレスからは逃げきれない。
7、8Rとたびたび距離をとって一休みしようとしていたが、そのつどロマゴンにあっさり追いつかれてしまう。8R終盤などはボディを効かされ顔面を跳ね上げられ、足元が怪しくなったところでなぎ払うようなフックでダウンを奪われている。
ヤファイは基本、強いパンチを出すには足元を決める必要がある。その上、左のボディ→フックという流れを得意とするため、クアドラスよりも射程は近い。身体も大きく前で連打が出せるクアドラスとはできることが大きく異なる。
2017年の村中優戦、石田匠戦では中盤から足を使う持久走作戦で逃げ切ったが、手数とプレスを高次元で両立するロマゴン相手にそれをやるのは恐らく難しい。
仮にヤファイがクアドラス方式を選んでいたら、さらに一方的な展開になった可能性もあるのではないか。
ダラキアンvsマルティネスの統一戦やっばw 唐突過ぎてビックリした。やっぱりここに田中恒成も絡んでほしかったな
ロマゴンのパワーアップが顕著。S・フライ級にフィットしたな。全盛期のバランスはやや目減りしてるけど
そして、ヤファイ陣営もそれを見越した上で接近戦を仕掛けたのだと想像する。
だが、結果は9RTKO負け。
馬力で押し切れずに終始打ち合いで上回られ、身体を寄せきれなくなったところでボディ、顔面に被弾を重ねる。最後はガードの間から右ストレートを打ち抜かれてジ・エンド。
左の多彩さを持ち味とするヤファイだが、ロマゴンは両方のパンチが多彩。その上、想定以上にロマゴンの右が伸びてきたせいで左はガードで手一杯となり、最後までうまく機能せず。
繰り返しになるが、今回のロマゴンはめちゃくちゃよかった。
正直、全盛期の超絶バランスはやや失われているとは思う。連打の最中に上体が伸び上がったり、身体が流れたりとカクカクするシーンは目立つ。
だが、その分身体がゴツくなって馬力が増し、この階級でも正面衝突で当たり負けしないフィジカルを得た。
ロマゴン9RTKOで王座返り咲き。
前に出て体格差と手数でねじ伏せにいったヤファイの選択は正しかったと思うけど、ロマゴンが予想以上に力強かったな。
全盛期の超人的なバランスは目減りしてるけど、ひと回り身体がゴツくなって正面衝突で当たり負けしなくなった。
いい試合でしたね。— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) March 1, 2020
ただまあ、アレだ。
ロマゴン攻略の最適解はやはりサウスポーによる近場でのラフな打ち合いなのかな? という気はする。
6Rに目尻から出血した際に露骨に嫌な顔を見せていたし、その時間帯だけ動きも鈍くなった。ああいう神経質な面は相変わらずなので、そこをうまくつければ十分勝機は見出せるのではないか。
「新井田豊とかいう全盛期ロマゴンと真正面から打ち合った男。新井田豊vs高山勝成は歴代日本人対決のベストバウト」
特にこの選手は左を起点にコンビネーションがスタートするので、ジャブを出しにくいサウスポーは有利。その上右vs左なら頭も当たりやすく、ロマゴンをイラつかせるにも手っ取り早い。
・打たれ強い
・近場でのラフな連打が得意
・サウスポー
改めてシーサケット・ソー・ルンビサイの理想的なロマゴン打倒っぷりには感心させられる。
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